斎藤環のレビュー一覧

  • 心理学化する社会 癒したいのは「トラウマ」か「脳」か

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    お年寄りが病院に行くのは病名を与えられるためのように思う
    痛み苦しんでいいという権利を病名は与えてくれる気がする
    ココロも同じく、この苦しみに理由を、物語を!というニーズが
    昨今の心理学ブーム、心のマーケットを生み出しているとのこと

    心は胸ではなく、脳にある
    感情の原因物質である脳内神経伝達物質を出す・受け取る部分に
    先天的な器質の違いがあるかもしれないのに、
    全て心理学的物語に乗っ取りますか?と問われていると感じた
    物語も正しい部分はあると思うけれど、安心材料の役目が大きい

    “親はまさに子供を管理する存在に他ならない。それが自然な姿だ”
    自然体のひどい親より管理マニュアルに沿った親の方がいいじゃん
    と言っていますが、なるほどと思いました 親は管理者という発想
    先天的な器質異常(性悪説的)でも親はコントロールしなければいけない
    という発想は物語崇拝から離れた発想、私には新しく魅力的でした

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    2012年11月23日
  • 社会的ひきこもり

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    今、現在でも充分にありえるような、事例や母子関係の事も丁寧に書かれています。

    そして、傷つけあう親子の描写が伺えるだろうこのテーマ

    そんな仲、守ろうとする気持ち、親という味方すら介入が時に不可になるという根の深さもよく描かれていると思います。

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    2012年10月31日
  • 原発依存の精神構造―日本人はなぜ原子力が「好き」なのか―

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    なぜ原発がダメなのか、なぜ倫理に反していると思うか、を精神科医の立場から述べた本。

    この本で言っているのは原子力、原発は「象徴化」しないことが大事ということ。
    「希望」と「恐怖」という決定不能な「両価性(アンヴィヴァレンス)」が、原子力に「享楽性」を与える。しかも、個人の享楽ではなく、集団的な享楽。。。そして集団的な享楽は個人の欲望の譲歩を強いる。

    象徴として現実世界から引き離したりせず、集団的享楽に惑わされず、個人レベルで原発が引き起こしている問題を見つめて、そして、その問題に私もどうやって携わるのか?というところまで読者の意識を持っていく力がある本。

    ちなみに、著者は、文筆家として、アーティストとして、揶揄化し続けるという闘い方をするそうです。

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    2012年10月22日
  • 社会的ひきこもり

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    内容に全く古さを感じなくてびっくり。注意深く思慮深く書かれているように感じられるのが好印象。システム理論的な捉え方と、最後の方にある教育に対する提言に賛同。

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    2012年08月25日
  • 「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか―

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    軽症化しているのに治りにくくなっている新しい鬱病。その治療には引きこもりの知見が有効なのではないか、それは(適切な)自己愛と、それを元にした「労働」でもなく「仕事」でもなく「活動」を通じた人間関係である、という。なるほど。
    斉藤環氏のこの独特な目のつけどころ、いいなぁ。
    大雑把には理系/文系的な境界をまたぐ筆使いから、価値判断には非常に慎重であるところまで、耳を傾けようと思わせる。
    booklogレビューの機能で本書からの引用をいくつか掲載したので読まれたし。

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    2012年07月30日
  • 母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか

