冨永星のレビュー一覧

  • 時間は存在しない

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    Audible!!

    宇宙、量子、時間的な話って何で定期的に読みたくなるのかな、、もちろん現実逃避をしたいから!
    ってことでがっつり逃避してみましたw

    最初に面白いなと思ったのが、宇宙とエントロピーのお話。宇宙全体が最初は低エントロピーだったわけじゃなくて、たまたまそういう場所に自分たちがいるからという考え方。部分集合の一部でたまたまエントロピーが低い場所があった的なことみたい。

    その視点を分かりやすくしてくれるのが、りんご酒の例えでした。北ヨーロッパでりんご酒が飲まれているのは、文化が特別だったからじゃなくて、そもそもりんごが育つ土地だったから。同じように、生物が存在しているのも「奇跡」ではなく、たまたま条件が合った環境に、そういう存在が残っただけなんだ、、確かにφ( ̄ー ̄ )

    んで熱力学の話もこの流れにつながる。エントロピー自体は、私たちの世界では確かに増え続けている。でも、それを「時間の流れ」として強く意識しているのは、人に記憶があるからなんじゃないか、という指摘でした。記憶があるから過去と今を区別できて、結果として時間が一方向に流れているように感じているってゆー流れ。

    科学寄りの本なのに、最後は「時間は刹那の連続」みたいなところに着地するのが面白かった。科学の話を突き詰めると、哲学に行き着く、、考え尽くすと今ここに戻るって感じがほぇ〜な読後感でした。

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    2025年12月21日
  • 時間は存在しない

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    誰に対しても、どこでも一様に流れている時間はないこと、現在というものはないこと、当たり前だと思ったこれらが実際は違うという事実は興味深い。また時間の方向もないことが、様々な物理方程式にみられるらしいことは特におもしろい。その後の、では時間のない世界をどう記述するのか、それでも感じる時間の正体はなにか、これらの論説は解説読んでも理解不能でした。

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    2025年10月15日
  • 時間は存在しない

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    マクロな曖昧さ、これ、一神教の神でいいかな。

    この状態、状況を記述しようとすると、その背後に神の視点なりが、立ち現れて来ると感じる、と、思えるな。記述自体は、聖書、寓話の一説、ミクロな個々のイベント、出来事の一つでしかない。

    世の皇帝たちが、暦の作成に力を入れたのも、よく分かる。現況のトランプ関税も、パラダイムシフトか、アメリカの新たなブランディング戦略なのだろうかな。負債処理、金利操作の一つにもなってるし。

    ロシアに暴露されちゃったし、当然、エントロピーは、増大するよね。失敗すると、核戦争もあるかな、うーん、一神教、縁遠いんだけどな、わし。

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    2025年09月26日
  • ブラックホールは白くなる

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    ロヴェッリの「時間は存在しない」からの3部作最終巻(のはず)。著者が書かれているように本シリーズは物理をあまり知らない人と「専門家」向け。専門家と言っても本書は高度な知識や数式による表現はなく、物理に対する形而上学的な哲学的な著者自身の信念的な考えを伝えている意味合いが強い感じ。自分はもちろん前者寄りだが、特に第三部は著者の熱いメッセージが伝わってくる。時間/過去/未来に対し、宇宙と言うとてつもなく大きくとてつもなく長い歴史の振る舞いを通じてとてつもなく小さく短い存在の人間がどう捉えているか(捉えるべきか)いう観点はとても深遠で壮大な感じで良き。マクロな話(人や心)とミクロな話(量子の世界)との関係にも少し触れていて興味深い。

    肝心のホワイトホールの話はちょっと肩透かし感はあり。アインシュタイン方程式が通じるブラックホールの手前(第一部)までは何となく分かる気になるが、その先は、未知の世界であり著者レベルの専門的な難しい説明なしには伝えるのは難しそう。ブラックホールがプランクスターと呼ばれる空間的な限界レベルまで収縮して、そこからは空間的な量子の世界で量子トンネル効果ですり抜けて跳ね返り、時間反転してホワイトホールに...と。んー...。

