高度なコミュニケーションの手段である、質問力についての解説書
齋藤氏は、冒頭で、日本人のコミュニケーション能力の低下をなげいている。
そのコミュニケーション能力を高める方法として、「質問力」を挙げている
逆説的に、「質の高い質問をつねに相手に発していく厳しさがなければコミュニケーション力はなかなか上
...続きを読む達しない」と述べている。
本書の主旨は、「コミュニケーションの秘訣は質問力にあり」である。
心に残った言葉は次のとおりです。
・質の高い対話の例をたくさん分析し、なぜそれがすぐれているのかと見抜く目を養うこと
・自分が素人でも、質問の仕方によってすぐれた人からおもしろい話を聞き出すことができる
・人間が成長していくためには、自分よりすぐれた人と対話するのがいちばん早い
・日本では考えて質問するという、当たり前のことが意外に習慣化されていない
・いい質問のキーワードは、具体的、かつ本質的というものである。
・質問力のなさを決定づけるのは勉強不足である、相手に対する情報がなければいい質問はできない
・相手が言ったことに対して、どうしてか?と聞き、その答えに対して、わかるよと受ける段取りは共感系の基本作法である。
・一つでもインスピレーションを得ることができれば、コミュニケーションは完全な成功である。
・結果について聞くより、経緯について聞いたほうが得るところが多い
・テーマをもった質問はコミュニケーションを深める可能性が高い
・相手が苦労している事柄で表に出にくいポイントに関して聞くのは有効な方法である。
■ゾーン
・ストライクゾーン:自分も聞きたいし、相手も答えたい
・子どもゾーン:自分は聞きたいが、相手は答えたくない
・気配りゾーン:大人ゾーン、おべっかゾーン:自分は聞きたくないが、相手は答えたい
・聞いてみただけゾーン:自分も聞きたくなし、相手も答えたくない
・具体的な事柄を聞きながら、本質的な事柄に迫ることができるか、具体的かつ本質的な質問力のゾーンとなる。
・質問とは思いつくものではなく、練り上げるものである。
■技
・うなずきと、あいづちの技
・自分と相手の呼吸を合わせる技
・おうむ返しの技 質問にならないよう語尾を上げずに繰り返す
・言い換えの技 自分の言葉で相手の言葉を言い換える
・引っ張ってくる技 相手の言っている本質を掘り下げる
・構え作りの技 相手の好きなものにちうて先ずかたって気分をよくする
・ずらす技 抽象的な話が多くなったら、具体的な話へ、具体的な話が多くなったら本質的な話にもっていく
・相手とコミュニケーションをとるためには、まず、身体の次元で寄り添って話をするのが基本
・その人間がいちばん力を入れている部分をしっかり認める
・相手のいったことに対して、それは別のこれと似ていますかと質問するのは質問の王道である
・相手の劇的な瞬間についえは、人は熱く語る
■エピローグ
おなじ質問をしても、答えがちがうのはなぜか、孔子と弟子との対話
ドストエフスキー カラマゾーフの兄弟での、キリストへの悪魔からの3つの質問 というなぞかけで本書はおわっています。
目次
プロローグ
第1章 「質問力」を技化する
第2章 いい質問とは何か 座標軸を使って
第3章 コミュニケーションの秘訣 ①沿う技術
第4章 コミュニケーションの秘訣 ②ずらす技
第5章 クリエイティブな「質問力」
エピローグ
ISBN:97844804219515
。出版社:筑摩書房
。判型:文庫
。ページ数:240ページ
。定価:480円(本体)
。発売日:2006年03月10日