大江英樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
来年度(2022)から新年金制度が始まるというタイトルだったので本屋さんの店頭で手に取った本でした。
現在の年金制度について巷で流れている否定的な情報について丁寧に解説してあり、現在の年金制度はよく考えられて設計されている制度であることがよく分かりました。
年金未納者はほとんどいない(数%程度、p94)、65歳以下の人(支える人)と65歳以上(支えられる人)の割合で考えるのではなく、一人の就業者が何人の非就業者を養っているかで考えると、日本においてその割合は1970年(1.05人非就業者)から2040年(0.96人)変わらない(p103)は知っておくべき事実だと思いました。
以下は気になったポイントです。
・年金の本質、1)年金は貯蓄(将来のために自分で蓄える)ではなく保険(将来の不幸のためにみんなで備える)である(p30)収入に占める年金が100%という世帯は、48.4%である(p36)、2)自助でも公助でもなく、共助(=社会全体で面倒を見る)である(p38)、3)年金は将来のモノやサービスに対する請求権である(p46)
・年金生活者が関心があるのは金銭ではなく、消費(食料、娯楽、医療サービスなど)であり、いかに将来の生産物を手に入れることができるか、ということが最重要である、それには賦課方式で運営する方法以外にはない(p49)現役で働いている人の給料からその一定割合を保険料として、納めてもらい、その保険料を年金として支給する仕組み。年金支給額は賃金、物価にスライドする仕組みだが、これは賦課方式だからできる(p51)
・年金は一般会計とは別の勘定で、戦前からあったいくつかの保険事業(厚生年金関連4つ、国民年金関連2つ)を、平成19年(2007)に統合してできた、年金特別会計であり、令和元年末で約190兆円の貯金があり、赤字ではない(p56)これは年金給付の4.9年分になる、アメリカで3年分。欧州においてはほとんどない。しかし現役世代が払い込む保険料を年金給付の原資にしているので年金は支払われている(p61)
・国立がん研究センターのデータによれば、40歳の人が向こう20年間に罹患する確率は6.9%、70歳の人が10年間で31.7%、80歳の人がそこから罹患する割合は56.6%、現実には二人に一人が「がん」になるというのは、80歳以上の人の話である(p64)
・世代間の給付と負担の関係では、1955年生まれでは厚生年金では3.4倍(負担より支給が多い)、国民年金では2.3倍、1975年生まれでは、2.4倍、1.5倍である(p65)ここで負担額とは自分が負担する額であるが、番組などでは国や会社が負担する保険料(折半である)も含まれている可能性もある(p69)
・公的年金制度がなかった時代は、子供が親の面倒を見るという「私的扶養」の時代であった、国民全員が加入する国民年金制度ができたのは1961年である。現在の70歳以上の人たちは親を養いながら、かつ年金保険料を払っていた(p67)
・年金の運用(GPIF)は過去20年間で100兆円余りの利益をあげている、マイナスの年もある(p80)
・サラリーマンの配偶者も配偶者が払っている保険料で将来年金を受けられるので、未納にはならない。日本人で年金保険料を納める必要のある9割は、未納になることはない(p91)公的年金加入者全体の6759万人のうち、免除・猶予者(583万人)を差し引くと、125万人となり本当の未納者は、1.85%となる(p94)
・1970年当時から考えると少子高齢化はかなり進んでいるものの、その間、さまざまな制度の見直しを行なってきたことでそうした時代に十分耐えられるような改革が行われてきている(p108)
・将来支給される予定の年金が予定されていない場合、それを年金債務と呼ぶのは積立方式の場合である、企業年金は積立方式で運営されているので企業年金には債務が発生するが、公的年金は賦課方式なので異なる。現在と将来の受給者への給付=現在の保険料収入+今後の保険料収入+国庫負担+年金積立金、となる(p124)企業年金は給料の後払いであるのに対して、公的年金は社会保障制度である(p125)
