高野優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2段組で760ページ!
読む前に圧倒されるボリュームだが、読み始めると引き込まれる。
オープニングは猟奇的な殺人事件でサイコ的な味付けが強いが、容疑者が浮き上がってからの話しの展開が上手い。そのたびに話の風景まで変わっていく。
「セブン」のようなサイコ犯と刑事の追いつ追われつの闘いかと思えば、法廷モノに姿を変え、そこからは贋作犯の話しになりつつ…。
話しが起承転結と動くたびに形を変えながら、最後にタイトル「死者の国」に繋がる余韻が残るラストまで、プロット展開の巧さは見事の一言。
登場する異形のキャラも濃厚で、そこに展開される個々のドラマの味付けも強烈だし、映画や美術、文学に対する作者の造詣 -
Posted by ブクログ
ネタバレポケミス史上最長、最厚!というこのレンガに取り組むために、積読を片付け、今年のサイクルロードレースの録画全てを見終わって、一気に読める時間を作り、いざ!
『パリ警視庁迷宮捜査班』のど変態版か?と始めの頃は思った。有能で個性的なメンバーによる捜査。
しかし、トップである主人公が規格外の生い立ち、経歴を持ち、泥沼の離婚争議中で、あぁその妻ときたらスーパーエリートで超ど変態…
鬱屈具合の半端ない人びとがわんさか。
物語のかなり初期にいきなり、日本の文化である「緊縛」「縄師」という言葉が登場して驚くが、かなりグロいSMの描写が続くので、そちらに嫌悪感を強く持たれる方にはおすすめできない。
あぁ、 -
Posted by ブクログ
パリでストリッパーが連続して殺害される。被害者の下着で縛られ、唇の両端は耳まで切り裂かれていた。担当はコルソ警視。パリで最も優秀だが、強引な捜査を行う男。捜査が行き詰まったとき、昔同様の事件があったことを知る。その犯人はフィリップ・ソビエスキ。強盗殺人で刑務所にいたが、出所してから画家として成功していた。ソビエスキにとって不利な証拠や有利な証拠が出て来て・・・
長い。果てしなく長い。ポケミス上下二段組で700頁強、定価3千円。しかし、物凄く面白い。
コルソの無茶苦茶なキャラがいい。ムシャクシャしたから、自分の担当でない銃撃戦に参加したりする。
ゴヤの絵画が重要な場面で使われているのだけれ -
Posted by ブクログ
ポケミスの愛称で知られるハヤカワ・ポケット・ミステリだが、年々ポケットという名が似つかわしくない厚手の本が増えている。もともとポケミスは、海外のペーパーバックを真似た洒落たオトナのデザインを身に纏っている。ペーパーバックは、海外ではハードカバーよりは下に見られていて、安い原稿料でノワールやアクションを書いて糊口を凌いでいた三文作家のことはペーパーバック・ライターと呼ばれて一段下に置かれていた時代があったと言う。ところがペーパーバックから多くのエンターテインメントの巨匠や天才が生まれ育つにつれ、世界の読者はペーパーバックこそが、名作の卵であったり雛であったりすること、そして何よりも面白く読める
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Posted by ブクログ
秀逸で分かりやすく面白い。
物語としても素晴らしく、翻訳も本当に素晴らしい。
ただ語学的にただしく訳しただけでは作品にならない。音符通りに正確に弾いただけでは音楽にならないのと同様に、という言葉に痺れた。
そこに、翻訳の「美学」を感じる。
物語に登場する博士に対して、不安や恐怖からそんなことはあり得ないと批判を繰り返していた博士の甥が、そんなあり得ないことが現に自分の目の前に起こってしまった時の頭の中の感情と思考のメーターの振り切れようが半端ではない。
否定していた人間が今度は打って変わって、先陣をとって博士をも置き去りにする勢いで突き進む人間になってしまった。
反動で余計に -
Posted by ブクログ
1886年(和暦にすると明治19年)に書かれたアンドロイドSFモノの祖。初めてこの作品を読みましたが、訳者さんの訳文も読みやすくてとても面白かった!
今読んでもいろいろ刺さるエジソンの言葉の数々や、ハダリーを構成する機構の科学的な説明など(顔の表情の作り方とか、今のCGでやってるモーションキャプチャーそのものじゃないかとか)130年前の作品なのに全く古くささのない世界観。そして贅を尽くした『地底の楽園』の美しさ。
『神の領域』への挑戦というテーマで繰り広げられたドラマ、ラストの展開まで含めて余韻まで楽しめる作品でした。
読んでて「おや?」と思ったところは巻末の解説や訳者さんのあとがきで触れて -
Posted by ブクログ
2018年30冊目。
小学生の頃、ヴェルヌの『海底二万里』を渡されて、ほとんど読まずに放棄していたことを思い出す。
これだけ想像力が刺激され、未知の世界にワクワクできるヴェルヌの作品を逃していたことを後悔。
『地底旅行』は、大人になって読んでも心踊る、素晴らしい本だった。
危険な地底への旅に邁進する鉱物学者の叔父リーデンブロック教授のキャラクターが強烈。
科学者でありながら、旅にとって不都合で、旅を差し止めるような危険性を示唆する理論には真っ向から反対。
自分が進むべき理由だけを盲信して突き進む。
なんだかドン・キホーテみたいだなと思いながら読んでいたら、役者あとがきにも同じことが書かれて