渡邉格のレビュー一覧
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労働者、地域、環境に配慮した経済活動
働く時間や働く日数を増やしたり、原価率を下げたりすることで利潤は生まれる。
利潤を増やしていくためには、規模を拡大し続けたり、商品を安くしたりしないといけない。
ファミレスでのバイト
塩素を使った消毒
たくさんの食べられるはずの廃棄される食品
長時間労働で疲弊する社員
危険な薬品を使った清掃作業
違和感を持ちながら働いていた記憶が蘇ってきた。
この本を読んでいて、思ったことは、タルマーリーのやっていることがもっともっとたくさんの人に知れ渡ることで、社会の常識を変える力につながっていくはずだということ。
未知の挑戦をするタルマーリーはかっこいいし、ワ -
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現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。
撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを -
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「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。
そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。
この「まえがき」と白井聡と -
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ツイッターなどで見かけ、気になっていた本書。
いつか読もう読もう、と思う内に、気がついたら文庫になっているではありませんか!
イーストなどを使用せず、天然酵母や天然麹菌によってパンをつくり、店を経営する著者による本書。
面白いのは、マルクスの『資本論』をはじめ、いくつかの経済書を引用しながら、彼らがつくるパン、経営、労働についての考え方を言葉にしているところ。
複数の論点、かつ、著者の学生時代も含めると長いスパンの話を扱っているにもかかわらず、構成がとてもよく整理されているので、するすると頭に入る。
何より、著者が30歳にしてはじめて本格的な社会人として働きはじめてから遭遇する様々な理不尽や -
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ネタバレ「腐らない経済」に対し、パン屋という職を通じて一石を投じた一冊(「腐る経済」の実現)。
改めて経済学の理論から、資本主義が何を前提に回っているシステムなのか、資本主義の中で労働者はどのように扱われているのか、といった点を紐解いてくれているため、理解が進んだ。
マルクス曰く、「生産手段」を持たない労働者は、自身の労働力/時間を切り売りすることでのみお金を稼ぐことができる。一方、労働者を雇用する資本家は、労働力への対価(=コスト)を見込んだうえで利潤を生むような仕組みをつくるため、他社との競争に勝つために商品価格を下げれば人件費を下げる・・・といったように本質的に労働者は資本家に従属することになる -
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「ソフトランディングはできないものか」
この本が文庫化される前の話。「エンデの遺言」を読んだ後、書店に並んでいるのを何気なく手に取った。当時地域で通貨を発行するというアイデアは当時意外と扱われていた。村上龍の「希望の国のエクソダス」とか、石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」とか。
田舎で天然の酵母を使って本物のパンを作る渡邉さんが、パン作りを通して資本主義を乗り越える可能性について書かれた本だ。
品質の標準化、管理の容易さ、さらには価格の低下を求めて、パン作りで云えば純粋培養のイーストや農薬をふんだんに使った商品ができあがる。かくして生産物から生命力が失われ、職人はその座を取り替えのき -
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内田の依頼に応じた識者たちが人口減少の日本の撤退論を語る。
それぞれある意味好き勝手に持論を書いている。
これをここでまとめても意味はなかろう。
自分の思う「撤退論」を書くことにする。
識者の意見に影響を受けつつ。
人口減少は先進国共通の現象であり、これを避けることはできない。
異次元の少子化で児童手当増額などといいながら、
扶養控除を廃止したり、社会保険料を増やそうとする政府の愚には呆れる。
彼らにこそ撤退論が必要なのだ。
高度成長時代の、人口増加時代の仕組を変えようとせずに小手先だけの政策を行う。
前例に倣うことしかできない。
更に省益優先、OBの天下り先 -
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Posted by ブクログ
職人に憧れるな。
昔は誰もが職人=生産者だったんだろうな。
何かを作ることができるという自信は、労働の搾取からの解放の安心感に繋がる。
手仕事を大切にしていきたいし、味噌、梅干し、ぬか漬けは私もしっかり受け継いでいきたいな~
・腐らないお金の不自然さが、僕たちを「小さくてもほんとうのこと」から解離させていく。
・自分の「労働力」を切り売りすることを避けようと思ったら、自前の「生産手段」をもてばいい。
・「職 」(労働力)を安くするために「食」(商品)を安くする。それが、マルクスが解き明かした資本主義の構造なのだ。
・「天然菌」は作物の生命力の強さを見極めている。リトマス試験紙のように、自分