竹内弘高のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
改めて20年以上前の本を再読、やはり良書はさすがだと思う。 文句なしの★5つである。
この本は僕が会社に内定した際に会社側から提供された本の中の一つで当時あまりに感動して、そのままずっと保持している本である。学生から社会人になる際に「こんな知的な本を読むのか、知識創造とはすごいプロセスだ」とものすごく感動したことを今でもよく覚えているし、それは再読した本日も改めて思った。
野中郁次郎先生は、「失敗の本質」を書かれた共著者であったり、スクラム開発の考え方の根本を提示された方であったり、本当に自分の人生に大きな影響を与えた方ですが、先日読んだ「直観の経営」にもありましたが哲学の話、失敗の本質の話、そしてあまりにも有名な暗黙知/形式知のSECIモデルの話含めて、やはり改めて今になってもこの本はたくさんの方に読んでいただきたい。
そんな中で、改めて抜粋する部分は、序文にある。1986年の『The New New Product Development Game』に記載された内容をかみ砕いている。
少し長いが、お付き合いいただきたい。
==========
1986年の『The New New Product Development Game』の論文の中で、日本企業の新製品開発の速さと柔軟性を描き出すために、「ラグビー」のメタファー(比喩)を用いた。開発中の新製品を、一団となって走るチームがパスしながら進めるラグビーのボールに見立てたのである。(中略)
ラグビーのアナロジーを続けよう。「ボール」に注目しながら、我々が何を言いたいのかを説明したい。チームがパスでまわすボールの中には、会社はなんのためにあるのか、どこへ行こうとしているのか、どのような世界に住みたいのか、その世界はどうやって実現するのか、についてのチーム・メンバーの共通理解が入っているのである。きわめて主観的な洞察、直観、勘などもその中に含まれる。つまり、そのボールの中に詰まっているのは、理想、価値、情熱なのである。
次に、ラグビーで「どのように」ボールがパスされるかに注目してみよう。リレー競争の走者へ手渡されるバトンと違って、ラグビーボールはある一定のやり方では動かない。リレーのように順次線形に動くのではない。ラグビーボールの動きは、フィールドでのチーム・メンバーの連携プレーから生まれてくるのである。 それは、過去の成功や失敗の積重ねの上に、その場その場で決められる。 それはチーム・メンバー間の濃密で骨の折れる相互作用(インタラクション)を必要とする。
その相互作用のプロセスが、日本企業の中で知識が組織的に創られるプロセスによく似ているのである。この本で述べるように「組織的知識創造」は体験や試行錯誤であると同時に、アイデアを生み出す思考や他者からの学習なのである。またそれは、アイデアにかかわるだけでなく、アイデアル(理想)にもかかわるのである。
P115
私がメンバーにいつも言っていたのは、我々の仕事はリレー競争のように「おれの仕事はここからで、お前の仕事はそこからだ」というようなものではないということでした。全員が初めから終わりまで走らなければならないのです。ラグビーのように一緒に走り、ボールを右へ左へパスしながら、一団となってゴールに到達しなければならないのです。
P140
『ハーバード・ビジネス・レビュー』掲載の“The New New Product Development Game”で、今日のように変化と競争の激しい社会では、この重複的なラグビーアプローチは、スピードと柔軟性の点で圧倒的な強みを持っていると論じた。
==========
このラグビーアプローチ、は、すごくしっくりくるのですが、それがなぜ後日スクラムというメタファーになったか、は、結局よくわかりませんでしたが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハーバードの日本の東北を経験する講座はなぜ存在し、どのようなことを行い、どのような効果があるのかを記した一冊。異文化と触れることの可能性、意義を感じさせてくれる一冊。名著。
理念型の利益にとらわれないリーダーシップ、経営とは企業のあり方とはなんなのか。ハーバードからの視点を通じて、考えさせてくれる一冊。
<メモ>
・knowing, doing,being
知識、実践、価値観信念。
MBA教育の結論の核。
実践のスキルがなければ、知識があっても役立たない。自己の存在からくる価値観や信念を反映した自己認識がなければdoingのスキルも方針が定まらない中で有効に使うことができない。実践の場を増やし、行動のベースとなる自身の価値観、信念の認識を深める教育を行っていかなければいけないという結論。日本の武道でいう心技体の概念に近い。
・フィールド教育という概念。
フィールド基礎で 自身のリーダーシップスタイル
行動への理解を深めるワークショップ
