筒井淳也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
仕事と家族。
働きづらく、産みづらい。
テーマとして、どちらも大きく人の人生に関わるものでもあり、そのどちらも「しづらい」状況にある今は、とても生きづらいのだろうか。
少子化の要因は、これまでの研究のなかでもいくつか分析されていて、主に以下の3つに分けられる。
・機会費用
・両立困難
・希望水準
女性が出産育児にかかる際に、一時的なキャリア中断が起こることにより、所得が減少するなどの機会コストがかかるため、出産を躊躇する、という説。
共働きフルタイムでの出産育児において、女性が育児休業から復職するにあたって、育児と仕事との両立が困難である、あるいは困難であると予見できるから躊躇する、という説。
女性の高学歴化・総合職キャリアの獲得により、結婚時に男性に求める仕事のレベル・また生活能力(家事スキル)の水準が高まり、結果的に晩婚化が起きている、という説。
どれも、要因としてそれぞれの力は働いていると思われるが、著者はそのなかでも希望水準説が、特に強い要因であるとしている。
また、著者は男女雇用機会均等法と日本の無限定的な総合職的働き方のパラドックスを指摘する。
総合職キャリアの無限定性とは、時間・勤務地・職務内容のそれぞれにおいて限定しないことを総合職の暗黙の前提としており、この前提が女性や外国人等を基幹労働力から排除している、というものである。
一方で、男女雇用機会均等法のたてまえ上、女性の社会進出・総合職への転換が行われており、こうした状況の中でパートナーのうち、どちらかが(ほとんどの場合、女性が)そのキャリアプランを諦めざるをえない状況になっていると指摘している。
また、家事負担の軽減として、育児・家事の外部化(アウトソーシング)の可能性が考えられるが、外部化した先のケアワークの担い手のほとんどは女性であり、女性は自分のハウスワークをしない代わりに、他人のハウスワークを行う、という労働力の横流し、あるいは経済格差を利用した(移民の活用を含め)外部化にすぎない、という問題も提起している。
なんだか、結局、八方塞がりな現状を示してくれているが、何か救いは無いものか。
セカンドキャリアの活用、また総合職の無限定的な前提の見直し、などが考えられるが、どちらも民間企業の委ねられるものではある。
育児支援においては、保育サービスの充実は一定の効果がある、と統計的にも示されている、という。
ケアワークについては、課題が残る部分はあるが、雇用機会や所得をより増やすことのできる分野である、と感じる。
個人的に、本書を読んで気になったのは「通勤」して「オフィス」や「工場」で働く、という工業化・商業化後に一般化した働き方だ。
かつて、仕事は家あるいはその周辺で行うもので、男女問わず、家事の延長上にあるものとして、農業や手工業を行ってきた。
平川克美さんなども提唱している「小商い」という働き方は、最近注目されてきている。
自分が住んでいる「地域」を離れて、遠方の都心に通勤する働き盛りの世代は、子どもの教育に保護者として(PTA等の活動を通して)かかわる中で「地域」のシステムの旧態依然な部分や互助・善意によって成り立つ組織のあり方に驚く。
しかし、そもそも、都心に通勤する多くの会社員は、そうした地域自治を高齢者や一部の主婦に任せ、その地域に何の見返りもなく安全に住むことができている「フリーライダー」でもあるのだ、と思う。
長時間労働による弊害ばかりが、男性の育児参加・少子化・女性の社会進出の壁といった問題の中で、取り沙汰されるが、「通勤」して家・地域と職場が離れてしまっていることもまた、家の内と外の仕事を大きく隔ててしまっているようにも思う。
家の周縁としての地域・地域の中での仕事、そうしたところに若年者の雇用や育児世代のセカンドキャリアの活用のヒントが見出せないだろうか。 -
Posted by ブクログ
結婚の条件がよく整理されていた。
(必須条件・・・共同生活をし、互いに助け合うこと
必須ではない条件・・・性愛関係、生殖)
著者はおそらく同性婚や選択的夫婦別姓には賛成なのだろうが、
これらを法制化する上で解決すべき課題について
その責任の所在が当事者にあるかのような書き方がなされていて
そこが引っかかった。
例えば同性愛者の子供は差別されるかもしれないといった課題は、当事者ではなく社会に非があり、当事者に責任はないと思う。
同じように「選択的夫婦別姓を解決しても子供の名前をどうするかという新たな課題が生じる」と書かれてていた。しかし、"子供の名前をどうするか悩むという問題"と"強制的夫婦同姓により発生する女性への人権侵害"は同列に語られるべきではないだろう。子供の名前問題が生じるから女性の人権は侵害したままでいい、といった調子で人権侵害問題を先送りにする理由には全く値しないと思う。
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Posted by ブクログ
仕事と家族の関係性を各国の行政サービス、統計データから考察した書籍。
日本で子育てする事が無理ゲーと言われて久しいが、その理由である①子育て費用の補助 ②共働きと子育ての両立 について他国の状況も知りたいと思い読書。
①子育て費用の補助は北欧・欧州が手厚く、手厚いほど出生率が高くなる傾向という想像通りの結果
②共働きと子育ての両立 は意外性あり、そもそも就業している職業が国により大きく異なっているそう。
②を示すデータとされる産後の就業率はアメリカ、北欧が高い。アメリカは育休期間が短く仕事に早期復帰+家政婦やベビーシッターの利用によりキャリアを途切れさせず仕事を続けている。
一方、北欧は女性が就いている職業の多くは公務員であり、長期で休暇取得後仕事に復帰している。高福祉国家なので介護や医療などの公務員自体が多く必要とされ、そのサービスの担い手に女性が多いという事だそう。
日本はアメリカに近いが家政婦やベビーシッターを使う事に抵抗感が強く、社会として両立が難しい状態が継続しているという事だった。
また、男性の家事育児時間が長いほど産後就業率は長い傾向。
以上踏まえた感想
子育てをする為にはお金、時間、人手といったリソースが不可欠で、出生率がある程度高い国は行政・民間いずれかがこれらを提供しているとわかった。その国の中でもパートナーの協力有無により仕事と家族を両立できるかは分かれており、現在は当たり前の核家族で子育てをするという事自体が非常に難しい事と感じた。
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Posted by ブクログ
オビの文言
世界は思ってるより「わからない」し「緩い」。
この感覚は、うっかり忘れがちなものだ。
結果を前にして、原因はこれだろうと、つい見えた気になってしまっている。
けれど、副作用みたいな、想定もしていなかった事態がそこに絡んでいる。
じゃあ考えても意味はないのではなく、決めつけないとか、別の方向からアプローチしてみるとか、そういう姿勢が必要なんだろう。難しいけど。
ただ、地球温暖化陰謀論については、結局、ずっと力関係の渦中にいるみたいな感じがしている。
自分で辿ろうにも、情報がありすぎて難しい。
そういう時はどうすればいいんだろう。
「社会学は、心理学や経済学といった近隣分野の学問と比べると、自分の土俵のようなものをはっきりと備えていません。いえ、正確に言えば、土俵を自前で作らないところが社会学の強みであるし、またそうであるべきなのです」