森本あんりのレビュー一覧

  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    感染症におけるマスクの有効性や進化論を否定したり、地動説を唱えたりする人たちは、どうしてそういう考えに至ったのかを納得したくて読み始めたんだけど、完全には納得できなかった。

    ざっとこの本の結論をまとめると、アメリカは、ヨーロッパの権威から逃れてきた人たちから成立した国なので、反権威主義としての反知性が根本的な気質として備わっている。
    また、封建主義を歴史的に経験していないため、知識人が社会の権威者としての存在に近かったことも大きく影響している、となる。

    そういう意味では、日本という国の成り立ちが、周辺諸国(古代においては中国、近代においては欧米)から知識を取り入れることで成長してきたことか

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    2025年03月01日
  • 教養を深める 人間の「芯」のつくり方

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    混乱の時代にあっても、人間がより人間らしくあるために必要な知の営みリベラルアーツ。
    4人の識者とリベラルアーツの本質に迫る。

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    2024年08月29日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    ネタバレ

    アメリカの反知性主義の「ヒーロー」たちの歴史を追った本。学歴や派閥や権威にとらわれず、自分の力で聖書を読んで人々にわかりやすく伝える、というあり方はある種理想的にも聞こえるし、イエス自身が律法学者を批判しているように反知性主義的なところがあるので説得力もある。けれども、それが行き過ぎると結局悪い意味で世俗的であったり、現世利益的であったり、排外主義につながったりする。というか、それまで積み重ねてきた学問研究とか教養というものへのリスペクトがないよね。宗教が権威的になったり、権力と癒着するのはたしかにもっての外ではあるけれども。ジャクソン大統領とか若干のトランプみを感じた。ポリティカルコレクトネ

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    2024年06月14日
  • 教養を深める 人間の「芯」のつくり方

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    アリストテレスが、1つの徳だけに秀でるのは良くない(≒ギフテッドではなくラウンデッドであるべき)と考えていたという話は興味深い。スペシャリストやエキスパートであることが称揚されるが、そうなるなという教えは結構衝撃を受ける。

    人々を挑発する知がリベラルアーツだという宣言は、森本あんりらしくて好きかもしれない。また、教養というのはアクセサリーのように付けたり外したりと「身につける」ようなものではなく、自分の中で育むものだというのはおっしゃる通りかと。

    後半の4人の識者との対談も面白いけれど、AIの捉え方が画一的というか、執筆時期も関係しているのかもしれないけれど、ちょっと敵対的に見る傾向が強

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    2024年04月16日
  • 教養を深める 人間の「芯」のつくり方

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    森本あんり先生が、五木寛之、藤原正彦、上野千鶴子、長谷川眞理子という、錚々たるメンバーと教養について対話する本。

    情報が氾濫し、価値が揺らぎ、予測不能なこの時代に本当に必要なものは決してファスト教養のようなペラペラの外観ではない。真の教養とは何か、AIが台頭してきている世の中で我々は何を考えるべきか、これから社会が必要とする力はどのようなものであり、教育は何を果たすべきか。碩学たちの熱い思いが伝わってくる良書。

    「何かを解決するためではなく、そもそも解決など不可能だということに気がつくために考える。答えを見つけるためではなく、探し続けるために問う。
    人間がどんな時にも人間性を失わずにいるこ

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    2024年03月18日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    アメリカを理解する視点として、このキーワードが実に重要なことがわかりやすく書かれていた。実に自分がものを知らないかがわかったというのもおかしな話ではあるが、このことを教えてくれることはいわゆる学校ではないように思う。

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    2023年11月25日
  • キリスト教でたどるアメリカ史

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    やはり米国史はキリスト教の理解なくして学べないと痛感させられました。
    本書の内容は、冗長な記述もなくとても簡潔でありながら、しかし要点はきっちり押さえてあって、まさに過不足なく書かれているといった印象です。
    米国のキリスト教の歴史を学ぶ第一歩として最適な基本書といってよいでしょう。

    ないものねだりで注文をつけるとすれば、各州の位置がわかる地図と、各宗派に関するごく簡単な説明が冒頭にあればなおよかったでしょうか。
    そのあたりの基礎知識がなかったため、「メリーランドが……」とか「メソジストが……」とかいう記述が出てくるたびに、その州の位置や宗派の概要を調べないといけませんでした。

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    2023年11月17日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    「寛容」の如何を問うとするよりは、むしろそれを通した初期アメリカ社会から連なる歴史と人々のあり方を知る端緒となった。
    それが現在の、そして我々日本の基部の上でどう受容されうるか。

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    2021年12月02日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    進化論否定、トランプを信用など、アメリカで起きていることが理解し難いが、この本を読むとそこに至る経緯がわかる。かと言って、進化論否定を肯定する物ではない。

    アメリカには、ヨーロッパ階級社会から逃れてきたスタートがある。特定の知識階級が正しさを決めることへの反発。
    それに対して、その正しさの拠り所が聖書であるなら、聖書を読むことは自分でもできるわ、となっていく。この過程の説明はとても面白い。なるほどな、と納得する。

    一方で、この場合、聖書の存在が大きすぎる。聖書にさえしたがっていれば道徳的に社会的に問題がない。というのは無理な話で、多くの書物にあたって多角的に物を見ることか望ましいと思うけれ

