【感想・ネタバレ】終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#02のレビュー

あらすじ

〈獣〉の浸食により死にかけた都市ライエル。その外れの森で新たに発生した妖精の子供2人は、リンゴ、マシュマロと名づけられた。
「ふぇどーるーっ!」「ふぇどるー」
「まったく、どうして僕なんかに懐いてるんだか」
ぼやくフェオドール四位武官に、ラキシュは悪戯っぽい笑顔を返す。
彼女らと過ごす日々の中、フェオドールは自らの想いを告げることを決めるが、そこに〈十一番目の獣〉(クロワイヤンス)の『小瓶』が落とされる……。
新シリーズ、第2弾。
電子書籍版には『コミックアライブ2016年8月号』より連載開始のコミカライズ、プレ掲載話も収録!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

ネタバレ 購入済み

今この平和はどれ程の犠牲の上に

20歳程度のアイセアの老後と言っては失礼だけど、戦う事が出来なくなった妖精兵の余生があったのなら、クトリにも、もしかしらと…と。
ただ、クトリとヴィレムの動きがあったから、後輩妖精兵たちが戦いを課される頻度も減ったとも言え、それに依り黄金妖精自体の生存条件が危ぶまれるなんて…
ティアットの想いは判らんでも無いが、フェオドールの抱く大義・正義・未来とは相容れないものでしょうし…。

フェオドールの許嫁であるところのマルゴ・メディシス、お互いにエルピス事変を生き抜いた事を知らずに、現在に於いて関わりを知らないところで深い傷を負わす事に。
妖精郷の門を開いてしまったリンゴ、赤く髪色が変質し意識を落としたラキシュ、ラーントルクが考えてくれたリンゴとマシュマロの仮名ではない正式な名前、護られる形となってしまったフェオドールとしては受け容れがたく…。

生き残ったマシュマロの正式な名は『リィエル』という事は…


ところで、
アイセアとラーントルクは生きていたんですね…。
ネフレンは2番浮遊島で生きていたりするんだろうか?
幼体の妖精たちが、この世界の摂理に従い成体にならずに消滅するのか、これまで通りに調整を受け成体になり続けるのか…。
この状況の中『大賢者スウォン・カンデルの不在』と何か関係があるんだろうか?

0
2023年10月29日

Posted by ブクログ

うああ……、ラストには思わず「止めてくれ!」と言いたくなるくらい衝撃的な展開が……。黄金妖精の「あの件」については前シリーズの第一巻から触れられてきた要素なんだけど、結局作中で実行する者が居ないままになっていた。この作品のことだからいずれ誰かが実行するのだろうとは思っていたけど、まさかこのタイミングであの娘が実行するなんて微塵も思っていなかったよ……

そんな読んでいるこちらの精神を凄まじい勢いで揺さぶってくるこの巻だけど、最大の清涼剤となってくれているのがアイセアの再登場か
あのちょっと幼い感じもあったアイセアが口絵ではとんでもない美人さんに成長なされて……。アイセアってひょうきんな見た目や態度の裏に涙滲むような努力を隠した娘なんだけど、その裏側と見た目が遂に合致するような姿に。それでも口調が昔のままであった点には彼女の覚悟の強さを感じさせたかな


死にかけの世界の死にかけの街で過ごす、そう遠くない内に死にそうなフェオドールとティアットの二人
互いに何か切っ掛けがあれば急速に距離が縮まりそうでは有るんだけど、フェオドールの信念がそれを邪魔してやっぱり縮まらないような気もする。つまりは端からは中途半端な関係性であるように見える
そんな二人の許にやってきたのが幼体妖精のリンゴとマシュマロ。この二人に振り回されて特にフェオドールがあたふたする展開は色々と面白い

