ケイト・モートンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ケイトモートン 大好き。ゴシックというか、ブロンテ姉妹みのある世界と今をシームレスに繋いで、物語の面白さをじっくり味わえる。
20世紀初めにオーストラリアの港にたったひとり取り残されていた幼い女の子はどこから来たのか。その謎を、周りの景色もたっぷり堪能しながら、追いかけていく楽しさ!
再読なんですが、この楽しさ面白さ、まったく損なわれることはなくて、もしかしたら、結末を知っているからこそ、余裕をもってゆっくり楽しめるのかも。
子どものころは何度も何度も繰り返し同じ本を読んでいて、それでも毎回楽しかったなあ、ってことを思い出す。そういう読書もまたしよう。
ところで、ケイト・モートン、新作は出ないのだろうか…。せめて、「The Clockmaker's Daughter」、邦訳が出て欲しい。 -
Posted by ブクログ
※上下巻の感想です。
オーストラリアの港に、英国からの船が到着した。ヒューとリルという優しい二人の元ですくすくと育ったネルは、二十一歳の誕生日に、自分が船に取り残された少女であることを告げられる。自身の死の間際、孫のカサンドラにとある遺産を残す。「その意図を理解することを願って」と綴られたメモ。カサンドラは、ネルの正体を求めて彼女が持っていたコーンウォールのコテージに向かう。イライザ・メイクピース、彼女の本を片手に。
「言いよどむナサニエルの口に、人差し指を押しあてた。言葉は封印された。」
「”知らない場所でひとりぼっちで過ごす夜がどんなに恐ろしいものか、ちゃんとわかっっているからね”」
『秘密の花園』を彷彿とさせる作品。お屋敷が出てくる作品は自分の中の「少女」的な感情が揺さぶられてお気に入りのものが多いのですが、こちらも例に漏れずかなり好きです。翻訳の言葉選びも素敵で、特に過去の描写がかなりロマンチックで堪りません。
皆、幸せを求めただけだったにも関わらず、全ては失われてしまった。真実を知っているのは、美しい花園だけなのだ──。 -
Posted by ブクログ
最後は事件の真相が二転三転し、先が気になり読む速度がどんどん速くなった。
最後はすべてがつながり、えーっと思わず声を上げそうになった。
ケイトモートンは初めて読んだが、訳者あとがきに、私が抱いた感想のすべてが書かれていたので抜粋する。
「...つまり過去の悲劇の真相を関係者の証言や当時の記録によってあぶりだすという、ジグソーパズル的謎解きの基本をきっちり抑えた典型的な作品だ。
だがモートンのジグソーパズルはピースの数が半端じゃない。その大半を占めるのが、登場人物たち一人ひとりの胸に去来する記憶の断片だ。それらが巧妙にシャッフルされて作中にばらまかれ、読むものを幻惑する。」
「モートン作品の醍醐味は、登場人物たちの関係性やそこから生じる認識のずれ、それぞれが抱え込む屈託(秘密)が、やがて中心となる謎の真相へと収束するプロセスの追体験にある。」 -
Posted by ブクログ
上巻の後半からあった小さな違和が、読み始めた徐々に大きくなってくる。
国民的女優であるローレルの母の若かりし頃。
都会に憧れ、自分が設定した人物になりきって物事を進めていくその姿は、娘が大女優になる種を内包しているかのように見える。
けれど。
都会の生活に憧れ、もっと良い暮らしができるはずという野心あふれる若い娘であるだけにしては、ドロシーは身勝手なエゴイストでありすぎる気がする。
それがローレルの知っている母の姿とは、どうしても重ならない。
鼻っ柱を根底からへし折られるような、何を彼女はやらかしたのだろう。
いや、それよりも…。
母の過去を追うローレルが知りえた情報を読みながら、違う事実を想像してしまう。
どちらに転ぶこともありうる過去。
ドロシーがいけ好かないと言い張るヴィヴィアンは、知れば知るほど心温かい人物で、かえってドロシーの邪さが際立つ。
ドロシーを愛しながらもヴィヴィアンに惹かれていくジミー。
危ういバランスに立つ若い3人。
しかもヴィヴィアンは人妻だ。
なぜか時折体調を崩し、家に引きこもることのヴィヴィアン。
服の下に見える青あざ。
自分の未来などないと言い切るヴィヴィアン。
私の予想から外れていきそうになった時、ヴィヴィアンの夫・ヘンリーの正体が明らかになる。
すべて世はこともなしといった読後感になるとは、我ながらびっくり。
子どもの目の前で人を殺してしまったローレルの母の罪は、今更問われないのだろう。
それにしても、ヴィヴィアンの遺産分配は、問題なく行われたのだろうか。
あのヘンリーが、家以外の財産を受け取ったとしても、黙って家を出ていくとは思えないし、追い出されたとしても情報省の役人の特権を使って、遺産受取人に報復するくらいはしそうな奴なんだけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ玉ねぎの皮をむくように、少しずつ明かされる真実から目を話すことができなかった。
エプロンのポケットに入れ、ほんの少しの時間でも空けば、続きを読む。
読まずにいられない。
そのくらい、次々と現れる新発見、新解釈。
二転三転する赤ん坊誘拐事件の真相。
テンポは速いが、決して浮ついてはいない。
誰もが大切な家族を守りたかっただけなのだ。
父も母も娘たちも。
だからみんなが秘密を抱えることになり、事態は複雑を極めることになる。
ゴシック・ロマンス風に始まった物語だったけど、大河小説並みの家族小説に落ち着きましたな。
それにしても、あれがそう繫がりこうなりますか!の連続で、セイディとピーターの間にさえ、何かかかわりがあるのかと勘ぐってしまったよ。
ほんの小さな違和ですら、あとから思い返せば「そういうことだったのか!」と膝を打つことになる。
丁寧な仕事をする作家さんです。
一つ残念なのは、赤ん坊が誘拐された日、契約期間満了でひとりの使用人が姿を消したが、誰もその後を追跡しないのね。
元々風来坊だから追いようがなかったのかもしれないけれど、普通なら一番の容疑者になるんじゃないのかなあ。 -
Posted by ブクログ
読み終えて、あー良かった!幸せとちょっとの切なさが混じった心地よい読後感。戦争真っ只中の1941年ロンドンで生きる若者たち、そして母の殺人を子供の頃に目撃してしまった女優ローレルが真相を探り出す2011年が、交互に語られる。下巻の途中で、もしや?と思ったので(それが殺人の動機に十分成り得るので)、真相は割とあっさり分かったけど、逆にそれが良かったなと思うくらい。
ドロシーたちが作り上げた、温かな家族の描写も魅力的だったし、当事者が真相を知りながらも「秘密」を守り続けたんだなあと、綺麗にタイトルの回収もされた、ラストシーンもすごく良かった。ケイト・モートンの中では一番かも。