森本あんりのレビュー一覧
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ネタバレ反知性主義:
アメリカが生んだ「熱病」の正体
今流行り?の「反知性主義」って何?ということが知りたくて読んでみました。
一言で言えば「長いものには巻かれるな!」的なアメリカンスピリットのことのようです。
そういった心意気がどうやって育まれて来たのかをキリスト教の伝道過程を丁寧に追っていくことによって解説しています。
「反知性」とは、知性に対して反対しているわけではなく、知識を独占している階級に反抗する姿勢を指しています。
その点を誤解すると、言葉の意味が全く変わってしまうので注意が必要です。
意外だったのは、アメリカの政教分離が、より重要な宗教と政治を切り離すために行われたというくだり。
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Posted by ブクログ
ネタバレ一つ一つがとても知らない世界だらけで、
引き込まれながら読みました。
何だか全然関係ないような細かい話のようで、なんでか読み進めてしまう、素晴らしい書き手・語り手の技でした。
森本あんりさんの子どもの頃のこと、どんな子だったか、名前、
懸賞論文への応募と新聞社の論調に合わせた作文で勝ち取った豪華旅行(やっぱすごい、小さいときから書ける人だったのですね)、
どうやって大学(ICU)に行くことになったか、
ガールフレンドが教会に行っていたからクリスチャンになった、
交換留学での出会い、
プリンストン神学大学に行くことになったか、
その5年間のアメリカ生活での豊かな人間関係、
四 -
Posted by ブクログ
世の中では寛容が良いことで、不寛容は悪いことだという風潮がある。しかし、寛容であるはずのリベラル層が不寛容な言説に染まったり、一神教は不寛容だが多神教は寛容なので日本人はやさしいといった、寛容の意味合いを履き違えた話も散見される。
寛容という言葉には、前提として評価する側の絶対的な正しさがある。間違っているけど赦す、という一方的な立場を正当化する危うさは、時には戦争や排斥を生み出すロジックとなってきた。寛容の起源にキリスト教の異教徒や異文化に対する理解という流れがあり、聖書や教義が絶対的に正しいという立場が見え隠れする。
この本では、アメリカ建国にまつわる寛容・不寛容の流れをもとに説明され -
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感染症におけるマスクの有効性や進化論を否定したり、地動説を唱えたりする人たちは、どうしてそういう考えに至ったのかを納得したくて読み始めたんだけど、完全には納得できなかった。
ざっとこの本の結論をまとめると、アメリカは、ヨーロッパの権威から逃れてきた人たちから成立した国なので、反権威主義としての反知性が根本的な気質として備わっている。
また、封建主義を歴史的に経験していないため、知識人が社会の権威者としての存在に近かったことも大きく影響している、となる。
そういう意味では、日本という国の成り立ちが、周辺諸国(古代においては中国、近代においては欧米)から知識を取り入れることで成長してきたことか -
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ネタバレアメリカの反知性主義の「ヒーロー」たちの歴史を追った本。学歴や派閥や権威にとらわれず、自分の力で聖書を読んで人々にわかりやすく伝える、というあり方はある種理想的にも聞こえるし、イエス自身が律法学者を批判しているように反知性主義的なところがあるので説得力もある。けれども、それが行き過ぎると結局悪い意味で世俗的であったり、現世利益的であったり、排外主義につながったりする。というか、それまで積み重ねてきた学問研究とか教養というものへのリスペクトがないよね。宗教が権威的になったり、権力と癒着するのはたしかにもっての外ではあるけれども。ジャクソン大統領とか若干のトランプみを感じた。ポリティカルコレクトネ
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アリストテレスが、1つの徳だけに秀でるのは良くない(≒ギフテッドではなくラウンデッドであるべき)と考えていたという話は興味深い。スペシャリストやエキスパートであることが称揚されるが、そうなるなという教えは結構衝撃を受ける。
人々を挑発する知がリベラルアーツだという宣言は、森本あんりらしくて好きかもしれない。また、教養というのはアクセサリーのように付けたり外したりと「身につける」ようなものではなく、自分の中で育むものだというのはおっしゃる通りかと。
後半の4人の識者との対談も面白いけれど、AIの捉え方が画一的というか、執筆時期も関係しているのかもしれないけれど、ちょっと敵対的に見る傾向が強 -
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森本あんり先生が、五木寛之、藤原正彦、上野千鶴子、長谷川眞理子という、錚々たるメンバーと教養について対話する本。
情報が氾濫し、価値が揺らぎ、予測不能なこの時代に本当に必要なものは決してファスト教養のようなペラペラの外観ではない。真の教養とは何か、AIが台頭してきている世の中で我々は何を考えるべきか、これから社会が必要とする力はどのようなものであり、教育は何を果たすべきか。碩学たちの熱い思いが伝わってくる良書。
「何かを解決するためではなく、そもそも解決など不可能だということに気がつくために考える。答えを見つけるためではなく、探し続けるために問う。
人間がどんな時にも人間性を失わずにいるこ -
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やはり米国史はキリスト教の理解なくして学べないと痛感させられました。
本書の内容は、冗長な記述もなくとても簡潔でありながら、しかし要点はきっちり押さえてあって、まさに過不足なく書かれているといった印象です。
米国のキリスト教の歴史を学ぶ第一歩として最適な基本書といってよいでしょう。
ないものねだりで注文をつけるとすれば、各州の位置がわかる地図と、各宗派に関するごく簡単な説明が冒頭にあればなおよかったでしょうか。
そのあたりの基礎知識がなかったため、「メリーランドが……」とか「メソジストが……」とかいう記述が出てくるたびに、その州の位置や宗派の概要を調べないといけませんでした。 -
Posted by ブクログ
進化論否定、トランプを信用など、アメリカで起きていることが理解し難いが、この本を読むとそこに至る経緯がわかる。かと言って、進化論否定を肯定する物ではない。
アメリカには、ヨーロッパ階級社会から逃れてきたスタートがある。特定の知識階級が正しさを決めることへの反発。
それに対して、その正しさの拠り所が聖書であるなら、聖書を読むことは自分でもできるわ、となっていく。この過程の説明はとても面白い。なるほどな、と納得する。
一方で、この場合、聖書の存在が大きすぎる。聖書にさえしたがっていれば道徳的に社会的に問題がない。というのは無理な話で、多くの書物にあたって多角的に物を見ることか望ましいと思うけれ