あらすじ
妖精兵クトリ・ノタ・セニオリスは消滅し、ヴィレム・クメシュ二位技官は妖精兵ネフレンと共に闇に呑まれた。
物語は、終わったはずだった。――しかし。
ヴィレムは、見覚えのある部屋で目覚める。
「……おとー、さん?」語りかけるのは、すでに亡き存在の娘アルマリア。そして、かつての仲間ナヴルテリが伝える真界再想聖歌隊(トゥルー・ワールド)の真実。それは時の彼方に過ぎ去ったはずの終末の光景――。
夜闇の中、新たな《獣》が咆哮を上げる。
感情タグBEST3
間違いなく
秀逸の作品。
3巻が出るかどうかわからなかったと作者はあとがきに記載してあるが、ぜひ最後まで完走してもらいたい。
この作品に出会えてよかった。どんな終末が訪れたとしても、最後まで、私は見届けます。
500年間、死してはなかった?
死の際には肉体も消滅する黄金妖精だったのに、原形を留めない程に損傷しつつも遺体を残したクトリ。
妖精ではなくなっていたとナイグラートに診察されていたとはいえ、他に何か要因があったのかもと…?
クトリが地下で出会った氷棺姫が何者だったのか?
当初本巻を読み始めた際には、『悪魔による夢の中』というヴィレムの仮定が間違いで、クトリの魂と共にタイムリープしたのかとも想像していましたが、違いました。
アニメ版では描かれなかったパートなので、話の繋がりに少し混乱してしまい…
『ノフトが選ばれた聖剣・デスペラティオ』と『穿ち貫く二番目の獣(アウローラ)』
『緋色の髪の少女』と『地下で出会った氷棺姫』とクトリの関係とは?
『おかえり』を言わなかったアルマリア
『水晶像』の胸元の傷と、複雑な呪詛
『星神(ヴィジトルス)』とはそもそも何なのか?
謎が広がり…
アイセア、ノフト、ラーントルクは妖精倉庫に帰還する事は出来たみたいですが、ヴィレムは、そしてネフレンは?
クトリも肉体が消滅しなかった事に何か他の意味があるんじゃ?
頭の中を整理し直してから次巻を読まないと、混乱してしまいそうな予感…
新たな終末物語
アニメは3巻までで、ここからが真なる物語の始まりです。いよいよ佳境に入ります。ケモノの真実、ヴィレムの過去が明らかになります。過去の話は物語を深掘りするには最適ですが、停滞します。しかし、本作では物語を停滞せず、先の展開を設け、次巻に繋げています。巻を追うごとに精錬されていく物語の構成は見事です。そして、何度も驚きと悲しみと感動を与えてくれた巻でした。一つの巻でこれほど密度の濃い展開は中々無いと思います。特に、ケモノの正体を知った時には衝撃を受けました。どうやら、叶わぬ想いというのが、この作品の肝要なのでしょう。思わぬ形で終末を迎えましたが、この後どうなるのでしょうか。非常にこの先の展開が気になります。
正直、二巻で本作の出版が危ぶまれる理由が分かりません。アニメの完成度が高いのは原作の完成度が高いことが必須です。そしてこの原作は丁寧な伏線の設定、物語の展開、構成が秀逸でした。やはり、タイトルで損をしているか、重みのある展開が明暗を分けているのでしょうか。もっと知れ渡って欲しい作品だと思います。
匿名
4巻読みました。
夢の中でアルマリアとの再会。
交わした約束の違和感。
クトリ?リーリァ?に関係のある緋色の髪の少女。気になりますね。
Posted by ブクログ
3巻を読み終わった直後、ヴィレムが過去のゴマグ村に迷い込んでしまった展開はどんな道が待っているにせよクトリを助ける何かに繋がっていくと思っていたんだけどな……
まさか、第4巻の序盤からあんな描写が出てくるとは全く予想していなかったよ……
もっと言ってしまえば、この巻ではクトリに対する言及すらその序盤の話を除けば殆ど無い。それは前巻の描写があれ程までにこちらの感情を揺さぶってくるものであったことを考えると、とても意外なものだった
代わりにこの巻でメインとなってくるのはヴィレムとアルマリアの話。そこにネフレンという存在が面白い感じに関わってきた印象
世界が滅びる前にヴィレムはアルマリアの元へ帰ってくると約束した。けれど、約束は果たされずに終わってしまった。それを思えば舞台となるゴマグ村が夢で有ったとしてもヴィレムがその夢を満喫する道だって有ったはず。しかし、ヴィレムがそうしなかったのはきっとネフレンが傍に居たからなんだろうな
この巻では、ヴィレムのクトリへの言及は異様なまでに少ない。物語の割と早い段階でクトリ達への依存が始まり、前巻でプロポーズまでしたヴィレムがここまでクトリの事に触れないのは一種異様に映る。
クトリが既にどうやっても助けられないと知っているという点も有るのだろうけど、それ以上にヴィレムはどうしたって弱いから、あまりにクトリのことを思い出すとクトリを守れなかった事実に耐えられなくて壊れてしまうのかもしれない
クトリを助けられなかった事実から目を逸らしつつ、ネフレンを助けるために夢から脱出しようとする。そうすることでヴィレムは自身を守っているように感じられた
そして夢のゴマグ村では世界が滅びる直前の束の間の平和が描かれるのだけど……。何と言うか更に世界の謎が深まった印象
今回の描写で獣の正体、そして人類はどのようにして獣に変わっていったのかが描かれたのだけど、どうやって聖歌隊は人を獣に変えることが出来たのか、そもそも聖歌隊はどのようにしてそんな手段を手に入れたのか。また、師匠と聖歌隊の関連は?などなど気になることばかり
現代を基準に見れば昔の話だから、今後関わってくる可能性って低いような気がするけどヴィレムからすれば自分の故郷を舞台に人体実験が行われたようなもの。いずれ真実に辿り着きたいと思ったりするのだろうか?
