筒井淳也のレビュー一覧
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・私たちが暮らしいる「社会」は、人間が意図したように動かない「近代社会の本質」が解きほぐす良書です。裏帯コメント通り「社会の教科書」です。
・社会は特定のレンズ(専門知)だけでは説明出来ないほど複雑化している。自分の考えを絶対視している時ほど、社会からしっぺ返しを喰らった経験が多々あるので、本書の説明は腑に落ちました。一方で、社会を完全なカタチで理解して動かすことは出来ないけれど、社会が持つ「緩さ」故に、社会は多様な可能性を含んでいて、動かす余地がある。変化が激しい時代に、ポジティブに社会と向き合う為に、自分たちが暮らす「社会の不可解さ」を知ることは重要と感じました。 -
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少子化が叫ばれて久しい。
どうやら1991年海部内閣のときから危機感を抱き、少子化対策を行ってきているようだ。
菅内閣では「こども家庭庁」が設立され、現在の岸田内閣では「異次元の少子化対策」と称して躍起になっている。
しかしその実は、子どもを持つ家庭にお金を配るということ、そして議論の中心は財源の話。
本当に、お金を渡すだけで少子化が改善されるものなのか?問題は、その前の未婚・晩婚にあるのではないか?と、かねがね思っていたところで、手に取った本書だが、共感するところが多かった。
諸外国や国内の出生率などのデータを載せた上での要因解析と提案。
やはり学者たるはこうでないと、と感じたところだが、 -
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■地域の人口は政府の方針や産業構造に左右される。
地方で人口が減る大きな地域における雇用の少なさである。
非都市部地域でも工業地帯などで雇用があれば人口は維持できることが多い。しかし、国全体でサービス産業化が進む中、若い女性が都市部に移住する動きを止められていないのが現状。
過疎化が進むと行政サービスの低下や商業施設の減少も進む。住宅価格や生活費は安価であろうが都市的なライフスタイルを望む若い人を引き止めるよい材料が減っていしまう。
■1970年代からの出生率低下の大きな部分は、結婚している人が子供を持たなくなったことではなく、晩婚化・未婚化によってもたらされてきたということ。
少子化 -
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少子化対策と子育て支援の混同は、限られた財政資源の無駄遣いになるだけではなく、未婚化という主たる原因を見て見ぬ振りをしてしまうことで、対策を遅らせる=少子化を進行させることになる。
本書では若干歯切れが悪いが、未婚化の主因は「若者の不安定雇用」ではなく、「若い女性から見て満足できる経済力がある男性がいないこと」なのは各種データから明らかなのだから、議論の精度をそこまで上げていく必要がある。今後はそのような議論をせざるを得なくなってくるだろう。
上記の主因は、若い女性の学歴や就業先の向上の結果であるものの、それがリベラル面で喜ばしいとされるのは、あくまで資本主義(というより賃金労働至上主義)や -
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筒井先生がいかに「社会」と向き合い続けてきたかがわかる内容。ちくまプリマー新書は,ヤングアダルト(おとなとこどもの間)を対象とした新書(wikipedia)らしいですが,その層だけでなく,ややアダルト(30代前半頃)にも響く。
社会がいかにわからないか,そしてなぜわかりにくくなっているか,その中でどのように私たちは生きていけばいいか,「社会」に向き合い続けて考えてきた筒井先生だからこそのお話がたくさんあります。
社会学入門の入門書としても良い一冊ですし,社会心理学入門の入門書としても読んでほしい一冊です。社会心理学は社会学と心理学を包摂するような,あるいは,間を循環するような学問である -
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リベラルな立場を自認しつつ、常に複数の見方を提示した上で様々な文献と突き合わせて比較検討し、その上で著者の意見を述べるやり方は、研究の態度として非常に尊敬できる。家族という概念の歴史から掘り起こし、現代の家族像を分析してゆく。
個人的に学びになったのは家概念の成立であった。家概念の成立以前は、閉じた地域共同体の中で性的アイデンティティを重視しつつ比較的自由な人間関係があり、血統概念は弱かったのだそうだ。それが変わったのが武士の登場であり、共同体が食べていけるかどうかが戦の手柄に依存するようになったことが原因だそうだ。戦は男がやるものなので、男が共同体を養う、そして強い男の嫡子はまた強いだろう