三浦瑠麗のレビュー一覧
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『日本の有権者の投票行動がごく限られた憲法や日米同盟をめぐる対立軸によって大きく影響を受けている…政権交代のために必要な対立軸が日本政治には欠けている』
『桜を見る会問題でいったん低下した内閣支持率は、安倍政権が何もせずとも年を越すと回復した…自民党支持に多くあげられる理由は「他に選択肢がないから」つまり野党の魅力が少ない』
『野党政治家が政権への怒りを表明したSNS投稿で稼ぐ、数千から数万程度の「いいね!」は、所詮内輪での「バズり」であり、そうした戦い方では支持を広げることはできない』
『政党が長く存続し、支持を集め続けられるかどうかは、組織運営とリーダーシップに加えてブランド戦略何重要』
『特定の政党だけを支持するのではなく、与野党双方をフェアに評価しようとする人たちがそれなりの数存在することは、日本政治を穏健にしていると言えるだろう。究極的には、それを理解している政治家がどれだけいるかで政治の健全さが決まる』
『日本の女性の社会進出は過去最低で、先進国のなかでも最低残って121位という不名誉な地位』
『日本の弱点の一つは、その女性幹部比率をあげようとしても振るべき袖がない』
『いまの若者のもつ経済・社会的価値観が新たな中道になる。日本の未来の政治の主役は彼らであるのだから、年長世代の価値尺度のみで彼らのことを測ってはならない』
『統治よりも自由を、管理よりも自我を重んじてきたはずの自由主義諸国が格差の拡大につれて民情の安定を失ったとき、それでも自由を選ぶのだと言い切れる人は少ない。その結果として社会から競争が失われて懐古主義が台頭し、ある種のすさまじい競争を国内に抱える中国に負けてしまう』
著者の山猫研究所監修の簡易版「あなたの価値観診断テスト」の説明とその結果の日本人の価値観とは?
「分断」と聞くと昨年のアメリカ大統領選挙にあったように人々を二分し、対立を煽る。≠統合や団結と勝手に思っていたが、政治的な議論においては分断を恐れてはいけない。正しい分断の議論が必要である、と書かれている。 -
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三浦瑠璃氏による、ご自身の山猫研究所監修の簡易版価値観調査の説明と結果、そしてそれに関連した価値観の違いによる分断について意見を述べたもの。以前にこの簡易版価値観調査は実施したことがあり、今回、詳しくその見方を理解できたことは有意義であった。さらにその結果から読み取れる日本人の傾向も興味深かった。後半は、調査結果からわかる日本人の価値観の特徴を各政党が活かしきれていない実態と、政治的な議論においては分断を恐れず、むしろ分断した方が状況としては望ましいと述べている。確かに、安全保障や社会保障、原発などエネルギーなどの大きな論点については、賛否両者の議論を真剣に戦わすことにより、早期の進展がみられるのだと思う。正しい分断による議論が必要ということだろう。勉強になった。
「私たちはどれだけ日本社会を実際に「知って」いるのか。経験と勘に基づく印象論で語ることなく、かつ不必要に難解になることなく、ある意味で愚直に客観的にファクトを追求してみようというのが本書の試みだ」p11
「米国は移民の流入が激しく、マイノリティが増えているため、世代交代によらずとも保守が相対的に減少しつつあることが特徴として挙げられる」p21
「これからの米国政治はポピュリストの奪い合いということだ」p26
「(日本の野党の政策)現実問題として外交安保リアリズムをとる人が国民の多数を占めるため、安全保障でリベラル票を惹きつける戦略を維持する限りは、政権交代は難しいということである」p52
「現状の日本の選挙を眺める限りでは、どうも野党は「自民党を嫌いな人びと」にばかり訴えかけようとしているように見える。いわゆるスキャンダルや政治不信を利用した戦い方はそれにあたる」p55
「(野党の戦い方)結局のところ、日本の選挙で勝とうと思うのならば、価値観を外交安保で中道リアリズム寄りに振ったうえで使える戦略をすべて動員するしかないのだ」p74
