アン・クリーヴスのレビュー一覧
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ネタバレ比較的懇意にしていた知人の葬儀の最中、轟音と共に大規模な地すべりが発生。
土砂は丘の斜面を駆け抜け、幹線道路を挟んだ農家を直撃。
亡き恋人フランの墓石も流されてしまうような惨事の中、落ち着きを取り戻したジミー・ペレスは被害の状況を確認しに農家へと向かう。
そこで発見された赤いドレスに着飾った美しい女性の死体。
その農家は空き家だったはずなのに、この女性は一体誰なのか。
さらに検死で判明した事実。
女性は地すべりにより命を落としたのではなく、その前の時点で殺されていたという。。。
女性の身元を辿るうちに、またしても「ここはシェトランド」の狭く濃密なコミュニティの人間関係が複雑に交錯していく物語。
『水の葬送』では腑抜け気味だったペレスもスタートからだいぶ調子いいなぁと思っていたのだが、「今回で島に来るのは3回目」というウィローの発言で気付いた。
あれー、1作飛ばしている。
1作飛ばしているはずなのに思ったほど進展していないペレスとウィローの関係。
様子を探り合いながらじりじりと縮まっていく二人の距離にやきもきしながらも、公私を分け、サンディを入れた3人のチームで和気あいあいといった風情で事件解決に向かっていく構図が印象的。
冒頭の知人マグナス・テイトはシリーズ1作目『大鴉の鳴く冬』のキーパーソン。
お馴染みのシェトランドの地図だったり、ここへ来て1作目を絡めてくる演出だったり、すっかりこの土地を知る者の気分にさせられる。
作品世界に対する没入感、物語をリードするジミー・ペレスとその仲間達の心理の善良さ。
やっぱりアン・クリーヴスは心地よい。
ペレスとウィローの行く末を先取りしてしまった(つまり1作前では何も起こらないのだろう)のはしくじりだったが、一旦The Four Element Quartetの2作目『空の幻像』に戻ります。 -
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ネタバレジミー・ペレスの新作「炎の爪痕」を読もうとしたら、1個前の作品を読んでなかった。前回ウィローが出てきた時、あんまり好きになれないなと思ったが、今回ジミーとの仲が進展して、彼女の印象も変わって、素直に良かったなあと思えた。
事件は、地滑りで流された家で殺された女性が見つかるところから始まる。近くに住む、どこか張り詰めた様子のジェーン一家、一向に良くならないシェトランド島の荒天。2件の殺人で更に全体の雰囲気が重苦しくなっていく。サンディの存在だけが軽くて明るい。最後あたりで犯人はこの人かなと分かったが、ウィローまでも?とヒヤヒヤしたが助かって良かった。 -
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ああ…終わってしまった。。
物語の結末はわかっていた。
そんな雰囲気が早い段階から漂っていたもの。
それはさておき、今回は閉ざされた空間で起こった殺人事件で、ペレスが容疑者たちと対峙してじっくりと捜査を進めていく様は、読みごたえがあり興味深かった。
時にじっくり過ぎて、フランじゃないけど
ちょっとジリジリしてしまったけど。
でも嫌いじゃない、そんなペレス。
この作者の作品は、ほんとにどれも淡々としていて、
先が気になりどんどん読めるというタイプの物語ではないんだけど、読み終えると不思議と次の作品も読みたくなる、スルメ的なおもしろさがある。
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シリーズ3作目。
これまでで一番おもしろかった。
今回の主役はなんと言ってもペレスの部下、サンディだ。
上司であるペレスの評価は毎回かなり低めで、
けっこう辛辣な言われようをされてきた、この頼りなげな青年。
その彼が生まれ故郷で起きた連続殺人事件の目撃者となり、被害者のうちひとりは彼の祖母だった。
これまでの印象は、ちょっといい加減で適当で、いいところなしな感じだったのが、今作では心優しく気遣いができ、家族思いで、ちょっとうぶな所もかわいくて、
一人きりでの出張シーンではまるで彼の母親にでもなってしまったかのように心配してしまった。
また、他のキャラクターも魅力的に描かれていて、
特に被害者となってしまったふたり、
自由奔放で快活な祖母や、その祖母と心を通わせる大学院生のハティもとても気になる存在だった。
登場したそれぞれの家族の人間模様もおもしろく描かれており、結末に驚きはそれほど感じられなかったものの、全体的としてはとても良かった。
いよいよラストの次巻も楽しみ。 -
