森本あんりのレビュー一覧

  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    もともとの意味での反知性主義とは、「かなり特定の系譜をもったアメリカ的な現象」なのだという。
    カトリック世界を脱出して新世界を作り出そうとした人々がたどった歴史的経緯によって生み出され、展開してきたのだという。
    それを解説した一冊。知らないことだらけだったが、いろいろ腑に落ちる。

    ほぼ丸々、アメリカのローカルな事情と論理から成り立っているので、そんなことに世界を巻き込まないで欲しいと思うが、仕方ないのだろう。
    われわれは明確に意識はしないが、中国のローカルな事情と論理に基づく世界観を受け入れ続けてきた日本からすれば、それがアメリカに代わっただけともいえるわけだし。

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    2025年10月24日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    ネタバレ

     アメリカとは何かを理解するのに不可欠な本。
     アメリカにおいて、政治や教育を左右するのがキリスト教という認識があったが、なぜそうなったのか、をキリスト教がアメリカに根付いていく過程をアメリカ史を背景に詳述する。
     アメリカに移民した人々がまず作ったのが大学。それは牧師の養成に必要だったから。もし大学がなければ本国イギリスから定期的に牧師を招かねばならず、アメリカの独立はそこでつまづく、と考えられた。
     大卒のインテリ牧師が行う説教は長く難解だった。それに対抗する動きが反知性主義。わかりやすく、時に笑いや涙を交えてキリスト教を説く。その流れは現代アメリカにも脈々と引き継がれ、宗教専門チャンネル

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    2025年09月13日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    アメリカのキリスト教は、平等や自由を尊ぶ精神と相俟って変異し、アメリカの反権威主義=反知性主義をもたらす、というストーリーをアメリカ宗教史に鑑みながら紹介した著作。

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    2025年09月12日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    アメリカでの、「信仰復興運動」「リバイバリズム」の歴史について、反知性主義とからめて、書かれています。

    アメリカの歴史や成り立ちは、おもに政治制度などを追う形でざくっと勉強したように思いますが、宗教に特に焦点を当てて辿ってみると、またこんなに違って見えてくるんだなーと。

    「信仰復興運動」というのも波があるようです。その波の中で特に主導的役割を果たした人物を取り上げて紹介されています。

    初めて知ること、初めて得る視点が満載で、とても興味深く読みました。

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    2025年07月22日
  • 魂の教育 よい本は時を超えて人を動かす

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    読み始めた動機としてキリスト教について、というか宗教について批判的な目線を持っていたので頭のいい人がどういう理由から宗教に傾倒していったのか興味があった。
    世界中を魅了する一大コンテンツ「キリスト教」の魅力にまだ自分が気づいていないだけなのではないかと。
    読んだ感想は宗教だから、キリスト教を信仰したから人は救われるのではなく、自分を肯定したり、自分の実存を存分に発揮したり、徳性を高めたり、生きる勇気を持つ事ができるようになったり、他人を愛せるようになる為に行われる営みの一つとして信仰というものが用いられていると感じた。

    作者の人生とその時々の本との出会い、それによる思想の変遷が率直で恥ずかし

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    2025年07月07日
  • キリスト教でたどるアメリカ史

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    「モルモン教徒は道徳的に厳格で、酒や煙草はもとよりコーヒーやコーラも飲まず、人工妊娠中絶や同性愛には一貫して反対である。教会組織は最高指導者以下、明確に権威が階層化されており、しばしば白人中心主義も指摘されてきた。なお、成年男子には二年の宣教活動が原則的に義務づけられているため、日本でも若い伝道者たちの活発な働きが見られる。」

    —『キリスト教でたどるアメリカ史 (角川ソフィア文庫)』森本 あんり著

    「教会が同性愛者をどのように受け入れるかが深刻な争点となったのは、八〇年以降である。七〇年代の後半から、主要な各教派でこの問題についての検討が始められたが、その結論は多くの場合、同性愛者の人権擁