    自分的には3部作の中では一番面白かったが、ダンテ他の引用についていけなかった...。著者の文学的な博識に脱帽。

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    2025年08月13日
  • ブラックホールは白くなる

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    ネタバレ

    みんな大好きカルロ・ロヴェッリの新作。

    ちょこちょこ色んなところで出て来たホワイトホールについての解説本なのだけど……難しい!
    いや、ロヴェッリ自身の語り口は軽妙なんだけど、純粋に内容が難しいね。細かく理解をしようとせず、あえて文学的比喩に身を任せてみたほうが良かったかもしれない。

    「ホワイトホールは、時間が反転したブラックホール」というのが、ロヴェッリの答えなのだけど、その実証が(つまりホワイトホールを観測できた、という結果があれば)彼の唱える「ループ量子重力理論」が正しいことを証明してくれるのだそうな。
    しかしまぁ難しい本だったな…。読み直しても半分以上分からんが、雰囲気は楽しめる。そこらへんはさすがロヴェッリだよなー、とか。

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    2025年07月05日
  • ブラックホールは白くなる

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    数式等の詳細は入れずにホワイトホール論を語る本。

    それでも中盤は難しく少し流していましたが、最後の一文に「ハッ」として戻って読み返してしまいましたw

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    2025年06月24日
  • 時間は存在しない

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    あらゆる事象に囲まれて私たちは生きている。時間という概念しかり、そこに絶対というものはなく単なる目安としての心構えとして尺度は設けられる。現在という時間は瞬間であり、過去と未来にすぐさま振り分けられる。では普段私たちが使う現在とは何か。このクエスチョンに込められているのは尺度の不確実性にある。その柔軟こそ事象ではないだろうか。正体はわからない。私たちはわからないものの中でわからないものを享受している。わかろうとするのではなくわからないものもあっていいと感知する。そしてわかりたいという好奇心を大切にしよう。時間と切り離せない音、音楽に身を委ねると、言葉にできないがほんの少し何かがわかったような気になる。その変化に時間は存在するのか、ますますこの世界が面白くなる。

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    2025年06月17日
  • 時間は存在しない

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    難しい。
    人に説明できるレベルまではまだ理解できていないが、どこかで同じような話を聞いたときに改めて理解できそう。

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    2025年05月25日
  • ブラックホールは白くなる

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    文章はわかりやすく第一人者の書いたポピュラーサイエンスの本でありながらエッセイ風でもあった。ホワイトホールについておそらく本書以上にわかりやすく解説することはできないと思うが自分には十分理解できなかったのが残念。
    ダークマターはホワイトホールかもしれないというのは驚き。

    【原題】
    Buchi biamchi
    【目次】
    第一部 黒い穴(ブラックホール)
    第一章 ブラックホールとは何か
    第二章 地平線で時は止まるのか
    第三章 不穏なる時間の相対性
    第四章 内側に行って、見る
    第五章 量子効果と特異点
    第六章 ブラックホールの奥底を見る

    第二部 白い穴(ホワイトホール)
    第七章 ホワイトホールとは何か
    第八章 空間そのものを構成する基本粒子
    第九章 ブラックホール内部での飛躍
    第十章 計算は今も進行中
    第十一章 ホワイトホールの外部で起きること

    第三部 過去と未来
    第十二章 科学者たちの論争
    第十三章 ホワイトホールの地平線
    第十四章 過去と未来は何ゆえ異なるのか
    第十五章 わたしたちは未来を思い出すことができない
    第十六章 わたしたちは過去を選べない
    第十七章 天空を漂うホワイトホール

    訳者あとがき
    原注

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    2025年05月24日
  • 時間は存在しない

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    前半は科学的な理論展開ですが、後半は哲学の世界に入って一気に難解になります。デカルト、カント、ハイデッガーの思想が時間に紐付けられて高度な議論が展開されています。

