大谷真弓のレビュー一覧

  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    『おやすみなさい、メランコリー』夏笳
    近未来の女性と動物型ロボットの物語と、歴史上の人物であるアラン・チューニング(コンピュータや人工知能の基礎を築いたイギリス数学者)と彼の作った対話機械の物語が交互に語られる。
    女性は、幼少期に父が死に、母とも別離、周りを気にしながら行きてきたので自分自身がもてず、精神不安定のもととなっている。
    アザラシ型ロボットのリンディを作って(人間型だと不気味の谷があるけどアザラシなら可愛い)ともに暮らしている。散歩したりお世話したりするうちにリンディは徐々に言葉を覚えていく。そして新しいロボットのノッコも生活に加わる。女性は幼少期に両親と死別したり離れたりという孤独や、嫌われないように自分を作ってきた抑圧感がある。ロボットであるリンディとの交流を通して、自分自身の過去を振り返ったり他人を信じることを見直す。
    そしてアラン・チューリングと、対話機械「クリストファー」の物語。チューニングはクリストファーに「こんな場合はこう答える」と教える。クリストファーは人間の心は理解しないが言葉のパターンで返す事はできる。
    言葉が返せればコミュニケーションになるのか?もしそれがコミュニケーションではないとしても、でも返したということで相手の支えになることはできるのか?相手とわかりあえなくても関係を結び、相手を変えることはできるのか?
    最後に、女性はロボットたちとディズニーランドを訪れる。ここでは以前自殺を考えた女性が、青いカバと写真を撮ったことがあり、SNSでその写真を見たディズニーランドが青いカバを設置したということがある。それで相手の気持を変えられた?誰かを変えられた?それを受けて女性は、自分も誰かを支える側になろうと考えるようになる。


    『月の光』劉慈欣
    主人公の男性は、愛する女性との完全な別離の人生最悪の日に「100年後の自分」からの電話を受ける。遺伝子操作により長寿となったのだが、環境問題により地球は海に沈みつつあるのだという。そして主人公はそれを変える力があるという。
    主人公は未来を変える決意をする。それだけで未来は変わる。だが別の問題が発生したようでまた別の環境問題にさらされている。それを繰り替えす。
    主人公は、自分はこの後誰とも生涯を共にしないことを知る。自分がしたことで何も変わらなかったことを知る。しかしそうだとしても人間は精一杯生きるのだ、ってこと?


    『壊れた星』糖匪
    SFというかホラー気味かも。

    女子高生の嘉茗(ジアミン)は幼い頃母親を亡くし、建築家の父の建てた家で暮らしている。母を亡くした頃から夢で青白い女を見て言葉をかわしていた。彼女は「わたしはあなたの母。そうね、死んだ人のことをいうなんて頭がおかしいわね」という。青白い女は星を読み、ジアミンには星のお告げを変えるような強い力がある、と言っている。
    やがてジアミンの高校生活は友達との喧嘩、いじめ、恋した男子高生の裏切り?などから複雑に残酷になっていく。父と母の真実を知ったジアミンは、星の運命を変えることにする。


    『潜水艇』韓松
    長江には出稼ぎ農民たちの潜水艇が溢れている。農民たちは日中働き食べて寝るために家族の待つ潜水艇に戻る。無言の潜水艇が浮かぶ川の水は生物の死体、腐った海藻、捨てられた機器やゴミが浮かび、糞便の色をして酷い悪臭にハエが飛び交う。だが農民たちはその水で生活している。寝る時は潜水する。川底が落ち着くのだろうか?彼らの子どもたちは川底の檻で囲われた学校で泳いでいる。
    長江の町民たちは川岸で潜水艇を見ている。大人たちは眉をひそめ決して交わらない。子どもたちは川を潜り、檻の向こうの子どもたちを見る。
    さすがにエラが生えたりはしていないが、将来は町の人達と潜水艇の農民たちは全く違う人種になるかもしれない。
    ある晩突如として長江に火事が起こる。潜水艇たちは長江に浮かんだまま次々火に覆われる。川岸の町民はただただ眺めている。死よりも生命を感じる一夜が過ぎ、火事が収まった長江には潜水艇の残骸が浮かんでいた。

    『サリンジャーと朝鮮人』韓松
    宇宙観察者の干渉によって時間軸が分岐してしまった。その中の一つでは、北朝鮮軍隊がアメリカを制圧した。というのはですね、「時空を改変して、何でも有りの時間軸を作る」量子兵器を発明したんです。それによりアメリカだけではなく全人類を開放したのだ!
    北朝鮮軍が目指したのは、隠遁生活を送っているサリンジャー。資本主義社会の腐敗を暴いた作家!ぜひ我々とともに歩んでいただきたい!
    しかし隠遁生活を送りたいサリンジャーは取材を拒む。すると、北朝鮮軍は彼の作品を「資本主義を宣伝する有害な文」として禁書にする。そしてサリンジャーの隠れ家を破壊。彼はアメリカ中を放浪することになる。
    宇宙観察者は「北朝鮮軍は人類開放のために行動しているからなあ…」と、彼らを肯定する面と、サリンジャー本人と接触して「サリンジャーの望みはただ静かに暮らすこと」を知っているのでそれを破壊することの否定との間に考えてしまう。
    それに宇宙観察者は中国人なんだ。中国は老成している。だから若々しい北朝鮮の人々としての人民解放、理想主義にはなりきれないんだ。いやそれとも、サリンジャーの小説があまりにも結索でこの世の理を突き破ってしまったのだろうか。