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    2025年04月14日
  • 魂の教育 よい本は時を超えて人を動かす

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    特に神学の話などは、自分が良く理解できているとはとても思えないですが、何度でも繰り返し読みたくなる、内容のたくさん詰まった、切れ味のスパッとした本でした。ちょっと予算オーバーだったけど、最近一番「買って良かった」と思えた本。

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    2025年04月05日
  • 教養を深める 人間の「芯」のつくり方

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    「今日の世界を覆っている戦争と貧困、抑圧と不正義のなかで、それでも人間らしくあることを貫こうとすれば、やはりどこかで腹をくくる覚悟が必要になります。リベラルアーツとは、人が人であるのとを貫くために必要な精神の力を養う学びのことです。」(「はじめに」) 
    対談(五木寛之、藤原正彦、上野千鶴子、長谷川眞理子)を含む森本先生の言葉に光明を見いだす気持ちに。

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    2025年01月02日
  • 魂の教育 よい本は時を超えて人を動かす

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    「魂の教育」といった仰々しいタイトルや章題からして説教じみた神学者の教えのように捉えられてしまう外観が勿体ないほどに
    研究者のライフヒストリーという自分好みのモノが、連載形式の小気味よさで綴られている。

    神学の学究のあり方や、そもそもの神学的な思考や生活自体に縁遠くそういった細部まで踏み入れられずとも、一本筋のとおった物語的な筆者の営みが描かれていて、深く思考を強いられるとともに単純にストーリーとしても楽しめる。筆使いもさすが。

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    2024年12月22日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    分断が進むアメリカにおいて、「寛容」とは何かを論じる一冊。トランプ以後、顕在化した分断を前に、現代アメリカについて語られるのかと思うと、豈図らんや、アメリカ入植史と、当時活躍されたロジャー・ウィリアムズ氏についての本になっている。
     アメリカのピューリタンの対極に位置する中世カトリックの寛容さについて触れたあと、政教分離と内心の自由を認めるウィリアムズについて語られ続ける。あとがきでも述べているが、森本先生、ウィリアムズ大好きでしょ。
     端的に言えば、「ムカつくけど排除しないし礼節を持って接してやる」のが寛容だと論じられている。ユダヤ人の弁護士がネオナチを「テメーの意見はムカつくけど、テメーの

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    2024年11月12日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    冒頭で日本における『反知性主義』と本来のアメリカにおけるそれとは微妙に意味が異なると書かれているが、微妙どころではない。この本を読むと完全に意味をはき違えている事が理解される。日本では知性に欠ける指導者が人気を博す事を揶揄する場合に使われることが多いが、本来の意味での反知性主義とは『上から目線への抵抗』である。
    日本で何故このような勘違いが横行するのかと考えるに、そもそも権力者に知性がないことが原因と思われる。大物政治家の子や孫が世襲で権力を維持することに対する反感は日本にもそれなりにあるが、その人たちに知性が感じられないのでそれを『反知性主義』と呼称するのがしっくりこない。何とも残念な状況。

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    2024年11月07日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    ネタバレ

    反知性主義という切口でアメリカのキリスト教、歴史、政治、社会を分析する。反知性主義は知性に反対するのではなく知性が権力と結びつくことに反発するものだとして、その負の面も描きつつ肯定的な評価も与えている。

    アメリカの歴史の流れや、自分の中で曖昧だった「ピューリタン」や「福音主義者(エヴァンジェリカル)」の定義が少し理解できた。

    また、トランプに対しても本書を読むことで少し見方が変わった。アンドリュー・ジャクソンとの共通点など、トランプはアメリカにとって決して新しい存在ではないのだと思った。

    アメリカのラディカルな平等理念が反知性主義を生むというのも面白かった。今の格差社会アメリカを見ると平

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    2024年06月28日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    政教分離後エンタメ化した伝道集会が熱狂を呼び、ナショナリズムや平等意識と相性が良く、権力と知性の世襲が嫌われた。誰でも回心してまじめに生きれば救われる、帰依すれば聖書にないことは否定しなければいけない。それが今のアメリカの一部だと理解しました。

