森本あんりの一覧
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ユーザーレビュー
なぜ今まで宗教学に興味をもってこなかったのかと後悔してしまうほどすばらしい内容。人間が考えたものである以上、政治思想や哲学や歴史や人々の価値観にはいつも宗教の下地があることが理解できる。もっと学びたい。
価値観が異なっても許容し共存するという意味での寛容は、「トルコから世界を見る ――ちがう国の人と
...続きを読む 生きるには? (ちくまQブックス)」に書かれていた「ものさしは複数ある」という認識に近いし、子どもの学級内での過ごし方としてよく言われる、「みんな仲良くは難しいが平和的に共存しよう」という考え方とも通じる。
皆が「礼節をもって、暴力に訴えず、会話を遮断せずに続けるだけの開放性を維持する」ことができれば平和になるので、さほど難しくはないように思えるが、その境地に至るのが困難だから諸々の問題が生じるのではと思う。まず自らの信念によほど強い確信がなければ、他者の異なる意見に接することで自分の内部に揺らぎが生じ、不安になる。自分を不安にするものは排除しなければならない、となる。相手の態度があまりに確信に満ちていると、自らの不安定を指摘されているようで、あたかも自分が攻撃を受けたかのように感じる。攻撃を受けたら自らを守るため反撃しなければならない、となる。これらの問題をどのように乗り越えるかが、私たちが考えなければならない課題だと思う。
Posted by ブクログ
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シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理 (NHK出版新書)
by 森本 あんり
それは、アメリカという国がさまざまな側面において、宗教という 鋳型 で作られているから
なぜいまポピュリズムがアメリカを席巻している
人びとは思い思いに書いたプラカードを掲
...続きを読む げ、Dump Trump, Racist, Sexist, Anti-Gay!(人種差別・女性差別・同性愛差別のトランプを追い出せ!)と、調子を合わせてスローガンを叫んでいます。子どもも老人も、白人も黒人も、女性も男性も、家族連れも同性カップルも。歩道にいた人びとも「一緒に声を上げよう」と誘われて、次々に加わっていき、デモはどんどん膨らんでいきまし
もともと知性は権力と結びつきやすい性質をもっています。そしていったん結びつくと、それは自己を再生産するようになる。つまり、知性は固定化し、固定化すると堕落するのです。 トマ・ピケティの『 21 世紀の資本』( Le Capital au XXIe siècle)が日本でも評判となりましたが、この本が突きつけた問題も同じです。金持ちは金持ちを再生産する。上流階級は良い教育を受けて、その子どももまた良い学校に入る。すると、彼らもまた良い仕事について、良い収入を手にする。逆にそうでない者は、いつまでもチャンスがなくて浮かび上がれない。 こういう階級の固定化に腹を立てているのが、現在のアメリカなの
いつもそのたびに候補者から福音派の願いを 叶えてくれるかのようなリップサービスを受けながら、候補者が当選し、いざ政権を担当する段になると、ほとんど恩恵はなく、裏切られてばかりでした。 そんな彼らからすると、トランプは、確かに下品で乱暴ですが、心の内にあることと口から出てくる言葉が 甚だしく違っているということがない。それは政治家としてはまずいけれども、福音派から見ると、彼こそ「正直な人間だ」ということになるわけ
もしアメリカがこれまで「偉大」だったとしたら、それは国内だけでなく世界中に正義や人権や民主主義を普及するといった目的理念を掲げていたからです。その姿勢は、いつも独善的ではた迷惑だったかもしれません。 高邁 な理念の下には、 怜悧 な国益の計算もまた 潜んでいたことでしょう。 しかしそれでも、こうした大義名分があってこそ、アメリカのパワーとヘゲモニー(覇権)は曲がりなりにも国際的な認証を受けてきたのです。アメリカを「偉大」にしてきたのは、経済力や軍事力だけではない。それによって何を達成しようとしているのか、という目的の正統性でし
次章で詳しく考察するポピュリズムは、陰謀論と非常に相性がいい。アメリカは、ポピュリズム発祥の地でもあり
ポピュリズムのもつ熱情は、本質的には宗教的な熱情と同根
政治とは本来、妥協と調整の世界です。一方的な善の体現者もいなければ、一方的な悪の体現者もいませ
だからポピュリストの発言は、妥協を許さない「あれかこれか」の原理主義へと転化しやすいのです。 市井 の人びともこれを歓迎します。善悪二元論的な世界理解は、日頃抱いている不満や怒りを、たとえ争点とは事実上無関係であっても、そこに集約させてぶつけることができるから
つまり多数者といっても、全体ではなくあくまでも部分にすぎないのです。そして統治者もまた、全国民の代弁者ではありません。 部分が全体を僭称するとき、正統性は内側から 蝕まれてしまいます。そしてこの構図は、宗教において正統から異端が生ずるプロセスとまったく同じです。このことは終章でくわしくお話ししましょ
アメリカは、過去も現在も、一貫して「アメリカ・ファースト」だし、日本も一貫して「日本ファースト」です。たとえ他国への恩恵を強調して見せるとしても、その裏にはしたたかな国益の計算があり
一般に、「正統」というと、折目正しくきちんとしていて厳格なイメージですが、歴史をふりかえると、じつは正統はいい加減で大雑把です。逆に、異端となるのは、知的にもすぐれており、道徳的にも立派な人びとばかりです。 第2章で説明した「チャーチ」と「セクト」の区別を思い出してください。正統は「チャーチ」です。いわば、誰でも入れる寛容で大きなテニス部のようなものです。それに対して、異端は「セクト」です。入会資格も厳しく、明確な目的をもった精鋭部隊です。正統は言うならばデフォルト(初期値)で、異端はそれに対するアンチテーゼ
その先にあるのは、理念や目的を欠いた場当たり的なポピュリズムの支配です。会社で言えば、利益だけしか追求しないマネジメントということになるでしょ
人は、金儲けのためだけに働いているのではありません。自分が社会の役に立っている。尊敬される意義のある仕事をしている。そういう意識をもっている人は、志気も高く熱心に働くことができ、結局は会社全体の評価も
Posted by ブクログ
いまを知るためには歴史を知る必要があるし、歴史を知るためにはその中で大きな役割を果たしてきた宗教について知ることが欠かせない。アメリカがなぜ「アメリカ」なのか、本書を読んでようやく理解することができた。
サンデー以降、現代につながる流れや、他国での思想についても学びたい。
Posted by ブクログ
不寛容なしに寛容はあり得ない。
自分が嫌悪する、許容できないものに対してどうするのか、という問いこそが寛容論。
わかりあうことはできないが、わからないままに受け入れることはできる。
ウィリアムズを切り口に寛容論について述べられた本。この内容でこの読みやすさはとてもよかった。
内容としても、筆者が
...続きを読む 述べている通り、まさに今求められる考え方なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
不寛容なしに寛容はない と最初の方に出てくるが、「寛容」はこれに尽きる感じだ.アメリカへイギリスから移住したピューリタンが原住民と交渉しながら植民地を建設する過程で、「寛容」をどう取り扱うかを議論しているが、宗教の問題が基盤にあることは日本人には理解が難しいと思った.ロジャー・ウイリアムズに焦点を当
...続きを読む てて「寛容」の問題を解説しているが、彼の頑なさはある程度理解できると感じた.契約を結ぶこと、宣誓をすることなど、現代社会にも通用することが17世紀のニューイングランドでなされていたことに驚いた.
Posted by ブクログ
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