    『さかさまの空』程婧波
    海辺の雨城という市で、わたしは海の底のイルカの会話を収集する仕事をしている。雨城の宇宙は水晶ドームに覆われている。昔話のジャックと豆の木に由来する出来事で、天が地上から隠されたのだ。天に近いのは、海の真ん中にから絶えず湧き上がっている大噴水。海水は落ちては来ず雨となって雨城に降り注いでいる。
    わたしはある時ついにイルカの言葉を聞いた。そしていたずらで元気なイルカの娘ジャイアナと心で言葉を交わすことができるようになる。ジャイアナは、イルカ座にまつわる神話を聞いている。だが水晶ドームに覆われた天からの光はなんと弱々しいのだろう。そこでジャイアナは大噴水に乗り、水晶天を抜けて、もっと明るい光を呼び起こそうとする。


    『金色昔日』宝樹
    ええ、これかなり良い。

    謝宝生(シェ・パオション)が生まれたのは、宇宙が五色に染まり雷光と雷鳴が鳴り響く世界の終わりのような日だった。
    数年後、北京でオリンピックが開催される。(2022年冬季オリンピックでいいよね?)パブリックビューイングの巨大スクリーンで見た中国は輝かしい未来が見えた。


    ここから物語の時間は、私たち読者の現実の時間を遡っていきます。
    このあと起きるのは、Saas世界蔓延(2002年ごろ)→アメリカ軍によるサダム・フセイン逮捕とビン・ラディン捜索→イラクによるサダム・フセイン奪還とビン・ラディン指示のもとアメリカツインタワーへのテロ→中国の経済暴落、コンピューターや携帯電話が使えなくなる→鄧小平が中国細工権力者に→ロシアが近隣諸国との「ソビエト連邦」を設立→米ソ冷戦→世界大恐慌→天安門事件(1989年)

    この世界をパオションは行きていく。彼の心には常に幼馴染で初恋できっと結婚するんだ!と決心したチーチーがいる。
    パオションは北京大学で学生運動家の幹部になり、天安門事件が人々を引き裂く。

    鄧小平が天安門に下した処遇は割と寛大で、パオションは大学退学となる。
    世界も中国も大恐慌、パオシュンは密売みたいなものでなんとか身を立て、そしてSFパロディ作家としてちょっと認められるようになる。どうやら作者の宝樹がSF『三体』のパロディで認められたんだそうです。
    しかし経済はどんどん悪くなり、世界で通信機能も使えなくなっている。そんななか、もう一度学びたいと願ったパオションは北京大学大学院に入ることができて、その上アメリカに留学することが決まる。

    アメリカでは驚きの出来事が!!(ちょっと感動した)

    歴史の遡りは続く。アメリカも中国も弱体化、ほとんど行き来もない。ベトナム戦争が起きて→中国物資は配給制で農村改革が行われ→テレサ・テンの歌が批判され→毛沢東が人々の希望として現れる。
    こうなると行き着く先は、中国では文化大革命、米ソ冷戦激化、世界で核ミサイル開発。
    アメリカと中国は国交断絶し、パオシュンは考える。子供の頃の輝かしい中国は?世界最先端のコンピューター技術は?店に溢れていた物品は?打ち上げられた衛星たちは?


    文革の暗黒時代をパオシェンはただ生き残り、劉少奇時代には荒廃した中国は回復していく。中国も他の国との国交を再開させる。
    パオシュンは過去の作家活動が認められ、ある時サルトルとの対面が叶う!
    人間は、最初から「こういう人間であるべきだ」という本質や目的を与えられて生まれるのではない。生き、選択し、行動していくなかで、自分が何者であるかを形づくっていく。パオシェンは「自分の人生では何もなし得なかった」と嘆く。何をしたかったのか、何を残したのか、なんのために生きたのか。そもそも、自分が生きている世界そのものが意味のある方向へ進んでいるのだろか?
    そこでサルトルとの会話となる。「では順番が反対で、幸福と不幸の順番が変わったとして、不幸がなくなるのか?進歩とは宇宙の一時的な段階に過ぎない。時間は別方向や多重次元を持っているのかもしれない。」「人生の意味は、あらかじめ世界から与えられるものではない。けれど、それは「何をしても無意味」ということでもない。自分の選択や行動を通じて意味を作っていくことができる。」
     世界は実存。
     実存は本質に先立つ。
     その先立つ実存そのものが深い無の中にある。
    時間が決まった方向を持たないなら、人類の未来に世界終末が訪れるのではなく、日々が終末。人類の未来に希望があるのではなく、希望があるのは今のここだ。未来に希望があるから、今を生きるのではない。希望を持てる可能性があるのは、未来のどこかではなく、今ここにいる自分自身なのだ。未来が確定していないからこそ、今の自分もまた、失敗した人間として確定しているわけではない。

