竹内弘高のレビュー一覧
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ポーターの理論がテンポ良く要約されていた。
業界の競争環境を5フォースのフレームワークを軸に分析して平均的な収益性を把握し、その中で独自性を追求したポジショニングとそのために企業内外の全活動を方向付けることで模倣困難な競争優位性を獲得するのが戦略である。決してオペレーション効率を追求することが戦略ではない。
そして、情報技術が競争優位の獲得・維持・強化に必要不可欠であり、企業活動の有効な連携のためにシステムを戦略的に構築することが重要である。
衰退産業では収穫戦略(製品・サービスの種類とグレードを低下させつつ当面の収益確保)や撤退戦略だけでなく、衰退の速度や競争環境を踏まえて、可能であれば、他社の撤退を促してリーダーになる戦略や、根強く残るセグメントに照準を合わせたニッチ戦略を検討してチャンスを狙うべきである。
安易なリスク分散や拡大志向の多角化は避け、シナジーやリストラクチャリングによる競争優位の確立につながる多角化戦略をとるべきである。 -
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「知識創造企業」の25年ぶりの続編という位置付けで、おそらくは野中さんの最後(?)の主著、集大成という感じかな?
「知識創造企業」(1996年)以降の研究をまとめたということだけど、もともと英語ででたものを日本語に翻訳したというものなので、この25年の間の野中さんの本をある程度読んできた日本人にはデジャブ感のある話が多いかな?
集大成的な本としては、「知識創造企業」(1996年)とこの「ワイズカンパニー」(2020年)のあいだには、「流れを経営する」(2010年)という本がある。この「流れを経営する」からの理論的な進化という意味ではそこまで明確ではないかな?
また、「流れを経営する」で、取り扱われた事例とのダブりもある気がする。「流れを経営する」をみると、英語版をベースにしたけど、いろいろ事例の入れ替えなどもしたとあるので、もしかすると英語圏の読者にとっては新しい事例を多く含む内容なのかもしれない。
いずれにせよ、日本の読者には、知っている話しが多いと思うけど、現時点での野中さんの考えの全体が1冊でわかるのはいいな〜。
とくに、知識・知恵の実践にフォーカスがあるためか、リーダーのあり方というところの説明が充実している。これもまた、「流れを経営する」と重複した内容が多いが、野中さんの言いたいことがより明確になった印象。
個人的には、10年くらい前に野中さんからきいてよくわからなかった「リーダーはマキャベリズムも必要」という言葉の意味もようやくわかったかな?
ここで言われているのは、時と場所、コンテキストによっては平時のルールも乗り越えて、柔軟に変化していくことみたいな話し。
わかってみると、それって本当にマキャベリズムなの?という疑問が湧いてくるのだが、野中さんによると「目的は手段を正当化する」というのは俗流の理解とのこと。
もうちょっと違う言葉のほうがいいと思うが、とりあえずはキャッチーということでいいのかな? -
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偉大な本。帯には「経営学の世界的名著『知識創造企業』著者両氏による四半世紀ぶりの【続編】」と書かれている。これは必ず読まねばならない本だと購入。
『知識創造企業』は20年前にビジネスマン人生がはじまるにあたって会社から入社前研修キットの中に入っていた本で、読んだ当時もそうだが昨今のVUCAの時代で昨年読みなおして(時代が変化しても読み継がれるべき本だと)物凄く感銘を受けた本。
失敗の本質、戦略の本質もそうだが野中先生の本はその時の出会いから直観の経営とか含めていくつか読ませていただいている。自分の社会人人生で最も影響を受けた先生と思っている。
さて、本書の内容としては、『知識創造企業』25年の歳月を経たところからの、SECIモデルの発展形、SECIスパイラルモデルというところが研究のメインとなってくるところであるが「知識創造から知識実践への新しいモデル」との副題のあるとおり、アリストテレスが提唱した「フロネシス(実践知)」という概念に向けて日本の読者でも理解のしやすい多数の日本企業の事例でもって検証している。(フロネシスは「何をなすべきかを知る」知識、という記述もあった)トヨタやホンダ、JALやファーストリテイリングといったところから、最近ではあのトースターのバルミューダまで事例に含まれていて興味深い。
