ヨルン・リーエル・ホルストのレビュー一覧
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ネタバレノルウェーの作家、ヨルン・リーエル・ホルストの警部ヴィスティング未解決事件シリーズ第三弾。
凶悪犯トム・ケルが逮捕前に隠した死体を探すため、厳戒態勢の元、隠したとされる森へとケルの護送が始まる。だがケルは一瞬の隙をつき逃亡、かねてより疑念のあった共犯者アザー・ワンの姿が浮かんでくる。。。
前2作とは異なり、現在進行形で凶悪犯が逃亡しているため、いつも以上にピリピリした雰囲気が漂う。手堅く、証拠を一つ一つ積み重ねていくスタイルはいつも通りだが、そこに凶悪犯の逃亡が重なるため、スリリングな内容。いつもの過去の事件を洗い直す静かな雰囲気も良いが、本作のように動きが多く緊張感のある展開も良かった。 -
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ネタバレヨルン・リーエル・ホルストのヴィスティング警部、未解決事件シリーズ第二弾。
検事総長直々に、死んだ政治家の家から出てきた高額な紙幣の謎解きを依頼されるヴィスティング警部。秘密の指令のため、必要最小限のメンバーで事件に臨むことが求められる。娘のリーナ等と共に捜査を開始するが、前作で出会った正反対の捜査方法で事件に迫る国家犯罪捜査局のアドリアン・スティレルも絡んできて。。。
今作も読みやすく、ページターナーなところは相変わらず。単純な事件かと思いきや、複数の事件が絡んできて非常に登場人物が多くなる中、収まるところに手堅く収める。派手さはないが、警察小説のお手本のような作品。
コールドケースを扱 -
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ネタバレヨルン・リーエル・ホルストの初読。
ヴィスティング警部の未解決事件シリーズ第一弾。
静かな物語だった。
派手な事件が起きるわけでもなく。外連味があるわけでもない。だけどとんでもなく面白い。
24年前にカタリーナという女性が数字の羅列を残して消えた。ヴィスティング警部はカタリーナの夫マッティン・ハウゼンと、被害者の親族と捜査官を超え、ある種親友のような付き合い方をしている。
一方、26年前の大学生行方不明事件に新たな証拠が出る。その証拠から、カタリーナの夫が容疑者として浮かび上がり。。。
北欧の小説によく見られる、重く暗く残酷な感じは一切せず。ヴィスティング警部らが地道に、コツコツと捜査を -
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ノルウェーの作家ヨルン・リーエル・ホルストの「猟犬」を読み終えました。
最近読んだ「未解決事件四部作」の、「カタリーナコード」「鍵穴」「悪意」「疑念」より前に書かれた小説で、物語の時系列も5年ぐらい前の話。
とはいえ、最近の四部作と同様に、ヴィスティングの冷静な捜査は健在。少し若いヴィスティングと、少し若いリーネ(ヴィスティングの娘)が、協力して事件の核心に迫っていく。
とても面白かったし、ヴィスティングも相変わらずかっこいいのだけれど、事件の流れのパターンが、未解決事件四部作と似てるな〜と思いました。
たまたま、日本語訳されている作品が同じようなパターンなのか、それともヴィスティング -
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またひとつ、面白い北欧ミステリのシリーズを見つけてしまった。嬉しい。
いきなりこう言ってはなんだけど、事件自体は、地味というか、もちろんタイトルにもなっている「暗号」であったり、犯人との駆け引きだったりと盛り上がりも謎もふんだんにあるのだけれど。
私の好きなところは違った、が正しい言い方なのかもしれない。解説の杉江松恋さんにとても共感するのだが、この作品は「人間を描いた」ミステリだと思う。
主人公の警部ヴィスティングは、妻に先立たれ、娘のリーネ(職業は新聞記者)と孫のアマリエと共に(同居ではないものの)暮らしている。仕事一筋。
冒頭のヴィスティングがアマリエ(2歳)の子守りをしていて、ある -
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ノルウェーの人気ミステリ、警部ヴィスティングもの。
「猟犬」もとてもよかった、あのシリーズです。
ノルウェーの地方都市ラルヴィク警察の警部ヴィリアム・ヴィスティングは誠実な男。
24年前に失踪したカタリーナ・ハウゲンの事件をいまだに気にかけていました。
カタリーナ・コード(暗号)とは、台所に残されていたメモのことで、意味が解らないまま。
失踪した10月10日には、カタリーナの夫マッティンを訪ねて、語り合うのが習慣となっています。
ところが今年、行ってみるとマッティンは留守。
国家犯罪捜査局(クリポス)未解決事件班の捜査官アドリアン・スティレルがやってくる思いがけない事態に。
26年前のナデ -
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本書は、連続少女強姦殺人の凶悪犯の逃走という、まるで大団円のようなシーンで最初の100ページが費やされる。最初から手に汗握る設定である。凶悪犯に付き添い、割りを食う役が、我らが主人公ヴィスティングであり、撮影役を請け負うフリーランスの記者であり娘でもあるリーネが、共に冒頭の一大アクションに巻き込まれるという仕掛けである。
何者かにより、予め計画されたこの闘争劇には、スタン・トルネード弾までが使用され、複数の警察官の重症者も出る。責任問題と事件の収束と、どちらの責任をも双肩に背負うことになったヴィスティングは、世間の耳目を集めるスキャンダラスな脱獄ショーに続く悪夢のような時間を過ごすことに -
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『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ!