・GPIFの長期的な運用目標は「名目賃金上昇率+1.7%(スプレッド)」過去10年間の名目運用利回りは、平均で3,61%、名目賃金上昇率は0.44%なので、実質運用利回り=スプレッドは3.17%である。これは厚生労働大臣がGPIFに達成しなさいと要請しているスプレッド(1,7%)よりも大きい(p133)
・厚生年金の定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳までに2001年から徐々に引き上げていくと決まったのは1994年であるが、この検討自体は1980年頃から始まっている。2004年改正により確定給付から確定拠出に変わったので、5年ごとに行われていた保険料の見直し(=財政再計算)ではなく、年金の財政が当初の予定通りになっているかを検証する「財政検証」となった(p139)
・2004年改正のポイントは、1)基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げ、2)財政検証の実施、3)保険料水準固定方式の導入である(p140)2005年4月から毎年280円ずつ引き上げられ、2017年以降は16900円と固定する、それ以来は引き上げられていないし予定もない(p141)固定したので、マクロ経済スライドの導入と、年金積立金の活用が行われる様になった(p141)
・積立金は概ね100年をかけて、現在ある4.9年分の積み立てを、100年後には支出の1年分となるような給付水準調整を行なった上で、概ね100年にわたる財政見通しを作成したことになる(p146)
・アメリカの映画(シッコ、2007年)は、自助努力と市場万能主義が行き着くところの社会が描き出されている(p160)
・雇用者のうち正規採用で働いている人が、3539万人に対して、パートや非正規雇用の人が、2090万人いる。この中で厚生年金に入っていない人が、1050万人いて、これが非常に大城は経済的不安となる(p176)
・現在は、1)週労働20時間以上、2)月額賃金8.8万円以上、3)勤務期間1年以上の見込み、4)学生でない、5)従業員500人超の企業などに、対しては厚生年金の加入が義務付けられている。今回は、3)と5)が法改正された、3)は撤廃され、5)は2022年10月からは100人超、2024年10月からは、50人超に引き下げられる、50人超になれば、現在より65万人が増える見込みとなる(p179)
・年金の支給開始時期を引き上げるのは短期間ではできない、55歳から60歳への引き上げに要した期間は20年、60歳から65歳への引き上げは決定してから32年経過するが、まだ終わっていない(p193)
・年金受給開始時期を決めるのは、損得ではなく自分のライフプランをどうすべきかで考えるべきである(p196)
2021年12月12日作成 -
Posted by ブクログ
貯金、投資、保険、年金など、とても分かりやすくお金のことが書いてあった。
正直あまり真剣に考えてなかったというかあえて見ないようにしていた部分もあるけれど、やはり生きていく上でお金は必ず必要なもの!
たまたま手に取っただけだったけれど、この機会に読んで良かった。
保険、年金については、知らないと自分が困ることになるなと改めて実感。なんとなくの情報や常識とされるものに振り回されるのではなく、自分の頭で考え決められるようになりたい。
投資については、特に投資家になりたいわけではないけれど、それでも投資の種類や何故投資をするのか?その考え方の根本を知っているのと知らないのとでは人生の幅が変わるなと感じた!
多分この本を読まなかったら何も本当のことを知らなかったり、知りたいとも思えなかっただろうけど、今では投資という言葉が目に付くようになってきた。
普段なかなか考えないというか避けがちな話だからこそ、ちゃんと向き合うことが大切。
ズバズバだと言ってもらってる感じがして読んでいて気持ちが良い!
