ケイト・モートンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
よく海外のミステリー物を読むと、表紙を捲った部分にある登場人物一覧。
あれの重要性と、普段あれにだいぶ頼ってたんだなということが実感できる作品。
つまり登場人物表が今作にはないという、ただそれだけのことなのだが。
あるネグレクト事件関連の失策で謹慎処分となったロンドン警視庁の
女性刑事セイディはコーンウォールで過ごすうちに
森の中で打ち捨てられた屋敷を発見する。
そして70年前、その屋敷でエダヴェイン家の末子である赤ん坊セオが
行方不明になり、未だに解決されておらず迷宮入りになっていることを知る。
ミッドサマー・パーティーの夜、そこでいったい何があったのか。
そんなあらすじなのだが、上巻は現代である2003年と、
1933年、時には1911年を行ったり来たりする上、
登場人物についての紹介もあまり親切ではない+とにかく多いので、
誰が誰だか理解するのに相当苦労する内容。
上巻の後半でようやく事件と登場人物の整理が頭の中で追いつくのだが、
そこに到達するまでは混乱かつ、まさに苦行。そこが挫折ポイントになるかも。
ただ、理解してからはエンジンが掛かったかのように惹き込まれていく内容。
主に、謹慎中の刑事であるセイディと、
エダヴェイン家の次女でありミステリー作家のアリスを軸に物語は進んでいく。
上巻である程度70年前のセオ失踪事件の中身を提示されるのだが、
まだまだアリスは秘密を隠していそうだし、
70年前の事件を一人追うセイディも不祥事の内容など
明らかになっていない謎がかなりある状態で上巻は締め括られる。
さてさて下巻はどうなることやら。ひとまず期待したい。 -
Posted by ブクログ
オーストラリア・ブリスベン、1930年、ネルは21才の誕生パーティの時に父親から、実はおまえは実の子じゃないと告げられる。イギリスからの船が着いて、一人残っていたのだ、と。それからネルは幸せだったそれまでの家族が、何の関係も無い別なものに見えてきて、婚約も解消し、家を出て自らのルーツ探しに奔走する。2005年、95歳で孫に看取られながら死んだが、今度は孫のカサンドラが祖母の謎を辿る・・
オーストラリアでの90年、そしてルーツのイギリスでは19世紀末、さらにその家の始祖はコーンウォル地方で、1724年、難破船からの略奪で財を成した、というのまで村人からの聞き込みで分かってくる。デュ・モーリアの「荒野の館」もコーンウォルで難破船から泥棒してたなあ。ルーツを探して出てくる出てくる驚きのエピソード。むむ、これはディケンズの世界だあ。後半になるにつれ、えっ、そんな、そっちに行く~? という怒涛の展開。いやしかし、やはりヘソはネル本人で、まったく翻弄された人生だったよね、ったく。・・しかし現状を受け入れるしかないのかも、開き直るしかないよね、とも感じる。
実は自分は本当の子じゃなかった、これがどれほどの衝撃なのか。それまでの、今の環境、さらには自身の過去すべてが、価値の無いもの、否定したいものに思えてくる。みなしごを育てる以外は、他人の子を自分の子にして育てる、こういうことは子の無い親のエゴだ。身長の高低を変えられないのと同じように、子供の有無を考えられないものなのか、しかし子の無いのを受け入れられないのだろうなあ。
初めて読んだオーストラリア人の小説。
早川海外ミステリハンドブック2015:時代を作る・作った新世代ミステリ
2008発表
2011.2.25初版