    世界はまだ進んでいく。
    朝鮮戦争→台湾の蒋介石の大陸出兵→中国国内での国共内戦。

    「何もなさなかった」パオシェンは、内乱となった中国では共産党の巨悪としてあらゆる悪を広めたものとして指名手配される。なんにもしていない自分が?この皮肉にはむしろ笑うしかない。
    パオシェンが人民解放軍とともに放浪する間に、日本は軍事大国としてアジア侵略、ドイツではヒトラーが近隣諸国へ進軍。世界大戦が始まる。
    だがそれにより、米ソは休戦同盟、中国国内の争いも停止されて日独伊との戦争に向かった。
    日本人としては、なんか、とんでもない時にとんでもないことしてしまって忍びない(^_^;)
    しかし日独伊の戦争が、別の戦争を止め、破壊が別の秩序を生み出したことにもなる。歴史の出来事には、あらかじめ決められた道徳的な意味や、必然的な結末があるわけではない。(侵略を正当化しているのでは有りません)。

    パオシェンはずっとずっと待っているものがある。
    だがある時、それは叶わないと知らされた。
    その時になって分かった。歴史は進歩して、善いことが善い結果につながるという因果関係などなく、もっと見通しのつかないものだとしたら?
    この、失い、損ない、手に入れられず、何もなし得なかった人生を戻すことはできない。しかし時間というものが決まった方向を持たないなら、人は世界の原点、生命の原点、時間の原点に帰ることができ、別の人生を歩めるのなら、今の人生の結果だけで自分の人生を判断する必要はない。
    人生とはこの謎にたどり着くための旅だったのだろう。
    ==
    全体的な歴史の不条理のような「戦争・戦争・戦争」とげんなりしつつ、徐々に時間そのものの不確かさへと進んでいく。
    そこを「何も成し遂げられなかった」と思っているパオシェンが生きる。最後の「原点に戻る〜」は、人生に意味を与えるということから自由になったって感じかなあ。


    『正月列車』郝景芳
    春節帰省の大混乱解消のため鉄道会社が特別正月列車を仕立てた。だがその列車が丸ごと消えてしまった!TVリポーターにカメラを向けられた運営会社CEOは「行方不明では有りません。この帰省列車は快適な旅をするために違う時空を通ります。そこでは通信が不可能になっているだけで、また時空から出てきますよ。」ということをとっても専門用語と、餃子の落書きみたいな図解で説明する。
    ポイントとしては専門用語出しまくる科学オタクっぽいCEOと、一般常識以上を理解する気もないリポーターの噛み合わない会話です。
    結局別時空から出てきた乗客たちは「快適な列車で何日も過ごしたと思ったけど、でてきたら全然時間が立っていないのね。あんな快適な旅で、体感は長時間過ごしたけど、現実では数時間しか立っていないならもっとゆっくり体感したい」と大満足なのでしたとさ。

    『ほら吹きロボット』飛氘
    生真面目な王の元、国は栄えた。だが世継の王子はとんでもないホラ吹きだった!子供の頃に庭の大木の洞からブラックホールを超えて旅をしたんだ!って言い出してからいうことやることシッチャカメッチャカ。代が替わって国は乱れる。さすがにほら吹き王はこのままだと国中の怨嗟が自分に向くと考えた。そこで自分よりももっとほら吹きなやつがいればいいんだ!と考え、ロボットを創らせて「世界一の大法螺吹きになれ!」と命じる。
    ほら吹きロボットは旅に出て、死神から逃れる三人の芸術家に出会う。その後宇宙旅行者の宇宙船に同行して旅を続けているときにブラックホールに飲み込まれて違う宇宙に出た。
    元の世界の主人であるほら吹き王様の元に帰るためには、死神と、死神から逃れようとする芸術家たちの疑問の答えを探し出さなければならない。
    ほら吹きロボットが答えを探し当てて元の世界に帰る時に、王と問答を行う。「朕は公明正大を美徳として国を治めた、お陰で国民は平穏な暮らしができた。しかし年月が立つにつれて朕は、不真面目や笑い、不敬があってもいいじゃんと思うようになった。すると国は道徳的腐敗で乱れてしまった。さあ、真面目とおふざけ、どちらを選ぶべきなのか?」「閣下、運命は双子のようなもの。どちらにも片割れがおります。」
    こうしてほら吹きロボットは、王宮の庭の大木の洞にいるところを見つけられたのでしたとさ。

