枯野瑛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「どうしようもないハッピーエンド」
『終末なにしてますか?~』で描かれた、一人の少女の物語を言葉で表そうとすると、そんな言葉になるような気がします。
絶望的な戦力差、世界が生き延びるための犠牲とならざるを得なかった少女。そして奪われていく大切な記憶と、失われていく自分。
妖精兵の少女クトリと、その少女を見守るヴィレムを中心にした物語。お互いがそれぞれに失った怖さや、失ってしまうかもしれない、という怖さ。
そして失っていく怖さを知っているからこそ、二人の想いというのは、迂遠な逃げ道を排し描かれていったように思います。
そしてそうした逃げ道のなさというのは、終末の世界においてはあまりにも美しく、そして儚く過酷なものだったように感じました。
記憶をめぐる物語も本当にキツい……。早世した子どもの魂が生まれ変わり、妖精となったといわれる妖精兵たち。そして長く生きた妖精に待つのは、その前世の子どもの記憶の浸食。
とりとめのない前世の不気味なイメージに囚われ、大切な記憶を失いつつも、「忘れたくない記憶を持っている自分は幸せ者だ」と思うクトリ。この辺の心理の描き方が白眉というべきか。
以前荻原浩さんの『明日の記憶』という、若年性アルツハイマーを扱った小説を読んだことがあります。それをファンタジーに当て直し、徹底的に純な方向に持って行ったのが、このクトリの物語だったのかもしれない、と思います。
限られた時間、終わりゆく世界、失われていく自分、それでも最後まで、彼女を彼女たらしめた想い。
その想いが最後の最後まで貫かれたことこそが、彼女が運命と闘い、そして勝ち得た、ある意味「ハッピーエンド」な結末だったのかと思います。
クトリとヴィレムの話もそうだけど、妖精倉庫の登場人物は皆好きだったなあ。
例えばお気楽な口調や普段の雰囲気とはうらはらに、時に徹底して冷静に人の思いを読み、鋭く忠告するアイセア。
その彼女のアンバランスさであったり、視点の意味が分かると、彼女の言葉の意味が全然変わって聞こえます。
そして妖精たちの世話係のナイグラートの、母性の部分であったり、ヴィレムへの複雑な思いの部分であったり、そうしたサブキャラたちのドラマというものも、しっかりと描かれています。
アニメで描かれたのはここまで。この巻で少し匂わされた、終末世界の真実。そして一つの区切りを迎えた物語のその先は、自分はまったくの初見になります。
期待と怖さの入り混ざった複雑な感情。この感情も終末ものならではだなあ。 -
ネタバレ
未来に託す終末物語
壮大な物語でした。三巻でクトリが亡くなり、四巻でヴィレムがケモノとなり、最終巻はどの様な結末になるのか気になって仕方ありませんでした。ここまで読んで、ようやくこの儚くも美しい物語の本質が分かった気がします。終わりかけの世界で、終わりかけの命で、終わりかかけの時間の中で、リーリァやクトリ、ヴィレムは、好きな人に恋をして、愛情を与え、戦い、自らの幸せとして納得する形で終末を迎えていました。そして、好きな人達に未来を託していきました。何より、そこに至るまでの物語の構成が本当に素晴らしかったです。心温まる人間ドラマ、徐々に明らかになる真実、終わりへと向かう世界や日常、そして最期の舞台等、巻数は少ない中でこれほど壮大な作品にまとめ上げる手腕は見事でした。また、絵に書いた様な悪人が最後まで登場しなかったのが特徴的でした(いない訳ではありませんでしたが)。それぞれの想い、偶然が重なり合い、最悪の結果を招いており、誰も悪い訳では無い、あるいは誰もが悪い、そんなことを伝えたかったのかなとふと思いました。筆者の願い通り、気づきのある作品で、後世に残る作品だと思います。改めて私はこの陽が傾く世界の物語が好きになりました。最後の結末は取って付けた様なハッピーエンドとも言えない形でしたが、この物語にはまだ先があるようです。ほんとに期待を裏切らず、次から次へとワクワクする作品です。アニメの続編が見たい気がしますが、物語の構成的に難しいのと、売上的にも厳しいのでしょう、、、
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新たな終末物語
アニメは3巻までで、ここからが真なる物語の始まりです。いよいよ佳境に入ります。ケモノの真実、ヴィレムの過去が明らかになります。過去の話は物語を深掘りするには最適ですが、停滞します。しかし、本作では物語を停滞せず、先の展開を設け、次巻に繋げています。巻を追うごとに精錬されていく物語の構成は見事です。そして、何度も驚きと悲しみと感動を与えてくれた巻でした。一つの巻でこれほど密度の濃い展開は中々無いと思います。特に、ケモノの正体を知った時には衝撃を受けました。どうやら、叶わぬ想いというのが、この作品の肝要なのでしょう。思わぬ形で終末を迎えましたが、この後どうなるのでしょうか。非常にこの先の展開が気になります。
正直、二巻で本作の出版が危ぶまれる理由が分かりません。アニメの完成度が高いのは原作の完成度が高いことが必須です。そしてこの原作は丁寧な伏線の設定、物語の展開、構成が秀逸でした。やはり、タイトルで損をしているか、重みのある展開が明暗を分けているのでしょうか。もっと知れ渡って欲しい作品だと思います。 -
美しくも儚い物語