「日本の小学校から大学相当の高等教育にかかわる公的支出は、先進国の中で著しく低く(2016年の支出はOECD35か国中最下位)、その代わり、家計が他の先進国とのギャップを担っている。つまり、ごく単純化して言えば、余裕のある家庭が支出する塾代や習い事といった出費があってはじめて「先進国並み」の教育環境が手に入るということになる。私立のお受験、英語教育、インターナショナル・スクール。お金や知識がある親の元で育った子供たちは、英語を身に着けたり、海外へ行ったり、バイオリンを習ったりして、貧しく育った子供たちを引き離す」p77
「日本人ならば誰しもが経験するとおり、日本社会では空気を読む能力が非常に高く評価される傾向にある。抜け駆けをせず、根回しをし、相手の望むところを察することで集団内の秩序を保っている」p89
「各国の経済をめぐる政治的な左右対立を象徴するのは、分配重視か成長重視かだ」p98
「経済や社会政策で多少自民党と価値観がずれていても、外交安保リアリズムの有権者の多くは自民党に投票することを確認してきた」p129
「私は議論の中で「これからは社会政策の革新性をめぐる闘争になるだろう」という見通しを両者(与党と野党)に示した」p132
「(環境政策・グリーン問題)グリーン分野の投資を加速させることでイノベーションを促進し、新たな付加価値を生もうとするもので、環境政策というよりもはや各国の成長戦略の一丁目一番地となっている」p138
「つらいことだが、政治とは、それ程理想が異なるわけではない人々を分断する活動である。双方が同じくらい理想だと思える社会を提供できるはずなのだが、両者の力点の置き所が異なるがゆえに、政治闘争が生じてしまう。そして、本来はそれほど異なるわけではない政敵にレッテル貼りをして、そのレッテルを責める、という不毛なゲームでもある」p141
「(女性活躍)日本の弱点の1つは、その女性幹部比率を上げようとしても振るべき袖がないということだ。少数者の女性は、男性社会で本気の権力闘争を勝ち抜かなければ幹部にはなれない」p148
「保守派ナショナリズムをその核とし、革新派コスモポリタンな世界を思い描いてきた。分かりやすく、「日本」で構想するか、「世界」で構想するかの違いと言ってもよい。もうひとつの根源的な違いは、どれだけ急速に社会を変革するかである」p167
「統治よりも自由を、管理よりも自我を重んじてきたはずの自由主義諸国が格差の拡大につれて民情の安定を失ったとき、それでも自由を選ぶのだと言い切れる人は少ない。その結果として社会から競争が失われて懐古主義が台頭し、ある種のすさまじい競争を国内に抱える中国に負けてしまう。私たちが直面しているのはそういう構図だ」p177
「民主主義が当たり前になった結果として、社会の分断に注目が集まり、与野党による価値観の二極化が批判されているが、政治による分断は、それが内戦ではなくゲームにとどまる限りにおいて存在意義を見直すべきではないだろうか」p200 -
Posted by ブクログ
三浦瑠璃氏が、日本について考えを綴ったもので、雑誌に掲載されたコラムをまとめた本。専門の安全保障よりも、女性や子どもについてや政治・メディアなどについて幅広く意見を述べている。三浦氏の率直で客観的な意見は参考になる。面白い。
「日本の政治の世界は、論評する分にはまあまあ面白い」p4
「平和を考える学問は、戦争の研究をしないと成り立たない」p14
「政治家は、人の話を聴く職業ではなかっただろうか。彼らはしゃべるだけではなくて、聴く練習がほんとうは必要なのかもしれない」p28
「大学を無償化するのなら、大学人の焼け太りになってはならない。大学が結果を出すことを社会は求めるだろう。すでに少子化問題に直面している大学にとって、無償化は競争を迫られる「黒船」なのだと思う」p56
「日本に欠けているのは単に多様性だと思う。そしてリーダーシップ教育」p67
「配偶者控除は、女性の社会進出を阻む象徴的な存在だったと思う。それは専業主婦世帯の「特権」だからではなくて、余裕がなくて働きに出ても主婦は低賃金しかもらえないから。その構造に、時間を制限して働く一人親が落ち込んでしまう。一人で家計を支えているのに、低賃金の職にしかありつけない。日本において子育てと労働を両立させることの難しさ」p88
「ファッションなんて、とバカにする人もいるだろうが、服装には外交的な意味合いが込められている。例えばメラニアさんがフランス人のデザイナーによるトリコロールカラーのドレスを晩餐に着たのも、両国の国旗の共通色を通じて友好や相手の文化への尊重を示すポーズだ」p124
