冷泉彰彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[開けっ放しのパンドラの箱]カイロに下り立って以降,イラク,レバノン,リビア,そしてシリア等で度重なる戦禍を目の当たりにしてきた著者が,自らの取材歴を生々しく綴った作品。著者は,米NBC首席海外特派員を務めるリチャード・エンゲル。訳者は,在米ジャーナリストとしても活躍する冷泉彰彦。原題は,『And Then All Hell Broke Loose: Two Decades in the Middle East』。
実地にしっかりと根を下ろしている一方で,マクロな視点をも加味した記述になっており,中東政治に興味のある方にはぜひオススメしたい作品。また,一級の戦場ジャーナリストが,何を考え,どのように行動するのかについても学べるところは非常に多いかと思います。
〜中東において戦争は,完全な善人と完全な悪人を峻別することが不可能になっている。グレーゾーンというのが当たり前になっているのだ。だが,こうした解説はテレビ向きではなかった。あまりにも複雑で,あまりに自分たちの世界から懸け離れた話だったからだ。要するに,あまりにも中東的な話になっていた。〜
特にシリアのくだりは読み応えがありました☆5つ -
Posted by ブクログ
もちろん今はISILに注目されがちだが、それにいたるアルカイダ、アフガン戦争、イラク戦争・・・などに至ることが綴られている。
主に印象的であったのは、イスラム教徒の自らが辿ってきた歴史に対する想いである。ムハンマドによって開祖され、その後のカリフが広げたが、モンゴル勢力によって蹂躙され、その後トルコによって再興されたが、それはどうしても歪んだものになってしまった、という認識である。「イスラームのあるべき姿に戻る」というのがイスラム原理主義である。彼らはとても平和的である。まよえるものに手を差し伸べ、優しく語りかける。「原理主義過激派」というのは、手段が暴力一辺倒ということだ。
著者はブッシュ大統領の外交姿勢にはもちろん批判的であるが、同じくらいオバマ大統領にも批判的だ。結局、中東の考え方、価値観をまったく把握できていないからであろう。後手後手になって当然である。選挙などをやっても落ち着かないのは当然だ。
またISILの狂気を垣間見ることができた。看過できるものではないが、彼等の辿ってきた歴史、外交の結果踏みつけられてしまった「何か」が鬱積してしまったのだろうと思う。これは、ただ「いなくさせればいい」というものではない。 -
Posted by ブクログ
『多くの聴衆を前にしても平常心でいられる』力。
それをアメリカでは4・5歳児から身につける!?
らしい
ーーーーーー
✾世界の一流は「子ども」に何を教えているのか
✾冷泉彰彦
✾CROSS MEDIA
ーーーーーー
お子さまの世界も多種多様。
多彩なカラー・光を放っています。
その中でも、
よく見られるのは、
・注目されると恥ずかしがること。
・知らない人がいると行動が激しく異なること。
・複数の人がいると話ができないこと。
それは、3歳・4歳・5歳
どこの年齢の子どもたちにもあること。
ーーーーーー
でもアメリカでは違うらしい。
《ショウ・アンド・テル》
何かのアイテムを「ショウ」
つまり見せながら、
「テル」語るというもの。
自分が今、いちばんに
大切にしているものを持参し、
順番にクラスメイトの前に進み出て、
持参してきたものを紹介するのだそうです。
ーーーーーー
その話を読んで、
そこにある子どもたちのナラティブに
思いを馳せました。
きっと恥ずかしがって
なかなか話ができない子もいるだろうし、
嬉しそうに話をする子もいるだろう。
そんな姿を思い浮かんで、
私のクラスでも取り組んでみたい。
そんな風にも思いました。
ーーーーーー
そのような取り組みをしていく中でアメリカでは
「多くの聴衆を前にしても平常心でいられること」
というパブリック・スピーチの大事なスキルを
4歳5歳の頃から身に着けるのだそうです。
ーーーーーー
・リーダーシップの育み方
・思春期の子どものデジタルデバイス利用について
・ダディズ・ガールの秘訣、など
気になる話題、
ためになる話題が盛りだくさんな1冊です✧
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
教育とは「結果」ではなく、「機会」と「期待」を与え続けること
専門性に加えて総合的な実行力を備えた人材
「異なった意見の相手と強調しながら議論の生産性を上げるスキル」
論破まで追い込むのではなく、着地点へもっていく
リー大こそ、部員への最大の支援者として無償の奉仕を心がけつつ、全体に目を配るという「管理監督の基礎」について教える
リーダーシップの目的は、全体が最大のパフォーマンスを発揮することであり、その目的に至る手段は、全員の自発的なモチベーションを引き出すことだ。
ショウ・アンド・テル
何かのアイテムを「ショウ」。つまり見せながら「テル」語るというもので、多くの場合は、子どもには「自分が今、いちばんに大切にしているものを持参するように」という宿題が出されます