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    2025年05月20日
  • 規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか

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    科学、物理、自然科学など専門的な事柄と内容、更に諸外国の歴史的な背景を理解するのには素人には少々難解な書物だ。過去の科学者も物理学者も大きな間違いもあったと言う、だから世界は、人類は時代にあった新たな知識と知恵を得て共存できる社会になってきた。気になる事柄は「タコの知的能力」は人間の子供と同等な能力がある、と言う。それと「輪廻転生」の現実と空の世界がある、と言う説。新たな知識と知恵は現実的には違った方向へも動き出している、と言う。それは、世界の動向。あらゆる格差からの不平等、気候変動における環境問題、経済不均衡からの難民問題、核の脅威など独断政治家も増え、世界の緊張感は一気に膨れ上がっているが国民は政治家を操ることができるだろうか。できれば科学、物理学、自然科学者の方々が何ができるのか期待したい。

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    2025年05月11日
  • ブラックホールは白くなる

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    まず、とても読みやすい。ブラックホールをダンテの地獄編の象徴的な文章を引用しつつ解説し始めた時は心配したが、全くの稀有だった。まぁ、多分に“文学的”な表現に溢れているので、気に入らない人もいるだろうけれど、私にはわかりやすかったし、何より驚きがたくさんあった。他の著作も読んでみよう。

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    2025年04月18日
  • 規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか

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    ネタバレ

    みんな大好きカルロ・ロヴェッリのコラム集。
    一つ一つが読みやすく、けれども内容はしっかり濃いので、このレベルのものがコンスタントに出されているってのがすでにすごい…。

    ロヴェッリの本は3冊ほど読んでるので、あーここが繋がってああいう発想になってるのね、と納得する部分も多かったり。

    特に面白かったのは標準理論やホーキング温度のところかな。何となくは知ってたけど、ロヴェッリの手に掛かればこれほど興味深い内容もない。ここらへんは別の本で詳しく勉強していきたいね。

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    2025年03月31日
  • 時間は存在しない

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    こんな世界があることを初めて知った。
    宇宙がもう1つある感覚。
    何度も読んでも100%理解は出来ない。私にとって恐らく一生かけて何度も読んで理解する本。

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    2025年03月23日
  • 数学が見つける近道

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    数学の面白さに触れられる書。
    少し時間をかけて読み込まなければならないものもある。
    よく考えることが面白い。ということを再認識した。

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    2025年01月10日
  • 時間は存在しない

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    久しぶりに物理関係の読書をした。
    非常に興味深いが、全てを理解できていない。
    時計はそれぞれ持っていることはよく理解できた。
    これらに関する知見を今後も深めたい。

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    2024年09月29日
  • 規則より思いやりが大事な場所で 物理学者はいかに世界を見ているか

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    ネタバレ

    イタリアの物理学者 さんが2010年代~2020年に書かれていたエッセイをまとめたもの。

    科学や理系に疎いので、ちょっと難しいお話かなーと思いながらも手に取りました。
    たしかに始めの方のエッセイは、宇宙とか粒子とか、数学の話が割とありましたが、
    全体として楽しく読ませていただきました。
    というのも、
    ・分からなくても一つ一つ完結しているので次に進められる、
    ・まとめ、がある文章構成ー理由や問いに対して、1, 2, 3、とはっきりと述べられているので、論点が理解しやすい
    ・後半はとくに、社会や時事に関する馴染みある話題が扱われている。

    と思いました。

    ・・・

    「光だけの宇宙では時の流れを感知できない」、といったことが少し書かれていて、
    時間=光・・・?という知能レベルなのですが、
    著者の『時間は存在しない』は興味深くも難しそう…。

    最後の方のエッセイで、
    2400年前のナーガールジュナの「空」の哲学のお話がありました。

    本質は存在しない。
    物事は視点があって存在する。

    分かるようでわからない、もちろん簡単に分かるわけはない、
    けれど、光の話で行くと、人間の視点があって、時間も存在しうる、そういう関係性の話をされているということなのでしょうか?