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北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のこと。このジャンルでは、アイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。本書もそんな北欧ミステリです。
舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間くらいの海洋に位置するシェットランドの孤島。この地で大晦日の夜、長年の間家に閉じこもる老人を2人の女子高生が訪問するところから物語は始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されました。シェトランドでは数年前にも別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われます。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。
そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。 -
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ネタバレシェトランド四重奏完結編。
今作はシェトランド本島ではなく、ペレスの故郷フェア島での物語。
3作目を数年前に読んでいるので、前回読んだ2作目からペレスと恋人フランの関係がぐっと進んでおり、結婚を前提とした両親との顔見せの装い。
フェア島のフィールドセンターはバードウォッチングシーズン真っ盛りだが、生憎の荒天でほとんどの宿泊客は足止めを恐れて帰っていった。
僅かに残った宿泊客とセンター職員、名ばかりセンター長のモーリス、実権を牛耳るモーリスの妻で世間からの注目も高い鳥類学の研究者アンジェラ、料理人のジェーン達でペレスとフランの婚約祝いパーティを開催。
翌日発見されるアンジェラの死体で物語が動き出す。
他の島民も居るには居るが、状況的に犯人はセンターに滞在していた人の中に居る。
嵐のせいで本島から捜査の応援は呼べないが、逆に犯人も島から出ていくことはできない。
ペレスは、フランや父の助けも借りながら単身現場検証や事情聴取を進める。
いわば準孤島クローズドサークルの状況。
そしてやはり起きる次なる殺人。
相変わらず事件自体の奇抜さや展開の意外性、起伏があるわけではない、どちらかというと乏しいのになぜかページが進む不思議。
たぶん、決してキレキレとまではいかなくも、そのじっくりと考え独自のペースを貫き通すペレスの思考回路が自分にとって心地よいのだろう。
今作で一番目を見張ったのは、これまでずっと半人前に見ていた部下サンディにプライベートな問題に関する助言を求めたところ。
しかもそのコメントをかなり素直に受け止めている。
こういうフラットな心持ちが何とも好きなのである。
からの、じわじわと展開しつつのまさかの結末。
いやー、ここでそういう結末になるのは予想だにしていなかった。
いろいろ解せない伏線回収もあるのだが、全部持っていかれた。
色んな意味で、あとがきの酒井さん言うように今一度、この四重奏を最初からまとめて振り返ってみたくなった。
というか逆に、こうして途切れ途切れではなく、最初から読んでいかないと楽しみ切れないなぁとも。
なんか久しぶりにシリーズものを読み切ったなと思ったら、あれ、あれあれ~、あとがきによると次の邦訳作『水の葬送』もペレス刑事ものなの!?
そもそも通り名からして本作で完結だと思っていたし、この結末から展開されるネクストシーズンってどんなんなのよ。 -
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司書さんから個人的にお借りした本ですが、シリーズ最終巻でした。(なぜこの本を?)
シリーズの主人公はシェトランド署の警部で、過去に婚約していた女性の娘と二人暮らし。
婚約していた女性は目の前で刺殺されたらしく、そのトラウマから抜け出せないでいる。
しかし、シェトランドを含む広域を管轄する主任警部と現在は恋愛関係にあるのだが、今回は二人の間に溝ができて…。
というような複雑な人間関係が、事件と同じくらいの分量描かれています。
事件の背景にあったものはなかなかに重苦しく、読後嫌な感じがぬぐえません。
親に厳しくしつけられ情愛を感じることなく育った父と、親に甘やかされ自分のことしか考えられない母と、親に暴力を振るわれ誰にも心のうちを見せない子守り。
こんな家庭は嫌だな。
または、つねに勝ち組でいたい、負けた自分を認められないまま、子どもを縛り付けることしかできない親。
これも嫌だな。