そういえばこの巻では、ヴィレムの準勇者時代の数々のエピソードが披露されたね。こうして見るとヴィレムは化け物揃いの勇者一行の中で別方向の化け物であったことがよく判る
特殊な最終奥義でしか倒せない亜竜を蓄積ダメージで撃破、戦闘中に聖剣を調整しつつの二刀流。
超人というわけではないんだろうけど、自分の持てる技を出来る限り磨き上げ超人に近い存在になった化け物のような印象を受ける
つまりは誰にも出来ないことは全く出来ないが、誰かに出来ることなら飛んでもなく高いレベルで出来てしまう。ヴィレムはきっとそういう存在だったんだろうね
結局の所、夢のゴマグ村でヴィレムが出来たこととは何だったのかな?
夢の中だから何をしたって史実に影響を与えることはない。そして史実では果たせなかった約束を守る道もヴィレムは選ばなかった
もし、出来たことが有ったとするならば、もうどうしようもないほど助かる見込みのなかったアルマリアの嘆きをきちんと終わらせてあげたことだけ
それはあまりに悲しいことであるように思える
ただ、その行動によって現実の身体が壊れかけていたヴィレムは獣になり、延命する道に繋がった
ここから助かる道なんてあるようには到底思えないけど、アイセアやティアットによってヴィレムを終わらせる道に繋がるかもしれないならまだましだと言えるのかな?
それでもやはり悲しいことであるように思えてしまう
ヴィレムが夢のゴマグ村を駆け回る裏で何やらしていたエルク。今後は彼女も物語に関わってくるのだろうか?
Posted by ブクログ
死の危機に瀕していたはずのヴィレムとネフレンが目覚めた場所は、500年も昔に滅んだはずの、ゴマグ市だった。
ヴィレムの記憶を元にした、何物かによる精神攻撃を疑うものの、ヴィレムが知らない情報まで内包したあまりにも高い再現度に驚く二人。
人々はごく普通に生活し、ヴィレムが育った養育院もまた、当たり前のように存在する。
この世界は一体何なのか。
かなり多才に見えるヴィレムをして、自分には才能がないと言わしめる、本物の化け物な準勇者(クアシブレイブ)や冒険者(アドベンチャラー)達。
正規勇者(リーガルブレイブ)のリーリァは言わずもがな。
魔力使わずに砂ぼこりを避ける走法とか、普通は予め用意しておくはずの呪跡(ソーマタージ)の、しかも超複雑なやつを即興で組み上げて辺り一面消し飛ばす等の絶技。
ヴィレム自身もその状況対応力の高さから最強の準勇者と呼ばれる事もあったらしいものの、上を見れば遥か高くて、そりゃあ自信無くすわ。
Posted by ブクログ
あーっ…アルマリア……。そうですか…いやまあそういう感じかなとは思ってたけどやっぱりそうなんですね…。うん…そうか…ずっと………こういうの弱い……っ!
えー、とりあえず、アルマリアのおかげで「世界の終末」をある程度知れたわけですね。ありがとう…アルマリア……。
しかしまだまだわからないことは山積みだ。例の緋色の髪の子のこととか。そんでまた最後えらいことになってますけど…どうなるんでしょうか。
Posted by ブクログ
言葉の見つからない結末……
これまでの物語の終わりでも、始まりでもあり、救いでもあり、破滅でもある一冊。この世界観だからこその、優しさと残酷さと絶望が押し寄せてきます。
前巻で死に瀕したヴィレムとネフレン。二人が目を覚ますとそこは、すでに滅びてしまっているはずの500年近く前の地上世界が広がり、さらにヴィレムの家族や仲間たちも、かつてのように生きていた。
何者かからの精神攻撃により、幻を見せられている、と考えたヴィレムは懐かしさに囚われそうになりながらも、幻の世界を脱出する手がかりを探り始める。
1巻から3巻で描かれた終末の世界観だけど、なぜ世界はそういうふうになってしまったのか、という具体的なところが、この4巻で明らかになっていきます。世界観の作り込みは、1~3巻で相当なされているのが伝わってきたので、そのあたりがスッキリしたのが良かったです。
戦いに出る者と、待つことしか出来ない者。それぞれの悲しさと相手を想う気持ちが、切なく痛いシリーズだったけど、今回も切なく痛かった……。たとえ幻と分かっていても、目の前の家族の危機には、動いてしまうヴィレム。そして500年以上、ヴィレムを待ち続けたアルマリア。
二人が真の再会を果たしたときに、待つ結末は、あまりにもあまりにもでした……。心のどこかで、「これは時間改変になって、世界の行方は変わるんじゃないか」と思ったりもしたのだけど、やっぱりそんな甘くはなかった……
次巻で第一部は完結だそう。ストレートなハッピーエンドはおそらくないだろうけど、どう落としどころをつけるのか。とても気になるところです。