そうそう、前書もそうだったのだが、日本人のお二人が記載された本なのに訳となっていて、英語版を先に出版後の日本語版という位置づけ。日本語版あとがきには「多くの日本人が本書を読んで、一緒に腕まくりして、これからの新しい時代の「生き方」について議論を深めていただきたい」とある。
『知識創造企業』がいかにすごい本だったかを表現する部分も冒頭にあったのでその部分も含めて抜粋しておく。 (本書そのものが著名な書籍の引用抜粋も多いので抜粋の抜粋になっているところもありますが… :原注と参考文献だけで50ページ以上あります)
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ⅰ 2013年、英国の経営学の学術誌『ナレッジマネジメントの研究と実践(Knowledge Management Research and Practice)』では、『知識創造企業』が2003年から2012年までの10年間において、ナレッジマネジメント分野で最も引用された文献だったことが紹介された。同じ年、日本のビジネス誌「週刊ダイヤモンド」の「100年後も読み継がれるべきベスト経営書」では第一位に選ばれた。
P68 今、どういう行動をとるか次第で、どういう未来が生まれるかは決まるということである。ハイデガーの考えに従うなら、未来の可能性を最大限に高められるよう、「いま・ここ」を生きることこそ、知識実践の理想的な方法になる。
P313に2005年6月のスタンフォードで行われたスティーブ・ジョブズの伝説の卒業式スピーチもあったが割愛
P376 従来のマネジメント理論では、組織設計や、報奨制度やルーティンや、組織文化の設計を通じて矛盾の解消がめざされる。ワイズカンパニーでは、矛盾は克服されるべき障害とは見なされない。むしろ逆に、知識の創造と実践に不可欠のものとされる。ワイズリーダーは矛盾を受け入れるからこそ、成し遂げるべき善を見失うことなく、状況に応じた最善の判断を下せる。
P406 そして、その末に行き着いたのは、『原理原則』ということでした。すなわち『人間として何が正しいのか』というきわめてシンプルなポイントに判断基準を置き、それに従って、正しいことを正しいままに貫いていこうと考えたのです。
嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ…そういう子どもの頃に親や先生から教わったような人間として守るべき当然のルール、人生を生きるうえで先験的に知っているような『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい。
人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。そういう人間を律する道徳や倫理を、そのまま経営の指針や判断基準にしよう。
P438 本書『ワイズカンパニー』の刊行につながった研究は、次のように要約された。
「情報から知識へ、知識から知恵へと考えを進化させてきた野中は、人間的なリーダーシップの必要性をますます強く訴えている。それはよりよい社会を築くために人間の独創的な能力を役立てるリーダーシップである。『ビジネス界にもっと人間中心の経営という発想や実践が求められる時代だ』と野中は指摘する」
P459 生き方としての経営では、自社が何を象徴するか、どういう世界に生きたいと思うか、そのような世界をどのように実現するか、どういう方向に進むか、どういう未来を築きたいか、どういうレガシーを残したいか、どのように社会に貢献できるかということが考慮される。よりよい未来を実現できるのは、自分たちにどういう使命が与えられているかを理解し、ひたすら正しく生きようとし、終わりのある一生の中で常に自分を磨き続けるときである。
P461 SECIは組織モデルだったが、共通善という概念が組み込まれたことで、社会モデルになった。知識創造とは、組織と社会との絶えざる相互作用であり、対話である。したがって知識の創造や実践は、組織の物理的・社会的な境界線内に限定されるものではない。