死体が発見された家は、この島に移住してきたよそ者一家で、都会風をふかした鼻持ちならない人たちであると地元の人のうわさが絶えないフレミング家。
ここも、子どもたちは変わりもので、夫は鬱病で、問題満載だけれど、軌道修正をしようとする意思はある。
小さな島の小さな集落では、秘密を持てようはずがない。
誰もがみんなのことを知り尽くしているのだから。
あー、息苦しい。
そんな島での殺人事件。
よそ者が犯人とでも思わないとやっていけない同調圧力。
あー、鬱陶しい。
それでも面白くて本当に一気読み。
さて、シリーズ最初から読みなおすか? -
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イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『水の葬送(原題:Dead Water )』を読みました。
『大鴉の啼く冬』に続き、「アン・クリーヴス」作品です。
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シェトランド島の地方検察官「ローナ」は、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。
被害者は地元出身の若い新聞記者だった。
本土から派遣された女性警部が「サンディ刑事」たちと進める捜査に、病気休暇中の「ペレス警部」も参加し、島特有の人間関係とエネルギー産業問題が絡む難事件に挑む。
〈シェトランド四重奏(カルテット)〉を経て著者が到達した、現代英国ミステリの新たな高み。
解説=「若林踏」
*第9位『2016本格ミステリ・ベスト10』海外篇
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ロンドンから北へ960キロメートル、イギリス最北の北緯60度に位置する大小100以上の島からなるシェットランド諸島を舞台とした「ジミー・ペレス警部」シリーズの第5作目… 2014年(平成26年)に発表された作品で、四季をテーマ(冬→夏→春→秋の順)にした<シェットランド四重奏(カルテット)>四部作の続篇として刊行された作品です、、、
2作目~4作目を読んでいないので、「フラン・ハンター」が「ジミー・ペレス警部」と婚約後、亡くなってしまっていて、「ペレス警部」は「フラン」の娘「キャシー」と生活しているものの、「フラン」の死から立ち直れず病気休暇中との状況で物語が始まったので、やや戸惑いましたね… やっぱり、シリーズ物は順番に読んでいくのが望ましいですね。
読んでいない前作『青雷の光る秋』から、およそ半年後、春が訪れたシェトランド諸島の湾… 地方検察官の「ローナ・レイン」は、仕事を終えた後のひとときを自宅で外の景色を眺めながら過ごしていたところ、湾に鎧張りの船(ヨール:伝統的な工法で作られた競漕用の小船)が漂っているのを発見する、、、
本来なら土手の上にあるはずの競漕用の船が、なぜ海に浮かんでいるのか… 船を戻そうとした「ローナ」は自分のボートを漕いで、潮に流される鎧張り船に追いつきます。
船内を覘くと、そこには男の死体があった… しかも、外傷の状態からして明らかに他殺とわかる死体だった、、、
「ペレス警部」は病気療養中で、捜査に参加できる状態ではなかったことから、本土のインヴァネス署から派遣された「ウィロー・リーヴズ警部」が捜査指揮をとることになる… やがて捜査員の一人「サンディ・ウィルソン巡査」により被害者の身元が判明する。
名前は「ジェリー・マーカム」、シェトランドの地方新聞社に勤めた後、本土に渡りロンドンの大手新聞社の記者となり成功を収めた地本出身の若者だった… ホテルを経営する両親「ピーター」と「マリア」の話によれば、どうやら「ジェリー」は島の石油ターミナルに関する取材を行おうとしていたようだった、、、
折しもシェトランドでは石油代替エネルギーの開発を巡る議論が活発化し、住民運動も起こっていた… 「ジェリー」の死は、それらに関係があるのか!? 次第に「ペレス警部」も捜査に参加し始め、「ジェリー」殺しの犯人を追うことに。
殺害現場等が徐々に明らかになるものの、動機や犯人の特定は困難を極め、捜査は難航する… そんな中、第二の被害者が、、、
殺されたのは水先案内人の「ジョン・ヘンダーソン」、彼は病気で妻を喪い独身生活を送っていたが、「イーヴィー・ワット」と婚約し、近々に結婚を予定していた… 婚約者の「イーヴィー」は、以前、第一の被害者である「ジェリー」と付き合っており、その際、妊娠・流産という辛い経験をしていた。
しかも、「ジェリー」は殺害される前に「イーヴィー」に連絡して会おうとしていたことが判明する… 動機は恋愛に絡む愛憎なのか!? そして、今度は「ジェリー」を発見した「ローナ」が行方不明となる、、、
