冷泉彰彦のレビュー一覧
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堤氏の貧困大陸アメリカシリーズへの反論ということで、これは読まねばと。でも帯と序章が過剰に反旗を翻しているだけで、それほど反論!!という印象にはならなかった。「機会の均等」が「希望」につながるから現在(2010年発売だから「当時」かな)のアメリカ国民に閉塞感はないという指摘はごもっともなのかもしれないけれど。
私はブッシュ前大統領の落ちこぼれゼロ計画(統一テストの結果で教師の勤務評定を行ったり生徒名簿を連邦政府に提出して軍のリクルーターが校内を堂々と闊歩したり)にショックを受けたんだけど、それは「こうした問題はともかく」で切り捨て。ともかく…ってレベルかな…??
あとマカロニ&チーズも、堤氏は -
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近年は「こころの時代」ともいわれるほど、「生きにくい」社会だと思う。高度経済成長からグローバル化社会に突入し、日本経済自体も成長路線から停滞路線へ、個々の価値観も多様化している。本著ではこの価値観の多様化が、会話のテンプレートを崩壊させ、コミュニケーション不全が安易に「キレる」というコンクリフトを起こしている。こうした状況が本著でいう「上から目線」を作っている。
この「上から目線」化は日本語がもつ「上下構造」から生み出されるというのも驚きだった。関係性が言語からもつ特質というのは新たな発見ではあるが、同時にこうした新たな知見を例えば国語教育の中に位置付けるなどの社会教育的なところにつねげるべ -
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Posted by ブクログ
「中東にいると誰でも、自動車爆弾からお天気まで何もかもをワシントンに責任転嫁する傾向があるが、アメリカは中東の苦難に対して当初は無関係だったのだ」
という説明から始まるこの本、私など一生かかっても理解できないだろうと思っていた複雑な中東情勢をかなり分かりやすく解説してくれていた。
まず、イスラム原理主義をアーミッシュと非常に似ている、とするところが目からウロコだった。
古代に書かれたテキストを文字通りに受け止め、全く柔軟性を加えずに解釈し、現代文明を拒絶する、という点で両者は酷似している、と言う。
確かに!
では、イスラム原理主義が広範に拡散している一方で、どうしてアーミッシュは世界に何 -
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Posted by ブクログ
・堤未果の「ルポ貧困大国アメリカ」は?も出てるみたい(未読)だが、本書は、堤さんの捉え方が一面的で、取材も恣意的ということで反論を行っている。
・反論の根拠は、主として「機会均等」についての紹介がなく、それがあるからアメリカ社会は比較的、ポジティブでいられる、というもの。なお、堤さんへの反論的な部分は第1章のみで、それ以降は冷泉さんのアメリカレポートという構成。それも、オバマさん寄りのアメリカの「チェンジ」の検証という内容で、オバマさんへの評価が大変高い。
・アメリカの二大政党のパワーバランスの構成やここ数年の変遷なども解説されているので理解が深まる。相変わらず主観を強めに感じてしまうアメ -
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【目次】
・1. 2012年、問われた選挙戦
・2. 空振りに終わった「チェンジ」のメッセージ
・3. 医療保険改革の政治的プラスマイナス
・4. オバマの経済製作、その失敗の本質とは?
・5. ウォール街選挙デモという「オバマ離れ」の光景
・6. なぜオバマはビンラディンを殺したのか
・7. 「アラブの春」を巡り、揺れ動いたオバマ
・8. オバマ政権の「2期目」はどうなる?
【ノート】
・アメリカ大統領の任期中の功罪など、なかなか知る機会もないので、よかった。
・アメリカ国民の空気感描写については、現地にいるからこそなんだろうが、なるほどと思わせる箇所と、ちょっと不当な一般化と思わせる箇所 -
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映画を通してアメリカ社会の変遷を考えるとのテーマでいいのかな?
1997年公開の「タイタニック」から、2017年公開の「ワンダー・
ウーマン」までを、それぞれの時代のアメリカの政治や世相に
照らし合わせて著者が解説をしている。
共和党と民主党の2大政党制が生きているアメリカ政治を理解していない
と分かり難い部分もあるかと感じたが、映画作品自体の解説はこじつけ
部分も含めてなかなか面白かった。
西部劇の流れを汲む分かりやすい「正義」から、アンチ・ヒーローを
主役に据えた作品、圧倒的なヒーロー礼賛ではなくその闇の部分を
描く作品と、ハリウッドも社会の変化と共に映画作品自体を -
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2016年のアメリカ大統領選挙。政治経験がなく、政策を語らず、暴言を吐くだけの泡沫候補だったはずのトランプがまさかの勝利。世論もマスコミも実績のあるヒラリーの圧勝という予想で一致していたはず。なぜ、トランプは勝利したのか。
在米ジャーナリストである著者の取材による選挙ルポを読んでいると、世紀の大逆転ドラマはヒラリー側の油断にあったのだろう。トランプには勝って当たり前。ヒラリー陣営は勝つことよりも、勝ち方の鮮やかさに主眼を置き、楽勝気分が漂ってしまった。そのうえ、対抗者のバッシングに徹するトランプとその支持者の選挙戦術の同じ土俵に乗ってしまった。ヒラリーはあくまでも政策で勝負すべきだった。
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