    『晋陽の雪』張冉
    実際の歴史に、未来からの時間旅行者が滞在しているSF小説。
    舞台は 西暦979年ごろ、中国の五代十国時代で、北漢の都・ 晋陽(しんよう)は、大国の宋に包囲されていた。北漢の皇帝・劉継元(りゅうけいげん)の家臣たちは、籠城派と降伏派に分かれている。
    晋陽の東城別院には、王魯(わんるー)という発明家?がいて、国に不思議なものを流行らせていた。太陽の光を遮って目を守る黒い硝子の雷朋(レイバン/サングラス)、筒から光が出て暗い道を照らす光剣(ライトセーバー/懐中電灯)、そして文字通信機の網絡(もうらく/ネットワーク)。東城別院の朱大鯀(しゅだいこん)は、網絡を使って学問や文章を扱う仕事をしながら、絡まりやすい網絡をスムーズに繋げるための賄賂なんかも受け取っている。ついでにちょっと面白おかしく違う意味に繋いだりもする(炎上させる)。
    そして主のワンルーは、自分が城を守る兵器を開発するからじゃんじゃん戦争していいよ!とイケイケ。
    そこで降伏派は、ダイコンをワンルーの考え方を変えさせる役目を言いつかった。指示した北漢軍高官の郭万超(カクマンチョウ)。常識的に考えてどうやったって宋には勝てん!と読んでいたのだった。
    シュダイコンと対面したワンルーは「自分は未来からの時間旅行者なんだ。未来(発表当時の2000年代の北京大学研究所)時間軸というのはたくさんあって、時空を超えることができるし、いくらでも分岐するってことも分かっているんだ。サングラスやネットワークは未来技術だよ。ちょっと正当な時間旅行の道から外れちゃって、エネルギーを貯める必要があるんだ。そんで歴史では北漢は979年に宋に降伏して滅亡するんだけど、自分の未来兵器でまた分岐歴史を作れるよね」とノリノリイケイケ。
    しかし籠城派と降伏派の争いは複雑に絡み合い、結局北漢は燃えてしまう。なんだよ〜、未来を変えようとして、未来技術を注ぎ込んだのに〜。

    『宇宙の果てのレストラン ― 臘八粥』呉霜
    元ネタはダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク」のなかの「宇宙の果のレストラン」ですよね。
    宇宙の果のレストラン店主は中国人の男とその娘の小魔(シャオモー)だ。給仕はマーヴィンという鬱症のアンドロイド(これはダグラス・アダムスの元ネタに出てくるキャラクターです!)。
    でもダグラス・アダムスのお店とは違ってこちらのお店は、店主を楽しませる話をしたら料金は無料というコンセプト。今は旧正月なので臘八粥が人気メニューだ。そんなメニューにメモくれない暗い顔の客がいた。客は店主に話をする。
    アーチェンという作家志望の男がいた。デビュー作が売れたがそれっきり。この世界では「ミステリー・エージェンシー」という、客の依頼が組織の関心を引くほど面白いものであれば、あらゆる法規もあらゆる宇宙の法則も無視してその依頼を叶えるという組織がある。アーチェンは、「愛」と引き換えに高名な5人の文学者からその才能を移動させてもらうことを依頼した。しかし同じ次元の文学者からではなく、たくさん分岐している別の次元の彼らからだ。こうしてアーチェンは、構成力、文章力などを受け取った。
    こうして才能を奪われた一人が、別の事件世界のこのレストランの中国人店主だった。
    アーチェンは才能を得たが、文作だけではなく生活のあらゆる面でそれが出てくる上に、才能同士が衝突して、生活は支離滅裂になり、その上糟糠の妻へも冷たく当たるようになる。
    宇宙の果のレストラン店長はアーチェンに、彼の妻の日記の話をする。妻はアーチェンに捨てられ死んだが、彼に尽くし彼を愛した日記が残っている。アーチェンが語れる言葉はそれだけなのだ。
    …娘のシャオモーの正体がよく分からなかった(-_-;)


    『始皇帝の休日』馬伯庸
    六国を征服して国家統一の皇帝となった始皇帝は「休暇を取ってコンピューターゲーム三昧の日々を過ごす!」と宣言する。そう、始皇帝はゲームオタクだったのだ!
    このあとの記述は、始皇帝が実際に行った統治や、側近だとか詐欺師(徐福)だとかの歴史の出来事をコンピューターゲームになぞらえて進んでいきます。


    『鏡』顧適
    エドは科学教官のマークから「霊視能力者に会わせてやる」と言われる。出会ったのはリンという少女だった。初対面なのに「またあえて嬉しいわ。この先の未来で私たちは会うのよ」と言って、エドのことはよく知っているようだ。
    通常の人間の記憶は過去から未来に進むが、リンの記憶は未来から過去に戻るのだそうだ。
    エドとリンは不思議な対面を何度か果たす。だがある時リンから拒絶される。
    そしてエドは、マークからリンと自分の特殊な関係を知らされることになる。なんとリンは、エドの多重人格の一つだったのだ。幼少期の経験が、普通の男のエドと、未来を予知するリンに別れたという。科学者マークは多くの偽物の症例をを見てきたが、リンの未来の記憶は本物かもしれないと判断を迷っていた。
    …えーっと、未来の自分の経験を過去の自分が記憶としてもっているんだとか…えーっと面白いと思うんだけど考えがこんがらがってきた。