この巻はクトリとヴィレムの美しくも儚い恋物語がメインです。妖精兵器とされながらも普通の年頃の少女として、恋をして精一杯生き、大切な人を想う美しさが物語にありました。残された時間を想い人のために使い、ささやかながらも幸せを感じて散っていく。切ない話でありますが、その少女はきっと幸せだったのでしょう。人の幸せとは何だろうかと考えさせる作品でした。寂しい気持ちとどこか満たされるような、究極の恋物語を見た気がします。
ここまでがアニメの内容で、良くも悪くも物語の転換、あるいは一つの終焉といったところです。ここからが物語の本筋に入っていくのでしょう。私はこの作品の世界観と人物が凄く好きなので、次巻に期待を込めて見たいと思います。 -
物語に面白みが出てきた
全巻よりも主人公を取り巻く環境に変化が出てきます。家族として振る舞うビレム、子供と思われるのを嫌がるクトリ、この二人の関係が少しずつ変わっていくのを感じます。前巻では感情を表に出さずに、気取った感じのビレムと素直になれないクトリでしたが、お互い少しずつ素直になり、惹かれて始めています。これが、文章から伝わってきました。また、過去の知り合いとの再会で、この物語の本筋に近づいています。前巻では淡白な文章と展開の少なさにやや退屈さを感じていましたが、少しづつ面白くなってきました。アニメでは前巻の印象が強く、小説では物足りなさを感じていました。しかし、小説では徐々に物語が解き明かされていくのと、人物の細かい心情が示されているので、読めば読むほど面白みを感じます。今後も続けて読み進めていきたいです。
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序章
アニメを見て原作を購入しました。平易な文体で読みやすく、いかにもラノベです。滅びた地上世界の生き残りである主人公の成り立ち、過去から始まり68番島で勤務するところまでアニメ版とほぼ同じです。ただ、レグルエレや聖剣等の細かな設定については詳しく書かれているため、理解しやすいです。改めて読むと、過去と葛藤する主人公、家族とも呼べる人たちとの日常といった温かさを感じ、決して悲しいだけの物語ではないと感じました。まだ序章で、ラノベとしての展開は以降の方が面白いので本作が好きな人は試してみるのも良いでしょう。逆に序章であれだけの演出をして惹き込んだアニメの完成度も改めて素晴らしいと思います。ラノベでは一ページの文章だったものが、アニメでは幻想的な雰囲気と感動を創出できるのですから、脱帽ものです。正直言うとこの巻にはそこまで多くのものを引きつけるものはありません。以降の方が人物の心情をうまく書けていました。しかし、アニメと比較して読むとより一層、この作品の面白さが伝わると思います。
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Posted by ブクログ
数巻前から活躍が待たれていた彼が遂に表舞台に立つ第8巻。
まあ、その中身はとても予想外な状態だったわけですが
本作は終わりかけた世界の中で既に終わってしまった物語を持つ主人公が終わりに立ち向かう少女達を支援する物語なわけだけど。
そんな中で登場(?)した黒瑪瑙の彼は守りたいものを守れなかった直後の状態なのか。それは何と意地の悪い運命なのだろうね
ヴィレムをベースにしている黒瑪瑙の彼はヴィレムっぽくはあるんだけど、妖精倉庫での記憶が無かったりフェオドールが混じっていたりと妖精たちが知るヴィレムとはかなり異なる人物
このどっちつかずな彼に対するナイグラートとアイセアのリアクションが色々と微笑ましいけど、同時に哀しくも映る
また、作中では<最後の獣>への対抗策が話し合われるわけだけど……
浮遊大陸群全てを失わないためには浮遊大陸群の大半を落とさねばならない。他の選択肢は無いなど普通受け入れられる方法ではない。でもアイセアやオデットを始めとする人物達は大を救うために小を犠牲に出来る、いわば命を損得計算出来る人たち
ただし、その方法を受け入れられるからって納得できるわけではなくて。納得できない方法を受け入れるには時間がかかる。そういった諸々の葛藤がこれでもかと伝わってくるような一連の文章はなかなかのもの
その辛い状況をぶち壊すのが黒瑪瑙の彼である点は爽快感があるね。ヴィレムの知識とフェオドールの策略を持つ彼なら全てを出し抜いた上で作戦を完全に遂行できる
先述の通り、黒瑪瑙の彼には妖精たちも今の世界も救う義理なんて無い。けれど、そもそもが関わらなくて良いものに全力で首を突っ込んだ挙げ句、誰も納得できないまま救われてしまう。そんな方法ばかりやってきたのがヴィレムとフェオドールなわけで
自分を犠牲にすれば全てが上手く回る、なんて考えを最も嫌う彼らだからこそこの状況に関わらざるを得ないのだろうね
でも、そんな二人が苦手としたのは自分を救うこと。だから黒瑪瑙の彼も<最後の獣>の結界に囚われたら抜け出せなくなってしまった
その状況を変えたのがフェオドールの記憶であったのは印象的。互いに自分を救うことが苦手であるなら、互いを救えばいい。ヴィレムとフェオドールの魂が混ざっていることが最大限生かされたシーンであるように思えたし、新旧主人公が相見えるシーンとしても最高だった
そして衝撃的だったのはラストシーン。ここであのシーンに繋がるのか!と驚きですよ
持って数日の意識と言われていた黒瑪瑙の彼が何故今も動いているのだろう?それとも前作ラストの描写を見る限りヴィレムとしての記憶を完全に取り戻している?