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    ネタバレ

    女性は身体を「持っている」
    女性は自分が女性の身体を持っていることだけを理由として連帯することができる。
    荻尾望都「イグアナの娘」
    内田春菊「AC刑事 日笠媛乃」
    母親の価値規範の影響は父親のそれに比べるとずっと直接的。母親は娘にさまざまな形で「こうあってほしい」というイメージを押し付ける。娘は驚くほど素直にそのイメージを引き受ける。価値観なら反発したり論理的に否定もできるが、イメージは否定できない。
    「母というのは要するに一人の不完全な女のことなんだ」これは娘が母親の呪縛から解放されるためのきわめて重要なことば。
    母は娘に個人的感情しか与えることができないのではないか。価値観に重みをもたらす最大の要素はその価値観を裏付ける理屈ではなく、価値観を獲得する際に感じた感情である可能性が高い。
    ペドロ・アルモドバル監督「ボルベール」
    エディプスコンプレックス・・男の子が経験するという「父を殺し、母と寝る」という幻想にまつわる愛と憎悪の葛藤。フロイトによると3歳から5歳の子供がこうした葛藤を経験するとされる。「去勢不安」→せっかく生えているペニスを禁断の母親への愛ゆえに、父親に切り取られてしまうかもしれないという不安。この不安の解消のため自らの欲望を制限し、母親の独占を諦め父親に同一化しようとする。
    女の子の場合は、離乳の段階で、この分離の恨みが男の子より長く残る。自分にも母親にもペニスがないことに気づく。「ペニス羨望」がもたらされる。ここでペニスを持たない母親を娘はいったん見捨て、離乳の恨みもぶり返し、初めて娘から母親への憎しみが芽生える。そして欲望は父親へと向かう。このエディプスコンプレックスは一生続くとされる。これは父親から贈物として子供をもらいたい、父親の子供を産みたいという願望において極点に達する。このペニスを子供をもちたいという二つの願望は無意識の中にしっかり根をおろして、女性がその後その性的役割を演ずるための準備をするのに役立つ。
    男性は身体をもたない→男性には象徴的な意味での本質しかない。男らしさと考えられるものは文化の違いはあれど「論理性」「潔さ」「筋を通す」「我慢強さ」など観念的・抽象的。一方女性らしさは外見や所作などの身体性において表現される傾向がある。
    多くの母親は「まったく無力だと感じているのに、それでも全能のように思われる」という矛盾の中で宙づりになる。
    ほとんどすべての娘はある時点で母親に対して失望を感じます。それは子育てにつきものの、不可能で消耗させられる期待に応えられる人など誰もいないから。母親が娘に与えられる一つの素晴らしい贈物は、できる限り自分自身の人生を生きること。
    母親が娘に要求するものは「自分の人生の生き直し」。自分と同じ性をもつ子供のうちに、人生のやり直しの可能性を見る。その親は自分自身の過去との関連でこの子供の将来をすでに思い描いている。そして子供を「同一化計画」の中に包み込み、さらには閉じ込める。

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    2012年06月29日
  • 「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか―

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    コフートの自己愛について、初めて認識でき、概要を理解することができました。

    「自己ー対象」の関係から生きていく上で大切な様々な能力を取り込み吸収すること、
    家族だけの関係では不十分だということ、など。

    環境調整や、出会いのきっかけ作りなど、ソーシャルワーカーである私にとって、とても学びの多い一冊でした。
    この本をきっかけに、環境調整についてもっと深めていきたいです。

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    2012年06月04日
  • ひきこもりはなぜ「治る」のか? ―精神分析的アプローチ―

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    ひきこもりになるメカニズムやプロセス、ひきこもりに対してどう接するべきかが書かれたもの。
    ひきこもりというのは自己の弱さだと思っていたがどうやら違うらしい。
    自己愛が足りないからなるらしい。
    そのためには自己愛つまりそれにつながる欲望(≠食欲や性欲といった本能)を引き出してあげる人や訓練が必要。
    カウンセリングをはじめ心理学ではこういった手法がとられるが(実際経験)、こういった事情があったんだなと気づかされた。

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    2012年05月08日
  • 心理学化する社会 癒したいのは「トラウマ」か「脳」か

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    心理学という言葉は多義的だが、ここでは特に「臨床心理学」をターゲットにしている。

    ちょっと古いデータだと女子大生の希望職種の第二位に「カウンセラー」が来ることなどからも読み取れるように、良かれ悪かれ私達は臨床心理学的なもの(たとえば「トラウマ」という概念とか)を意識せざるを得ない時代を生きている。

    なぜこのような時代になったのか。そして現代に起きている心理学化とは何なのか。筆者は以下のように述べる。

    「昔は思想の時代だった。わかりあうために、みな議論をした。しかし論争だけでは人は救えないことがわかってきた。その結果、思想から感情へ、共有から不干渉へというシフトが起こった。議論の場面が失われて、かわりにガス抜きのようなカウンセリングだけが流行した。心の安定だけが、最大のテーマとなった。状況を切り離して感情へと焦点を当てることで、カウンセリングは問題の所在を見えにくくした。それが心理主義だ」

    別に思想の時代に戻れというわけにはいかない。しかし現代をある程度相対化してみる必要性は絶対ある。私達は多分、あまりにも心理学化しすぎている。そういう意味で、一読の価値がある本。

    ちなみに通俗心理学批判とかそちらの方向ではおとなしめなので、そういう本を求めている時は違う本を読んだほうが良いとおもわれる。また、存外カジュアルな書き方なので、もっと学術的なものが読みたければ別の書籍のほうが適しているだろう。

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    2012年04月28日
  • 母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか

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    母と娘の関係について、極めて分析的かつ学問的に述べられた本。

    母と娘関係だけでなく著者の勤務する病院の患者やその家族の生活水準も少し伺える感じがした。

    最終章に近づくにつれ、良心的かつ距離感のある解釈が述べられているが、日本の精神医療の現状に忠実に答えているように感じた。
    関係性と身体性についてはニュートラルに述べられているように感じたし、本書をきっかけとして先駆者になっているようにも思った。

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    2012年03月30日
  • 関係する女 所有する男