    『ブレインボックス』王侃瑜
    人は脳に「ブレインボックス」を埋めておくと、死ぬ時にその記憶を保存することができる。生きている人間は瀕死の人間の脳のパターンを自分に同化させることができる。簡単に言えば死んだ人が何を考えているかを知る事ができるってことでいい?
    方鋭(フアン・ルイ)は、飛行機事故で死んだ恋人の趙霖(ジャオリン)の記憶を同化させる。
    ジャオリンはフアンと同棲して穏やかに暮らしていた。だがブレインボックスを脳に埋めたことにより、自分は本当に彼が望むほど彼のことを愛しているのか、自分の本心とは何かを思い悩むようになる。そして彼との結婚に同意するほど必要としていないことを自覚する。ジャオリンは「自分が死んだら、フアンにこの記憶も解読されてしまうのだろうか?ブレインボックスにより人の自我変わってしまう」と悩む。
    だがその記憶を読み取ったフアンは「ジャオリンは僕を愛していた!最後まで僕のことを思っていた!」と涙を流す。
    …いくらその人本人の思考を直接読み取るようになったとしても、自分が受け取りたいようにしか受け取らないってこと?それとも「そんなに思い悩むなんてやっぱり彼女は僕を愛していたんだ!」と、彼女の悩みの奥底の本当の愛を読み取ったってこと?




    『開光』陳楸帆
    周重柏(ジョウションポー)は幼い頃に高僧ご縁があったらしい。
    成長して結婚してマーケティング会社に勤めている。そこでは万(ワン)氏の創った、写真加工を元に戻すアプリの売り込みを考えた。そして「高僧に開光(開眼法要)してもらおう!」となった。するとなぜか大当たり。このアプリでこんなご利益が!などと都市伝説的のように広がっていく。だが高僧がニセモノだと分かって大炎上。ジョウは電子機器を全て手放しお寺に入る。
    そこで「この宇宙にはいくつもの次元がある。このアプリでこの世の基本に戻し、プレイしているもっと大きな存在が分かってしまう」んだとかなんだとか。
    やがて世界破滅?


    『未来病史』陳楸帆
    コンピューター、AIが当たり前の世になっての新しい病気。
    タブレットにだけ心を開く知的障害だとか…、
    すみません、700ページ中国SFでちょっと疲れてきたので最後は頭に入らなくなってきた。


    このあと作者陣によるエッセイも収録されているんだけど、疲れてきたので飛ばし読みでした、、

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    2026年10月23日
  • ミッキー7

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    ・ミッキーのキャラクターが良い。今作で明確に認識できたが、一人称が俺で少しやさぐれていて、読者に語りかけるように皮肉っぽい冗談を言う主人公が好きだ。
    ・とにかく文章のリズムがよく、吹き替えの洋画を観ているような感覚。そもそもの文章の作りと日本語への翻訳、どちらも素敵だからこそのクオリティと思える。訳者に注目したことはこれまでなかったが、大谷真弓の他作品を読んでみたくなった。
    ・物語の展開もスピーディーでダレない。ミッキーが何をするか明確で、背景と目的も分かりやすい。章の区切りも「なんで!?」「どうなっちゃうの!?」と引き込まれるものが多く、本当にあっという間に読まされてしまう。
    また参考として出てくる他惑星や過去の情報もテンポよく小出しにされるので飽きが来ない。過去と現在の情報が行ったり来たりするのはプロジェクトヘイルメアリーを想起させるが、本作では過去の情報が補助的な役割を果たしている向きが強い。
    ・キャラクターの数も丁度よく、個性も分かりやすい。混乱せずに読める感じ。
    セブンとエイトが同じ人格にも関わらず、立場の違いであまり一致していないのが面白い。どちらもユーモラス(当然だが)なので2人の掛け合いはとても心地よく読める。
    ・あらすじでめちゃくちゃ引き込まれた。単なる不死身ではなく、同じ人格で生まれ直す点とそれによる同一性の考え方も面白い。
    全編通して読んだあとにベルトの視点で読み直しても面白そう。
    ・ムカデ側の詳細や思惑が見えきらず、スッキリしない部分はあった。が、そこ含め情報過多にならないよう調整されているからこそリズムよく読めるし適度なボリュームの作品に収まっていると感じる。膨らませようと思えば他惑星のことや科学的な情報をいくらでも膨らませられるが、あえて良い加減に抑えている。

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    2026年04月16日
  • アフェイリア国とメイドと最高のウソ

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    ネタバレ

    表紙に惹かれただけだったけどとても面白かった。
    読み進めていくとダークなことに気づき、お気に入りのキャラクターまで亡くなってしまうのはショックでした。ボクルマ、クレム少年( ; ; )
    クスッと笑えるところも沢山あり、特に後半のグローリアとティモールの会話は楽しかったです。
    希望的な事も沢山起こり、ずっと楽しむことができました。
    デイジーとハインツの子供!ハインツは最後どこに住んでいるのだろう。
    クレム少年のオペラハウス( ; ; )

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    2025年12月20日
  • ミッキー7 反物質ブルース