順番にクラスメイトの前に進み出て、まず持参してきたものを紹介します
パブリック・スピーチのスキルにおいて、何よりも大事なのは「多くの聴衆を前にしても平常心でいられること」
4歳5歳で身に着ける
アメリカの大学生や社会人の間に、ジョギング文化というのが深く根を下ろしているのには、この「開かれた陸上部」の存在がある
多くの家庭では、幼い頃から年来に応じたchores(チョアーズ=日常の家事)を任せます
大学進学や一人暮らしを早い段階で見据えて「生活力」を身に着けることが重視されている
「親がやったほうが早い」と考えるのではなく、「今は時間がかかっても将来のため」という発想が強い
アローワンス」と呼ばれるお小遣い制度のある場合があります。多くの家庭では、毎週あるいは毎月、一定額を子どもに渡します。
そうした先生たちの間にあるカルチャーは「難しい質問を歓迎する」という態度
「困りましたね。私は即答できないんですよ」という意味
好奇心というのは、単に「知りたい」だけでなく、そのような行動や進路に、あるいは社会変革につながるような、「ダイナミック(動的)」なものである場合
好奇心を潰すのではなく、見出して育て、社会で活用する責任がある
子どもが自ら問題を解決する力や回復力(レジリエンス)を育むこと
思春期の子どものデジタルデバイス利用について、「完全に禁止する」のではなく、自律を育てるための明確なルールを設ける
「時間」「場所」「目的」の3つを明確にする
寝室にスマホを持ち込まない
食事中は全員スマホの禁止
親も守ることが重要
家族の会話を優先する姿勢
宿題・家事が終わるまでスマホは禁止
スマホは「権利」ではなく、「責任」のあとに使うもの
親子で話し合ってルールを決める」ことも重視されています
「監視」よりも「信頼」を重視しています
「安心して失敗できる環境」を「守り切る」
ダディズ・ガール
①静かに見守る
②父親の「好きなこと」を娘に教え込み、一緒に行動する
12年生プロム
男女交際にプラスのイメージを持たせる
深夜まで遊ばせるという「大人扱い」
思い切りは目を外す時期」でも、大人が深夜まで付き合って、少し離れた距離からしっかり子どもたちを見ているというのが重要
キャサリン妃
子どもが小さな失敗を経験することは、将来のレジリエンス(回復力)を育てる上で不可欠である
過度に守られた環境ではなく、適度な挑戦と試行錯誤を許す過程方針 -
Posted by ブクログ
アメリカの警察組織は日本以上に複雑である。日本の場合、ただ一つ国の警察しかない。それに対してアメリカでは1万を超す警察組織がある。全国の市町村に独立した自治体警察、またそれとは別の州警察、さらに州によるが自治体と州の中間の郡警察がある。アメリカの警察としてFBIが有名であるが、この組織は上記にあげたもの異なり、国(連邦)レベルの警察、つまり完全に独立した警察組織である。このように日本とアメリカでは同じ警察といっても、組織の性質や関係が違う。
加えて、アメリカには保安官(シェリフ)と呼ばれる独自の組織が存在する。これは西部開拓時代からあり、公選制の導入、制服や車が警察とは別物であるなど、警察組織にはない特徴を持つ。ちなみに、先ほどあげたFBIの歴史は意外にも浅く、前身の組織NBCIが1896年、BOIが1908年、その後1935年FBIと改編される。連邦警察にはATFやDEAなどがあるが、いずれもFBIのあとにできた組織である。以上から、連邦警察は保安官と比べて歴史が短いことがわかる。
FBIの長官としてジョン・エドガー・フーバーが有名である。フーバーは第二次世界大戦が近づくと、敵国スパイの摘発、また第二次世界大戦後の赤狩りに加担する。さらに政府の舞台に介入して、大統領の秘密を握るなど、フーバーは亡くなるまでアメリカを裏で操った。このようにアメリカの警察は各組織で独自の文化、習慣を保持している。 -
Posted by ブクログ
来年(2019)には元号が変わりますが、今の元号になって社会人を始めた私は、職種は変わったものの、一貫して自動車部品である潤滑油の開発、今ではその潤滑油の元(添加剤)のビジネスに携わってきました。この間、主な技術動向はバブルが弾ける前あたりから、ずっと燃費向上であったと思います。
燃費を向上した製品開発が終了しても、次の課題はさらなる「燃費向上」であり、この解決に向けて取り組んできた「一つの時代」と言っても過言では無いと思います。その流れが、ここ数年で変わってきていると感じているのは私だけでしょうか、燃費向上は今でも重要な課題と思いますが、少なくとも日本において、更には私の関わっている潤滑油のエリアでは、かなり限界に達しているのではと思っています。
そこで、それに代わるものとして、私は「自動運転」があると思います。この流れも、電気自動車の活用により、計算の仕方によっては燃費向上することにもなるので、燃費向上の一つの技術として語られることもあると思いますが、何といっても「自動運転」は、今までの車と運転手の関係を変える、車を保有する(ステータスの一部)から、利用する(バス・電車のような公共物の扱い)ことに代わる可能性を秘めていると思います。
