門田充宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。
2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。
第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。
「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても!
その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な情報は当然無い訳ですし、そもそもデザートが最後とも決まっていない訳です。
本著は、何と言うか…そこらへんの並びが非常に良く、飛び抜けた1皿は無くても、バランスの良いコースで、そこにまずお見事感がありました。
その上で、個人的に好きな1編を挙げると、「痩せたくないひとは読まないでください。」でした。
※第1集のレビューで挙げた1編と同じ著者さんだったコトには今見返して気付いたので、自分はこの著者のスタイルが好きなのかもしれません。長編読むか…。(というコトに気付けるのもアンソロジーの良いところですね(気に入った著者の名前くらい覚えとけというツッコミもありますが…))
99%あり得ないだろうと思う未来の社会。でも、1%くらいあり得るんじゃないか、と思わされるのが面白いところ。本編では、「太ってると会社を辞めさせられ、殺されかける社会」という、恐ろしいながらも完全にあり得ないとは言い切れない気がするもの。
文章に通底する雰囲気がどうにもユーモラスで、少しブラックユーモアっぽい感もあるのですが、同時に考えさせられるというのが、個人的にツボでした。
続巻も読んでいきたい、良質なアンソロジーだと思います。 -
Posted by ブクログ
はじめ、仕組みを理解しようとしすぎて脱落しかけたけど、後半に向かって登場人物たちのことがよくわかってきたら読みやすくなった。最後まで行ってから冒頭に帰って、「風牙」でちょっと涙。いい話やん。(初読時は気づかずw)
主人公の珊瑚は、他者への共感力が強すぎるあまり、13歳くらいまで、どれが自我でどれが他人なのか区別もつけられないような人生を送ってきた人。でも、強すぎる共感力をコントロールする技術と、他人の記憶を読み解く技術のおかげで、「記憶翻訳者」として生きられるようになった。おもしろい発想。人ごみにまぎれると、種々雑多な思念におぼれそうになるというの、コニー・ウィリスの『クロストーク』にもちょっと似てる。
そのギミックをうまく生かしながら、職場小説のような味わいもあり、関西弁が独特の味をかもしだしてもいて、よかったです。 -
Posted by ブクログ
並べ比べることで★の数が減ることはあっても逆はなし
宮部みゆき『さよならの儀式』★*4
大衆の地合いに根差した堅実な綾
藤井大洋『コラボレーション』★*3
わりとふつう 短編より長編で活きそうな作風
草上仁『ウンディ』★*3
音楽小説 料理や絵画をどうやって文章で表現するかと同じく工夫が楽しい
オキシタケヒコ『エコーの中でもう一度』★*3
題材は面白いがお話がまっとう過ぎるか 『さよならの儀式』が手本になる
藤野可織『今日の心霊』★*4
短編の心得掴んだ上手 「プリ機」とふつうに言う気がする
小田雅久仁『食書』★*3
食傷ではない
筒井康隆『科学探偵帆村』★*4
高等無形 論理に対する科学ということばのはばたきが美しい
式貴士『死人妻』★-
選書だからね選者がそういうならしかたないね
荒巻義雄『平賀源内無頼控』★*3
「京都三条糸屋の娘」は四行で記憶に残る文句だがこの作は残らない
石川博品『地下迷宮の帰宅部』★*3
ライトノベルにおいて褒められる作品と売れる作品の定式感じるので期待できない
田中雄一『箱庭の巨獣』★*3
あざとさ足りない
酉島伝法『電話中につき、べス』★-
読めない
宮内悠介『ムイシュキンの脳髄』★*3
無難過ぎて平板
円城塔『イグノラムス・イグノラビムス』★*5
他作品すべての評価が一段階下がる格違い 説明し過ぎかも
冲方丁『神星伝』★*4
ちょうび相応目新面白枠 ライトノベルより青年志向らしいがそうでもないが でもそれもわかる旨いところついた作品
門田充宏『風牙』★*4
嫌味なくさわやかさが美点な良い小説 新人賞関係なく他作品と比べて劣らない
ここのところ首かしげる作品や新味なさげに感じていたが
今回はどれも上等で次へつながる
一方でこれという強烈な個性もないのは短編ゆえの制約も難しいか -
Posted by ブクログ
ビジュアルシンカーという本を以前読んだ。思考を言語でなくイメージ主軸で行う人々がいるという話だった。ただ言語かイメージか0/100というものではなく、自身を振り返って見てもどちらかと言えば言語偏重だがイメージも利用していると思い当たる節があった。記憶と思考は切っても切り離せないものではないかと思う。なのでありのままではないにしろ、本書のように過去を切り取ったかのようにそもそも保存されているものなのか、翻訳を通して再構築出来るものなのかは疑問が残る。自身の過去の記憶を振り返ってみても動画ファイルに五感情報も詰め込んだ形で保存されているようには思えない。もっと断片的な二次元画像とテキストファイルのような言語化された情報が別個に存在して紐づいているような気がする。音声や匂いなどに至ってはもっと情報が削ぎ落とされていて、紐付き自体も相当弱いように感じる。きっと記憶の仕方は思考の仕方と同様に人によって千差万別なのだろう。先日パソコンが壊れたが、幸いディスクは無事だったので新しいパソコンに載せ替えたら問題なく読み取れた。記憶を外部保存するといったSFはよく聞くが、パソコンのようにデータを載せ替えればすんなり認識されるということはないのだろう。本書ではその為の翻訳者なのだろうが、改めて記憶とはどういうものかを考えると相当難しい技術なのでは、と考えさせられた。
また記憶翻訳者の適正に共感能力が強い人間が求められるという設定は興味深かった。昨今SNSでも自他境界が曖昧な人間が暴れているなという印象は強く、うんざり眺める一方で生きづらいだろうなと思うこともままある。彼らを理解することは出来ないが、社会貢献出来る何かの適正になり得るのなら救いになるなと思った。
正直設定に疑問もあって現実味は感じ辛いが、本編では記憶に対する様々なアプローチを行っているのが興味深かった。 -
Posted by ブクログ
SF。短編集。2013年度。
オキシタケヒコ「エコーの中でもう一度」、宮内悠介「ムイシュキンの脳髄」、門田充宏「風牙」は既読。
好きな作品と嫌いな作品の差が激しかった一冊。
時代物とあまりに読みづらい作品は苦手。
以下、好きだった作品。
草上仁「ウンディ」
音楽SF。ウンディという楽器になる生物がとてもかわいい。飼いたい。
藤野可織「今日の心霊」
ホラー。心霊写真がテーマ。怖さもあるものの、少し和やかな雰囲気もあり、不思議な感覚。面白い。
式貴士「死人妻」
著者の死後に見つかった未発表原稿。1章のみ。世界観がかなり好き。バラード『結晶世界』を読みたくなった。
田中雄一「箱庭の巨獣」
マンガ。グロテスクな世界観が癖になる。 -
購入済み
SFに興味がありませんでしたので、いままで殆ど手を出していませんでした。そのためか、最初の風牙を読み終わった段階では、記憶翻訳者について若干の疑問が残っていて、理解が深まらず、どこか消化不足でした。徐々に読み進めることで、記憶翻訳者という概念が理解でき、良さがわかってきます。
もう少し、SFに慣れてない私のような者にも、記憶翻訳者の概念が早めに解ると良いと思い、☆3つとしました。