ヴィレムとネフレンが帰ってきて、リィエルはクトリの欠片を回収した。物語の終盤が近づいていることを感じさせるね
また、どうにも気になるのは<最後の獣>が見せた結界の中で現れなかった彼女。彼女はどうあっても死にそうにない死にそうな勇者だったわけだけど、エルクとの戦いで再起不能になったんじゃなかったっけ?それともこのヴィレムにとってはそのような認識ではないということだろうか? -
Posted by ブクログ
「絶対粉砕おとーさんパンチ」って実在したんかい!この巻では心にグサリと突き刺さるような驚愕が色々と有ったけど、これはこれで別ベクトルのぶっ飛んだ驚きだったよ!
コリナディルーチェ編完結。そして一人の嘘つき堕鬼種の顛末も描かれる。彼についてはしばらく前から丈夫でもない身体を酷使するような行動ばかり取っていたから長生きすることはないだろうと思っていたけど、こんなに早く終焉が訪れるなんて……
この巻で描かれるフェオドールの有り様はかつてのクトリやヴィレムを思わせるもの。
頭の中に別人の心を持ち命を磨り潰しながらも大切な人のために行動する姿はクトリを思わせるし、大切な者達に対してちっとも正直になることは無いがその実自分の人生を大切な人のために使うと決意した姿はヴィレムを思わせる
フェオドールがそういった道に至ったのは嘘つきで人に対して正直になれない生来の気質も関係しているのだろうけど、この巻の冒頭でヴィレム・クメシュの物語を聞いた影響も強いのではないかと思える。
故郷も友人も守りたかった者も全て失いながら、長い苦難の果てに愛する人を見つけそれに殉じたヴィレム。この話はフェオドールの歩みたかった道の果てにいる存在であるだろうと想像できると同時にヴィレムが愛しながらも救いきれなかった妖精がまだ残っている事も理解させられる
ただ、フェオドールはヴィレムのような勇者じゃないし、特別な存在でもない。なら歩む道は別となり、フェオドールはフェオドールなりの方法で守りたいものを守らなければならない
個人的にはこの作品において、フェオドールをどういうタイプの者であると認識すれば良いのかこれまで判断できないまま読んでいた。
ヴィレムのような元勇者で妖精たちの父親というポジションにはなりきれていないし、復讐に燃えているわけではない。誰かを救う為に一生懸命というタイプとも違うし、自分が全てを背負ってやると意気込んでいるわけでもない。何というか中途半端なタイプに見えていた。
それがカゲラの発言を見てようやくフェオドールがどのような者か判った気がした。
そうか、彼は舞台が必要とした者ではなかったのに、意志と嘘によって這い上がってきた凡人という立ち位置だったのか。舞台が必要としていなかろうとも自分の望みを果たすためにここまで来てしまったのか
なら、他者が彼を振り落とすことは難しい。ティアットが何をしようときっとフェオドールは這い上がってきてしまったのだろうね
そういった意志の先でフェオドールが選んだ道が嘘と自己犠牲に満ちた遣り方だったわけだけど……
ヴィレムとほぼ同じことをやった訳だけど、あの時のヴィレムは獣に支配されかけていて、更には妖精不要論も盛り上がってきていた。いわばヴィレムはあれ以外に取れる道のない状況だった
対して、フェオドールは自分の意志であの状況を作り上げた。誰が望んだわけでも、誰かに強要されたわけでもないのにあの状況に至り、ティアットに脚本通りの動きをさせた。あれは他人が納得するのはどうやったって無理だ。だからフェオドールの行動は自己犠牲と自己満足のようなものに見える
でも、それでもフェオドールの行動によってコリナディルーチェで起きていた問題は解決し、閉じかけていた妖精たちの現状が未来へ繋がる可能性が出てきた。何よりもフェオドールが最も守りたいと思っていたラキシュとエルバが幸せだと思えるようになったのは功績と言えるのではないだろうか
フェオドールのしたことって誰も納得はできないと思うけど、ティアットだけはもっと怒ったって良いよなぁ……
互いに互いを助けようとして無茶をしあって、邪魔をして、それでもどうにか少し前から一緒に行動するようになった。この巻では告白めいたセリフまで言ってしまったティアット
フェオドールもティアットも目指していた理想が高すぎてすぐ近くにいる相手の感情を掴みきれていなかった。でも、ティアットの対応は少しずつ柔らかくなって……