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    2024年02月10日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    面白かった!
    読みやすく学び多い、会社員的に嬉しいコンセプトの本です。
    ニュースで触れる米国の「極端さ」を、今後は一段深く観察できそう。

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    2023年12月31日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    なぜ今まで宗教学に興味をもってこなかったのかと後悔してしまうほどすばらしい内容。人間が考えたものである以上、政治思想や哲学や歴史や人々の価値観にはいつも宗教の下地があることが理解できる。もっと学びたい。
    価値観が異なっても許容し共存するという意味での寛容は、「トルコから世界を見る ――ちがう国の人と生きるには? (ちくまQブックス)」に書かれていた「ものさしは複数ある」という認識に近いし、子どもの学級内での過ごし方としてよく言われる、「みんな仲良くは難しいが平和的に共存しよう」という考え方とも通じる。
    皆が「礼節をもって、暴力に訴えず、会話を遮断せずに続けるだけの開放性を維持する」ことができれ

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    2023年08月04日
  • シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

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    シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理 (NHK出版新書)
    by 森本 あんり
    それは、アメリカという国がさまざまな側面において、宗教という 鋳型 で作られているから

    なぜいまポピュリズムがアメリカを席巻している

    人びとは思い思いに書いたプラカードを掲げ、Dump Trump, Racist, Sexist, Anti-Gay!(人種差別・女性差別・同性愛差別のトランプを追い出せ!)と、調子を合わせてスローガンを叫んでいます。子どもも老人も、白人も黒人も、女性も男性も、家族連れも同性カップルも。歩道にいた人びとも「一緒に声を上げよう」と誘われて、

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    2023年07月21日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    いまを知るためには歴史を知る必要があるし、歴史を知るためにはその中で大きな役割を果たしてきた宗教について知ることが欠かせない。アメリカがなぜ「アメリカ」なのか、本書を読んでようやく理解することができた。
    サンデー以降、現代につながる流れや、他国での思想についても学びたい。

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    2023年06月09日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    不寛容なしに寛容はあり得ない。
    自分が嫌悪する、許容できないものに対してどうするのか、という問いこそが寛容論。

    わかりあうことはできないが、わからないままに受け入れることはできる。

    ウィリアムズを切り口に寛容論について述べられた本。この内容でこの読みやすさはとてもよかった。
    内容としても、筆者が述べている通り、まさに今求められる考え方なのではないだろうか。

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    2023年03月07日
  • 不寛容論―アメリカが生んだ「共存」の哲学―(新潮選書)

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    不寛容なしに寛容はない と最初の方に出てくるが、「寛容」はこれに尽きる感じだ.アメリカへイギリスから移住したピューリタンが原住民と交渉しながら植民地を建設する過程で、「寛容」をどう取り扱うかを議論しているが、宗教の問題が基盤にあることは日本人には理解が難しいと思った.ロジャー・ウイリアムズに焦点を当てて「寛容」の問題を解説しているが、彼の頑なさはある程度理解できると感じた.契約を結ぶこと、宣誓をすることなど、現代社会にも通用することが17世紀のニューイングランドでなされていたことに驚いた.

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    2022年12月16日
  • 反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―

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    アメリカの反知性主義について書かれた本。
    社会的病理・ポピュリズム・ナショナリズム等で象徴的なキーワードとして聞いたことがあったが、その根底にあるアメリカ独自のキリスト教思想や歴史について記載されていて、非常に面白く興味深い内容だった。

    ■アメリカはもともと中世の無い社会、王様のいなかった社会だった歴史から、知識層が大きな力をもってきた。それに対抗するものが反知性主義。
    ■アメリカではキリスト教が独自の解釈で広まった。神との契約とは、神からの無償の慈悲を指すモノから、自らもしっかり信仰しないといけないという考えに変わる。これが信仰復興運動につながる。
    ■アメリカキリスト教の副産物として、極端

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    2022年11月07日