鵜飼秀徳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
浄土宗寺院の住職でもある著者は、まだ10代の頃、太平洋戦争時の「開戦詔書」が本堂にうやうやしく飾られていることに気づく。著者の祖父(先々代の住職)は戦時中、志願して陸軍に入隊しており、どうやら「軍国青年」であったらしい。殺生を戒め、慈悲や寛容を説くはずの仏教者が侵略戦争に加担するという矛盾。困惑する著者。それから30年、調べれば調べるほど「仏教界最大のタブー」と言うべき、戦争との深い関わりが見えてきた。
歴史をさかのぼると、その始まりは明治維新の際に新政府が発した神仏分離令にある。それまで分け隔てなくあがめられてきた神と仏を明確に区別することが宣言され、天皇を中心とする国家神道体制が打ち建て -
Posted by ブクログ
同じ著者の『仏教の大東亜戦争』を読みかけていたら、この本の存在に気づいて興味を引かれ、時系列的な意味からこちらを先に読むことにした(毎年、夏になると戦争関連の本をつい手に取ってしまうけれど、今年は記録的な猛暑が続き、いつまでたっても夏が終わらない。そのせいか、9月下旬の今もまだ戦争の本を読もうとしている)。
明治維新の時に起きた「廃仏毀釈」。それは、子供の頃に学校で習って覚えてはいるけれど意味はよくわかっていない言葉、の典型的なもののひとつ。この国の人の心を救ってきたはずの仏教が、なぜそんな目に遭ったのか、誰が何のためにしたのか、、そういう疑問の数々を、この『仏教抹殺』という本が解き明かして -
Posted by ブクログ
著者はお坊さんにしてジャーナリストとのこと。仏寺側だけでなく神社側も含めてかなり現地での取材をしていることがうかがわれる。それでも結局日吉大社、水戸、薩摩、長州、宮崎、松本、苗木、隠岐、佐渡、伊勢、東京、奈良、京都という代表的なところしか実例が載せられていない。というより他ではもうあまりよくわからない状況なのかもしれない。
この本を読んで感じたのは仏教側の腐敗堕落が進み、もはや宗教とは言えない状況のところが多かったのではないかということ。数例ではあるが真宗などで腹を据えて徹底抵抗した坊さんのところは廃寺を免れている。それだけの宗教者としての気概を持った僧が少なかったのが簡単に廃仏毀釈を許した原 -
購入済み
悩みのなかで
50代になり、仕事と家族の向き合い方を考えているときに、心の支えになるものはないか探しているときに読みました。
今の自分に足りないところ、考え方を学べました。謙虚な気持ちで仕事に向き合い、感謝の気持ちを妻に伝えていこうと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお寺に興味を持つのは、ある程度年齢が高くなる頃である。
それはなぜかと言うと、自分の親が亡くなったり、
自分のお墓の事を考え始めるからだ。
私が今回この本を読むことになるのも、
そういう年齢になった自分がお寺を気になり出してきたからだろう。
この本は3つの事を教えてくれる。
①地方の困窮寺院の声が聴けてお寺の現在の実情がわかる。
②伝統仏教の構造をひもといた歴史がわかりやすい。
③菩提寺との付き合い方がわかる。
将来、全国の7万7千カ寺のうち3割から4割が消滅する恐れがあると、
本書は指摘する。
果たして、本当だろうか?
もっとも深刻な問題が
全国の寺院7万7千カ寺のうち、住職が -
Posted by ブクログ
日本の地方過疎化に寺院はどういう状況になっているか?僧侶かつ記者の著者が、現状のルポと歴史背景を記述。
歴史的には、江戸時代で体制に組み込まれる。寺請制度で、すべての民が基本どこかの寺の檀家となり、それが寺の経営も支えることになる。しかし明治の廃仏毀釈、国家神道化で仏教の政治的梯子が外される。その後は政治に擦り寄りつつ、勢力をキープし、中国大陸での布教活動や殺生戒を破って従軍、武器の寄進などの戦争協力をすることになる。戦後のGHQの農地改革で領地を小作人に払い下げ、経済基盤が弱くなり、さらに宗教離れ、過疎化で檀家が少なくなってきた。
現状では全国7万の寺院のうち、無住職がすでに多くあり、ま高齢