大谷真弓のレビュー一覧
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『ミッキー7』の続編。前作の結末から2年経った植民惑星での話。深刻なエネルギー不足が発生し、この星の人類が全滅を免れるためには前作で爆弾に改造した反物質を取り戻し、エネルギー炉に再投入する必要がある、という話。先住生命体が沢山登場したねぇ。巨大なムカデみたいなのとか、クモとか、真菌みたいのとか……
ミッキーが「人の事を良く見ている」という設定の人物像なのが相まっての事かもしれないけど『ミッキー7』で読んだ作者の書く人間描写がとても好きで。前作で結構話が綺麗に終わるため、ストーリーが気になって続編読もう、というよりは文体が好みで続編に手が伸びたかなぁ。
例えば『クインの髪は前より伸びている。金色 -
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テラフォーミングの移民船で、記憶と人格を引き継ぎながら死んでは再生される「エクスペンタブル」のミッキー。7人目の彼が任務中の事故で命からがら生還するが、基地にはすでに8人目のミッキーがいて……というお話。
同一人間が存在することへ忌避の念を抱く者、「死ぬってどういう感じか?」という単純な興味を抱く者……主人公を取り囲む環境や、登場人物たちがそれぞれ異なる価値観や倫理観を持っていて、興味深かった。
地球から遠く離れた地では資源は何もかも貴重で、食料は1カロリーとも無駄にできず、「余分な複製なんてタンパク質がもったいない!」と言われたり。ミッキーの日常はとても過酷。
ミッキーは文字通り命を懸けて仕 -
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ネタバレ
面白かった。前巻の内容、特にエイトがどう死んだかは忘れたけど、ミッキーセブン自体はミミズにも司令官達にも適当な嘘をついて切り抜けたのは覚えていた。
あと爆弾。
今巻は、ムカデとロードムービーする。
冒険に出るまでに、コロニーでの生活やミッキー自身の振り返りはあったものの、前巻よりは歴史の話が少なくてちょっと物足りない。今巻でやることが多いせいだと思う。前巻はベルトに置いてかれてどうにか帰還して、エイトと出くわして二人一役をこなす話だったが、今巻は、コロニーでの燃料の話、ムカデの話、南へ行く話と、アクションが多い。
その分、この星の生態がわかって面白いが。
前巻だとエクスペンダブルズという -
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改変歴史を描くSF「レディ・アストロノート」第三弾。月面で連続する危機的状況の中、過激派の犯人を探すが……。
ニコール・ウォーギンは50歳を超えた女性だが、魅力ある主人公だ。これは前作との類似点、つまり閉鎖空間での危機的状況、夫婦や仲間との絆、心理的な弱点との戦い、といった複合的な要素によって、ニコールの心理が緻密に描かれているからだろうか。
すべての人を疑わなければならない状況の中で、前作主人公エルマと最も仲の良かったメンバーたちが友愛を深め、次第に団結していく姿が美しい。月面で繰り広げられるサスペンス・ミステリーは、中盤やや冗長にも思える長さではあるものの、犯人がわからなければ全員が危 -
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『宇宙へ』『火星へ』に続く改変歴史SF第三弾。火星探検隊が道半ばに達するころ、ニコールが月へ行くことに。
前作のヨーク夫妻から今度はウォーギン夫妻へと主人公を変えて、地球と月での物語が展開。すでに月面での経験のある宇宙飛行士であり、カンザス州知事夫人でもあるニコール・ウォーギンが、地球で謎の事故が頻発するなか、月へ向かい、過激派の工作員を探すことに。
月面基地という閉ざされた世界の中で、宇宙船の事故、停電から感染症など、次々と発生する危機。犯人は仲間たちの中にいる?SFとしての緻密なディティールはそのままに、今作はミステリー調で進んでいく。早く犯人を見つけなければ月面では皆が生き残れないた -
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ネタバレ災厄な災禍とも言える状態の中で、この作品に出合うことが出来たのは幸運だったと思います。
インフルエンザに似た症状を起こし、わずか28時間という短い時間で男性を死に至らしめる疫病。
潜伏期間も短く、死亡に至ってはあっという間。
ワクチンの開発は厳しく、平凡で幸せな家族が夫を、男の子である我が子の死を見つめるしかない。
世界は一変し、男性の仕事を女性が行い、食料も減ったために配給制度に変わっていく。
そんな物語の中心にいるのは、人類学者のキャサリン・ローレンス。彼女は夫と息子を亡くすことになる。
そして、のちに0号感染者と呼ばれるユアン・フレイザーを診断し、看取った救急外来 -
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世界にとって害悪でしかない人間を消し、ロボットだけとなった世界。毎日決められたことを完璧に繰り返していた12歳のロボットXR935は、ある日いるはずのない人間に出会う。12歳の少女エマとの出会いがXR935を、そして世界をも変えていく。
ロボット視点で語られる物語。ロボットならでは思考や行動原理が、すんなりと受け入れられ、人間とは違う存在であることがわかりやすい。
ロボットと人間が違う存在だと認識させておき、物語が展開するにつれ、本当に違う存在なのかと思わせることにも、ロボット視点ならではの見せ方が活きています。
背景に深いロボットに関する情報がありながら、ロボットの一人称で語ることでごく -
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「2019版SFが読みたい!」に紹介があり、面白そうだったので読んでみた。面白かった。遅老症の主人公は、16世紀生まれで、400歳を超える。見かけは、40歳ぐらいにしか見えない。400年前に愛したローズを忘れられず、ずっと孤独に過ごして来た。シェイクスピア、クック船長、フィッツジェラルドなど歴史上の人物とも接してきた。400年ぶりに帰ってきたロンドンで、歴史教師としてカミーユという女性に出会う。ここから止まっていた時間が動き出したのではないか。遅老症というあり得ないSF的な設定を描きながら、人間にとっての時、人生、そして愛について考えさせるのである。そう言えば、バンパイヤも同様に長命だったけ。
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