あらすじ
ペンリックは、アドリア大公からセドニアのアリセイディア将軍に宛てた内密の手紙を携え、船でセドニア帝国に向かった。だがなぜか港についた途端、間諜として拘束され、投獄されてしまう。自らの内に棲む庶子神の魔デズデモーナの助けで牢を脱出したはいいが、なんとか尋ねあてた将軍は既に捕らえられ、両目をつぶされていた。最初から全てが将軍を狙った政敵による罠だったのだ。責任を感じたペンリックは医師と偽り、将軍の手当てを買ってでる。だが再び将軍のもとに敵の手が……。表題作を含む中編3編を収録。〈五神教シリーズ〉最新作!/【目次】ペンリックの使命/ミラのラスト・ダンス/リムノス島の虜囚/訳者あとがき
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Posted by ブクログ
面白かった。
ペンリックの人柄に加えて、アデリスとニキアのキャラクターも好き。
最初から、アデリスに起こった悲劇に切なくなりながらも、ニキアとペンリックが支える姿は、良かった。
「あいつは頭がおかしいのか」
ところどころのユーモアもツボだった。
Posted by ブクログ
こうした、まじめできれいな特殊技能もちの青少年(というには今回少し育っているが)が事件に巻き込まれて翻弄されつつどうにかこうにか困難を抜けていく話に弱いのですよ、世のおねえさんたちは。作者と登場人物(?)デズデモーナもそのタイプでしょうな。
ドン・ウィンズロウのかわいそうなニールくんのシリーズを彷彿とさせます。(ニールくん以外のドン・ウィンズロウはマッチョすぎて苦手)
今回は前作の巻き込まれ探偵ぶりは目立たず、一途な恋も含め、巻き込まれ青少年の珍道中といったところ。
Posted by ブクログ
好みの作品が登場すると既知の作品と比べてしまう悪癖があるのだが、気に入っている作品の類似性や相似性で楽しむのも読み手の特権だと開き直っている。五神教シリーズは、古き良き『辺境警備』を彷彿とさせていい気分にさせてくれる。おおごとにならない物語もまた好みである。
読中に感じたのは、ペンリックシリーズではなく、デズデモーナシリーズにするつもりなのだろうかということだった。
読後には、これで終わりにするつもりだったのだろうかと感じていた。人気がなかったのだろうか、と。
さにあらず? 続刊が発表されているようで翻訳が待たれるところ。
Posted by ブクログ
相変わらず、設定が飛びまくってる。
読みはじめてからしばらく、え?これ、ペンリックのお話だよね?てか、セドニアてどこ?と???だらけだった。
でも、やっぱりおもしろいんだよね~。状況が分からないのに読ませるビジョルドはすごい。
さらにチートに磨きをかけたペンリックは、なんと30歳。童顔だし、素直でお人好しっぷりは変わらないので、誰にもそう見られないけども。
それでも徐々に明らかになるチートゆえの辛い経験で、老成しちゃってる部分もあり、そのせいでさらに意味不明な人に見える。
そんなペンリックに、運命の女性登場!
美人じゃないちょいぽちゃな未亡人、てところが、ビジョルドの主人公ぽい(笑)
はっきり言って、問題だらけの恋愛。ンなムチャな、つー求愛を繰り出すペンリックと、それにツッコむデスの会話がめっちゃ楽しい。
同い年なのに、ストレートすぎるペンリックと、しっかり者で我慢強くて現実的なニキスの両片思いも、にやにやできた。
Posted by ブクログ
前作魔術師ペンリックがやや推理小説的展開であったところ、本作はギリシャっぽい雰囲気のセドニアを舞台としたファンタジーらしい舞台設定の物語になっている。3本の中編が収められているが、全て連続した物語。
ペンリックは熟達の魔を有する高いレベルの魔術師として奇跡的な魔術をバンバン披露する万能キャラであり、やはりややラノベ感があるが、物語序盤からあっという間に敵の罠にかかり窮地に陥っており、ストーリー展開は飽きさせない。
「チャリオンの影」ほどの規模のストーリーはなく、一応個々の中編は独立しているため、一つ一つは小じっかりして小さくまとまっている。リムノスの話など、「え?これで終わり?」というあっさりぶりである。
ニキスの煮え切らない恋物語はさっさと片付けてもらい、これらがより大きなサーガを構成する重要なパーツであることを思わせる展開が、今後やってくることに期待したい。