高野優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
700ページ強! バッグの中で重かったぜ…
パリにて、頰を耳まで切り裂かれ、喉に石を詰められ、下着で縛られたストリッパー連続殺人に始まる第1部。アウトロー刑事が暴力と強引な操作で追い詰めた「犯人」が、第2部で有罪判決を受けて収監されてから、怒濤の展開の第3部という…気の抜けない作り。
いやー、英米ミステリを読み慣れてると、ヨーロッパ大陸の捜査官たちの行動は破天荒だなあ。ネスボの「ハリー・ホーレ」もだけど、不法侵入から証拠破棄までなんでもあり。そのワイルドさにグイグイ惹きつけられて、ページを繰ってしまうけれども。
絵画・歴史から日本の緊縛まで、JCの豊富な知識と美学が、背景また道具立て -
Posted by ブクログ
ジュール・ルナール『にんじん』新潮文庫
はじめの方は、読み進めれば進めるほどに憤りや嫌悪感、不快感が募るばかりだった。
一言で片付けるなら、かわいそうなにんじん。
しかし、話が進むにつれて、段々とお母さんの方がかわいそうに思えてくる。
なぜなら、お母さんは誰にも好かれていないからだ。
一方のにんじんは、母親からの精神的虐待はあるものの、彼を想う人は周りにいく人もいる様子だ。
特に、名付け親のおじさんは、この話のなかで唯一と言っていいほどにまともで暖かい人物である。
ルナールの自伝的小説である本書の大きなメッセージの一つであり、ルナール自身が最も求めた言葉が、次に述べる名付け親のお -
Posted by ブクログ
20年ぶりくらいの再読。あの有名などんでん返しは今読めばほんと他愛がないのですが、最初に読んだときにはびっくりしましたね。だってどんでん返しが待っているようなタイプの小説だとは思いませんもん。
80日間で世界一周しなければいけないので、旅自体はとにかく慌しく、旅情を感じる暇もないのが残念ですが、19世紀のアジア(日本を含む)やアメリカの不安定な社会情勢を垣間見ることができ、なかなか興味深いです。
それにしても金も糸目をつけずに、象でも船でも何でも買い上げて旅をつづけるフォッグ氏の豪胆さよ。世の中、金さえあれば無理は通るものなんだと教訓(?)を引き出すことも可能です。でもどんなトラブルが