東田直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数年に一度、トライやる・ウイークで自閉症の子どもを受け入れることがある。
僕は機敏な動きができないため、ぶつかられるのを恐れ、遠巻きにその子の名を呼ぶ。
名を呼ばれても反応しなかったその子が、いきなり別のタイミングで僕に向かって駆けてきた。
ぶつかる!
と思った瞬間、その子は僕の正面で立ち止まり、ゆっくり左手を伸ばしてきた。
そして、僕の青い胸についていた3ミリの白い糸くずを細い指先でつまみ上げた。
この糸くずが気になって走ってきたのか。
僕はこの目の前の子と会話ができたらどんなにいいだろう、と思った。
その子は東田さんではないが、この本の紹介文に、
「会話のできない重度の自 -
ネタバレ 購入済み
名著
これから自閉症の方とふれあっていくものです。
これからの仕事の意欲、考え方に繋がった。
読んでいてここまで考え方を持っていることに驚きと感動をした。向き合い方を改めて考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本は単に「自閉症」という障害について解説した本ではない。あくまで自閉症の一人である「東田直樹」さんという一個人の観ている世界を知るものである。そしてその世界を知ることで、世界の多種多様性に改めて気付かされる、そんな本だと感じる。
勿論、自閉症という障害自体の理解にも繋がる作品でもある。
自閉症というと、言語でのコミュニケーションが困難が故にその言動がなかなか理解されにくいところがあると思う。しかし本書を読むと、言語コミュニケーションが困難であるからこそ、実はとても色々なことを自身の中で考えているのではないかと感じた。
そして何より本書を読み、東田さんの観たり感じている世界観の豊かさに心がと -
Posted by ブクログ
このシリーズ、以前から読みたいと思っていて、やっと読む機会があった。本書のおかげで、自閉症の人たちの理解に大きく一歩近づいたと思う。
身近に結構、自閉症の人たちがいる。程度はさまざまだが、100人に1人は自閉症だそうだ。子どもの時はちょっと変わった言動をする子と見られ、そこそこいい学校に行くが、卒業後は社会に出られないので実家で暮らしている。正直なところ、彼らがどの程度まで周りの言うことを理解しているのか、どう感じているのかなど、不明なことが多かった。
著者の東田氏は、普通に話すことができず、他人とコミュニケートできない。意識が飛びやすく、集中して何かをすることもできない。時間を流れでとらえる -
Posted by ブクログ
忘れたくない部分にマーキングしていたら、何百か所にもなってしまった!
読みやすく、わかりやすく、そして1992年生まれの若い著者の平易な言葉で語られた人生論というか哲学を感じます。
ーーー以下引用ーーーーーーーーーー
●その時(自立できない時)に、僕はこんな風に考えることにしています。治らない障害というものは、時代が僕らに何か望んでいることがあって、僕らをこの世に誕生させたに違いないと。・・・・・。僕たちが、最先端の人間だと認められる日が来るといいなぁ。
※「文庫版あとがき」より
「僕は人生に絶望したあと、自閉症である僕とみんなの違いは何か、繰り返し考えました。その答えが知りたくて、自然 -
Posted by ブクログ
身体的不自由がなくても、個性や能力は千差万別であるように、自閉症と呼ばれる方もそれぞれ千差万別であるのだ。ともすれば、私たちはハンディキャップのある方たちを一つのカテゴリーにくくってしまいそうになるが、本書を読むと何も知らなかった自分、知ろうとしなかった自分の傲慢さに気付き、同時に新たな世界が広がるのを感じる。
東田さんが、自分の状態を「壊れたロボットを中から必死に動かそうとしている感じ」というような言葉で表現されていたのだが、この一文に衝撃を受けた。思うようにならない自分の身体を一生懸命動かし、続かない集中力をなんとかなだめて文章を紡ぐ、その姿勢に心を打たれた。