グローバル知性で新興国のフィールドプログラム
統合知性で事後湯立ち上げ経験。(失敗経験重視)
・ビジネスは共通言語だということ。誰もがうまくやりたいと考えており、ビジネスコンセプトやフレームワークはどんな分野の人でも理解できる言語へと変換できるもの。 -
Posted by ブクログ
今年読んだ本の中で一番面白かった。監修の竹内教授があとがきでこの本の目的はハーバードビジネススクールの新しいアプローチを知ってもらうことと、生まれ変わろうとしている東北を知ってもらうことだと明記しているが、特に2つめの部分が僕には大きかった。登場する名前の中で僕が知っていたのは気仙沼ニッティングだけだったが、その他にもこれだけの動きがあることを知ることができて嬉しい。
僕は自分の東北復興に対する関わり方をものすごく後悔して反省していて、もっとすべきことできたことあったはずとずっと思っている。まだやることあるよね。それに、東北で前に進んでる人たちからHBSの学生が学んだと書かれている多くのことは、自分の仕事の姿勢にも全く当てはまることばかり。日本にはいないけど、日本人としてこういう姿勢は貫いていこうと思った。サクッと読めるし良い出会いの本でした。 -
Posted by ブクログ
今さらながらの野中郁次郎、だけど今だからこその野中郁次郎でした。知っているつもりで積読で放置していたのを解消しました。いつもロナウジーニュやメッシ、そしてネイマールと優れた個を常に迎えつつ、でもチームとして一貫したサッカーに磨きをかけていて、しかもそれが個人の存在感をさらに光らせているバルサこそが組織の理想形か?と憧れているのですが、日本の会社もバルサになりうる、というかもはやバルサになっている組織もあるかも、と希望を持ちました。年末の青色ダイオードのノーベル賞受賞により、イノベーションにおける「個」VS「組織」というテーマにもまた注目が集まっていますが、単純にアメリカ型になるだけではない我々のブレイクスルーを創造するための背骨になりうる本だと思います。
-
Posted by ブクログ
組織的知識創造を計画・実行するためにとるべき七つのガイドライン
1.知識ビジョンを創れ
2.ナレッジ・クルーを編成せよ
3.企業最前線の濃密な相互作用の場を作れ
4.新製品開発のプロセスに相乗りせよ
5.ミドル・アップダウン・マネジメントを採用せよ
6.ハイパーテキスト型組織に転換せよ
7.外部世界との知識ネットワークを構築せよ
これらを実現する基礎段階として、総合し、乗り越えなければならない二元論。
1.暗黙的/明示的
2.身体/精神
3.個人/組織
4.トップダウン/ボトムアップ
5.ビュロクラシー/タスクフォース
6.リレー/ラグビー
7.東洋/西洋
具体的ケースが豊富で、最終章で上記のように整理されていて、理論は非常に分かりやすい。18年前の作品だが、学ぶものはかなり多かった。 -
Posted by ブクログ
年齢,性別,職業,地位を問わずにオススメ.
誰が読んでも得るものは多く,大きいとおもう.
分厚く,400ページもあるがそれほど苦にならずに読める.
内容は,日本企業がなぜここまで強いのかということを理論と実例を使って見事に説明したものである.
そんなものがなぜ年齢や職業を問わずにオススメできるのか?
それはタイトルにもあるようにこの本が「知識を創造する」ダイナミズムを初めて扱った本だから.
従来の自然科学的方法論では扱いきれなかった「暗黙知」に焦点を当て,社会科学的手法を用いて見事に分析していることを私は非常に高く評価したいと思う.
私のいる心理学の世界にも,このような流れは明白で,「拡張による学習」「状況論的アプローチ」「状況的行為」「グループダイナミクス」といったキーワードの重要性が増してきている.パラダイムシフトの中にあるといってもいい.15年後サイモン型の人間-情報処理システムを追求する心理学はどうなっていることだろう.
ちなみにこの本は日本人によって英語で書かれたもの(しかも初出はあのハーバード・ビジネス・レビュー)を別の日本人が翻訳した物であって,まずはじめに海外で評価された本である.日本での発売は1996年で,ずいぶん前だが,全く色あせることはない.名著. -
Posted by ブクログ
ネタバレ骨太な一冊。
リーダーの主観や信念に基づき(パーパス的な話)つつ、社会に認められるには共通善を目指すべきという主張は納得性がある。一方で現実的な課題に向き合う必要があるということで、数々の実践すべきアドバイスがまとめられている。
多方面にアドバイスされており、読み手や状況によって響くところが違うと思うので少し間をおいて読むとよいかもしれない。
今の自分は自問自答を繰り返せ(フィードバックループ回す)、木と森を見よ(大局観)、基本に忠実にしつつ変化への適用(両利きの経営)といったところが印象的だった。
最後の一節(さぁ、本を閉じて行動を起こそう)が内容を総括しているとともに、長く分厚い本だからこそ、なおさら響く。