冨永星のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【『自分の小さな「箱」から脱出する方法』感想】
人間関係の中で「つい相手のせいにしてしまう」「自分は悪くないと思いがち」という思考グセに悩んでいた時に出会った一冊です。
これまでも『7つの習慣』や『嫌われる勇気』で「自分にできることに集中する」「課題の分離」といった考え方に触れてきましたが、どうしても「相手が悪い」と感じてしまう自分がいました。
この本は物語形式で展開され、理論よりも感情にすっと入ってくる内容で、「箱に入っている自分」に気づくきっかけを与えてくれました。相手を責めたくなる時ほど、自分が箱に入っているんじゃないか?と自問するようになり、人との関わり方が変わってきた実感があり -
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Posted by ブクログ
生命化学系の大学生である私にとって、量子論との出会いは量子化学だった。本書を読んで量子論の始まりには行列力学と波動力学という二大巨頭があったことを知った。またシュレディンガーの波動方程式は量子の不連続性をなくしたいという思いが含まれていたようだ。式を追うだけでは把握しきれない科学者のドラマや気持ちを本書では描き切っている。
そして量子論を解釈するため、著者はナーガールジュナ(龍樹)に行きつく。龍樹によればいかなる視点も別の視点との関係性抜きでは存在しえないという。量子論の結果が古代の仏教哲学と呼応しているようにみえるところが面白い。
本もまた、他の本との繋がりが本質的であるといえるかもしれ -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく読みやすくて面白かったー!といいつつ、量子論の本は何冊読んでも強固としてある「自我」や「主観」といったものを相対化しきれていないところもあり、科学者たちが持っている「ほんとうに、信じられない。こんなことを、信じろというのか?これじゃあまるで…現実が…存在しないみたいじゃないか」という恐怖感には直面していない。
序章の「深淵をのぞき込む」
…だが、これぞまさに科学なのだ。科学とは、世界を概念化する新たな方法を探ること。時には、過激なまでに新しいやり方で。それは、自分の考えに絶えず疑問を投げかける力であり、反抗的で批判的な世親による独創的な力ー自分自身の概念の基盤を変えることができ、この世 -
Posted by ブクログ
量子力学の知見から、世界のすべてが「関係」としてだけ現れる/存在するという洞察、さらにそこから世界の一部である我々の意識/実存、または意識の中での意味の在りようが描き出される。
非常にスリリングに感じた。内容が自分の考えにとてもあっている、納得できるということからかもしれない。
書籍にもあるが、哲学で多く論じられている実在論とはややレイヤが違い一概に比較できないとも思うが、あらゆる実在が相対的(関係)であるという著者の考えは、実在の理解として、とても納得できる。
さらに著者は、相対的といったときの我々の存在については、意識は世界の一部であり、ただただ自然であるという。分かっていると言いたい -
Posted by ブクログ
つい最近「実在とは何か(アダム・ベッカー著)」という、主に哲学の立場からコペンハーゲン解釈の論理実証主義的な実在否定論を批判する本を読んだが、この本はそれとは全く正反対の立場に立つ。つまり自然主義の見地から「世界はそこに内在する自然の一部と他の一部の相互作用の網の目によって成り立っている」とし、事実の総体としての「実在」を否定するのである。どちらの見方にも説得力と疑問点がありどちらが正しいと断ずることはもちろんできないが、短期間に全く正反対の立場に接することは知識の整理になるし、独断への落ち込みを避ける最も有効な手段だと思う。
本書の導入部分はシュレーディンガーの波動関数〈ψ(プサイ)〉 -
Posted by ブクログ
世界の見方が少し変わるとても面白い本だった。 量子力学の専門的な話と言うよりも、「世界について理解する」というような哲学的な本であった。
ただ、序盤の量子力学の解説に関しては少し背景知識がないと理解が難しい。
とはいえ文系の私でも理解出来て、楽しめたので、わかりやすい本だと思う。
古典物理学では説明不可能な量子現象に対する解釈として「関係」という概念を用いて説明している。そして、その考え方が哲学的にも特異でなく、先例のある考え方であることを解説している。
題名のような過激さは本の中にはない。表紙のデザインとタイトルだけだろう。 非常に読んで楽しかった。 -
Posted by ブクログ
解説竹内氏の「ルネサンス的な知性による本」まさにその通り!!
量子物理学のテーマからこんな哲学の話につながっていくとは思わなかった。たしかに世界の真理を解き明かそうとする学問という根っこは同じか。
竹内薫氏の解説、冨永星氏の訳者あとがきから読んでもいいかもしれない。本文で迷子にならないようガイドになってくれる感じ。
正直、量子物理学の現象の詳細やら過去の物理学者のアレコレは斜め読みですっ飛ばしていたが(とはいえシュレーディンガーのスキャンダラスな私生活には思わず目をみはる)、哲学的思索へとつながっていく流れに引き込まれていき、じっくり読み耽ってしまった。
量子物理学では、対象物と測定装置 -
Posted by ブクログ
久々にいいものに会いました。
(でもこれを読みながらにやにやしてると変人みたいだな私)
読み物での数学的なトピックといえば、円周率、黄金比やフィボナッチ数列、ピタゴラス学派、ゼノンのパラドクス、確率・・・。
正直、食傷気味の感がありました。
この本は話が巧みで、引き出しも豊富。引き込まれていきました。
楽しかったのは決して、大学で理数科目を逍遥したからではない。数学好きでなく読書好きとしてわくわくしました。
内容が専門的になると私は理解できないが、これは一般書で、間口が狭くなっていないと思います。
後付けの脚注が豊富で勉強にもなります。
章が丁度良く短いのもありがたい。
訳書だと文の調子がお -
Posted by ブクログ
マクロな曖昧さ、これ、一神教の神でいいかな。
この状態、状況を記述しようとすると、その背後に神の視点なりが、立ち現れて来ると感じる、と、思えるな。記述自体は、聖書、寓話の一説、ミクロな個々のイベント、出来事の一つでしかない。
世の皇帝たちが、暦の作成に力を入れたのも、よく分かる。現況のトランプ関税も、パラダイムシフトか、アメリカの新たなブランディング戦略なのだろうかな。負債処理、金利操作の一つにもなってるし。
ロシアに暴露されちゃったし、当然、エントロピーは、増大するよね。失敗すると、核戦争もあるかな、うーん、一神教、縁遠いんだけどな、わし。 -
Posted by ブクログ
ロヴェッリの「時間は存在しない」からの3部作最終巻(のはず)。著者が書かれているように本シリーズは物理をあまり知らない人と「専門家」向け。専門家と言っても本書は高度な知識や数式による表現はなく、物理に対する形而上学的な哲学的な著者自身の信念的な考えを伝えている意味合いが強い感じ。自分はもちろん前者寄りだが、特に第三部は著者の熱いメッセージが伝わってくる。時間/過去/未来に対し、宇宙と言うとてつもなく大きくとてつもなく長い歴史の振る舞いを通じてとてつもなく小さく短い存在の人間がどう捉えているか(捉えるべきか)いう観点はとても深遠で壮大な感じで良き。マクロな話(人や心)とミクロな話(量子の世界)と
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