P469 本書では、その知識を絶えざる実践を通じて知恵(wisdom)にまで高めることの重要性と、その知恵を獲得・活用するための方法を示した。実践を積み重ねていくと、実践知が得られる。なおも繰り返していくと、実践知が豊かになり、次第にスケールが大きくなる。企業の枠を超えて社会までも巻き込んでいく。
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また何年も読み返そうと思う。 -
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HBSはリーマンショックを受けて、教育の自省。
その結果、Konwing, Doing, Being という新しいフレームが開発された。
Konwing:理論や知識
Doing:スキル、能力開発
Being:価値観、態度、信念
Immersion Experience Program:どっぷり浸かって経験して学ぶプログラム
Japan IXPは"Doing"と"Being"の実践の場
これからのリーダー像
・相手を問わずにとにかく真剣に聴く
・貢献するために来たという目的意識が高い
・信頼と尊敬の上に成り立つ卓越したチームワーク
・見事なオンオフの切り替えと底なしのエネルギー量
・悩みを持つ等身大のロールモデルでもある -
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ネタバレハーバードのフィールドメソッド。ケースメソッドで世界一となったハーバードの進化はこのケースからフィールドに出たことにあると言われる。確かに、現実の世界で通用するのはケースで過去の出来事を今ならどうやるかという観点で見ることではなく、現場で起きるさまざまなことを、ある一定の「何か」=これが大事だと思うけど、を持って「決める」ということだと思う。
knowing フレームワークや理論を教えて、知識をつけることに重きを置きすぎてきたことから、doing つまり実践の場を持つ方向性になったということでもある。その際に、自分がどうあるべきか、会社は何のためにあるのかといったbeingがその根底になければ一貫性を持って確固たる信念を持って実践することは難しい。
また、その源流となる体験は、新興国におけるコンサルに従事するプログラムもそうだと思う。いったことのない国で、コンサルをやる。これぞノウハウ本では身につかない絶対的な経験値となるからだ。会社では国際部門やら海外企画やらが存在しているが、海外で起きている問題を解決する能力はゼロに等しい。だからこそ、こうした実践が重要となる。
本書の監修を行っている竹内先生の講義を幸いにして受講していたが、確かに、本書にある「生徒を笑わせながら、鮮やかに盛り上げていくこのスタイルが、真面目な顔で知識だけをインプットしていく日本の教育者に衝撃を与えた」という点も非常に納得できる。まず、思いっきりアイスブレイクしてから、本題に一気に切り込み、そして笑いあり、厳しさありで進んでいく。最後は、めちゃくちゃモチベーションが上がって終了。やってやる、明日から何かを変えよう、そんな風に毎回思える授業だった。
本書が低減するビジネスの本質とは何か。それは、ビジネスの要諦は戦略でも戦術でもない、その手前にあるミッションや想いのようなものが、グローバルに戦える源泉となるということ。東北に恩返ししたい、東北の良さを伝えたい。原体験からくる、その思いが最も重要なコンピテンシーを産む。真のエリートはナイスな人というのも頷ける。頭がいい、相手を圧倒できる能力ではない。相手が言っていることの粗や弱い部分を突くことで、相手を言い負かすのではない。ハーバードの学生が持つ、平身低頭、聞く姿勢を貫き、共感し、インタビューで本質を聞き出す力、実るほど頭を垂れる稲穂かな、この言葉こそ、本書の最大の学びであったとも言える。 -
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●知識創造の3つの特徴
1)表現しがたいものを表現するために比喩や象徴が多様される。
2)知識を広めるためには、個人の知が他人にも共有されなければならない。
3)新しい知識は曖昧さと冗長性のただなかで生まれる。
●個人知から組織知へ
我々は組織的知識創造という言葉を使うが、個人の自発的行動とグループ・レベルでの相互作用がない限り、組織それ自体では知識を創ることはできない。
