鵜飼秀徳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浄土宗寺院の住職でもある著者は、まだ10代の頃、太平洋戦争時の「開戦詔書」が本堂にうやうやしく飾られていることに気づく。著者の祖父(先々代の住職)は戦時中、志願して陸軍に入隊しており、どうやら「軍国青年」であったらしい。殺生を戒め、慈悲や寛容を説くはずの仏教者が侵略戦争に加担するという矛盾。困惑する著者。それから30年、調べれば調べるほど「仏教界最大のタブー」と言うべき、戦争との深い関わりが見えてきた。
歴史をさかのぼると、その始まりは明治維新の際に新政府が発した神仏分離令にある。それまで分け隔てなくあがめられてきた神と仏を明確に区別することが宣言され、天皇を中心とする国家神道体制が打ち建てられていく一方で、全国的に廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、仏教は大打撃を受けた。これに怯えた仏教界。各宗派が競い合うようにして過剰なまでに政府にすり寄るようになり、やがて植民地政策や侵略戦争までをも正当化していった。
読んでいてとくに驚かされたのは、各宗派・宗門トップの号令のもと、「天皇制の下での仏教ファシズム(皇道仏教)」という新体制が敷かれていたという事実。「絶対的な存在、天皇を支えるための仏教」として、「天皇は阿弥陀仏である」などとのたまい、戦中は「敵はもはや人間ではない、人間でなければ、殺しても不殺生戒を破ったことにはならない」といった極論を唱え、仏教教義そのものまで変質させていたという。
ほかにも、諸宗派による政府への献金とロビー活動、大陸への進軍に付き従っての布教拡大、従軍僧の戦闘への参加、戦闘機や軍艦の献納、などなど、数々の事例が、関係した人物とともに紹介されている。中には、僧籍剥奪・永久追放などの厳しい仕打ちを受けながらも反戦の姿勢を貫いた僧侶が、わずかながらもいたという。有名な大逆事件に連座して逮捕され、獄死した僧もいた(戦後何十年もたってから名誉回復されている)。
本書の主題は仏教界にとどまらず、日本という国そのものの一大タブーと言えるかもしれない。
ベースとなる明治維新からの流れは、同著者の前著『仏教抹殺』を読んでいたので、とてもよくわかった。未読の方には、そちらを先に読むことを強くお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
同じ著者の『仏教の大東亜戦争』を読みかけていたら、この本の存在に気づいて興味を引かれ、時系列的な意味からこちらを先に読むことにした(毎年、夏になると戦争関連の本をつい手に取ってしまうけれど、今年は記録的な猛暑が続き、いつまでたっても夏が終わらない。そのせいか、9月下旬の今もまだ戦争の本を読もうとしている)。
明治維新の時に起きた「廃仏毀釈」。それは、子供の頃に学校で習って覚えてはいるけれど意味はよくわかっていない言葉、の典型的なもののひとつ。この国の人の心を救ってきたはずの仏教が、なぜそんな目に遭ったのか、誰が何のためにしたのか、、そういう疑問の数々を、この『仏教抹殺』という本が解き明かしてくれた。
背景にある歴史の流れや宗教的、思想的な考察などがたっぷり書かれているのかと思いきや、そのあたりは意外にあっさり、第一章で終わる。あとは第八章まで、日本各地で当時何が起きたのかを、実際に訪ね歩いて調べたルポルタージュになっている。
類似の研究は少ないという大変貴重な記録なので、具体的な中身については、ここにネタバレとして雑に書いてしまうよりは、多くの人に自分で読んで学んでほしいと感じさせられた。
印象的なフレーズを引用。
「明治維新という物語は、どのページをめくっても、美談ばかりが語られる。しかし、華やかな歴史の陰に、目も覆わんばかりの痛ましい事実が隠されていたのである。」(p.8)
「哲学者の梅原猛氏は、廃仏毀釈がなければ国宝の数はゆうに三倍はあっただろう、と指摘している。」(p.11)
「奈良のシカがすき焼きに」(p.200、小見出し)
「権力者の忖度」「熱しやすく冷めやすい日本人の民族性」(p.241、著者が考える廃仏毀釈の四つの要因の一番目と三番目として)
知的好奇心が満たされる、忘れがたい一冊。
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Posted by ブクログ
著者はお坊さんにしてジャーナリストとのこと。仏寺側だけでなく神社側も含めてかなり現地での取材をしていることがうかがわれる。それでも結局日吉大社、水戸、薩摩、長州、宮崎、松本、苗木、隠岐、佐渡、伊勢、東京、奈良、京都という代表的なところしか実例が載せられていない。というより他ではもうあまりよくわからない状況なのかもしれない。
この本を読んで感じたのは仏教側の腐敗堕落が進み、もはや宗教とは言えない状況のところが多かったのではないかということ。数例ではあるが真宗などで腹を据えて徹底抵抗した坊さんのところは廃寺を免れている。それだけの宗教者としての気概を持った僧が少なかったのが簡単に廃仏毀釈を許した原因なのではないか。そういう意味では現代も僧侶の気概を問うようなことがあってもいいかもしれない(神主も、かな?)。
そんな色々を考えさせられる本であった。 -
購入済み
悩みのなかで
50代になり、仕事と家族の向き合い方を考えているときに、心の支えになるものはないか探しているときに読みました。
今の自分に足りないところ、考え方を学べました。謙虚な気持ちで仕事に向き合い、感謝の気持ちを妻に伝えていこうと思いました。