また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シリーズをWOWWOWオンラインで視聴することができたので、同時に楽しませてもらっている。原作とはイメージ -
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人間に寄り添った小説、と巻末解説でミステリ評論家杉江松恋が書いている。ミステリ―国籍では珍しいノルウェイ。人口2万3千の地方都市ラルヴィクは著者の住む町でもある。ヒーローは初老の警部ヴィスティング警部。ジャーナリストの娘リーナは、組織的に対立に近い立場でありながら、作品の一方のヒロインでもある。
この地方都市にやって来たのは、出世頭であり冷血ぎみの手段を択ばぬ実績主義者の捜査官スティレル。鑑識技術の進歩により、27年前の未解決失踪事件の新たな証拠が出たという。ヴィスティング担当した25年前の別の未解決事件の被害者の夫がスティレルの第一容疑者として狙われる。マッティン・ハウゲンは妻が暗号を -
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ネタバレ北欧からのサスペンスで、珍しくノルウェーが舞台。文章が滑らかで読みやすく、適宜混ぜられる風景描写やキャラ付けも上手い。一人称の小説だが、面白いのは父と娘それぞれの視点で描かれ、警察官である父が追う17年前の事件にまつわる真相と、記者である娘が追う現在の殺人事件が、やがては(予想通りに)結びついていく構成になっていること。どちら側も丁寧に描いてあるので気持ちよく読める。しかも、北欧ものにしては珍しく?残酷描写も少ない。
そもそもこの訳者がうまいのかもしれない。特に北欧というか英語圏以外の小説の場合、登場人物の名前が憶えにくいので詳しい人物一覧が載っているのもありがたかった。
ただこれがシリーズの -
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「ガラスの鍵」賞を受賞した、ノルウェーの警察小説。
手際のいい書きっぷりで、スリリング。
楽しめました。
ヴィリアム・ヴィスティング警部は、警察勤務31年のベテラン。
17年前の事件で証拠捏造があったとある日突然訴えられ、停職になってしまう。
捜査権もない立場で、自らの無実を立証できるのか‥?
娘のリーネは新聞記者になって5年。
ある事件の取材中、父の危機を前もって知り、特種をとろうと必死になっていた。
それぞれに限界はある身だが、真相を突き止めようと協力し、離れていても支えあう父娘。
ヴィスティングは長く連れ添った妻をなくし、その後に思いがけずにスサンネという恋人が出来た。
だが、スサ -
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17年前の証拠偽造の責任を問われて停職処分になったヴィスティング刑事が新聞記者の娘と共同して真実を暴く物語。休日中や停職中の刑事を主人公にしたミステリというのは、それがシリーズ作品であったりすればなおのこと個性的なストーリーになることが多い。停職により、銃器やバッジを携帯していなかったり、警察署の資料を公的に漁ることができなかったり、底意地の悪い上司の妨害に合ったりするのが定番だからだ。
いわゆる普通の捜査ができずハンディキャップを背負っている刑事である。しかも自分を罪に問う疑惑を、その逆境から自力で救い出さねばならない。主人公であるヴィスティングはノルウェイでは人気のシリーズでありなが -
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印象的な表紙絵に惹かれて手に取った北欧ミステリー、「警部ヴィスティング カタリーナ・コード」
タイトルもカッコいい。
北欧ミステリーと言えば
個性強めな主人公(あの人やあの人)を思い浮かべてしまうけど、この作品の主人公はごく真っ当で
性格も穏やか。普段は娘と孫を気にかける優しい男。
仕事に関しては
地道にあきらめず、証拠を積み上げ真相に迫るスタイル。
じゃあ退屈なのかと聞かれると、意外とそうではなかった。
性格が良いので、変にキャラクターにイライラすることなく物語に浸れるし、
静かだけど不穏な空気も感じられ、緊張感も最後まで持続。序盤で散りばめられた事件のヒントもきれいに回収。
ノルウェー -
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ノルウェーの警察小説。
ヴィスティング警部の未解決四部作(コールド・ケース・カルテット)の3作目。
二件の殺人で長期服役中の男トム・ケルが、第三の殺人を告白。
遺棄した場所を教える見返りに、待遇のいい刑務所への移送を要求しました。
ケルが指定した現場の森は、ラルヴィク警察の管轄内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは厳戒態勢を敷いたのだが。国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士もその場にいた。
ケルは隙をついて逃走、爆発まで起こった。隠れた共犯者が準備していたのだ‥
苦しい立場に立たされてしまったヴィスティング。自身も自分の責任を痛感することとなった。
スティレルは、ケルを敢