詩縞つぐこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幼い頃に誘拐され、記憶の一部を失った少女、千景。
その彼女の記憶が、少しずつ戻ってくる。
彼女を誘拐した人の姿、父親の姿がだんだん明らかになってくる。
それは果たしていいことなのか。
記憶が戻るにつれ、千景は恐怖と向き合わざるを得なくなる。
自分自身が誰かを傷つけてしまったのではないか、図像術が誰かを不幸にしてしまったのではないか。
その恐怖と、知らないでいる喪失感と、彼女はどちらを選ぶのか。
本作では「堕天使」そしてアトリビュート(持ち物)がメインの題材として出てくる。
ウルカヌス、キュベレー、ユノ、ネプトゥーヌスと言った馴染みのない言葉も出てくるが、実は結構日本でも有名な神々を指す。
あえてそのよく知られた言葉を使わないことで、神秘性を高めているのかもしれない。
毎回物語は西洋絵画を題材に取っており、美術ファンにも良いのだが、絵画そのものを知っていた方が楽しめるなと思う。
もちろん想像することの大切さ、自由さはわかっているのだけれど、絵を言葉で説明するのはとても難しくて・・・。
素敵な挿絵の中に、アウトラインだけでも絵画を入れられたら良いなと思う。
管理団体の権利関係などにひっかかるのだろうか・・・
本作が終わりではない、かもしれないが終わりのような気もする。
「完結」となっていないから、まだ解かれていない謎が解けるのを待ちながら、二人の年齢の割には幼い恋の行末も見守りたい。 -
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。
主人公、此花千景、女子高生になる!
今回の絵画は、「ユディト」。
「ホルフェルネスの首を切るユディト」にまつわる呪いを解き明かす。
高校三年生を対象にした虹展。
これに入選すれば、輝かしい未来が待っている。
しかしそれに水を差す出来事が。
呪いがかけられたのだ。
それを行なったとされるのが、飛び降り自殺を図り、未だ目覚めぬ山際由美。
そして彼女にそこまで思い詰めさせたと思われる、疑わしい人物は三人。
クラスメートの坂井有紗、海野カオリ、有紗の彼氏、誉田裕也。
誰かが嘘をついている。
一体誰だ。
本筋と離れるが、透磨は嫉妬し、裕也に「チョウチンアンコウと同じレベルです」(110頁)と言ってのける。
大人気ないが、冷徹に見える透磨の仮面が剥がれた瞬間に、ついニヤニヤしてしまう。
「近くにいたいけれど、彼女のそばに自分の居場所がない。なら、むりやり場所をつくるしかない。彼女にとって不快な場所になっても、そこにしがみつくしかないんです」(214頁)
裕也も透磨も不器用で愛おしい。
でもそれにしたって、千景は気づかなさすぎる。
少女漫画(本作は漫画ではないが)の主人公の王道パターンだけれども。
ああ、もう!
悶々としながら、この二人の行く末を見守ろう。
千景の記憶が取り戻される日はいつなのか、そしてどうして絵が下手なのか。
秘密はまだ、明らかにはなっていない。