ここでフェオドールがほんの少しでも意志を弱めて舞台に上がることを諦めていたら、二人にはもっと別の道も有ったんだろうなぁなんて想像してしまう
だからこそ、ティアットはもっと怒っていいし、フェオドールのしたことをいくらでも否定して良いように思える
そのくらいの権利はあるよね。ラキシュにもフェオドールにも残されて、一人救われてしまった彼女としては。
コリナディルーチェ騒動は解決したけど、物語はまだ途中であり特に38番浮遊島は危機的状況のまま。だというのにこの段階でリタイアしてしまったフェオドールはいつかのクトリを思い出せさせる
ただ、個人的にはフェオドールが復活する展開は有るんじゃないかと思って居たりする。
ヴィレムが500年前に死を迎えた時は悔悟の言葉で終わり、2度目の死を迎える際には感謝の言葉を放った。そして、フェオドールも約束を守れなくてごめんと言いながら死を迎えた。
なら、フェオドールが蘇り感謝の言葉を言えるようになる物語はまだ有るのではないだろうか、と思えてしまう
……そうしたら、再び死ぬことになるのか。それはそれで不味いな -
Posted by ブクログ
あの元気の塊のようなコロンが泣き崩れるかのような表紙……!それだけでこの巻の内容がヤバイと伝わってくる
そして、その直感を裏切ることのない内容がもう……
冒頭の口絵の時点で変わり果ててしまったラキシュの形相が披露されるのだからキツイ。つまりそういうことなのかと理解させられる
リンゴの喪失、ラキシュの昏睡。自分を守るために二人がそうなってしまった事態と向き合うことが出来ずいつも異常に仮面を被るフェオドールが痛々しい痛々しい。そんな状況でもまだ小さいマシュマロ改めリィエルはフェオドールに構って構ってと纏わりついてくるわけで
捻くれていて嘘つきで、でも根っこの所は正直者で聡明なフェオドール。彼からすれば、リンゴやラキシュと同じような振る舞いをティアット達やリィエルがするんじゃないかと気が気でなくなってしまう。そうなれば更に向き合えなくなる
元々、犠牲の上に平和ボケしていた世界を許せなかったフェオドール。彼にとって世界を許せない理由がまた一つ増えてしまう
リンゴやラキシュを喪って哀しむのはティアット達も同じ。というか、コロンがラキシュの昏睡を前にしてあそこまで憔悴するとは思わなかったな。誰かコロンを支えてやってくれと思わずにいられない
だからこそ、直後のラキシュが変貌する展開はキツイ。口絵を見てこうなると判っていてもどうしようもない
ここで元ラキシュに対してフェオドールの堕鬼種の瞳が効いたのは今後どういう意味を持ってくるんだろう?
今のところは、まるで奥さんとの仲が微妙になったタイミングで愛人を作ってしまったみたいな空気感を感じてしまうのだけど
ただ、元ラキシュがそういった瞳の効果とは関係なくフェオドールの大望を肯定するような発言をしたのは驚き。人格が変わりコロン達の支えでなくなった彼女がフェオドールの支えになってしまうなんてなぁ…
巻の後半ではティアットとフェオドールの関係性を見つめ直すような描写がちらほらと
かつてのヴィレムとクトリは保護者と子供のような関係性から始まり、やがてかけがえのないパートナーとなっていったんだけど、ティアットとフェオドールはちょっと違う
大切なものを守るために命を使おうとするティアットとそれを間違っていると感じるフェオドール。二人の意見は対立しているように見えるけど、根っこの部分はかなり似通っている。でも二人共その感情に対して素直じゃないから似ている相手に対しても素直になれない。自分たちは対立しているのだと思ってしまう
お互いに相手のスタンスを大嫌いだと言う二人はある意味両想いと言えるのだろうね
二人は結局道が別れてしまう。でもそれは相手を思い遣るからで。相手を守るために相手のしようとしていることを邪魔すると決めたティアットとフェオドール
二人の道が再び交わることは有るのかな?
そういや、前作ラストで復活が示唆されて以来音沙汰が無かったヴィレム、何だか飛んでもないことになってない?今の彼はどういう状態にあるんだ?
また、ヴィレムの技がフェオドールに受け継がれたっぽい描写が有ったけど、あの意味って……?