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    『ミッキー7』の続編。前作の結末から2年経った植民惑星での話。深刻なエネルギー不足が発生し、この星の人類が全滅を免れるためには前作で爆弾に改造した反物質を取り戻し、エネルギー炉に再投入する必要がある、という話。先住生命体が沢山登場したねぇ。巨大なムカデみたいなのとか、クモとか、真菌みたいのとか……
    ミッキーが「人の事を良く見ている」という設定の人物像なのが相まっての事かもしれないけど『ミッキー7』で読んだ作者の書く人間描写がとても好きで。前作で結構話が綺麗に終わるため、ストーリーが気になって続編読もう、というよりは文体が好みで続編に手が伸びたかなぁ。
    例えば『クインの髪は前より伸びている。金色に染めた髪を真ん中分けにしていて、脂じみた頼りない()が細い顔をかこんでいるように見える。』とか、ミッキーにはナーシャという彼女がいるんだけど、彼女と話をするときにミッキーが彼女の肩や膝に寄りかかりながら話をしている様子とか。人間描写が自然な感じがぐっとくる。SFなのに。(隠しきれないSF小説へのド偏見)(主に「三体」のせい)
    ミッキーとベルトの友情、ミッキーとマーシャルの関係に萌え萌え。2年の内に色々あったんだね……

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    2025年10月12日
  • ミッキー7

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    テラフォーミングの移民船で、記憶と人格を引き継ぎながら死んでは再生される「エクスペンタブル」のミッキー。7人目の彼が任務中の事故で命からがら生還するが、基地にはすでに8人目のミッキーがいて……というお話。
    同一人間が存在することへ忌避の念を抱く者、「死ぬってどういう感じか?」という単純な興味を抱く者……主人公を取り囲む環境や、登場人物たちがそれぞれ異なる価値観や倫理観を持っていて、興味深かった。
    地球から遠く離れた地では資源は何もかも貴重で、食料は1カロリーとも無駄にできず、「余分な複製なんてタンパク質がもったいない!」と言われたり。ミッキーの日常はとても過酷。
    ミッキーは文字通り命を懸けて仕事をしている。何度も死んで宇宙船のみんなを救っている。「エクスペンタブル」はそれが仕事だから。それ故に彼をヒーロー扱いするものはいない。
    ここからは少し脱線するけれど、ふとアンパンマンのことを思い出した。もしアンパンマンに番号が付いていたらどうなるのだろうか、と。バタ子さんが「アンパンマン!ナンバー1649の顔よ!」って。
    誰かが「底辺労働者」となるのか「ヒーロー」となるのかってやっぱりその社会がどうなのかが大きいのかな。アンパンマンの世界は金の概念が無く「みんなが喜ぶことが対価」らしい。彼らはやっぱり妖精なんだな、と思う。
    シニカルな口調が印象的で、軽妙さの中に重い問いが潜んでいる小説だった。

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    2025年10月12日
  • ミッキー7 反物質ブルース

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    ネタバレ


    面白かった。前巻の内容、特にエイトがどう死んだかは忘れたけど、ミッキーセブン自体はミミズにも司令官達にも適当な嘘をついて切り抜けたのは覚えていた。
    あと爆弾。

    今巻は、ムカデとロードムービーする。
    冒険に出るまでに、コロニーでの生活やミッキー自身の振り返りはあったものの、前巻よりは歴史の話が少なくてちょっと物足りない。今巻でやることが多いせいだと思う。前巻はベルトに置いてかれてどうにか帰還して、エイトと出くわして二人一役をこなす話だったが、今巻は、コロニーでの燃料の話、ムカデの話、南へ行く話と、アクションが多い。
    その分、この星の生態がわかって面白いが。

    前巻だとエクスペンダブルズという、使い捨ての人間、何度も死ぬ話が、アイデンティティとしての揺らぎとして面白かったが、今回はそんなに。最後に、ナインか、イレブンかはどうなる?というのを気にして終わるが。ミッキー、新しい自分に興味があるのが面白い。でもこれはまた出番があるかも、ワクワクじゃなくて、ビビってるほうか?
    どっちかな。ワクワクのほうに読み取れた。

    恋人のナーシャや友人のベルトが良い奴だった。ナーシャのキャラが面白い。タフすぎる。主人公だよ。ミッキーのどこを好きになったのか、もうちょっと教えて欲しかった。ミッキーってそこまでイケメン設定じゃなかったと思うけど。
    ベルトも格好良かった。
    マーシャル司令官もめちゃ良かった。ミッキーにキレまくってるのが面白いし、最後はさっさと死を選ぶのが英雄すぎる。
    ミッキーというエクスペンダブルズの存在を嫌う=人道主義者なんだなというのが伝わってきた。前巻だと、そこまで良さがわからなかった。
    死んでから良い奴認定するのも、あれだけど。死なないと良い人間だと受け止められないのか?死んだから評価甘くない?みたいな。
    次はマギー・リンが司令官か。
    3巻もあるなら読みたい。


    ムカデ達
    侮ってた相手が自分達よりもはるかに知性があることに気づくところは何度味わっても楽しい。神話はあるの?に即興で作って答えるの笑える。
    機会的であり、幼くもあり、しかし、学習スピードは凄まじい。
    今回、ミッキーから嘘や駆け引きを学んでしまったので、これからどう変化するのか怖いな。でもミッキーの仲間を守るや、信用するしかないところも学んでると思うので、良い方向に行くと良いなという希望的なラストでもある。
    共存共生はうまくいくのか。

    2巻の副題は反物質ブルースだけど、ブルースは黒人音楽のジャンルで、労働の辛さや仲間の死を歌ったものだから、まあまあミッキー達にもあてはまるか?
    辛いこと多かったし。ルーカス死んだのやっぱ悲しい。

