あらすじ
研究施設への破壊工作に一般人が巻き込まれ――瀕死の彼女に取りつき治癒したのは、研究対象だった未知の細胞。人に順応していくそれ=呼称・アルジャーノンが望んだのは、穏やかな、人らしい日常を送ることだった。
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三人なら砂上の楼閣には非ず…?
何となく20世紀、もう少し絞り込むと70~80年代を想起させるテイストと言った感じですかね…。
SNSとか、ネットワーク環境とか、その他諸々、その時代背景にしてしまうと色々と成り立たなくなってしまうんですが…。
そもそも、江間宗史は荒事が得意じゃないという設定は、終盤で何処に行ってしまったのか…?
また、舞台が芳賀峰市という海沿いの街だけ、真倉沙希未、江間宗史、篠木孝太郎、梧桐薫といった主だった面々の過去の因縁が妙に繋がり過ぎているのも、何か舞台演劇を観ているような感覚になりました。
さて、読み始めに思った事は、アルジャーノンは沙希未に成り代わってしまったのではと想像しましたが、読み進めていく内にアルジャーノンが沙希未の身体に居られるタイムリミットを呈示され、そのつもりで読み進めた最後は…。
アルジャーノンは悪の怪物、寄生生物だったのか?
自我無き救世主だったのか?
ひとを模し、憧れ、学び、なりたいと願う、健気な化け物…。
もし完全な人工知能や万能細胞が作られたら、産まれ宿るその無垢な何かは同じ様な苦悩を抱えるのだろうか…?
真倉沙希未という登場人物、2年前の夏の五日間を語る狂言回しかと思いきや、そうでも無かったみたいで…。
この物語の主人公は果して誰だったのでしょう?