【感想・ネタバレ】砂の上の1DKのレビュー

あらすじ

研究施設への破壊工作に一般人が巻き込まれ――瀕死の彼女に取りつき治癒したのは、研究対象だった未知の細胞。人に順応していくそれ=呼称・アルジャーノンが望んだのは、穏やかな、人らしい日常を送ることだった。

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Posted by ブクログ

【砂上の楼閣のような関係、最期の一瞬まで自分らしく在れ】

未知の細胞に寄生された少女と逃避行の物語。

産業スパイの青年、宗史の破壊工作に巻き込まれ、生死の境目に立った沙希未。
そんな彼らの関係のすぐ傍に居た未知の細胞、アルジャーノン。
瀕死の沙希未に寄生する事で、九死に一生を得る。
しかし、命は助かった物の、彼女の体に寄生した細胞により、自意識は酷く曖昧な物になる。
だが、宗史との共同生活によって人間らしさを獲得していく。
終わりが確約された関係だとしても、その一瞬まで自分らしく在る事で。

幸せに満ちた結末を迎えるのだ。

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2023年04月22日

ネタバレ 購入済み

三人なら砂上の楼閣には非ず…?

何となく20世紀、もう少し絞り込むと70~80年代を想起させるテイストと言った感じですかね…。
SNSとか、ネットワーク環境とか、その他諸々、その時代背景にしてしまうと色々と成り立たなくなってしまうんですが…。
そもそも、江間宗史は荒事が得意じゃないという設定は、終盤で何処に行ってしまったのか…?
また、舞台が芳賀峰市という海沿いの街だけ、真倉沙希未、江間宗史、篠木孝太郎、梧桐薫といった主だった面々の過去の因縁が妙に繋がり過ぎているのも、何か舞台演劇を観ているような感覚になりました。

さて、読み始めに思った事は、アルジャーノンは沙希未に成り代わってしまったのではと想像しましたが、読み進めていく内にアルジャーノンが沙希未の身体に居られるタイムリミットを呈示され、そのつもりで読み進めた最後は…。

アルジャーノンは悪の怪物、寄生生物だったのか?
自我無き救世主だったのか?
ひとを模し、憧れ、学び、なりたいと願う、健気な化け物…。
もし完全な人工知能や万能細胞が作られたら、産まれ宿るその無垢な何かは同じ様な苦悩を抱えるのだろうか…?

真倉沙希未という登場人物、2年前の夏の五日間を語る狂言回しかと思いきや、そうでも無かったみたいで…。
この物語の主人公は果して誰だったのでしょう?

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2023年11月21日

Posted by ブクログ

産業スパイの青年と少女に宿った未知の存在・アルジャーノンとの、わずか5日間の儚い生活。
1つの体に2つの生命が宿ったことから発生するヒューマンドラマが描かれた、心温まりつつも残酷な物語で、切なさの募る作品でした。おもしろかったです。
終盤は序盤と打って変わって怒涛の展開でしたが、主人公が戦いに挑む姿はかっこよく、スイスイと読んでいけました。

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2022年09月15日

Posted by ブクログ

 いいじゃないですか。『銀月のソルトレージュ』以降、好みではない話を出していたので、チェックしてなかった作家さんでしたが、今回はいい。
 ラノベと言い切るには少々SFチック、こんな生物いたら怖いし、産業スパイやら破壊工作員やら、80年代のハードボイルドの香りがそこはかとなく…。終わり方も、ハッピーエンドで私好み。
 いい買い物をしました。
 

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2022年11月02日

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