オーストラリア・ブリスベン、1930年、ネルは21才の誕生パーティの時に父親から、実はおまえは実の子じゃないと告げられる。イギリスからの船が着いて、一人残っていたのだ、と。それからネルは幸せだったそれまでの家族が、何の関係も無い別なものに見えてきて、婚約も解消し、家を出て自らのルーツ探しに奔走する。2005年、95歳で孫に看取られながら死んだが、今度は孫のカサンドラが祖母の謎を辿る・・
オーストラリアでの90年、そしてルーツのイギリスでは19世紀末、さらにその家の始祖はコーンウォル地方で、1724年、難破船からの略奪で財を成した、というのまで村人からの聞き込みで分かってくる。デュ・モーリアの「荒野の館」もコーンウォルで難破船から泥棒してたなあ。ルーツを探して出てくる出てくる驚きのエピソード。むむ、これはディケンズの世界だあ。後半になるにつれ、えっ、そんな、そっちに行く~? という怒涛の展開。いやしかし、やはりヘソはネル本人で、まったく翻弄された人生だったよね、ったく。・・しかし現状を受け入れるしかないのかも、開き直るしかないよね、とも感じる。
実は自分は本当の子じゃなかった、これがどれほどの衝撃なのか。それまでの、今の環境、さらには自身の過去すべてが、価値の無いもの、否定したいものに思えてくる。みなしごを育てる以外は、他人の子を自分の子にして育てる、こういうことは子の無い親のエゴだ。身長の高低を変えられないのと同じように、子供の有無を考えられないものなのか、しかし子の無いのを受け入れられないのだろうなあ。
初めて読んだオーストラリア人の小説。
早川海外ミステリハンドブック2015:時代を作る・作った新世代ミステリ
2008発表
2011.2.25初版