    ・・・
    自由意志の話。
    スピノザの『エチカ』でこの自由の有無について一つの結論が示されているようで、
    著者曰く、脳内の複雑な計算で物事が決められている、それを正確に読み込めば、現に本人が選択行動する前にすでにどう動くかが分かる。
    でもそれは複雑すぎて、結局私たちはそのミクロレベルを知らないからこそ自由意志の発想が有効になる、自分自身の選択行動に対して、自分が責任を持つ、という規範が成り立つ。では、それぞれの持つアルゴリズムこそ個性なのでしょうか? その計算機は、生まれ付きの脳の動き方に加え、一人一人の価値観や経験に依拠するから、やっぱり本人が知る前にデータとしてとれたとしても、それは本人に依拠する、と言えるのでは、と思ったり。

    アキレスと亀の永遠に追いつかないパラドックスの話。
    半分ごとに追いついても永遠に追いつかないのは、「連続空間」として空間を捉えているからで、
    粒状性、あるいは空間の原子の集まりとして空間を捉えたら、解決できる、というようなご説明。
    ループ量子重力論というらしい。
    そんなことを解明しようとするところがすごいよなー、物理学者さんたち。


    統計や確率。
    統計、にかく大事らしい。知って用いて生きるのとそうでないのとでは大きな差が生まれそうだ、そこは納得しますが、
    何度やってもなかなか頭に残らない。
    分かりやすかったのが、確率とは、何なのか、というお話で、
    頻度でも、傾向でもなく、…

    __数学者で哲学者でもあるブルーノ・デ・フィネッティ(1906-1985) は1930年代に、確率を理解する際に鍵となる考えを導入した。
    確率と関係があるのは、 その系 (サイコロや、 新聞の編集者や、崩壊する原子や、明日の天気など) 自体ではなく、その系に関してこちらが有する知職であ
    る、 という考えだ。
    (「確実と不確実のはざま」より)

    統計が数学ではなくなったような気がしました。

    ・・・

    数年後のエッセイでまた不確かさに触れられ、反証可能性に常にさらされ続ける知識に意味はあるのか、科学的知識は機能し得るのか、という懐疑に対する一つの答えを紹介しています。

    __フィネッティが偉大なのは、絶対的に確かでなくても、信頼できる知識を手に入れて分かち合うことはできる、という事実を理解した点にある。その洞祭によると、確かに確率は主観的で蓋然的だが、それでも知識は収東する。なぜそのようなことが可能なのか。その鍵となったのは、十八世紀イギリスの数学者トーマス・ベイズに端を発するなんとも扱いにくい定理だった。ベイズはこの定理でニつの事柄を示した。第一に、さまざまな信念の確率は、経験によって新たな証拠の欠片が得られるたびに変わっていく。第ニにーーこれが重要なのだがーーわたしたちの信念はたとえ最初はばらばらだったとしても、それらの変更によって、やがて収束する。(「ブルーノ・デ・フィネッティー不確かさは敵ではない。」より)

    私たちの市民生活においても、不確かさは敵ではなく仲間だと言います。

    __不確かだからこそ、意外なものに感動する。不確かだからこそ、わたしたちは心を開いて、さらに知ろうとする。わたしたちは有限で、いずれは死ぬ運命にあり、自分たちの知識の限界を受け入れる術を身につけられる。それでもなお、学ぼうとし、この知識の基礎を探求しようとすることができる。その基礎は、確かさではなく信頼性にあるのだ。(「ブルーノ・デ・フィネッティー不確かさは敵ではない。」より)


    ・・・
    著者は、ヨーロッパ最古の総合大学であるボローニャ大学ご出身。
    コペルニクスもそうらしい。1947年にポーランドから来て、この大学の学生になった。
    そこでの学びがもたらしたものを考察しつつ、
    偉大な大学が提供する「二重の構造」についてのお話が興味深かったです。