「ペレス警部」は、殺された「ジェリー」や「ジョン」、そして「イーヴィー」や「ローナ」の過去の人間関係等を調べ、徐々に真相に近付いて行く… 意外な人物たちが犯人でしたね、娘の幸せを思うあまり、常軌を逸した判断をしてしまったんでしょうね。
「ペレス警部」とは相性が良くない感じの「リーヴズ警部」でしたが、対照的な存在だけに、きっかけがあれば一気に関係が近付きそうな感じです… 次作以降も、二人のコンビが登場すると面白そうですね、、、
本作品でも、「ペレス警部」と「リーヴズ警部」に加え、お馴染みの脇役「サンディ巡査」、検察官「ローナ」といった登場人物たちの視点を巧みに切り替えて、被害者を巡る人物相関・人間模様が重層的に描かれていましたね… 面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「ジミー・ペレス」
シェトランド署の警部
「ジェリー・マーカム」
ロンドンの新聞記者
「ピーター・マーカム」
ジェリーの父。ホテル経営者
「マリア・マーカム」
ジェリーの母
「アンディ・ベルショー」
石油ターミナルの広報担当者
「ジェニファー(ジェン)・ベルショー」
アンディの妻
「ジョー・シンクレア」
サロム湾の港長
「イーヴィー・ワット」
ジェリーの元恋人
「フランシス・ワット」
イーヴィーの父
「ジェシー・ワット」
イーヴィーの母
「ジョン・ヘンダーソン」
イーヴィーの婚約者。水先案内人
「マーク・ウォルシュ」
ジョンの隣人。B&B経営者
「スー・ウォルシュ」
マークの妻
「アナベル・グレイ」
ジェリーの恋人
「リチャード・グレイ」
アナベルの父。法廷弁護士
「ウィロー・リーヴズ」
インヴァネス署の警部
「サンディ・ウィルソン」
シェトランド署の巡査
「モラグ」
シェトランド署の巡査
「デイヴィ・クーパー」
シェトランド署の巡査
「ヴィッキー・ヒューイット」
北スコットランド警察の犯行現場検査官
「ローナ・レイン」
地方検察官
「フラン・ハンター」
ペレスの婚約者。故人
「キャシー・ハンター」
フランの娘 -
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イギリスの作家「アン・クリーヴス」の長篇ミステリ作品『大鴉の啼く冬(原題:Raven Black)』を読みました。
「P・G・ウッドハウス」、「セバスチャン・フォークス」の作品に続き、イギリス作家の作品です。
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【CWA最優秀長編賞受賞作】
新年を迎えたシェトランド島。
孤独な老人「マグナス」を深夜に訪れた黒髪の少女「キャサリン」は、4日後の朝、大鴉の舞い飛ぶ雪原で死んでいた。
真っ赤なマフラーで首を絞められて。
住人の誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ彼女を殺したのか?
8年前の少女失踪事件との奇妙な共通項とは?
「ペレス警部」の前に浮かびあがる、悲しき真実。
現代英国本格派の旗手が、緻密な伏線と大胆なトリックで読者に挑戦する!
解説=「川出正樹」
*第3位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家・評論家部門
*第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
*第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
*第6位『週刊文春』「2007ミステリーベスト10」/海外部門
*第6位『2008 本格ミステリ・ベスト10』/海外ランキング
*第8位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
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ロンドンから北へ遥か960キロメートル… イングランド本島とノルウェーを橋渡しするかのように、北海の北辺に浮かぶ島々――シェットランド諸島、、、
そこを舞台とした「ジミー・ペレス警部」シリーズの第1作目… 2006年(平成18年)に発表された作品で、最初の4作品は四季がテーマ(冬→夏→春→秋の順)となっており<シェットランド四重奏(カルテット)>とも名付けられているようですね。
2006年度(平成18年)CWA(英国作家協会)最優秀長編賞受賞作で、冬のシェトランド島を舞台に、厳しい自然環境の中で不吉な大鴉を象徴的に配して、村の因習や余所者を巡る人間関係を丹念な筆致で描き上げた重厚な傑作に仕上がっています… 絶妙な舞台設定と計算されつくした視点採用が両輪となり、読む者の心をとらえて離さない、謎解きと人生のドラマが融合した味わい深い、そして、オーソドックスなミステリで、しっかり愉しませてもらえました。