●知識創造の主役
知識創造はだれが責任をもって行なうのだろうか?日本企業の特徴は、知識創造の任務を独占する部署や専門家グループがいない、ということである。第一線社員、ミドル、役員の全員がそれぞれの役割を果たすのである。しかし、それは役割が同じということではない。新しい知識は、彼らのダイナミックな相互作用の成果なのである。
知識創造プロセスにおけるミドル・マネジャーの役割は重要である。彼らは、第一線社員の暗黙知とトップの暗黙知を統合し、形式知に変換して、新しい製品や技術に組み入れるのである。日本企業で実際に知識創造プロセスを管理しているのは、ミドルマネジャーなのである。
●日本企業の知識創造の特徴は、せんじつめれば、暗黙知から形式知への変換にある。ある個人のきわめて主観的な洞察や勘は、形式知に変換して社内の人たちと共有しないかぎり、会社にとっては価値がないに等しい。日本企業は、とくに製品開発でのこの暗黙知から形式知への変換が得意なのである。 -
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日本における…というか、世界的なナレッジマネジメントの巨匠・野中郁次郎氏。
本書はその古典であり教科書的位置付けのもので、読んでおくべき一冊だと思います。
…とはいえ、自分は本書の核となる内容がまとめられた「ナレッジ・クリエイティング・カンパニー」という論文(ハーバード・ビジネス・レビュー掲載)は熟読したものの、本書は拾い読み程度ですが。
知識創造理論は、1990年代に野中氏らによって提唱されたもので、日本企業のイノベーション事例の成り立ちを分析したことから始まりました。
調査の結果、欧米的な考え方では日本のイノベーションの説明が十分にできないという疑問が生じ、欧米的組織は形式知を用いる情報処理型であるのに対し、日本的組織は暗黙知から形式知への変換を行う知識創造型であると結論付けました。
このような経緯から、知識創造のスパイラル・プロセスを示した「SECIモデル」が生まれます。
そこでは、知識には「暗黙知」と「形式知」という二つのカテゴリーに分けられ、両者の相互作用(暗黙知⇒暗黙知:共同化、暗黙知⇒形式知:表出化、形式知⇒形式知:連結化、形式知⇒暗黙知:内面化という4つの段階)を経て、新たな知識が生み出されると指摘しています。
また、知識創造の特徴として、①表現しがたいものを表現するために、比喩(メタファーやアナロジー)や象徴が多用される②個人の知識が他人にも共有される③新しい知識は曖昧さと冗長さのなかで生まれるということです。
哲学的な内容を多く含む上、400ページにもなる書籍ですので、読むのは結構大変だと思います。
なお、本書の“ケーススタディ”編として、「イノベーションの本質」が大変読みやすく、知識創造のプロセスが具体的に13事例紹介されており、ミドルアップダウンの重要性なども理解できると思いますので、そちらと合わせて購読されることをオススメします。 -
Posted by ブクログ
分かりやすく先行研究を説明しながら鋭い批判、そして豊富な事例と丁寧な検証など、学術書としては非常に読みやすく(読みやすいがビジネス書ではない)、楽しめた。
内容としては非常に学際的で、経営学はもちろん、哲学から認知科学、教育学、組織論まで幅広く取扱いながら、企業(特に日本)における知識創造のプロセスを説明する。
丁寧に読めば様々な示唆に富む一冊である。私見だが、興味深くてそして新しいコンセプトを次々と展開しわくわくさせられた。これが第一版から15年以上経っているとは思えない。
色々なジャンルの新書を読む方、学際的な考え方に興味を持つ人にはお勧めの本である。 -
Posted by ブクログ
かなり学術的な表現になっていて、長い時間をかけて読み込んで腹落ちさせないと、オーディブルレベルで流し聞きする程度では意味は薄い本だと思った。トップダウンでもボトムアップでもなくミドルアップダウンマネジメントアプローチとか面白いけど大変だなと思った。国際的な大企業のヒット商品誕生の事例分析は分かりやすかったが、では自社でどう取り込んで実践できるかと考えると、うーんと思ってしまった。初版は四半世紀以上前に出たこともあって、事例も古く、現在の(自分がいるような)IT企業としては国際間の協調とか参考にすべきところもありそうだけど、だいぶ事情も変わっているのでは...と思った。