あらすじ
庶子神祭を目前にした運河の町ロディ。大神官庁での仕事にいそしんでいたペンリックは診療所から患者を診て欲しいとの依頼を受ける。海で救出された若者が、魔に憑かれて錯乱していたのだ。ペンリックは魔を剥がすことができる聖者を見つけるが、患者は祝祭に沸く町に逃げこんでしまった……。「ロディの仮面祭」ほか、海賊に襲われたペンリックが囚われの姉妹とともに脱出を図る話「ラスペイの姉妹」、義兄が指揮をとっている砦で蔓延する疫病の原因を探る「ヴィルノックの医師」の中編3作を収録。ヒューゴー賞シリーズ部門受賞シリーズ第三弾。/【目次】ロディの仮面祭/ラスペイの姉妹/ヴィルノックの医師/訳者あとがき
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Posted by ブクログ
連休中に読み応えのあるペンリックを3冊読むことが出来た。
久々にハマった作品であった。
「ラスペイの姉妹」では、最初は、姉妹がペンリックに不信感をもっていたが、「悪くたって、あたしたちの魔術師よ」のところがよかった。
Posted by ブクログ
表紙は 聖者キーオとペンリック、そしてデズデモーナ
毎巻、表紙に感心させられる。イメージにピッタリのイラストで素晴らしいと思う
ロディの仮面祭
孤児出身であり聖者であるキーオ。若い女性。
ペンリックはキーオに振り回されながら、魔を剥がす任務をこなす
その事件にはちょっとした殺人未遂事件が絡んでいてややこしくなる。
ラスペイの姉妹
海賊に捕まりそこで、幼い姉妹と出会うペンリック
幼い姉妹も一緒に連れて脱出。
姉妹は父親と本妻とは別の、内縁の妻の間の子ども。事情があって父親は姉妹を引き取れない。
姉妹は、ペンリックの計らいでヴィルノックの庶子神教団の庇護下に入る
ヴィルノックの医師
軍の砦で感染症が広まる。
Posted by ブクログ
☆4.5
「ロディの仮面祭」
「ラスペイの姉妹」
「ヴィルノックの医師」
今回のサブタイトルはすべて地名。時間軸的には「ロディ」は1巻と2巻の間に挟まるらしい。
「ラスペイ」と「ヴィルノック」は最新の話題。
ペンリックはニキスと結婚して、ヴィルノックに住んでいる。
どうしても、第3話「ヴィルノックの医師」のインパクトが強い。謎の感染症が広がり、ペンリックは治療にふらふらになりながら、患者からさえ怪しまれ罵倒され、なお感染源を探る。
パンデミック物は、最後に感染症と治療法が分かり、一気に解決するカタルシスがおもしろいけれど、時期的になかなか重苦しかった。
まあ、解説によると、著者本人も、このネタを思い付いたのは2019年より前!と何度も主張しているらしい。
医師という立場の難しさ、喜び、生命という奇跡への感謝。だけでなく、ちゃんとこのシリーズならではの「解決方法」も書かれていて、知識を次代へ持ち越す重要性も描かれていると思う。
「ロディの仮面祭」では、まだどこか腰の座らないペンリックの行き当たりばったりな行動と、たぶんヴェネチアを参考にした仮面祭の華やかさと猥雑さが楽しかった。出てくる聖者さまがかわいくて賢くて、茶目っ気があってかなり好きだった。
「ラスペイの姉妹」は海賊に拐われたペンリックが孤児の姉妹とともに逃げ切るお話し。ちょっと長い気もしたけれど、ペンリックの、弱い者への優しさがよく分かる佳品。