追記
他の人の感想を読んで今更リィエルの正体に思い当たる。どうして自分は忘れてたんだ、あんな大事な描写を -
Posted by ブクログ
うああ……、ラストには思わず「止めてくれ!」と言いたくなるくらい衝撃的な展開が……。黄金妖精の「あの件」については前シリーズの第一巻から触れられてきた要素なんだけど、結局作中で実行する者が居ないままになっていた。この作品のことだからいずれ誰かが実行するのだろうとは思っていたけど、まさかこのタイミングであの娘が実行するなんて微塵も思っていなかったよ……
そんな読んでいるこちらの精神を凄まじい勢いで揺さぶってくるこの巻だけど、最大の清涼剤となってくれているのがアイセアの再登場か
あのちょっと幼い感じもあったアイセアが口絵ではとんでもない美人さんに成長なされて……。アイセアってひょうきんな見た目や態度の裏に涙滲むような努力を隠した娘なんだけど、その裏側と見た目が遂に合致するような姿に。それでも口調が昔のままであった点には彼女の覚悟の強さを感じさせたかな
死にかけの世界の死にかけの街で過ごす、そう遠くない内に死にそうなフェオドールとティアットの二人
互いに何か切っ掛けがあれば急速に距離が縮まりそうでは有るんだけど、フェオドールの信念がそれを邪魔してやっぱり縮まらないような気もする。つまりは端からは中途半端な関係性であるように見える
そんな二人の許にやってきたのが幼体妖精のリンゴとマシュマロ。この二人に振り回されて特にフェオドールがあたふたする展開は色々と面白い
フェオドールは守ろうとした世界に裏切られた兄の為に世界に復讐すると誓っているせいか、大切なものを作ろうとしていないように思える。そんな彼の許にやってきた無邪気で誰かが守ってやらなければならないか弱い存在のリンゴとマシュマロ。妖精の面倒をみる任務により二人の面倒も見ることになったのだけど、その中でフェオドールが幼い二人にどんどん入れ込んでいく様子が手に取るように判る。
世界を壊そうとしている彼がこれから世界を満喫しようとする幼い命を庇護する展開は様々な矛盾を抱えているね
そういった意味ではこの巻でフェオドールは自身が抱えた矛盾点に向き合わされたといえるのかもしれない
フェオドールはいずれ世界を壊す気で居るから、本来は死にかけの街がどうなろうと知ったこっちゃないはず。なのに、終盤に街が危機に陥る場面では少しでも被害を軽減しようと行動してしまった。
黄金妖精はいずれ目的の為に利用しなくちゃいけないから、情が移るなんて禁物。でも、リンゴの喪失やラキシュの変貌に慟哭を上げてしまった
この時、覚えた感情を無かった事にしたくないなら、フェオドールは自身の目的が変わり始めたことを認めないといけない。認める必要がないなんて思うならそもそもリンゴの正しい名前を知れば良いだけの筈で
望まぬ形で大切なものを手に入れてしまっていたフェオドール。だというのにこの巻で彼はその守らなければならない大切なものに守られてしまった
彼にとっては受け入れがたい大きな矛盾のはずだけど、それを抱えて彼はこの先どのように黄金妖精と向き合っていくのかな?
力を使ってしまったことであっという間もなく変質してしまったラキシュ。いつかのクトリを思わせるような状況だけど、ラキシュもクトリのように踏みとどまることは出来るのかな?クトリはクトリで恋心のためにとんでもない負債を抱えて復活したわけだけど、ラキシュの場合はどうなるのだろう…… -
Posted by ブクログ
3巻ラストから4巻序盤にかけてヒロインのクトリがあんなことになって、更に4巻ラストでは主人公のヴィレムまで悲惨な目に。
それでも物語はまだ続いて。この巻では一体何が描かれるのかと思っていたが、そういうことなのか……
本来は約500年前に悔いを残したままで終わっていたはずのヴィレムの人生をきちんと終わらせるための物語だったと今更ながらに理解。だからといってヴィレムの選んだ道が正しいとは到底思えないのだけど。
3巻で描かれたクトリの覚悟と同じように誰かを幸せにしたいと心から思って、大切な誰かのために命を張ろうと覚悟して。リーリァもクトリもヴィレムも結局は同じ道を選んでしまったんだね
サイドストーリーの形で少しずつ明かされてきた正規勇者リーリァの成し遂げたこと。悲劇的な運命を背負った彼女が願ったことは本当に儚くそしてありふれた願いだったのだけど叶うことはなく。それでもヴィレムのためだけに星神討伐を行った覚悟はあまりに輝いて見える
彼女がエルクの前で見せつけた姿が回り回って黄金妖精の在り方に繋がって、それが滅びかけた世界を守るための力となって、更にはヴィレムに再び生きる気持ちを取り戻させるためのきっかけとなった。そういった意味ではリーリァは何の冗談でもなく、好きな人の為に世界を救ったと言える行為だったのだろうね
前巻で獣になってしまったヴィレム。まさかのまさかでニルスが生きてた、というか彼が星神であると知らされる展開には驚かされたが、それと同じくらい彼によってヴィレムが理性を取り戻す展開は驚かされた
でもこれって、3巻のクトリのように時限爆弾の付いた一時的な安寧だと思うと……
この巻でのヴィレムの在り方は何から何までいつかのクトリを思い起こすようなものばかりだ
まあ、そんな内容でも癒やし要素というか、笑える部分とか有るんだけどね。ラーントルクのポンコツっぷりとか
ヴィレムに対抗して年下組の機嫌を取ろうとして失敗するのはまだしも、少し目を離したら迷子になりそうなラキシュとティアットに注意した矢先に自分が迷子になるとか流石にドン引きですよ……
まあ、そのポンコツっぷりによってスウォンから黄金妖精の真実を聞き出すに至るのだから結果オーライなのか……?
