詩縞つぐこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
このシリーズも3巻目ですが、どうも、盛り上がったところで急に失速するというか、いつも肩透かしをくらったように感じます。
ミステリのカテゴリーではないので、種明かしをしたり、衆人環視の元謎解きをする必要はないのでしょうけど、それにしても物足りない。で、結局あのひとは、なんでそれをしてたのさ!の部分が未消化です。
2巻に比べると、透磨くんは自覚症状も出てきて、覚悟も決まったようです。よかよか。千景ちゃんは、未だに悶々としていて、彼女が「冷静よ!」と言うたびに失笑してしまう。でも彼女、まだ19歳ですもんね。あんなものなのか。
キューブのメンバーたちにも何か過去が?という伏線も敷かれ、カゲロウさんに会えるのもそう遠くはなさそうです。
シリーズを通して、ピックアップされる画家が素敵。今回も、ブリューゲルを調べましたが、あのイカロスは素晴らしい。また、絵画を言葉で説明してくれる箇所が好きです。どうしても感覚に頼らざるをえず、しかも主観的になりがちな絵の魅力を、ああして言葉にできるのは、かゆいところをさりげなくかいてくれるみたいで、読んでいていつも興奮します。次は誰の絵なのかな。楽しみ! -
Posted by ブクログ
美術に絡んだ探偵もの。
ミステリというには軽く、ぎこちない恋愛の行き違いもあったりと若々しいけど、芸術の暗部を扱う陰影も含んでいます。
表紙イラストに惹かれて読みました。
じつはシリーズ2作目だったんですね。
最初ちょっと入りづらいと感じたのはそのせいでしょう。
千景は、英国で図像学を学んだ早熟な天才。
祖母と暮らすために、帰国しました。
祖母は屋敷の一部を改装して「異人館画廊」とし、祖父の絵を展示し、常連のためにささやかに喫茶もやっています。
千景は幼い頃に両親が離婚、その時どちらにも望まれなかったことがトラウマになり、祖母以外の人間にはなかなか心を開かなかった。
とはいえ、この頃には既に友達というか~仲間はいるんですね。
若き画商の透磨も仲間の一人。
子供の頃から知り合いの透磨は、千景と顔を合わせるたびに憎まれ口を利いてしまうが、傍目には特別な存在なのはありあり。
お互いにまだ全然、恋愛とは思っていないのだけどね。
イタリアの画家ブロンズィーノの贋作が出回っているという噂があり、千景は展示を見て回ることになる。
高級画廊の展示会にまぎれ込んだが、贋作は見つからない。
死の舞踏がテーマの絵には、ある秘密が隠されているという‥
関係者に事件が起き、さらに‥?
「思い出のとき修理します」と同じ作者なんですねえ。
普通の子と優しい彼が主人公だった「思い出‥」とは、話も雰囲気も真逆かも。
これぐらいのふり幅はあったほうが楽しいかな。
最初の刊を読まなくちゃ☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ図像学という研究分野を初めて知った。興味深いが怖がりな自分には難しい学問かもしれない。
千景の過去の事件。両親のことを愛せない。その分、祖父母はよくしてくれた。日本では変わった子でしかなかった千景。イギリスで飛び級で修士号が取れるくらいの秀才。それでも年上の人に交じって学問を追及する大変さがあったようだ。
今回は盗まれた絵を奪還するお話。何やらその絵には謎の図像があるようで・・図像学者の千景に協力依頼が入る。幼いころ、千景を救ってくれたのは?
すごく大人な女性のように話すが、主人公は18歳の設定なんだ。飛び級するだけある。もっと18歳らしく生きれればいいのにね。 -
Posted by ブクログ
図像術。
読み解く力のある千景。
ほのかな恋の物語と共に進んできたシリーズが、完結した!
これでお別れ?いやいや、第一部完結、とのことで、きっとまた会えるはず。
第一シーズンの締めはアウトサイダーアート。
つまり、正規の教育や、弟子入りなどしていない無垢な絵のこと、例えば・・・先住民による伝統芸術や、グラフィックアートなどが該当する。
自分は絵で人を殺した、と訴える女性。
その女性は自らのことを責め続けている。
自分が女であることを疎んでいる。
それは生来のものではなく、自らが育ってきた環境が、女性であることを否定してきたのだ。
神に仕えていたのに、子供のために還俗した父は、私を罪そのものと思っている…そ
んなふうに育てられてきた子供の苦しみはいかほどだろう?
また、一方では愛の結実としての子供もいる。
しかし愛されて生まれた子供は天に召されてしまった。
大抵の親にとって、子供が自分より先に亡くなることは自らを引きちぎられるのと同じくらい辛いもの。
こんな悲しみが重なった時、描いた絵には図像術が宿るのだろうか。
絵の持つ力と心の関係。
そんな目に見えない強い何かの存在を示しながら、物語は続く。