ロイス・マクマスター・ビジョルドのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
☆4.5
「ロディの仮面祭」
「ラスペイの姉妹」
「ヴィルノックの医師」
今回のサブタイトルはすべて地名。時間軸的には「ロディ」は1巻と2巻の間に挟まるらしい。
「ラスペイ」と「ヴィルノック」は最新の話題。
ペンリックはニキスと結婚して、ヴィルノックに住んでいる。
どうしても、第3話「ヴィルノックの医師」のインパクトが強い。謎の感染症が広がり、ペンリックは治療にふらふらになりながら、患者からさえ怪しまれ罵倒され、なお感染源を探る。
パンデミック物は、最後に感染症と治療法が分かり、一気に解決するカタルシスがおもしろいけれど、時期的になかなか重苦しかった。
まあ、解説によると、著者本人も、このネタを思い付いたのは2019年より前!と何度も主張しているらしい。
医師という立場の難しさ、喜び、生命という奇跡への感謝。だけでなく、ちゃんとこのシリーズならではの「解決方法」も書かれていて、知識を次代へ持ち越す重要性も描かれていると思う。
「ロディの仮面祭」では、まだどこか腰の座らないペンリックの行き当たりばったりな行動と、たぶんヴェネチアを参考にした仮面祭の華やかさと猥雑さが楽しかった。出てくる聖者さまがかわいくて賢くて、茶目っ気があってかなり好きだった。
「ラスペイの姉妹」は海賊に拐われたペンリックが孤児の姉妹とともに逃げ切るお話し。ちょっと長い気もしたけれど、ペンリックの、弱い者への優しさがよく分かる佳品。 -
Posted by ブクログ
相変わらず、設定が飛びまくってる。
読みはじめてからしばらく、え?これ、ペンリックのお話だよね?てか、セドニアてどこ?と???だらけだった。
でも、やっぱりおもしろいんだよね~。状況が分からないのに読ませるビジョルドはすごい。
さらにチートに磨きをかけたペンリックは、なんと30歳。童顔だし、素直でお人好しっぷりは変わらないので、誰にもそう見られないけども。
それでも徐々に明らかになるチートゆえの辛い経験で、老成しちゃってる部分もあり、そのせいでさらに意味不明な人に見える。
そんなペンリックに、運命の女性登場!
美人じゃないちょいぽちゃな未亡人、てところが、ビジョルドの主人公ぽい(笑)
はっきり言って、問題だらけの恋愛。ンなムチャな、つー求愛を繰り出すペンリックと、それにツッコむデスの会話がめっちゃ楽しい。
同い年なのに、ストレートすぎるペンリックと、しっかり者で我慢強くて現実的なニキスの両片思いも、にやにやできた。 -
Posted by ブクログ
シリーズ中ではいつも脇役の、ちょっと冴えないポジションを引き受けているイワンが主役の物語。知り合いに引っ掛けろと頼まれた女の子テユと、成り行きで離婚を前提に結婚してしまう。彼女を連れてバラヤーへ帰ると、生死不明の彼女の家族が一斉に目の前に現れた。
イワンの周囲はあまりにも能力の高い人間ばかりなので、相対的に控え目となるが、能力を誇示するでもなく卑下するわけでもなく、そんなにおばかさんでもない。いい意味でお人よし。過激な戦闘はなく腹黒い人間はお決まりのパターンで現れる人だけで、最後まで今回の主役のカラーが反映されたかのような話。ハッピーエンドで何より。 -
Posted by ブクログ
SFの割には多様な要素が織り込まれており、話にメリハリがある。最初の話からするとクライマックスの展開は意外だが、最後はきれいにまとめてタイトルにふさわしい終わり方になっている。
女性作家らしい心理描写もあるし、女性作家の割には科学的な描写も多いのは著者の生育背景故か。ただ、階級社会でデキた君主に忠実な臣下。貴族的な、少々もったいぶった?言動。性善説な展開で、悪役は当然いるが心底嫌悪するレベルの人物は登場しない。若干ご都合主義的な気もするし。といった感じは腐女子が好きそうなプロットだなぁと思う。
主人公が本音を口にせず飲み込んでいる場面と、胃が痛いよぅ~が繰り返し書かれているのが個人的にはおもしろいと思った。言葉を選んで伝える、ものは言いよう、というのは上に立つものの努めだよね、確かに。