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    面白かったので理解を深めるため二度読み。
    男女の違いを「脳の仕様がどーたらこーたら」と論じた本に
    トンデモ系が多いのはなんでかっ??
    という問題をバッサリ。
    擬似脳科学(って言っていいのか?)ではなく、
    精神分析的に男女の物の見方・考え方の違いを探る試み。
    で、男の欲望は所有原理に基づき、
    女のそれは関係原理に支配される、ということ。
    男は思い出(過去の異性との記憶)を徹頭徹尾、
    我が物としてコレクトしたい(=所有の欲求)ので、
    対象者ごとにフォルダを作って各データを残しておくが、
    女にとって重要なのは現在進行中の「関係」なので、
    新しい恋人ができたらデータを上書きして、
    古い話はどうでもいいことにしてしまう……
    っていう例えが物凄くわかりやすい(゚∀゚)!
    ♪別れたら~次の人~~(次の人~~♪←コーラス)だよね(笑)。

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    2012年12月08日
  • 母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか

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    母と娘となっているが、比較として、父-娘、父ー息子、母-息子の関係も扱っている。中心が母-娘であるだけである。

    1章 母と娘が戦っている
    2章 母の呪縛の正体を探る
    3章 女性ゆえの困難について
    4章 身体の共有から、意識の共有について
    5章 関係性の回復のために

    著者が1961年生まれのひきこもりが専門であるので、漫画の例であるとか、象徴的な社会的な事件なども含めて精神的な病理にも踏み込んでいる。専門が精神医学であるので、フロイトの精神分析的な影響もあるがなっとくする面も多かった。

    人間関係は、本当に難しい。

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    2011年07月29日
  • 心理学化する社会 癒したいのは「トラウマ」か「脳」か

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    ずっと気になっていたが,文庫版が出てたので読んでみた。後半ちょっとムズかった。今の学生を見ていると,「飾り」としてのトラウマみたいなのはあるような気がするなーと。

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    2011年07月05日
  • 関係する女 所有する男

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    前半の男脳女脳トンデモ理論批判はよく議論が整理されてて面白かった。
    最後の精神分析から解く結論部分は、前半とは違って根拠ベースの理論ではなく、論拠も「哲学者はほとんど男性だから理論的な話は男性が得意」程度のふわふわ感なのでガクッとなる。まあ考え方の提示、としてはアリか。

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    2011年06月06日
  • 「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか―

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    傷つけないように管理する方法が主流になってきたため、小さな病が増加しているという。壮大な統合失調症患者は減り、日常でうつ病患者が増えている。現代的なうつ病について、どうしてなの?どうすればいいの?という問に、ある程度わかりやすく解説している。やはり、適度な距離の他者とのコミュニケーションは大切。そして、それは長じてからでも有効だと、個人的には思う。

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    2011年05月27日
  • 「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか―

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    精神医学者や哲学者らの専門用語オンパレードでいささか読み解くには難解であり、辞書を引き引き読んだ。

    著者はひきこもりの権威なので、それに焦点当てすぎの感はあったが、「人薬」と称して他者との関わりが治療に必要だとする理論は共感できた。

    これは良書と呼べる一冊。

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    2011年05月24日
  • 関係する女 所有する男

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    最初の章でジェンダーセンシティブの考えに触れていて、
    その後で続きを読んでいくと、
    男特有・女特有、という視点での記述にふっと立ち止まってしまうが、
    読み進むうちに、どちらも程度問題なのだなと分かってくる。
    自分の中でも、男性的な考え方、女性的な視点、と物事によって立ち位置は違うし。
    「見るは所有の第一歩」な言葉に目からウロコ(笑)
    私はサッカーを男性的な視点で見てるかもなあと。
    「関係」を見つけてそこに萌える、という女性的な視点はメインにはならない。
    「女固有なんて決めつけないで!」と怒って読むと、
    せっかく転がっているヒントまで読み落としてしまうと思う。

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    2011年03月30日
  • 関係する女 所有する男

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    ジェンダーについて考える本。再読すると印象がかわると思う。

    ただこういうものは、個人の経験とか考えとかに則して考えざるを得ないので、正解とか言えないんだろうなぁ。まあ、正解を求めるわけではないのはわかってますが。
    すごくナイーブな素材よね、このあたりは。

    所有と関係の捉え方は参考になりました。

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    2010年12月27日
  • 母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか

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    女性性に対する社会的な抑圧、身体機能から生じる抑圧、同性故の複雑な関係が息子による父殺し以上に問題を難しくさせる。離れて自立したら解決かと思ったけどインナーマザーとか...ことはそう簡単じゃなさそう。

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    2010年09月15日
  • 思春期ポストモダン 成熟はいかにして可能か

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    「心理学化する社会」と一緒に読んだのだが、今の社会には「思春期の『こども』」を守る仕組みが欠如している。

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    2010年07月31日