終盤の少しずつ終わりに近づいていくような展開は押しつぶされるような気持ちになってしまった
妖精倉庫の解体論、獣の脅威が無くなったことに依る内紛、そして町に解き放たれた獣……
獣自体は数が少なかったことと、エルピスが使用した兵器が嫌な意味で優秀だったことでこれまでの獣のように大変な被害は生じなかった。だけど、そこから求められるのは妖精が再び必要なのだと世間に思わせる状態
手っ取り早く、しかもヴィレムの大切な人達を幸福にしたいという願いを両立させる奇跡の方法
誰かを守れなかった自分だからこそ、誰かを守ろうとする妖精たちの支えになりたいと思う。その感情はとても優しくてとても悲しい
そして行われるのは命をかけた茶番。もう獣になりかけのヴィレムはどうやって救えない。そしてヴィレムの言う通り、ここで獣と化したヴィレムを倒せばより多くを守る道が開かれる
だからアイセアもラーントルクも全力でかつての勇者ヴィレムにぶつかる。でも二人の力じゃギリギリ届かないかと思われた力量差がティアットとラキシュという新世代によって埋められる描写にはつい目頭が熱く……
しかもあの謝ってばかりのラキシュがセニオリスを継承するとはなぁ……。あのセニオリスの使用条件を読む限り、あの場でラキシュは誰よりも状況を理解して、誰よりも覚悟して、そしてヴィレムに刃を向けたのか
最後の最期、ヴィレムはあの時のクトリと同じ言葉を発して事切れる。
約500年前に石化した際は約束を守れなくて済まないと悔みの言葉で終わってしまった。それが今回は大切な人に向けて感謝の言葉を贈って終わった。ということは、ヴィレムは誰にも否定できないほどに幸福になれたということなのだろうね
そういった、辛いけれど確かに幸福だと思えるような終わり方であったから、ラストの描写にはおったまげたけど。
なんて心憎い終わり方をしてくれるんだろうね、この作品は。早く続編を読みたくて仕方ないじゃないか -
Posted by ブクログ
この物語は何と呼んだら良いのだろう……。単純にクトリが陥った境遇だけを見ればバッドエンドとしか見えない。だけど、クトリの発言やラーントルクの言葉を借りるならこの物語はハッピーエンドということになる
でも、ハッピーエンドであるならばもっと喜ばしい気分になれるはずなのに、全くそんな気になれない。
本当にこの物語は何と呼んだら良いのだろう……
本編序盤ではヴィレムに依るクトリおかえりバターケーキが描かれる。そういえば、クトリ出撃って第一巻の出来事で帰還は第二巻だけど、なんやかんやあってきちんとおかえり、ただいまって言えてなかったんだっけ
その時間の分だけ、2つの言葉の背景にあるものはとても重い意味を持つようになった。ヴィレムは以前帰ってくると約束したアルマリアの元へ帰ってくることは出来なかった。クトリは生還率が5割程度しかなかった作戦、戻ってくるまで半月以上かかり、何よりもヴィレムの傍に帰るためにあまりに大きすぎる代償を支払ってしまった
本当にこの二人が交わす言葉はどんな些細なものであっても、大きな感情を伴うようになってしまったね
そしてその後から少しずつ始まるのはクトリという少女の崩壊
ヴィレムの元へ帰ってくるためにはきっと他の道なんて無くて、また恋する少女にとっては迷うような選択肢では無かった筈で。だというのにその時の選択によって生じた侵食が少しずつクトリの記憶を蝕んでいく様子は本当に恐ろしい。同時に悲しくなる
ここからのクトリの覚悟には目を瞠るものがある
以前、クトリはテイメレを倒すために自分の命を諦める「覚悟」をした。けれど、ヴィレムとの出会いによって帰ってくる「覚悟」を抱いた
そして今度は残された全ての時間をクトリ・ノタ・セニオリスとして生き切る「覚悟」をしたのだろうね。だからその時間においてもう獣と戦うためのセニオリスは必要ない、また先輩から受け継いだブローチを持っていく必要もない
うん、正直、クトリの机の上にあのブローチが置かれたままになっている描写を見た瞬間は肝が冷えるようだった。そこからクトリの「覚悟」や残された時間が透けて見えるようだったから
そしてそれを最終的にティアットが引き継いだ意味、今後ティアットに訪れる運命が気にかかってしまう
クトリと過ごす時間の中で聡いヴィレムはやっぱりクトリが隠そうとした崩壊に気づいてしまう。更にはスウォンが秘そうとした獣の真実にも気づいてしまう
