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「人生は一回限り。人間、迷ったら本音を言うしかない」――常に冷静に、建設的な議論を求めるスタンスで言論活動を続けてきた著者が、思うままに本音を語る。「“リベラル”にも女性憎悪は潜んでいる」「『性暴力疑惑』を報じる価値」「政治家が浮気してもいい」「怖がっているだけでは戦争はわからない」「恋は本当に美しいものだから」etc. 政治について、孤独について、人生について、誠実に書きとめた思索の軌跡。
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Posted by ブクログ
数年前、初めて彼女をテレビの討論番組で見た時、正直好感が持てませんでした。 それから時を経て、私が変わったのか、彼女が変わったのか、はたまたその両方かは分からないけれど、彼女の言葉はすんなりと耳に入るようになり、時に心を打つようになりました。 同世代として、彼女がどのように世の中を見つめ、何を考えて...続きを読むいるのかより興味を持ち、本書を手にしました。 戦争と差別、今私が1番興味を持っているテーマについて考えることのできる一冊でした。 もちろんそれ以外についても書かれているのですが、彼女の思考の根底にそれがあるのか、私がそれだけを汲み取ってしまうのか、とにかくこの2つに関することが特に印象に残りました。 多様性を理解し、「ものにしたい」と思いつつも日常のふとした場面で自身の偏った考えに自己嫌悪する私から見た著者は、それを既に自然と身に付け、世の中にアウトプットできるレベルにあるように感じました。 この点においては素直に憧れます。 この点に関して印象に残ったのは 「多様性を裡に持つ家庭は色々なところがフラットだ。」 「人間にとって、周りに承認されたい、受け入れられたい、という思いはすこぶる強いものだ。それが否定されるの誰にとっても辛いこと。加えて、不器用だったり、根が自由人で集団行動や環境への適応が苦手が子もいる。」 「その子たちにはその子たちの良さや個性があるのだから、困難だって一つ一つ違う。ただその過程で気を付けたいことが一つだけある。困難を抱えている子たちを美化しすぎるあまり、何か特別な才能と引き換えに困難が与えられているのだと考えてしまいがちなこと。(中略)受け入れているようでいて、どこか優れていることを要求する安易な態度だと思う。」 という文章です。 多様性と関連して、差別についても本書では書かれていますが、中でも感謝したいくらい的を得た意見を示してくれたのが女性差別について。 女性差別やセクハラに関する報道や意見などを見聞きする度にモヤモヤとしたものを感じていたのですが、ようやくそのモヤモヤの一因がハッキリしました(厳密に言えばエマ・ワトソンの言葉ですが)。 また、セクハラを受けた時に声をあげ(られ)ずに早く忘れてしまいたいと思う一方で何度も思い出してしまいグッと奥歯を強く噛みしめる思いも彼女はうまく言葉に示してくれていました。 本書にある彼女の考え全てに賛同するわけではないけれど、同世代で育児をしながら仕事をして、このように世の中を見つめ、自分なりの考えを持っている人がいるのだという事実は大きな刺激になります。 たどり着く考えは同じでなくても、彼女の世の中の見つめ方はお手本にしたいところ。 そして子どもとの向き合い方も参考にしたいところです。 読み終わった本は基本的にすぐ手放す主義ですが、とりあえず数年間は手元に残し、折に触れて読み返したいと思います。 2020年53冊目。
最近お見かけするようになった三浦瑠麗さん、読んでみました。 女性が書いたビジネス書が少ないのはなぜだろう。短編集の要素もあって、小説としても良い作品でした。月くんと惑星くんのコラムが好き。
国際政治学者という立場なので当然だが、政治や戦争のことなど難しいワードが並んでいる。が、0歳児の子育てをしている身でこれを読むと、どうしても母親としての彼女の側面に目がいってしまう。 メディアで、おじさん達を論破する姿を目にする機会が多いが、女の子のママでありワーキングマザーでもある著者。 普段見...続きを読むられない一面を見ることができ、素直に素敵なママだなぁと思ったし、今後は彼女の発言を違う目線で聞いてみようという気になった。
週刊新潮にて連載された、3ページ程度のコラム。 この人の言葉選びのセンスはとても美しく、好感が持てる。 戦争、政治など、とかく男性目線で男性によって語られることあの多いトピックを女性の視点で柔らかく、しかしスパッと切っていく様はお見事。
三浦瑠璃氏が、日本について考えを綴ったもので、雑誌に掲載されたコラムをまとめた本。専門の安全保障よりも、女性や子どもについてや政治・メディアなどについて幅広く意見を述べている。三浦氏の率直で客観的な意見は参考になる。面白い。 「日本の政治の世界は、論評する分にはまあまあ面白い」p4 「平和を考える学...続きを読む問は、戦争の研究をしないと成り立たない」p14 「政治家は、人の話を聴く職業ではなかっただろうか。彼らはしゃべるだけではなくて、聴く練習がほんとうは必要なのかもしれない」p28 「大学を無償化するのなら、大学人の焼け太りになってはならない。大学が結果を出すことを社会は求めるだろう。すでに少子化問題に直面している大学にとって、無償化は競争を迫られる「黒船」なのだと思う」p56 「日本に欠けているのは単に多様性だと思う。