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    2021年10月16日
  • キリスト教でたどるアメリカ史

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    ネタバレ

    この本はアメリカ史?についての本です。しかし、焦点を当てるのはむしろアメリカの歴史のダイナミズムの下に隠れる宗教の強さ。あるいはこうも言えるかもしれません - 宗教という隠れ蓑にひそむ人間の汚さ・狡さ。
    いずれにせよ、イデオロギーは人を聖者にも殺戮者にもしうるし、本来倫理に悖るような行為についてもひとたび神を持ち出すことで正当化される。これが読後の正直な感想です。

    ・・・
    さて内容ですが、個別トピックの中では、南北戦争がちょっと引っ掛かりました。
    筆者の分析は南北戦争の背景に宗教的分断があると見ているようでして、このような記述があります。
    「聖書は、古代世界の通念として奴隷の存在を容認してい

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    2021年10月13日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    またこれもトランプ支持を理解したくて読んだ本。反科学
    や陰謀論など理解し難い主張を反知性主義で説明できるのか、あんな人物を大統領にしてしまう人々のことをこの言葉で理解できるのか、と思い手に取った。
    まず序章で反知性主義の定義からなんとなくの理解を覆される。大衆化しおよそ知性と考えられるものに何にでも反対する姿勢のことを日本では反知性主義と呼ぶが、アメリカでは異なる意味合いを持つ、として、アメリカという独特な環境でどのように反知性主義が育ってきたのかの説明がはじまる。

    最終章を先取りしてまうと、『反知性主義とは知性と権力の固定的な結びつきに対する反感である』というのがエピローグでのまとめだ。既

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    2021年07月12日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    私には難しそうで最後まで読み切れるかと心配したが、易しい言葉で、興味がずっと保たれたまま読み続けられた。
    歴史から学ぶこと、遠い昔の他国の人や出来事から得たことを今現在を生きるに当たって知恵としてそのまま具体的に取り入れられること、しみじみと実感できた。

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    2021年05月13日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    米国だけが 異質な理由。宗教史の観点からの解説。
    現世での成功を持て囃し それを軸に国家を作ってきたこと、 その裏には繰り返される平等主義からの権威への挑戦がある。それが反権威主義となって繰り返される。
    ひとつの軸

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    2021年04月30日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    通販生活の表紙に「私はあなたの意見には反対だけど、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というヴォルテールの言葉が掲げられていた。確かに、美しい言葉かもしれないけど、この通りにするのは、かなり無理をして、頑張らないといけない感じする。

    この本によると、中世の「寛容」は、大きな悪が実現しないように小さな悪をそのままにしておくという、かなり消極的な、相対的な考え方だったというのです。金貸しも、娼婦も、それ自体は悪には違いないけど、それが無くなったら、社会全体はもっと悪くなるので、まぁ、放っておくか。そんな考え方だと。

    なるほど。

    この現実主義が、カトリック教会をさまざまな極論から守り、

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    2021年02月13日
  • キリスト教でたどるアメリカ史

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    キリスト教の知識がなく恐らく1/10も吸収できてないけど、宗教を軸にすることでアメリカ史の点と点が繋がった感じ。面白かった。

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    2020年02月18日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    アメリカを知るためには、アメリカ人の宗教観への理解を深めることが不可欠だと思う。
    その意味で、この本はアメリカという国の本質を理解する上で、とても興味深い本だった。
    アメリカの反知性主義を知ると、ヒラリーがトランプに負けたことにも合点がいくし、今年の選挙で民主党が勝つことも懐疑的になる。

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    2020年02月15日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    反知性主義がなぜ発生するか、ポピュリズムとは何か、そして日本は何故、「半」知性主義なのか、筆者の言葉で一般読者向けに語られており、非常にわかりやすい。参考文献も豊富で、初学者には良いエントリーとなった。

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    2018年07月15日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    アメリカは「敗けを理解できない」というのは、私も感じていたが、それは戦争の歴史だけでなく、宗教の歴史からも説明できるんですね。
    アメリカだけでなく、世界的に「異端」の種が蔓延している中、良く考えて、慎重に、世の中を見ていく必要がありますね。

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    2018年03月03日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    おもしろかった!
    「宗教は、ウィルスが宿主の中で適合して亜種を生み出すように、その土地に適応して変化する。」

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    2018年01月16日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    アメリカは言わずと知れた超大国で、芸術も音楽もスポーツも優れたものがいくらもあります。
    ノーベル賞の受賞数だって300以上あり、2位のイギリスの3倍と圧倒しています。
    それなのに、大統領選となると、稀に頭がちょっとアレで思慮に欠ける人を選んでしまうのは何故だろうと、これは長年の素朴な疑問でした。
    言うまでもなく、直近ではトランプさんですが、少し遡ってブッシュさん(特にジュニア)、かなり遡ってアイゼンハワーさんも結構なアレだったと物の本で読んだことがあります。
    中でもトランプさんなんて、我が邦のどこの村にも1人はいる、尊大で金持ちの保守オヤジと大差ないですもんね。
    個人的には、こういうタイプの人

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    2018年01月08日