凍てつく元日の夜、パーティー帰りの二人の女子高生「キャサリン・ロス」と「サリー・ヘンリー」が、母親に死に別れ独り暮らしの老人「マグナス・テイト」を訪ねる… 「マグナス」は知的障害者で、数日後町へ出掛けたバスの帰りに偶然「キャサリン」と出遭い、再び家に招く、、、
翌朝、ロンドンからシェトランドへ移り住んできたシングル・マザーの画家「フラン・ハンター」は、娘の「キャシー」を学校に送る途中、雪原で無残な死体と化した「キャサリン」を発見する… 彼女は赤いマフラーで絞め殺され、打ち捨てられていた。
地元のシェトランド署の警部「ジミー・ペレス」は捜査を開始し、偏見を捨てなければと思いつつも、8年前に起こった少女失踪事件の時も疑われた老人「マグナス」に疑惑の目を向ける… 島外から応援に来たインヴァネス署の警部「ロイ・テイラー」と協力して捜査に当る「ペレス警部」が決め手を欠く内に、8年前に失踪した少女「カトリオナ・ブルース」の遺体が泥炭の中から、傷んでいない状態で発見される。
少女の遺体を発見したのは、またもや「フラン」だった… やがて、「キャサリン」がシェトランドの人々を題材に制作中だった映画が消えていることが判明し、事件と何らかの関わりがあると思われたが、その謎の解明を待たず、「カトリオナ」が行方不明になる前に髪を結わえていたリボンを持っていたことが決め手となり「マグナス」は逮捕される、、、
事件は解決したかに見えたが、村の祭り〈アップ・ヘリー・アー〉の夜に新たに少女が姿を消す… 行方が分からなくなったのは、「フラン」の娘「キャシー」だった。
同一犯の犯罪なのか!? そうであれば8年前の犯行は「マグナス」の手によるものではないのか!? 「ペレス警部」は「テイラー警部」の協力を得ながら衝撃の事実を抉り出す。
本作品の最大の特質は、四人の何処かに悩みを抱える登場人物… 母の過去の思い出に捕えられる老人「マグナス」、殺された「キャサリン」の親友で学校と恋に悩む「サリー」、富豪と結婚しながら夫の浮気の為に離婚して一人娘を育てる「フラン」、親の暮らす島の農業を継ごうか迷っている「ペレス警部」のそれぞれの視点で交互に語られている点ですかね、、、
「ペレス警部」は粘り強い捜査で、村のあらゆる人間関係を解きほぐしますが推理力で解決するには至らず、結局決め手となったのは「マグナス」への尋問・証言でした… まだ少女とはいえ、女性間の嫉妬は怖いですねぇ。
予想し難い結末でしたが、その分だけ愉しめました… 面白かったです。
以下、主な登場人物です。
「キャサリン・ロス」
高校生
「ユアン・ロス」
キャサリンの父。高校の英語教師
「サリー・ヘンリー」
高校生。キャサリンの友人
「アレックス・ヘンリー」
サリーの父。自然保護係官
「マーガレット・ヘンリー」
サリーの母。小学校の教師
「マイクル・イズビスター」
実業家
「シーリア・イズビスター」
マイクルの妻
「ロバート・イズビスター」
マイクルの息子
「ダンカン・ハンター」
富豪
「フラン・ハンター」
画家。ダンカンの元妻
「キャシー・ハンター」
フランの娘
「マグナス・テイト」
知的障害のある老人
「メアリー・テイト」
マグナスの母。故人
「アグネス・テイト」
マグナスの妹。故人
「デヴィッド・スコット」
高校の英語教師
「カトリオナ・ブルース」
八年前に失踪した少女
「ケネス・ブルース」
カトリオナの父
「サンドラ・ブルース」
カトリオナの母
「ブライアン・ブルース」
カトリオナの弟
「ジミー・ペレス」
シェトランド署の警部
「モラグ」
シェトランド署の巡査
「サンディ・ウィルソン」
シェトランド署の巡査
「ロイ・テイラー」
インヴァネス署の警部
「ジェーン・メルサム」
インヴァネス署の犯行現場検査官 -
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ネタバレシェトランドシリーズ第2巻。
前回と打って変わり、今回は夏のシェトランド諸島。描写が良い。
北極圏に近いからか、夏は白夜があるらしい。
いまいち距離感が掴めないけど、イギリス本島(と言っても良い?)の北の方でもそうなのだろうか?
2作目の今回も、事件自体は結構シンプル。
ペレスとフランの前で泣き崩れた記憶喪失の男が、翌日ボート小屋で死体となって発見される。しかもピエロの仮面を被って。シェトランド諸島の北側が舞台。夜でも明るいことによる不協和音と、前作以上に閉塞感のある人間関係。
今回も、最後の最後まで犯人がわかりません笑
2作目でようやく気付いたけど、伏線は張ってあれども、真相まで辿り着くには難易度高い張り方のような気がする。。。
次は春!