もちろん今はISILに注目されがちだが、それにいたるアルカイダ、アフガン戦争、イラク戦争・・・などに至ることが綴られている。
主に印象的であったのは、イスラム教徒の自らが辿ってきた歴史に対する想いである。ムハンマドによって開祖され、その後のカリフが広げたが、モンゴル勢力によって蹂躙され、その後トル
...続きを読むコによって再興されたが、それはどうしても歪んだものになってしまった、という認識である。「イスラームのあるべき姿に戻る」というのがイスラム原理主義である。彼らはとても平和的である。まよえるものに手を差し伸べ、優しく語りかける。「原理主義過激派」というのは、手段が暴力一辺倒ということだ。
著者はブッシュ大統領の外交姿勢にはもちろん批判的であるが、同じくらいオバマ大統領にも批判的だ。結局、中東の考え方、価値観をまったく把握できていないからであろう。後手後手になって当然である。選挙などをやっても落ち着かないのは当然だ。
またISILの狂気を垣間見ることができた。看過できるものではないが、彼等の辿ってきた歴史、外交の結果踏みつけられてしまった「何か」が鬱積してしまったのだろうと思う。これは、ただ「いなくさせればいい」というものではない。