「(小室哲哉)1990年代の栄光を背負いながら創作し続けるというのは、こちらには想像できないことだが、さぞかししんどいことだろう」p137
「いまの日本社会に見えにくいものは人間の「本気」だ」p147
「よく、子どもに手がかかる、言うことを聞かないと愚痴をこぼす親御さんが、保育園で集団の同調圧力が生じた瞬間に嬉々として言うことを聞くわが子を見てびっくりされることがある。言うことを聞くのは、何も保育士さんがプロだからというだけではなくて、集団のなせる業なのだけれど」p162
「権力者は笑われるのが嫌いだ」p181
「権力や戦争、革命にとって共通の敵は、笑い。笑いとは、一歩引いて世界を見る余裕の上に成り立つもので、みんなで同じ方向に突っ走るのを阻止するだけの破壊力を持っているからだ」p182
「夫婦がちくっとお互いに嫌味を言いあうのはなぜかといえば、相手に与えた分が返ってこないことを問題視して、嫌味による債権の「取り立て」を行っているからなのだと思う」p209 -
「トランプ時代」の新世界秩序
- カート
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試し読み
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ネタバレ
三浦さんと乙武さんによる対談。三浦さんの話を乙武さんが聞いている様子が、とても心地良い。
「弱い存在を守ることと、リアリズムに立つことは、両立します。
私にとって理性で物事を判断するということは、けっして感情を殺すことではなくて、真実を見つめ続ける強さを裡に養うということです。」
強くて美しい、大好きな女性だなと思う。
以下、共感したところ
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「自分を伝え、相手をわかろうとする行為が関係を疲弊させる可能性ってありますね。とりわけ女性にとって、パートナーに自分を理解してもらうということは大事なように思います。
男性の多くが求めているように、単に相手に「受容される」というのではなくてね。でも、たいていの場合その望みは完全に満たされることがない。理解してもらえない気持ちを抱えながら、ぎりぎりのところを生きている女性は多いのではないかな。」(三浦さん)
男性の「受容されたい」と女性の「理解されたい」は似ているようで全く違う。理解してもらえない気持ちを抱えながら、ぎりぎりのところを生きている。読んでいて胸が痛くなる言葉。
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「自分が愛や献身を捧げる男性を、何をくれるかという比較衡量で選んだりはしない。
結局のところ「自分」について考えているだけ、自己中心的にみえる。」(三浦さん)
女性を悲しませて「自分が情けない」と感じる男性に、「そうじゃなくて」と思ってしまう。
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「特定の人との閉ざされた関係性を構築することに、どうしても不安がつきまとってしまう」(乙武さん)
無意識のリスク分散だろうか。閉じ込められる不安みたいな気持ちは凄く分かる。
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「魂に関してですが、人は悲しい経験をして、それをどう受け止めるか、それによって魂を育てることができるのではないかと思います。それにどう向き合ったかで魂にどれだけ敏感になり、どれだけその動きに耐えられるか、感じ続けられるかが決まるのではないかと。その意味では、魂がない、なんて人は当然いなくて、魂を感じるしんどい作業をやるかどうか、常にそれを感じてあげられるかどうかということなんじゃないですか。」(三浦さん)
三浦さんが「魂」という言い方をしているのが凄く素敵だなと思った。聴き慣れた言葉で言えば感受性なのだろうけど、そこに魂があると感じているからこその表現。
茨城のり子の「自分の感受性くらい」を思い出した。 -
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非常に面白かった。
政治の世界に疎い理由の一つとして、よく分からないから、ってのがあると思うが、この本はまさに題名通り、政治を選ぶ上での着眼点をつけてくれる。
そうか、この点を物差しにすればいいのか!