尤も、私のようにマニュアル車で運転免許を取って、5年ローンを組んで初めて手に入れた中古車の喜びを知っている人間の考え方を変えるのには時間がかかると思いますが、車が家にあるのは当たり前・それも操作の楽なオートマでカーナビ付き、という環境に育ってきた私の娘達は平気で「早く自動運転になればイイのに」と言っています。政府は2020年後半を目途に自動運転の実用化を目指しているようですが、今の私達の世代が後期高齢者になり運転をしなくなったころ、社会は普通に自動運転を受け入れていると予想されます。
そのような中、この本は実際に日本の現場において、自動運転の技術がどれほど実現性があるのかの調査をベースに書かれた本です。やはりと言うか、完全な自動運転は難しそうですね、本の中でも心配している様に、本当に難しい局面(天候不順、地図にない道路情報、突然の工事・事故等)に対して、急に人間に運転を振られるような問題がこれから出てくるが予想されました。どんな局面にも対応できるドライバーが、楽な運転モード(例えば、高速道路で一定速度での巡行運転)だけを任せることは可能かもしれませんが、私も初心者のころ苦労したのを覚えていますが、首都高速の車線侵入の仕方、渋滞時の入り方、後続車両の状況を把握しながら右折車両を先に行かせるかどうか、これらの判断をすべて自動運転に求めるのは難しいのではと思ってしまいます。
飛行機の操縦は、巡行運転ではもう自動運転になってから数十年経過していると思いますが、離着陸だけはまだ手動と聞いています。自動運転も、そのように、自動と手動運転が共存する時代が長く続くのではないのでしょうか、とこの本を読んでその思いを新たにしました。ただ、私は運転頻度が減ってきているのは認めざるを得ませんが、当分は自分で運転するのを選びたいですね。
以下は気になったポイントです。
・2018年3月のシリコンバレー北部のサンマテオ市のイベントタイトルは、「AV18シリコンバレー」AVとは、オトノモス・ヴィークル(autonomous vehicle)、つまり自動運転車のことである(p14)
・90年代から2010年代へのコンピュータ利用の進歩が、光学ディスクを追放する等、目に見えるものを追放して抽象的なデジタルデータに置き換えたように、クルマ社会というもの「自動車」というモノを簡素化する方向から、新しい移動手段へと作り替えようとしている(p20)
・レベル1とは、自動車の運転を、前後方向の加減速・左右方向の操舵、の2つに分けて、そのどちらか1つだけをAIが支援的(ある特殊な状況においてのみ機械の判断で制御する)するもの、レベル2は同時に行う。レベル3は異常時にはドライバーが運転するもの、レベル4は特定の条件から外れた場合は、ドライバーが運転する(p25)
・EVとAVの相性は決してよくない、自動運転に必要なセンサーの消費電力が無視できないから(p30)
・AI運転では、地図データをベースにして、このような条件下ではこのするのが一番安全という判断データとつきあわせ、さらにこれに自車に搭載したカメラ、レーダー、ライダー(レーザー光線照射によるセンサー)、超音波センサーの4種からなるデータを合わせて判断し続ける(p59)
・自分が創業したアップル社から一旦は追放されていたスティーブ・ジョブズは1996年末に復帰していたが、1997年に企業再建のためにマイクロソフトとの業務提携を行った(p63)
・テスラは、高速しかダメ、インターチェンジ内はダメ、ドライバーは100%の監視をして問題があれば操作を、ということを「オートパイロット」の条件にしている、テスラがさらにセンサー・システムを構築するとすれば、航続距離は現行の500キロから半減するだろう(p77)
・テスラには、モバイルバッテリー2700個分が搭載されている、このような電池の塊が熱暴走する危険性がある(p79)
・現在のAIとは、人工の知能とは名ばかりで、ビックデータと呼ばれる膨大な情報を統計的に処理して、人間に似た判断へと誤差を縮めていく、つまりは統計マシンに過ぎない(p87)
・実際問題として、カリフォルニア、アリゾナを走り回っている自動運転試験車の場合、その道路の「流れ」が制限速度をオーバーしていても、その流れに乗るように走っている(p156)
・AS社という自動運転技術の夢に社運をかけているベンチャー企業は、完全自動運転を目指すと、EVではなくガソリン車になるというのが現状とコメントしている、システム・センサーの消費電力が馬鹿にならず、熱対策も必要となるため(p171)
・シンガポールでは、10年間有効という高額な登録証が必要なので、日本では180万円程度の小型車を保有するのに、税込みで1000万円近くの金額が必要(p184)
・自動運転の実用化というのは、さまざまな困難を抱えている、夢を追う技術ではなく、泥臭い「実務的カイゼン」を重ねていくことで、ようやく前に進める、そのような特殊な技術革新である(p219)
2018年8月15日作成