一連の物語の2冊目らしいが、物語上の年月の経過と出版順が一致していないようなので、次はどれを読もうか迷うところである。 -
Posted by ブクログ
久方ぶりの読み返し。本編のラストシーンをもう一度よみたくて読み返した。
中世騎士道か江戸時代を模した社会構造をもつヴォルの世界の中の異端の主人公のサーガ。ノブレス・オブリージュと家族の思いを背負って、身体的ハンディキャップを克服して成長し活躍していく姿が描かれている。
舞台設定(武器・宇宙船・生命医学)が荒唐無稽でグロテスクだが精密にかかれており、筆者の作った世界に染まれる。
この小説の魅力は歴史の流れに翻弄されながらも、精一杯生きて次の世代につなげようとする人々の営みが大河ドラマの様にビビッドに描かれていることだろう。加えて、グロテスクで容赦がない欲望を行使する人々も登場する。こちらも現実世界に存在するものだ。キャラだちまくっている登場人物達を見事にまとめて、現実の写し絵としての一つの世界を鮮やかに描ききった作者に脱帽する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレペンリックの4冊目。
ペンリックの義兄将軍を暗殺しにきた女刺客を捕らえて、逆に帝国の大元の悪い奴らを叩きに行く。
刺客には魔が宿っていて刺客から切り離そうとしたが、庶子神がなぜかその女を認めてその刺客は魔術師となってペンリックの弟子になる。
その旅のメンバーが、ペンリックと元暗殺者、聖者。聖者は前作の女性とは違う漁師の男性。前作の女性聖者もキャラが立っていたが、この男性聖者も重要な役割を果たす。
帝国内で懐かしい面々に助力を得て目的を果たす。
訳者が言及していた登場して嬉しかった人物はたぶんsの将軍。ペンリックと良い意味で因縁がある人物。
庶子神というかこの世界の神は、必ずどの人物をも導いてくれるわけではない。徹底的な悪人に対しては見捨てて神と切り離すこともあるんだなと。
2編目は、殺人事件に取り組むミステリー仕立て。
庶子神にまつわるある儀式が出てくる。自分を犠牲にして悪事を行った人物を殺害する。こんな儀式が成立する世界なのだ。
前作にて、ペンリックが保護した姉妹もちらっと登場。
ペンリックの仲間達が何人か増えてペンリック自身にも家族が増えて時の流れを感じた。、 -
Posted by ブクログ
前作魔術師ペンリックがやや推理小説的展開であったところ、本作はギリシャっぽい雰囲気のセドニアを舞台としたファンタジーらしい舞台設定の物語になっている。3本の中編が収められているが、全て連続した物語。
ペンリックは熟達の魔を有する高いレベルの魔術師として奇跡的な魔術をバンバン披露する万能キャラであり、やはりややラノベ感があるが、物語序盤からあっという間に敵の罠にかかり窮地に陥っており、ストーリー展開は飽きさせない。
「チャリオンの影」ほどの規模のストーリーはなく、一応個々の中編は独立しているため、一つ一つは小じっかりして小さくまとまっている。リムノスの話など、「え?これで終わり?」というあっさりぶりである。
ニキスの煮え切らない恋物語はさっさと片付けてもらい、これらがより大きなサーガを構成する重要なパーツであることを思わせる展開が、今後やってくることに期待したい。
-
Posted by ブクログ
ロイスマクマスタービジョルド作品を初めて読んだ。五神教の設定や地理的舞台設定はガッチリして展開性を感じるが、「チャリオンの影」から始まる3部作からの援用のようで、本作品では雰囲気を盛り上げる程度の効果にとどまる(本書はシリーズなので、現時点では、というべきだろう)。
「魔術師ペンリック」が面白かったが、「ペンリックと巫師」「ペンリックと狐」は楽しめなかった。「魔」「魔術」の設定が独特で入り込みにくく感じた。ペンリックが万能すぎる感じがライトノベルっぽい。
と色々描いたが、続編は購入済。並行して読んでいる「チャリオンの影」は導入から断然面白いし、本シリーズにも今後の展開性に期待ができる。まずは読む。全てはそれから。