フェオドールは守ろうとした世界に裏切られた兄の為に世界に復讐すると誓っているせいか、大切なものを作ろうとしていないように思える。そんな彼の許にやってきた無邪気で誰かが守ってやらなければならないか弱い存在のリンゴとマシュマロ。妖精の面倒をみる任務により二人の面倒も見ることになったのだけど、その中でフェオドールが幼い二人にどんどん入れ込んでいく様子が手に取るように判る。
世界を壊そうとしている彼がこれから世界を満喫しようとする幼い命を庇護する展開は様々な矛盾を抱えているね

そういった意味ではこの巻でフェオドールは自身が抱えた矛盾点に向き合わされたといえるのかもしれない
フェオドールはいずれ世界を壊す気で居るから、本来は死にかけの街がどうなろうと知ったこっちゃないはず。なのに、終盤に街が危機に陥る場面では少しでも被害を軽減しようと行動してしまった。
黄金妖精はいずれ目的の為に利用しなくちゃいけないから、情が移るなんて禁物。でも、リンゴの喪失やラキシュの変貌に慟哭を上げてしまった
この時、覚えた感情を無かった事にしたくないなら、フェオドールは自身の目的が変わり始めたことを認めないといけない。認める必要がないなんて思うならそもそもリンゴの正しい名前を知れば良いだけの筈で

望まぬ形で大切なものを手に入れてしまっていたフェオドール。だというのにこの巻で彼はその守らなければならない大切なものに守られてしまった
彼にとっては受け入れがたい大きな矛盾のはずだけど、それを抱えて彼はこの先どのように黄金妖精と向き合っていくのかな?


力を使ってしまったことであっという間もなく変質してしまったラキシュ。いつかのクトリを思わせるような状況だけど、ラキシュもクトリのように踏みとどまることは出来るのかな?クトリはクトリで恋心のためにとんでもない負債を抱えて復活したわけだけど、ラキシュの場合はどうなるのだろう……

0
2019年07月11日

ただひたすにらに突きつける現実

一巻では前作と同様であまり物語としての展開がありませんでしたが、二巻では状況が少しづつ変化していきます。まずは一巻で語られなかったフェオドールの真意が明らかになります。歪んだ平和な世界に生きる人々に疑問を持ち、それを解決するための歪んだ優しさ。これが、新たに加わった2人の幼い精霊と出会い、歪んだ解決策の矛盾に向きあっていきます。というよりも、無意識に取る行動が歪んだ世界に生きる人々を助ける選択をとっています。どこか捻くれた性格でありながらも、本質的な優しさが垣間見えました。少しずつ、この人物に好感が持てるようになりました。この先、ティアット達と過ごし、どの様な選択を取るのかが見ものです。
微笑ましい場面もありますが、基本的には残酷な現実を突きつけてきます。一部作の様な儚くも美しい夢物語よりも、どこまでも現実的です。ひと時の幸せを手にしたとしても、いずれは失うのでしょう。大切な何かを得るためには、きっと何かを失わなければならないのでしょうか。読んでて思うことはありましたが、アイセアの登場により、少し心が救われた気がします。この先、二部の主要人物と一部の主要人物との関係がどの様な物語の展開を繰り広げるのでしょうか。

ただ、物語が始まって直ぐに絶望的な展開にするのは得策ではないのでしょう。そういう作品なのは承知ですが、ただ悲しいだけで、流す涙も美しくもありません。次作への購入意欲が失われます。各人物のバックグラウンドが薄く、美しくも切ない物語には程遠く、前作の出来が良かった分、その反響も大きいです。5巻までだった前作より、今作は7巻まで出版されており、まだ先もあるのでしょう。一巻の様に、大した展開もなく巻だけが進む様な引き延ばしが続くのであれば購入を控えたいと思います。作者の文章の書き振りも悪くは無いのですが、特筆して良いという訳でもなく、物語シリーズ作者の様に惹きつけるものはありません。
本来は今作の正当な評価をしなければならないのですが、前作が大好きだったため、どうしても比べてしまいます、、

1
2020年05月30日

「男性向けライトノベル」ランキング