    1つ目に、蓄積された知識。古代ギリシャ、古代ローマ時代の書物も含め、学ばれていたこと。
    2つ目に、変革の精神。既存を疑う、新しいものを作ろうという夢を描ける環境。コペルニクスの在学時のイタリアは、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチが大活躍をされていた時期とぴったり重なるそうです。

    __...異なる文化世界は互いに混じり合うことなく翻訳することもできない、という言葉が繰り返されているが、それは嘘だ。その逆こそが真なのだ。理論や学問や時代や文化や民族や個人の境界はきわめて浸透性に優れていて、知は、これらの浸透性の高い領域での交流によって育まれる。わたしたちの知識は、この濃厚な交流の綱が絶え間なく発展した結果なのだ。そしてわたしたちの最大の関心は、この交流にある。比較して、さまざまな着想を交換して、互いの差違から学んで作り上げる。さまざまなものをばらばらなままにしておくのではなく、混ぜる。(「コペルニクスとボローニャ」より)

    異なる文化、時代、個人の間の対話…
    学問分野を越えて、国境を越えて、広く社会にも発信されている著者は、まさにこの交流を実践されていることが伺えます。


    ・・・
    著者は、移民や中東問題、大戦の歴史いった社会・政治テーマにおいても明確な立場をとり、
    キリスト教の本家イタリア人でありつつ、無神論者である理由を綴り、2世紀インドの仏教僧ナーガールジュナの思想について浸水して語られている、と思ったら、
    彼の前著を書く発想は、日本では違法ドラッグのLSEの使用体験から得た、といった話まで、
    一貫してリベラルで協調性すごい。

    __世界中の無数の都市のさまざまな通りで、世界は混じり合い、世界中の若者が語り合い、よりよい未来ーー異なることを恐れるのではなく、混じり合うことで豊かになる未来ーが生まれようとしている。
    (「共生の基盤は法律である」より)

    1万年前の人間同士の衝突の証拠が最近になってアフリカのトゥルカナ地方で発見されたことに触れ、
    ここから、著者は、私たちの知り得る人間同士の争いの歴史は、たった1万年に過ぎない、と言います。
    一次的なものだ、ともいえる。

    そして、争いを続ける人類に絶望するのでも、放置するのでもなく、分析する姿勢。

    『わが闘争』を読み、「自分は弱いものかもしれない」、「自分が他人より劣っているかもしれない」、といった恐怖が、分断や対立、ついには暴力的な争いの真の源であることに気付いたと言います。

    __自分が弱いと感じる人々は、他者を恐れ、警戒し、自分を守るために、自分たちのアイデンティティーとされるものに群がる。強い人々は恐れることなく、対立せずに協働し、自分とそのほかの人よのためによりよい世界の創造に寄与する。誰かがみなさんに何かを恐れるべきだというのは、その人が弱いからだ。『わが闘争』は暴力の深層にあるこの論理を暴露する希有な本だ、とわたしは思っている。(「マイン・カンフ わが闘争」より)

    近代国家に象徴される、権力の構造についても。

    __一人一人のアイデンティティーがかくも多形なものであるのなら、どうしてわたしたちは自分たちの集団としての政治的な振る舞いを「国家」という形にまとめ、一つの国家に帰属するという感覚をアイデンティティーの根っこに据えるのか。なぜ、イタリアなのか。なぜ、連合王国なのだろう。またしても答えは簡単で、国民性のまわりに権力が打ち立てられるのではなく、その逆なのだ。
    権力構造によって、国民性が作られる。
    …
    __連帯を育むために生み出されたものが、より大規模な協働の邪魔をする。内部での軋轢を滅らすために作られたものが、外部とのより有害な軋轢を生み出す。
    …
    __わたしたちに国民性、すなわち国民としてのアイデンティティーがないわけではない。確かにあるが、わたしたち一人一人は、幾重にも重なったアイデンティティーの交ス点なのだ。国家を最優先にすれば、他のすべてを変切ることになる。なぜなら、この世界のわたしたちが国を超えてみな同じだからではなく、それぞれの国の一人一人が異なっているからだ。(「国民性には毒がある」より)