そしてリーダーシップ教育」p67 「配偶者控除は、女性の社会進出を阻む象徴的な存在だったと思う。それは専業主婦世帯の「特権」だからではなくて、余裕がなくて働きに出ても主婦は低賃金しかもらえないから。その構造に、時間を制限して働く一人親が落ち込んでしまう。一人で家計を支えているのに、低賃金の職にしかありつけない。日本において子育てと労働を両立させることの難しさ」p88 「ファッションなんて、とバカにする人もいるだろうが、服装には外交的な意味合いが込められている。例えばメラニアさんがフランス人のデザイナーによるトリコロールカラーのドレスを晩餐に着たのも、両国の国旗の共通色を通じて友好や相手の文化への尊重を示すポーズだ」p124 「(小室哲哉)1990年代の栄光を背負いながら創作し続けるというのは、こちらには想像できないことだが、さぞかししんどいことだろう」p137 「いまの日本社会に見えにくいものは人間の「本気」だ」p147 「よく、子どもに手がかかる、言うことを聞かないと愚痴をこぼす親御さんが、保育園で集団の同調圧力が生じた瞬間に嬉々として言うことを聞くわが子を見てびっくりされることがある。言うことを聞くのは、何も保育士さんがプロだからというだけではなくて、集団のなせる業なのだけれど」p162 「権力者は笑われるのが嫌いだ」p181 「権力や戦争、革命にとって共通の敵は、笑い。笑いとは、一歩引いて世界を見る余裕の上に成り立つもので、みんなで同じ方向に突っ走るのを阻止するだけの破壊力を持っているからだ」p182 「夫婦がちくっとお互いに嫌味を言いあうのはなぜかといえば、相手に与えた分が返ってこないことを問題視して、嫌味による債権の「取り立て」を行っているからなのだと思う」p209
苦労があっての現在の発言だと共感した。 2年間のコラムをまとめたものだが、少しの弱さと相反する潔さ、素敵な人に思えた。 書籍の中で紹介された映画でデトロイトは見た方が良い。
話題になった本「孤独の意味…」の背景、朝生やワイドショーに出続ける真意などが窺い知れるエッセイ。また、猫派だと思っていたが、実はペットの犬二匹と死別していた過去があるそうで。
週刊新潮に連載されていたエッセイやコラムをまとめた一冊。 政治について、人生について、など題材は様々だが、三浦さんのまっすぐな性格が、強さも弱さもひっくるめてよくわかる。とくに娘さんとのエピソードの数々は、短い絵本を読んでいるかのように美しく微笑ましくて素敵だった。
三浦瑠麗さんをテレビでお見かけして興味を持ったため、どんな人物なのか知るために本書を購入しました。 時事ネタはどうしても情報が古くなってしまいますが、子どもとの向き合い方や夫婦のあり方に、彼女の生き方を感じました。
「朝生」や他のメディアでの、あくまで建設的な議論を維持するための落ち着いた姿勢、穏やかな声音、噛んで含めるような話し方、その言葉選びがどうにも好ましく(あと美人なとこも)、一度この人の書いた物を読まなければなあとぼんやり思っていた。本書は約2年間のエッセイやコラムをまとめたもので、表題のとおり彼女の...続きを読む日々の思索を、時に政治学者として鋭く、女性として凛々しく、そして母として穏やかに綴ったもの。ともかく思ったより早く読めてよかった、2,3年前の時勢なんてすぐに忘れてしまうから。 自己啓発本のように押し付けがましくなく、ぽつりとした独り言のような呟きなのに決してスルーはさせない強さと存在感が、文学的で瑞々しい文章に溢れていて、その一つ一つの言葉の選び方にも彼女の人となりを感じる。言葉を、そして言葉を媒介に想いを伝える行為を大事にしている人なんだなあという印象。 話題は多岐にわたる。大学無償化、女性専用車両、リベラル、ポリコレ、配偶者控除、#MeToo運動、浮気報道、ポピュリズム、体罰、教育、家族、etc. 政治的な話題に関しては「見事にメディアに踊らされてんなあ」という自省の念が強かった。勿論三浦さんの意見が絶対的に正しいというわけではないが、それにしても彼女が言及した「世間」の反応と当時の自分を当て嵌めると苦い思いが込み上げる。常に自分の頭で考えることは、心がけていても実行するとなると難しいし、「考えられていなかった」ことを自覚するのはもっと難しい。それだけでも私にとって本書を読んだ価値はある。 あと、同じ女性性を持つものとしてはやはり、性差別問題や母としての子供・教育への眼差しが印象深い。女性専用車両の問題は、小説「82年生まれ、キム・ジヨン」の「不当に恵まれた性への嫌悪」を彷彿とさせたし、過熱する#MeToo運動に対するカトリーヌ・ドヌーヴさんらの声明や、不当なバッシングを受けたエマ・ワトソンの世間への反論は、日々のちょっとした引っ掛かりやモヤモヤを的確に形にできる人が世の中に存在するのだと、安心と勇気を与えてくれた。そして、大きな愛情に裏付けられつつも冷静さを失わない母としての三浦さんの眼差しは、私もそう在りたいと思わせ、そう在れるように自分を大切にすること、思索から逃げないことを提示してくれる。見え隠れする人間としての弱い部分も、なんだか可愛らしくて魅力的だ。 どうしても時事的な要素が強いので、あまり間を置くと再読には適さないかなと思うが、彼女の"これから"は追いかける価値があると思う。コロナ禍の今、彼女の目には世界がどう映っているのだろう。
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