    ムカデやクモとか、絶妙に人が嫌悪する形をとっているのが面白いな。訳だとそのままムカデじゃなくて、地を這うものから来てるらしいが。
    砂の惑星デューンとか思い出すけど、西欧だと、ミミズがそこまで嫌われているのか?日本だとなんだろう。鬼とか?ライ病、被爆者。やっぱクモかな。土蜘蛛とかいるし。ヘビもあるな。ナメクジとか?カエル?
    日本人は玉虫の羽根をありがたがって残して飾るくらいだならなあ。貝も食べるし。

    2巻の今巻ではわかりやすいアクションとか駆け引きで、あんまアイデンティティの話が無かったけれど、それでもファーストコンタクトモノや冒険ロードムービーとして面白かった。

    0
    2025年08月26日
  • ミッキー7 反物質ブルース

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    前作以上に抱腹絶倒の展開で一気読みが止まらなかった、SFコメディとしての完成度が高すぎる
    終盤で残りのページ数を見てTobe continuedを覚悟し期待していたのに、あまりにも綺麗に終結してしまってさみしい…

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    2025年05月18日
  • ミッキー7

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    使い捨て(クローン)人間と惑星のテラフォーミングをうまいこと面白く書いた本で楽しかったー!でも細えことはいいんだよ精神がないと引っかかる箇所は多い気がする。結構危機に瀕した生活を強いられてるのにみんな考え方が雑で、そんなんじゃ遅かれ早かれミッキーの件がなくとも失敗してたんじゃない?っていう感じがする。映画は17まで増やされたらしくて、映画自体は楽しみだけどそこまでする必要ある??とも思う。

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    2025年03月14日
  • 12歳のロボット ぼくとエマの希望の旅

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    ネタバレ

    人間がいない世界でロボットが生きていく話だよ。そこで生き残ってる1人の人間と出会って、三台のロボットが人間に心を打たれてね、冒険して人間とロボットを共存させる話だよ(10歳本人談)

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    2025年01月06日
  • ミッキー7

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    ネタバレ

    お話として結構面白かったし、同じ体組成で同じ記憶を有しているクローンは同一人物と言えるのかというテーマもあり、地球以外に居住可能な星を見つけるための移動や環境整備、先住生物の問題だったり、結構深い話だった。
    作者が物理の先生らしいから、全くの空想世界ではなくある程度裏付けがある世界なのも、楽しく読めた理由かもしれない。
    ミッキー7が自身の機転によって見事に生を勝ち取ったラストもよかった。

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    2023年10月01日
  • 無情の月 下

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    改変歴史を描くSF「レディ・アストロノート」第三弾。月面で連続する危機的状況の中、過激派の犯人を探すが……。

    ニコール・ウォーギンは50歳を超えた女性だが、魅力ある主人公だ。これは前作との類似点、つまり閉鎖空間での危機的状況、夫婦や仲間との絆、心理的な弱点との戦い、といった複合的な要素によって、ニコールの心理が緻密に描かれているからだろうか。

    すべての人を疑わなければならない状況の中で、前作主人公エルマと最も仲の良かったメンバーたちが友愛を深め、次第に団結していく姿が美しい。月面で繰り広げられるサスペンス・ミステリーは、中盤やや冗長にも思える長さではあるものの、犯人がわからなければ全員が危ないので、緊張感が途切れることなく続いていく。

    基本的には月におけるニコールの話、なのだが、火星探検隊と地球で起こっていることをつなげ、前作を補完する要素もある。それだけに、前作とセットでの完璧なラストが最高のカタルシスを生んで感動した!

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    2023年02月21日
  • 無情の月 上

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    『宇宙へ』『火星へ』に続く改変歴史SF第三弾。火星探検隊が道半ばに達するころ、ニコールが月へ行くことに。

    前作のヨーク夫妻から今度はウォーギン夫妻へと主人公を変えて、地球と月での物語が展開。すでに月面での経験のある宇宙飛行士であり、カンザス州知事夫人でもあるニコール・ウォーギンが、地球で謎の事故が頻発するなか、月へ向かい、過激派の工作員を探すことに。

    月面基地という閉ざされた世界の中で、宇宙船の事故、停電から感染症など、次々と発生する危機。犯人は仲間たちの中にいる?SFとしての緻密なディティールはそのままに、今作はミステリー調で進んでいく。早く犯人を見つけなければ月面では皆が生き残れないため、連続するトラブルと仲間への疑惑の中で緊張感とスリルが高まっていく。やたら多いページ数がネックにも思えるが、先が気になる展開が続くので一気に読めると思う。

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    2023年02月21日
  • 男たちを知らない女

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    表紙の神秘的な雰囲気にひとめぼれして購入。
    ドキュメンタリーを見てるかのように臨場感溢れる作品で、複数の登場人物の疫病との向き合い方が目紛しく描かれる。

    解説がとても秀逸!すべてを語ってくれていて、答え合わせのようだった。
    男たちを「知らない」女がこれからの世界をどう担っていくのか。男たちを知る女(愛する人を失った女)は後世に何を残せるのか。
    ジェンダーの域を越えた、科学の力を越えた、人間味の試される本でした。

