冨永星のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『自分の小さな箱から脱出する方法』を読んで、「自己欺瞞」という考え方が印象に残った。
自分の本心に背いて行動したとき、それを正当化しようとする心の働き。誰にでもあることだと思うけれど、これが人間関係の歪みの出発点になるというのは鋭い指摘だった。
本書では、そうした状態を「箱に入る」と表現している。箱に入ると、自分の視点にとらわれて、相手を人ではなく物のように見てしまう。さらに厄介なのは、その箱の中でお互いの行動が共謀的になってしまうことだ。自分が相手を責めれば、相手もこちらを責め返す。そうして関係がこじれていく。
この構造は、職場や日常の人間関係の中でも思い当たるところが多かった。
自分の -
-
Posted by ブクログ
ネタバレみんな大好きカルロ・ロヴェッリの新作。
ちょこちょこ色んなところで出て来たホワイトホールについての解説本なのだけど……難しい!
いや、ロヴェッリ自身の語り口は軽妙なんだけど、純粋に内容が難しいね。細かく理解をしようとせず、あえて文学的比喩に身を任せてみたほうが良かったかもしれない。
「ホワイトホールは、時間が反転したブラックホール」というのが、ロヴェッリの答えなのだけど、その実証が(つまりホワイトホールを観測できた、という結果があれば)彼の唱える「ループ量子重力理論」が正しいことを証明してくれるのだそうな。
しかしまぁ難しい本だったな…。読み直しても半分以上分からんが、雰囲気は楽しめる。そ -
Posted by ブクログ
あらゆる事象に囲まれて私たちは生きている。時間という概念しかり、そこに絶対というものはなく単なる目安としての心構えとして尺度は設けられる。現在という時間は瞬間であり、過去と未来にすぐさま振り分けられる。では普段私たちが使う現在とは何か。このクエスチョンに込められているのは尺度の不確実性にある。その柔軟こそ事象ではないだろうか。正体はわからない。私たちはわからないものの中でわからないものを享受している。わかろうとするのではなくわからないものもあっていいと感知する。そしてわかりたいという好奇心を大切にしよう。時間と切り離せない音、音楽に身を委ねると、言葉にできないがほんの少し何かがわかったような気
-
-
Posted by ブクログ
文章はわかりやすく第一人者の書いたポピュラーサイエンスの本でありながらエッセイ風でもあった。ホワイトホールについておそらく本書以上にわかりやすく解説することはできないと思うが自分には十分理解できなかったのが残念。
ダークマターはホワイトホールかもしれないというのは驚き。
【原題】
Buchi biamchi
【目次】
第一部 黒い穴(ブラックホール)
第一章 ブラックホールとは何か
第二章 地平線で時は止まるのか
第三章 不穏なる時間の相対性
第四章 内側に行って、見る
第五章 量子効果と特異点
第六章 ブラックホールの奥底を見る
第二部 白い穴(ホワイトホール)
第七章 ホワイトホールと -
Posted by ブクログ
科学、物理、自然科学など専門的な事柄と内容、更に諸外国の歴史的な背景を理解するのには素人には少々難解な書物だ。過去の科学者も物理学者も大きな間違いもあったと言う、だから世界は、人類は時代にあった新たな知識と知恵を得て共存できる社会になってきた。気になる事柄は「タコの知的能力」は人間の子供と同等な能力がある、と言う。それと「輪廻転生」の現実と空の世界がある、と言う説。新たな知識と知恵は現実的には違った方向へも動き出している、と言う。それは、世界の動向。あらゆる格差からの不平等、気候変動における環境問題、経済不均衡からの難民問題、核の脅威など独断政治家も増え、世界の緊張感は一気に膨れ上がっているが
-
-
-
Posted by ブクログ
本書を通じて特に印象的だったのは、自分の中に湧き上がる感情、特に他人を責めたくなるような“他責的な感情”がどこから生まれるのか、その構造を丁寧に言語化している点だ。感情という目に見えない曖昧なものを、具体的かつ論理的に捉え直してくれる内容には、深く納得させられた。
読み進める中で、まさに「腹落ちする」感覚が何度もあり、自分自身の感情の扱い方を改めて見直すきっかけとなった。精神的に不安定なときや、つい感情的に反応してしまう人にとっては、まさに必読の一冊だと感じる。単なる自己啓発にとどまらず、自己理解を深めるための実践的なヒントが随所に散りばめられている。 -
-
Posted by ブクログ
あるとき、2歳の娘に「『時間』ってなに?」ときかれた。私たちがあまりにも頻繁に「時間がない」だの「ごはんの時間だ」だの言うからだろう。日頃、娘を急かしていることを反省させられた。
それはそれとして「時間」である。
私たちは過去から未来へと続く直線的な時間の観念をもっているが、現代物理学の知見はこれとはかなり異なるものらしい。娘に「時間」について説明するためには、もう一度きちんと勉強し直す必要がある。
そうして調べていたときに出会ったのが、理論物理学者のカルロ・ロヴェッリが書いた「時間は存在しない」(NHK出版、2019年)だ。衝撃的なタイトルである。これが事実なら、娘に謝らなければいけない