    最近上映されてい映画『オッペンハイマー』の劇場座談会に招待された際にも、科学者が国境を越えた対話を行い、声を上げる重要性を強調されていたようです。(訳者あとがきより)

    ・・・

    博識な方から学ぶことは本当に幅広いですね。

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    2024年06月15日
  • 世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

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    すべてはタイトルに集約されるように、物事は関係において成立し、私が生きているか死んでいるかそれ自体はわからない。相手との関係においてのみ成立するということ。
    また、今この瞬間の私の行動がこの世界、今後の時代に少なからず影響を与えている。

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    2024年04月08日
  • 世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

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    物理学で「意識」の説明を試みたパートあり

    ■四章 現実を織りなす関係の網

    量子物理学を、系が互いについて持っている情報の理論と捉えることが可能

    対象物の属性を二つの対象物の相関の確立、あるいはむしろ片方の対象物がもう片方について有する情報、と見なすことができる。
    111



    ○
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    わたしたちが心的生活を送るには、ニューロン、感覚器官、肉体、脳で起きる複雑な情報処理が必要だ。


    基礎となっている各系に「原意識」があると考えなくても、凍りついた「単純な物質」を迂回することはできる。互いの関係によって定まる変数とその相関という観点に立てば、この世界をはるかに上手に記述できる、ということを認めさえすればよい。

    心的な現象も、物理的な現象も、物理的な世界の部分同士が相互作用することで生み出されたもの。

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    2022年10月31日
  • 世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

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    文系量子論渉猟

    量子論の読み物を相変わらず手に取ってしまうのである。
    もちろん多分一生わからないままでおわるのだが、何冊も読んでいると、さながら巨大な塔の内部をゆっくり螺旋階段でのぼっていくように、気づけばだいぶ高いところにきたなーなんて気分にはなれる、それが量子論文系読書の醍醐味であろう。

    さて、本書の議論の出発点は、うちの娘が苦労している元素周期表、さらに言えば電子が核の周りを回るその数と動きである。電子が増えたり減ったりして性質が変わる、その働きはどのように説明できるのか。
    そうこうしているうちに、電子の動きは観察しているかどうかで変わってくる、という、お前ら自然界レベルで人の目気にしてどうする的な世界に入っていく。

    これがまあまたいつものように、ある物質は観察されるまで定まらない、という不確定性原理というやつで、シュレージンガーの猫の例えの学び直しに時間を費やし、そして徒労感を得る。

    そこにそれがあるのは観察したからだ、という理屈は、それでは観察される前はどうなっていたのか、なぜ観察している私がその物質に影響を与えるなんてことがあり得るのか、という当たり前の疑問につながっていく。

    観察の数だけ少しずつ世界が層のように増えていく、つまりこの世は無限のパラレルワールドだから。たまたま観察したときの確率、いわばサイコロによって世の中は決まってくるから。
    さまざまな仮説が大まじめに物理学者によって論じられ、しかし相対性理論との整合性のある理屈を誰も見つけられず、論争は未だ決着していない。

    そんなことはサイエンティストではなく哲学者の領分では、という疑問を抱えているうちに実は物理学は哲学そのものだ、なぜなら物とは何か、を考えるのがこの学問の役割なのだから、という地平に辿り着く。

    ならばと古今東西の哲学にヒントを探せば、原始仏教、ナーガールジュナの「万物に実体はなくすべては関係性によって決まる」が、思考の補助線としてはもっとも当てはまりがいいということに著者は気がつく。

    うむ。
    しかしこれだけ理論的支柱が曖昧模糊としているのに量子コンピュータはまあそれなりに実用化の道を突き進んでいるというのが私にはいまだにようわからんのであった。

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    2022年08月14日