鵜飼秀徳のレビュー一覧
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神仏分離令が発端となった廃仏毀釈。
明治維新の黒歴史ともいえる、その実態は?
各地の廃仏毀釈の歴史や痕跡を調べる、ルポルタージュ。
はじめに
第一章 廃仏毀釈の始まり―比叡山、水戸
第二章 維新リーダー藩の明暗―薩摩、長州
第三章 忖度による廃仏―宮崎
第四章 新政府への必死のアピール―松本、苗木
第五章 閉鎖された島での狂乱―隠岐、佐渡
第六章 伊勢神宮と仏教の関係―伊勢
第七章 新首都の神仏分離―東京
第八章 破壊された古都―奈良、京都
結びにかえて
参考・引用資料一覧有り。
1868年の一連の神仏分離令。
江戸幕府の国家仏教から、明治維新での国家神道への突然の転換。
それは拡大解釈され -
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廃仏毀釈の言葉は知っていましたが、実際にどんなことが行われていたか全く知らなかったんだなと思いました。文藝春秋らしく?ルポタージュのような文章がとても読みやすい。
九万の寺が数年で四万五千に半減し、仏具は鋳とかされ橋になったり仏像はなんと薪にされたり。今流行ってる仏像マニアの人が読むと卒倒しそうな内容です。こんな文化的蛮行が日本で起きてたと多くの日本人は知らないだろうなあ。これで焼かれたり毀たれたりしだ大伽藍か残っていたら、どんな風景だったのだろう。
しかし当時の仏教の退廃や、跡地や廃材が小学校とかになっていることを思うと、時代の要請があったのかなともおもう。
しかしもったいないことをしたもの -
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仏教の入門書としては非常に読みやすい。
仏教の考えはニーチェと通ずるところが多くあると感じた。
今の環境がずっと続くことはない。自分でさえもうもはやイレモノ程度。常に丁寧に、正しく、バランス良く、そして今に全力を尽くせる超人となるべし!
★「少欲知足」 与えられた環境を受け入れる
何のために働くの?
どこで「知足」に気付ける?
企業内の地位が家族を幸せにする?
★「中道」 何事にも偏りのない生活
車の運転と同じで速すぎても遅すぎてもダメ。
ほどほどてはなく、バランスこそ全て
★「自利利他」
他者が悟りを得なければ、自分も得られない
★「四法印」
一切皆苦 全ては苦しみ
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購入済み
偉大な仏教思想
現代日本人の苦悩の根源がわかるような気がした。仏を粗末にしたならその分精神の問題に苦しめばいいと思う。そうすれば反省してまた仏像を大切にしようという気になると思う。
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本書は廃仏毀釈について書かれた解説書である。著者はジャーナリストであり、また僧侶でもあるので仏教に携わる者の視点からの見解も書かれている。
廃仏毀釈の起こった主な地域ごとに章立てており、比叡山、水戸、薩摩、長州、宮崎、松本、苗木、隠岐、佐渡、伊勢、東京、奈良、京都について書かれている。
著者が各地域を訪れ取材をし、破壊された仏像の様子がリポートされ、また史料も紹介し当時の様子がよく分かる。
そして、どうしてこのような事が起こったのか、どういう要因で廃仏毀釈が起こったのか、著者の視点から4つの要因が挙げられている。
それは、時代の流れなどもあるけれど、仏教界の側が単なる被害者という訳ではなく、 -
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ネタバレ各都道府県から一寺院を選んで紹介する本。また各地でどの宗派が多くを占めるのか、廃仏毀釈の影響、その他現代の寺院に関わる問題点も紹介している。
一寺院の選び方はさほど問題ないように感じた。各地の仏教界における特徴や問題などを考慮して選んだようである。
私は大阪在住で妻が鳥取出身なので、近畿と中国地方の著名寺院はぼんやり把握しているが、東北や関東、九州などは知らない寺院も多数あった。その点では興味をそそる良い本だと思う。
また戦後の農地解放(農地改革)により各寺院の経済的地盤が大打撃を受けたということを気付かずに居たので、その点についてもありがたかった。
また古い寺院だと、聖徳太子・行基・役行者 -
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廃仏毀釈とは、結局どういった性質のものであったか。
様々な地域の事例から、廃仏毀釈の実態が見えてきます。松本、水戸、鹿児島、京都等。
それにしても、奈良の寺院で、寺院廃止後に仏像を薪代わりに使っていたというのは‥なんとも衝撃でした。
廃仏毀釈は、江戸から明治への時代の移り変わりによる混乱の賜物のように感じられました。
江戸時代から続く寺院による圧力への報復的意味合いや、為政者の新政府への媚び等。要因は複数ありますが、日本人があたりまえに信仰してきた「神様、仏様」は失われたと思うと、あの時代の人々は、得体の知れない喪失感を感じずにはいられなかったのではないかと思いました。
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梨木香歩の「海うそ」を読んだ後、廃仏毀釈について興味がわき、この本を手に取った。自分の地元にも廃仏毀釈によって衰退した神社(かつては大きな寺であった)があり、その歴史について調べてみたいという思いも以前からあった。
全て明治政府の横暴によるものであったのだろうという憶測とは少し違い、列強国からの圧力に抗うもしくは迎合するような時代の流れによるものも多分にあったのだと理解した。急激な変化にはどこかで犠牲があるものだ。無念だが、あの時代の大きな転換の犠牲となったのは仏教だった。しかし、それによってその後のこの国の繁栄もあったのかもしれない。
現代の我々の社会も新型コロナによって大きな時代の変換点に -
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座禅や写経など仏教ワールドに足を踏み入れる人は年々増えている気がするが、根底にある思想、哲学を生活に取り入れるにはなかなか敷居が高いのではないだろうか。本書は、著者自身の長年の会社員経験を生かして、職場での様々なぶつかり合い、矛盾、葛藤などを、どう生き抜くか、社会人生活における知恵としての仏教を具体的に紹介してくれている。引き合いに出しているニュースは直近のものが多く、また職場での葛藤も共感しやすい。
漫然と仏教思想を並べても、当たり前の理想論抽象論にしかならないが、自分が具体的にどう解釈し、内省するかなど、よりリアルに関わっていくことができる作りになっている。
欲を言うと、ここまで分かりやす -
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明治政府は、人民の統制のため精神的支柱が必要だと考えた。純然たる神道国家のためには、邪魔な仏教を神道と分離すること。神社で祀られていた仏具を排斥、神社にいた僧侶は還俗させ、葬式は神葬祭に切り替えさせた。しかし政府の意向をさらに「忖度」して、仏教を破壊する者も出てきた。この廃仏毀釈の歴史を詳しく解説してくれる。
なかなか面白かった。
全国で進められた廃仏毀釈を地方ごとに説明してくれる。
・廃仏のルーツは水戸藩。無秩序に寺院が増えたため、1666年徳川光圀はきちんとしてない寺を整理した。その後斉昭の時代になると外国船対策のため大砲製作に、仏像な鐘を供出させた。仏教=邪教というプロパガンダとと