これらの事実は下手をすれば再びヴィレムを壊しかねない程の事実だったはずだ。それでも、ヴィレムが辛うじて平静を保てたのはそこにクトリが居たからなんだろうな
クトリに残された時間が少ないと気づいて、昔守りたいと思ったものはもう守ることは出来なくて。ならヴィレムは自身が幸せになる道を模索しつつ、誰かを幸せにしようとするならばここでクトリに求婚するのはそれ程不思議な選択肢ではない。むしろあれだけの事実を知ってもクトリとの結婚を決意できるのがヴィレムという人間の凄さなのだろうね
……ただ、その答えをクトリが返すことはなかったのだけど
そこから始まるのは絶望の連続。それも突然降って湧いたのではなく、テイメレのように深く地中に根を張っていたもの。ふとした拍子に地上に溢れ返るような絶望
クトリの最後って読者からしたら、どう見たって不幸なんだけど、そもそもの黄金妖精が辿らざるを得ない運命、以前のセニオリスの持ち主であるリーリァの悲痛な覚悟、そしてカラー絵で描かれたクトリの心情。それらを併せて考えれば、ヴィレムと一緒にいると誓えたり、ヴィレムを好きだと思えたり、幸せにしてやると言って貰えた。それらがあるのなら認めたくないけど、クトリはどうしようもないほどの幸せ者だったということになってしまうのだろうか
だからクトリは最後の最後、自我の限界においてヴィレムに伝える言葉は求婚への返事でも、改めての告白でもなく、感謝の言葉になったのだろうね
そこにある背景はとても悲しくなるものだけど、それでも感謝の言葉を伝えられるほどになれたクトリは幸せ者になってしまうのだろうな
そうして、ある意味綺麗に終わってしまったラストの後が問題だ
あれってどういうことだ……?過去に戻ってる?もしかしてそこにクトリをもっと幸せにする何かが隠されている?それとも更なる絶望の始まりになる?
一体全体何が始まろうとしているのか全く予想できないよ -
Posted by ブクログ
前巻時点ではクトリ出撃について余裕な態度を崩さなかったヴィレム。だというのに第二巻では半月経っても戻ってこない状況に遂に弱音を上げたようで(笑)
ヴィレムって養育院で父親代わりをしていた過去や、復活後の死んだような生活、そして今は妖精倉庫の管理人として過ごしているせいも有ってか物事を斜めに見て何事にも動じない姿勢を見せるんだけど、芯の部分は普通に弱いんだよなぁと思い知らされる描写。
ナイグラートが分析しているように自分が冷静になれる要素がある状況なら虚勢を張れるんだけど、そうでなければとことん駄目になってしまうタイプ。思い出せば復活後に何も考えなくて良いように重労働ばかりしていたのはそういう背景が有ったのか
そして思わぬ所で再会してしまったヴィレムとクトリ。ヴィレムさん、突然クトリが目の前に現れたからって超絶技巧を披露してまで抱きつかないでください(笑)
もうこの行動だけでヴィレムの中でクトリがどれだけ大きい存在になっているか伝わってくるというもの。だというのに少し落ち着いたらいつものクールぶった態度に戻ってしまうのだから面白い。ヴィレムってどうしてこう素直になれないのだろうね
ただ、今回はその素直さを表に出せない失態はクトリにも言えるのだけど。
互いに素直になれないまま、「おかえり」も「ただいま」も言えずにいたら妙な事件に巻き込まれて更にヴィレムは寄り道することになって
本当にこの二人はもどかしい
ただ、この二人が素直になれないのって境遇に因るものが大きいから仕方ない部分もあるのだけど
ヴィレムは一度全てを失った人間。だからもう一度大事なものを抱えることに怯えてしまっている
クトリは遠くない未来に終わりが訪れる妖精。ただでさえ重たい身の上だからこれ以上相手の負担になるようなことは避けたいと思っている
そんな二人だから言いたいことも言えない。伝えたいことも伝えられない。というより、伝えなければいけないのだという認識が薄くなってしまう
特にクトリはヴィレムと再会するためにあまりに大きすぎる犠牲を支払ったというのにね。同時にそこに存在する純愛があまりに眩しすぎて……
この時のクトリの決意を知ったらヴィレムは今までのようにクトリを子供扱いするなんてできなくなるんじゃなかろうか?