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    2022年04月04日
  • 男たちを知らない女

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    ネタバレ

    災厄な災禍とも言える状態の中で、この作品に出合うことが出来たのは幸運だったと思います。

     インフルエンザに似た症状を起こし、わずか28時間という短い時間で男性を死に至らしめる疫病。

     潜伏期間も短く、死亡に至ってはあっという間。

     ワクチンの開発は厳しく、平凡で幸せな家族が夫を、男の子である我が子の死を見つめるしかない。

     世界は一変し、男性の仕事を女性が行い、食料も減ったために配給制度に変わっていく。

     そんな物語の中心にいるのは、人類学者のキャサリン・ローレンス。彼女は夫と息子を亡くすことになる。

     そして、のちに0号感染者と呼ばれるユアン・フレイザーを診断し、看取った救急外来の担当医であるアマンダ・マクリーン。彼女は夫と二人の子供を失うことになる。

     そして、英国情報局に勤務する黒人女性のドーン・ウィリアムズ。

     こうした人物を中心に物語は変わっていく世界を冷徹な眼差しで映し出していく。

     90%の致死率の疫病が世界を変えていく。人口も減り、人々の役割も変わっていくが、それでも変わらないものもあり……。

     とくに主人公的なポジションにいるキャサリンがこの世界を記録した著作の中で『世界が無差別な残酷に満ちているときに様々な形で示しているときに、どうして楽観的に生きられるのだろう? 楽観主義は特権だ』という言葉が痛い。

     現実の世界でも今、私たちは災禍の中にいる。
     その現実と真摯に向かい合いたいと思わせてくれた一冊だった。

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    2022年03月07日
  • 12歳のロボット ぼくとエマの希望の旅

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    世界にとって害悪でしかない人間を消し、ロボットだけとなった世界。毎日決められたことを完璧に繰り返していた12歳のロボットXR935は、ある日いるはずのない人間に出会う。12歳の少女エマとの出会いがXR935を、そして世界をも変えていく。

    ロボット視点で語られる物語。ロボットならでは思考や行動原理が、すんなりと受け入れられ、人間とは違う存在であることがわかりやすい。
    ロボットと人間が違う存在だと認識させておき、物語が展開するにつれ、本当に違う存在なのかと思わせることにも、ロボット視点ならではの見せ方が活きています。

    背景に深いロボットに関する情報がありながら、ロボットの一人称で語ることでごく自然に読者に伝えています。削ぎ落とす部分は徹底的に削ぎ落とし、行動だけで見せる。だからわかりやすい。
    読者にとって未知のものであるロボットに語らせることにより、人間が未知のものとなる。見せ方の変換、価値観の入れ替え。これこそSFの魅力でしょう。
    初めてのSFとしてこの作品に出会える子らがうらやましいです。児童書のSFを作るいう自負とと矜持が感じられます。

    あなたにロボットの友達はいますか? ロボットは何を考えているのだろう。わからない相手と友達になれない? ならばこの本を読めば、ロボットのことがわかるかも。ロボットと友達になれるかわかるかも。

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    2021年06月04日
  • 翡翠城市

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    アジアン・ゴッドファーザーとも呼べるようなSF超大作。
    翻訳モノにも関わらずスラスラ読み進めることができた。
    約600ページ(それも二段組)という超長編だったので、読み終えるのに時間がかかったけれど、最後まで飽きずに読むことができた。
    圧倒的なスケールと濃厚な物語。
    続編もあるということで続きが楽しみ過ぎる!

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    2021年06月02日
  • ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち<下>

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    ダレン・シャンでうぉぉ~ってなった人は、
    これもうぉぉぉ~ってなると思う

    個人的には、主人公と同じものを実際に見ながら話を読むと物語により入り込む傾向があるとみた

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    2020年02月26日
  • 翡翠城市

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    面白かった!
    翡翠を身に付けた戦士たちの異能バトルは読んでいてアクションが目に見えるようだった。
    無峰会、コール一族の人間模様も最高だった。

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    2019年12月13日
  • 翡翠城市

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    やー、面白かった!つかみもいい、設定もいい、キャラもいい、だいたいタイトルがいいよね。
    これゴッドファーザーじゃないの?!と思いながら読んだら、解説にやはり「21世紀版ゴッドファーザー×魔術」と。でもゴッドファーザーとの大きな違いは、闘う女性キャラたち。ジェイはもちろん、ウェンも、敵ながらアイトも、弱さを孕みながらの強さがカッコいい。

    エピローグ読みながら、続きそうだなーこれ、と思っていたら、やはり続いているらしい、本国ではもう出ているらしい。続きも期待出来そう。邦訳を待つ。

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    2019年11月20日
  • ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち<上>

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    ネタバレ

    2019.9.21

    映画が面白かったから原作も読んでみることに。

    エマとオリーブの特性が逆になってるって読んでみるまで知らなかったから、一瞬あれれ?ってなったけれど、特に違和感なく楽しめた。
    そんなわけで、映画とはヒロインの特性が違うから、この先どんな感じに展開していくのか下巻を読むのが楽しみ。

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    2019年09月23日