早く知れば知るほど良いと思うので、気になったらすぐ読むことをおすすめする。 -
Posted by ブクログ
定年後の第二の人生を幸せに、楽しく過ごすための実用書的な内容でした。サラリーマンなら誰もが迎える定年後の生活で起きうる不安や間違った考え方を払拭できる内容で、とても参考になりました。
定年後に、まず最初に誰もが不安を抱く「お金」の問題。収支予測のやり方や、医療・介護にかかる費用の目安など、現実的且つ具体的なアドバイスが書かれていました。老後の他人との付き合い方、定年後の働き方、趣味の見つけ方・楽しみ方、勉強のススメ、などなど充実した第二の人生を送るためのヒントがたくさん載せられていました。
最後の章では、人生の先輩方の事例がいくつか紹介されていて、様々な職歴の方がどのような経緯で定年を迎え、そして今現在どのよう人生を歩んでいるのか、とても参考になる内容でした。
■本書のポイントメモ
1.定年後の「7つの勘違い」
・定年後の生活費を把握する(メディアに惑わされない)
・退職金は生活資金の一部にしよう
・地域のコミュニティには奉仕するつもりで参加しよう
・夫婦間は適度な距離感で別々の趣味を
・投資より自分で働こう
・節約より生活のダウンサイジングを
・定年後の再雇用より自分のやりたい仕事に転職
2.お金の不安は「見える化」と「人脈」で解決
・生活の収支予測をして不安を取り除く
・医療・介護にかかる費用は約800万円
・定年後に働く場合の収入は夫婦で8万円を目安に
・人脈作りを大切に(ギブ・ファーストの気持ちで)
3.老後はコミュニケーションが9割
・50歳を過ぎたら会社の人とは付き合わない
・自分には全く縁遠い趣味を持ってみよう
・交流し合える友人を作り、積極的に世話役をやろう
4.今日から始める「定活」
・50代のうちに副業をしてみよう
・定年男子の会でヨコの関係のコミュニティ作りを
・地方移住はまずリハーサルで(体験施設など)
・定年後の転職は現役時代に事前準備をしておこう
5.やっておきたい老後準備
・家事のススメ(メリット多し)
・個人旅行で自立の第一歩を
・勉強のススメ(何事にも好奇心を持って)
・笑顔と姿勢で見た目にも気を配る
・SNSのススメ(新しい居場所、デメリットには注意)
6.私たちの「定年前」-6人の事例に学ぶ
①社会保険労務士
・50代は自分のやりたいことをする最後のチャンス
・リスクを取らないとリターンは得られない
②個人投資家、ボランティア
・人生は決して思い通りにならない
・人生も自己裁量でよい
③団体顧問
・地元とのつながり、ボランティア活動
・70代後半で自分のやるべきことがわかった
④ジャズミュージシャン
・現役時代から二足の草鞋
・定年後は音楽一本、音楽は一生の友
⑤起業準備中
・ずっと働き続けることが勝ち組
・常に人との接点を持っていたい
⑥海運会社営業(現職)
・セミナープロデュースを副業
・やりたいことは遠慮せずにやろう -
Posted by ブクログ
あ~もっと早い時期にこの本を読んでおけば…
って2017年発行か…
老後破産とか老後貧乏とか
日々のニュースを騒がせていますが…
今後長く生きることを考えたら「お金」って大切
年金っていくらもらえるの?
あてにしていいの?
夫婦の場合夫の死後はどうするの?
独身女子のおひとりさまの家計は?
いやもうね、考えたら不安でしょうがないのよね
じゃあやったことないけど投資とかやってみようか?とか
外貨積み立てしてみようか?とか
海外モノの保険に入ってみようか?とかね
色々考えちゃう
この本はかなり具体的にシュミレーションしてくれているのでお金のことがわかりやすい!
「投資で死んだ人はいるけど投資をしなくて死んだ人はいない!」
ってすごい名言だわ~
自分の老後について考えるためには参考になる1冊
とりあえず1歩を踏み出そうと決心した1冊。 -
Posted by ブクログ
老後を考えたことがない人、老後の「健康」「お金」「孤独」に不安がある人はぜひ読んでください。不安がないという人もそれが「過信」ではないか問い直すために読んでください。読んだ結果、役に立たない可能性もありますが、読まずに公開するよりはいいと思います。
「45歳から始める」とありますが、「少なくとも45歳までに考えておいたほうがよい」だと思います。「まだ十分に時間がある」とか「制度変更の可能性がある」など、考えても無駄だと思うかもしれません。それでも就職、結婚、持ち家購入など、人生の節目節目で定年後、セカンドライフについて考えておくと、後悔のない人生を遅れると思います。
「金持ち老後」とありますが、お金持ちになる方法は一切書いてありません。筆者もあとがきで述べられていますが、「人生後半を幸せに生きるため」、「悔いのない楽しい人生を送る」ための本です。 -
Posted by ブクログ
タイトルに一瞬イラっときたが、我慢して読んでみるとそこには自分が知らなかった行動心理学に基づく投資の真実があった。
①コストを下げることによる認知的不協和の解消(衝動的にナンピン買いしてしまう理由)
②確証バイアス(自分の判断を肯定してほしくて、ついつい証券セールスに同意を求めてしまう)
また、行動心理学の観点からだけではなく、下記に示す自分が知らなかった事実も発見できた!!
