森本あんりのレビュー一覧
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通販生活の表紙に「私はあなたの意見には反対だけど、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というヴォルテールの言葉が掲げられていた。確かに、美しい言葉かもしれないけど、この通りにするのは、かなり無理をして、頑張らないといけない感じする。
この本によると、中世の「寛容」は、大きな悪が実現しないように小さな悪をそのままにしておくという、かなり消極的な、相対的な考え方だったというのです。金貸しも、娼婦も、それ自体は悪には違いないけど、それが無くなったら、社会全体はもっと悪くなるので、まぁ、放っておくか。そんな考え方だと。
なるほど。
この現実主義が、カトリック教会をさまざまな極論から守り、 -
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アメリカは言わずと知れた超大国で、芸術も音楽もスポーツも優れたものがいくらもあります。
ノーベル賞の受賞数だって300以上あり、2位のイギリスの3倍と圧倒しています。
それなのに、大統領選となると、稀に頭がちょっとアレで思慮に欠ける人を選んでしまうのは何故だろうと、これは長年の素朴な疑問でした。
言うまでもなく、直近ではトランプさんですが、少し遡ってブッシュさん(特にジュニア)、かなり遡ってアイゼンハワーさんも結構なアレだったと物の本で読んだことがあります。
中でもトランプさんなんて、我が邦のどこの村にも1人はいる、尊大で金持ちの保守オヤジと大差ないですもんね。
個人的には、こういうタイプの人 -
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ヨーロッパ各国もキリスト教国なのだが、米国がそれとは全く異なる「キリスト教国」である所以を理解する貴重な本。1620年のメイフラワー号事件、盟約から始まり、決して熱心なクリスチャンばかりでなかった初期の人たちのことが意外だったし、1776年の独立時のワシントンやジェファーソンも正統的なクリスチャンではなく、むしろ理神論者だったいうことも不思議。その中で会衆派、長老派が少数派に転落し、メソジスト派、そしてバプテスト派が増えていって、現在の共和党の岩盤支持層と言われる流れへの繋がりが興味深い。奴隷制、人種分離主義がキリスト教信仰と矛盾するように思われる点がどういう理屈づけができるかも理解が進む。
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米国はキリスト教主義の国と言われるが、同じキリスト教のヨーロッパ各国と違いは何なのか?それが政治に影響を与えていることはここ近年の共和党の岩盤支持層がキリスト教福音派と報道されることが多い、その深い意味は何なのか?米国建国前のメイフラワー号での移民の歴史から説き起こし、数回起こったリバイバル(信仰復興)運動との関係から説明する。独立前の第1回の運動ではジョナサン・エドワーズ、ジョージ・ホイットフィールド、19世紀の第2回にはチャールズ・フィニー、ドワイト・ムーディー、19世紀終わりから20世紀初頭の第3回はビリー・サンデーと大衆説教者が続き、にはまたピューリタンが英国教会に出自はあるが、改革派
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最近巷でよく聞く「教養を身に着けたい!」という声。
が、その内実をよくよく聞くと知識人ぶって一目置かれたいだとか世界のエリートがやっているから身につけなくちゃというものが多い。
でも、それってホントに教養なの?
という疑問から始まった本書。
本書でいう教養とは
良き市民をつくるためのベースである。
そのため、知識を付ければ良いというものでなく
それらから影響を受けて醸成されて人格を形成せねばならないため必ず時間がかかる。
という内容をベースに様々な社会的潮流について4人の学者と対談している。
教養の意義については手放しで賛成ではあるが、せっかく日本人の議論なのに東洋哲学・思想の出てく -
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ネタバレちょっとだけ感動した。特に、平和と真理の対立の横にいるのが、言葉を発しない忍耐であることに。
不寛容論、というのは、異文化理解や多様性がキーワードとなった我々の目の前にある「寛容」の矛盾に向き合うにあたり、まず「不寛容」から考えてみようではないか、という取り組みを表す。不寛容の代表例はプロテスタント(ピューリタン)へのカトリックの弾圧である。特に宗教と政治が繋がった時代において、宗教の違いがそのまま村八分と弾圧による死につながる問題であった。その根拠は、異端の存在が、コミュニティの平穏を揺るがす問題であるとの認識にあった。不寛容にもそれなりの根拠はあるわけである。それなりの根拠を持つ不寛容に