冷泉彰彦のレビュー一覧
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ネタバレ[開けっ放しのパンドラの箱]カイロに下り立って以降,イラク,レバノン,リビア,そしてシリア等で度重なる戦禍を目の当たりにしてきた著者が,自らの取材歴を生々しく綴った作品。著者は,米NBC首席海外特派員を務めるリチャード・エンゲル。訳者は,在米ジャーナリストとしても活躍する冷泉彰彦。原題は,『And Then All Hell Broke Loose: Two Decades in the Middle East』。
実地にしっかりと根を下ろしている一方で,マクロな視点をも加味した記述になっており,中東政治に興味のある方にはぜひオススメしたい作品。また,一級の戦場ジャーナリストが,何を考え, -
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もちろん今はISILに注目されがちだが、それにいたるアルカイダ、アフガン戦争、イラク戦争・・・などに至ることが綴られている。
主に印象的であったのは、イスラム教徒の自らが辿ってきた歴史に対する想いである。ムハンマドによって開祖され、その後のカリフが広げたが、モンゴル勢力によって蹂躙され、その後トルコによって再興されたが、それはどうしても歪んだものになってしまった、という認識である。「イスラームのあるべき姿に戻る」というのがイスラム原理主義である。彼らはとても平和的である。まよえるものに手を差し伸べ、優しく語りかける。「原理主義過激派」というのは、手段が暴力一辺倒ということだ。
著者はブッシ -
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アメリカの警察組織は日本以上に複雑である。日本の場合、ただ一つ国の警察しかない。それに対してアメリカでは1万を超す警察組織がある。全国の市町村に独立した自治体警察、またそれとは別の州警察、さらに州によるが自治体と州の中間の郡警察がある。アメリカの警察としてFBIが有名であるが、この組織は上記にあげたもの異なり、国(連邦)レベルの警察、つまり完全に独立した警察組織である。このように日本とアメリカでは同じ警察といっても、組織の性質や関係が違う。
加えて、アメリカには保安官(シェリフ)と呼ばれる独自の組織が存在する。これは西部開拓時代からあり、公選制の導入、制服や車が警察とは別物であるなど、警察 -
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来年(2019)には元号が変わりますが、今の元号になって社会人を始めた私は、職種は変わったものの、一貫して自動車部品である潤滑油の開発、今ではその潤滑油の元(添加剤)のビジネスに携わってきました。この間、主な技術動向はバブルが弾ける前あたりから、ずっと燃費向上であったと思います。
燃費を向上した製品開発が終了しても、次の課題はさらなる「燃費向上」であり、この解決に向けて取り組んできた「一つの時代」と言っても過言では無いと思います。その流れが、ここ数年で変わってきていると感じているのは私だけでしょうか、燃費向上は今でも重要な課題と思いますが、少なくとも日本において、更には私の関わっている潤滑油 -
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内容ですが、
はじめに
アメリカは「正義」や「理想」を捨てたのか
非アメリカ化するアメリカ
揺らぐ「正義」の概念
「アメリカらしさ」を映す鏡としてのハリウッド映画
第1章 動揺を始めたアメリカの「正義」
第2章 戦時を通じた「正義」の変容
第3章 ハリウッドの描き出す孤独
第4章 ポスト・ダークナイト・シンドローム
第5章 ハリウッドにおける「日本」、その変化
第6章 ミレニアル世代はアメリカを変えていく
おわりに
ということです。
著者の見立てですが、トランプ時代に突入する中で、アメリカの現在、過去、未来を俯瞰するのは難しくなった。
対立軸の変容というストーリー、アメリカが劣化している