クトリ達のために、過去を取り戻すよりも現在を優先することを選んだヴィレム
ヴィレムと居るために未来を犠牲にして現在を優先したクトリ
どちらも最終的に選んだものは同じはずなのに、二人の先に待ち受けているであろう試練があまりに過酷すぎて……
もしかしなくてもクトリが人格破壊後に見た子供ってあのエルクですよね…… -
Posted by ブクログ
アニメを視聴した当時、あまりにも心の全てを揺さぶってくるような内容にいつか原作読もうと思っていたのだけど、随分遅くなってしまったな
世界観は人類が滅びそれ以外の種族が跋扈するようになった世の中。そして主人公のヴィレムは最後の人間。ヒロインのクトリや他の少女達は兵器として命を使い潰される存在
だからここからヴィレムやクトリがハッピーエンドを手にするなんてありえない。出来るのは限りある生命をどこまで楽しいものに出来るのか。そして最後の瞬間まで自分の生命を諦めないで居られるか
そういった部分が話の中心にあるために作品のノリはそこまで明るくない。
しかも現在のヴィレムは戦闘能力が皆無なものだからヴィレムがクトリ達の代わりに戦うことすら出来ない
ラストで描かれたようにヴィレムはクトリを戦場に送り出すことしか出来ないし、遺跡兵装の調節だって気休めにしかならない
ヴィレムは勇者の辛さもクトリ達の境遇も理解できるのに見ていることしか出来ない。
本作で描かれている多くの描写がとても辛いものばかり
また、現在のヴィレムや黄金妖精達の在り方も凄まじい
ヴィレムは準勇者として500年前に限界の限界まで戦った。その際に石化して一人だけ人類の滅亡から取り残された。だから今のヴィレムは死人のようなもの
黄金妖精は自分の死を認識できないほどの幼さで死んだ迷える魂を利用した存在。そして死も痛みも恐れない。こちらも死人のようなもの
死にかけた世界で死んだような少年と少女達。だから何もかも諦めようとしているのに、諦めきることが出来ずに藻掻いてしまう。
そういった彼等の有り様がとても美しく映ってしまう
終盤、様々な出会いや反発を繰り返したヴィレムとクトリはようやく背中合わせに座りながら穏やかな会話を行えるようになる。
そしてそこで交わされた約束がヴィレムがかつてした約束と被ってしまう流れは印象的。ヴィレムの境遇を思えば同じような約束なのだから不吉な印象を感じてしまうはず。だというのにそのシーンから不安感を覚えるようなことはない
それはきっとヴィレムがクトリを支えてくれているからで、クトリが帰ってくる気で居るからなのだろうね
ラストはクトリ達の戦いの様子も描かれないし、帰ってくるシーンも描かれない。それでも穏やかなものに感じられるほど明るい終わり方だと思えるのは、半分死んだような存在のヴィレムとクトリがようやく生者らしくなったからなのかもしれない
ただ、そんな多少の明るさを湛えたラストを吹き飛ばす本当のラスト
あれがそのままの意味であるならば、何から何まで救いなんて無いじゃないかと思えてしまう…… -
購入済み
間違いなく
秀逸の作品。
3巻が出るかどうかわからなかったと作者はあとがきに記載してあるが、ぜひ最後まで完走してもらいたい。
この作品に出会えてよかった。どんな終末が訪れたとしても、最後まで、私は見届けます。 -
ネタバレ 購入済み
三人なら砂上の楼閣には非ず…?
何となく20世紀、もう少し絞り込むと70~80年代を想起させるテイストと言った感じですかね…。
SNSとか、ネットワーク環境とか、その他諸々、その時代背景にしてしまうと色々と成り立たなくなってしまうんですが…。
そもそも、江間宗史は荒事が得意じゃないという設定は、終盤で何処に行ってしまったのか…?
また、舞台が芳賀峰市という海沿いの街だけ、真倉沙希未、江間宗史、篠木孝太郎、梧桐薫といった主だった面々の過去の因縁が妙に繋がり過ぎているのも、何か舞台演劇を観ているような感覚になりました。
さて、読み始めに思った事は、アルジャーノンは沙希未に成り代わってしまったのではと想像しましたが、読み進めていく内にアルジャーノンが沙希未の身体に居られるタイムリミットを呈示され、そのつもりで読み進めた最後は…。
アルジャーノンは悪の怪物、寄生生物だったのか?
自我無き救世主だったのか?
ひとを模し、憧れ、学び、なりたいと願う、健気な化け物…。
もし完全な人工知能や万能細胞が作られたら、産まれ宿るその無垢な何かは同じ様な苦悩を抱えるのだろうか…?
真倉沙希未という登場人物、2年前の夏の五日間を語る狂言回しかと思いきや、そうでも無かったみたいで…。
この物語の主人公は果して誰だったのでしょう?