インフレに弱いのは預金ではなく、現金を保有すること。
昔は金利が高くて黙っててもお金が増えていたが、それ以上に消費者物価指数の上昇が大きかった(オイルショック時は、名目金利が7.75%だったが消費者物価指数は23%で、実質金利はマイナス)!!
逆に昨今のデフレ時は、名目金利は0.05%だが消費者物価指数の下落により、実質金利は約1%!!
セールスマンも商品を売ることで、生計を立てているのだから、彼らの言葉を安易に信じるのは危険!!低金利だから、投資しようという安易な言葉に惑わされるのではなく、自分でしっかりと判断して投資することの重要性がわかった。 -
Posted by ブクログ
難しいこと考えずに初心者は(証券会社がオススメの)投資信託を買いなさい、ってことをいってます。
前線バリバリの証券アナリストたちが投資のコツを解説した本。派手なテクニカル分析よりも、老後資産を構築するために、長期的にじっくり資産を作ることを目指す、すごく渋い本。
ダイヤモンドZAIのコラムっぽいな、と思ったし、序盤はしっかり読むほどでもないかな、と思っていたけど、第2章、第3章と進むにつれ、どんどん実践的になっていきました。
資産形成の大きな参考になります。
投資は短期的なものではなく、長期間、忍耐を持ってじっくり貯めるものというスタンスです。
ふーん、と思いつつ、この本のメインターゲットが(多分)退職金投資家(あるいは老後資金投資家)と考えれば、そりゃそうだ。
目先の利益よりも、老後の資金を確保するためだったら、キャピタルゲイン目的の投資なんかオススメできないでしょう。
フィリップ・フィッシャーの「株式投資で普通でない利益を得る」のエッセンスを噛み砕いて抽出した感じです。
これから投資を始める人はもちろんだけど、すでに読んでいる人もぜひ参考にしてほしい一冊です。 -
Posted by ブクログ
まさにタイトルに偽りなし!
最初から最後まで、難しい用語が出てこなかったのは狙い通りなのでしょう。
経済について、難しい用語を並べて難しい学問のように説明・解説するのはよく見られますが、この本書では、「経済に興味のある1年生」に向けて書いてあります。
もちろん、株式や経済について多少の知識がある人にも『この教え方は伝わりやすい!』と思える箇所がいくつも登場します。
【例】
(投資と投機の違い)
(為替からFXは儲かるのかについて)
(税金から国家破綻の可能性について)
38年間、3万人以上の顧客に相談やセミナーを通じてお金のアドバイスをしてきただけに、表現がうまいなぁ~と感じるのも多々。
読み終えても、手元に置いておきたい一冊です。 -
Posted by ブクログ
一見すると、世にあふれる「日本の年金制度の破綻」や不安を徒に煽る類の書籍かのように誤認されがちだが、本書の内容はそのような俗説とは真逆をなすものである。その本質は、メディアや言説によって広められた年金に対する過度な不安論や誤解を、論理的に打ち消すことを目的としている。
全編を通じて、感情論を排した客観的なデータと事実に基づく解説に終始している点が極めて秀逸だ。著者は制度の不都合な側面から目を背けることなく、構造的な仕組みを冷徹に紐解くことで、国民が持つべき「正しい年金リテラシー」を提示する。その上で、個人として具体的にどのような選択や備えを行うべきかまでを論理的に指し示している。
不確実な情報に揺さぶられがちな現代において、安易な危機感に流されることなく、地に足のついた事実から制度に向き合うための「指針」を与えてくれる良書である。