と気づかせてくれる良著。
橋下さんは元から嫌いではないけど、この本を読んでますます好きになった。ものの見方が冷静で客観的なので、全体的に凄く説得力があるとおもう。
後、外国人による日本の土地の購入や、中韓との付き合い方の下りは目から鱗がおりた。
相手に敬意を示しつつ、主張すべき点は主張する。
これは政治を超えて、生きる上で気をつけるべき点だよね。 -
Posted by ブクログ
リアリズムとこれから日本が歩む道の心細さと怖さを考えさせられた一冊。
僕自身、戦後秩序からバブル崩壊、21世紀初頭の政治に関して認識が整理できていないところがあったので、本書の透徹したリアリズムに基づく各ファクターの整理と提示を読むことで、現実を把握するという意味で有意義だった。
安全保障については理想論ではなく現実を直視すべきというのが著者の基本的なスタンスだと思うし、そこには概ね同意できる。正規軍を持つことが国家の構成要素として必須であることが国際的な常識であることも、安全を担保するには一定の血のコストを覚悟することが必要という現実があることも理解できる。が、やはり日本人としてはそのドライな要件に沿わせることは怖い。安全保障政策の主たる目的には戦争回避が含まれるはずだけれど、そのために戦力を堂々と保持していくことの怖さ。台頭する中国や危険な北朝鮮、アメリカの一国主義的指向への変化……という情勢の中で、震えながら道を選んで踏み出して行かねばならないのかと、一考した。
勿論、僕個人はそんなことばかりを考えて暮らしていくわけではないし、これはこれ、それはそれ。著者のようなその分野の専門家の見解を時に咀嚼しつつ(鵜呑みにはしない)、粛々と自分の暮らしを作って行くだけなのだけれど。 -
「トランプ時代」の新世界秩序
- カート
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試し読み
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Posted by ブクログ
前著「シビリアンの戦争」が興味深かったのをきかっけに著者のブログもちょくちょくフォローしていた。ブログ読者にとっては既読の項目も結構含んでいる。
ナショナリズムを嫌悪しつつ空想的平和主義にも懐疑的な穏健保守、といういわば「ビジネスパーソンの気持ちいいところ」が立ち位置の人、という印象を抱いていただけに、この割とラディカルな書名はやや意外かつ期待値は高かった。お、あえてこのタイトルなら予定調和でない何か新しい視点が得られるかも、と。
その観点からいうと、安陪政権に対する評価が総じて肯定的なのはやや肩透かし。もちろん「肯定している」ことそれ自体への不満ではなく、それなら別にこの書名でなくてもよいのでは、という意味で。これだと文字どおり「日本に絶望している」想定読者層の一部は途中で投げ出してしまうのではないか。
その意味では、圧倒的に迫力があったのは「非正規、女性」にフォーカスした労働市場の論考だった。こういう人々にまっとうに報いないで何のための国民国家か、民主主義か、という一連の主張はもっとも切実に響いた。繰り返しだが、読むべき人たちが外交・安保部分で「ちっ、政権万歳か」とここまでたどり着かないとすれば、それはもったいないという思いだ。
要は、国民国家という形で経済の際限なきグローバル化を一定程度せき止める(そのための防衛コストも税金として国民に負担させている)以上、その枠内の人々の不公平は許容すべきでない、ということと理解した(結果としての格差もさることながら、「世代」とか「性別」といった基本的には変えようのない前提条件の不公平の是正)。私はこれに強く共感するし、この点の進捗のあまりの遅さこそが著者のいう「絶望」なのかもしれない、というようなことを思った。