長沼伸一郎のレビュー一覧

  • 【無料お試し版】現代経済学の直観的方法

    匿名

    購入済み

    よいです。

    図を豊富に使い、独特な説明で短時間で理解させる素晴らしい本です。唯一無二といってもいい出来です。大学に入る前に読んで欲しい

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    2022年11月24日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

    Posted by ブクログ

    知的制海権、ルールを制定する力、人類全体に影響する原理。ブルーウォーターネービー、予備戦力、国家に依存しない、理数系武士団、歴史に参加する
    などの新しい概念が提供される。
    歴史を俯瞰している点で、福沢諭吉の「文明論の概略」のアップデート版とも言える。トクヴィル第二巻を読め。
    【考察】
    ベーコン、デカルトを読むと、現象や物体を分析するのに、仮説を作り、解析できるまで分解して、理解して、統合し直す、とある。その過程で、盲点がある。長期と短期で、多様な視点で、盲点を探す。
    陰陽、陽があれば、その裏に陰があり、陰が成長を阻害する。そこに、中米の弱点があると思う。

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    2022年10月23日
  • 現代経済学の直観的方法

    Posted by ブクログ

    評判通り面白い。説明の仕方が独特だが分かりやすく、喩えも秀逸。タイトルで言う直感的方法ってのは嘘ではなかった。また、最終章で資本主義経済の行く末をテーマにしているが、意外性のある展開で、読み終わると逆に他の章の印象が薄れてしまった。不可逆的な縮退に陥るコラプサーという考えは初見だったが、ちょっと曖昧な定義が多くて歴史上の国々にも普遍的に当てはめるのはどうかと思ってしまった… 長期的な理想が短期的な利益を律することができるかってのは、まんま倫理観に直結してくるかと思うが、実際はどうあれ国連憲章やSDGsなどの周知を見れば歴史的にもここまで広く道徳が共有されてる時代は無いのでは… 映画やネットなどのメディアも大きな力を秘めているかと感じた。大企業が市場を寡占化していくのが縮退で、生態系の多様性が失われることもそうだとして、そこの共通点も薄く感じた。理系集団の武士が明治維新など、数々の国難を乗り越えさせたってのは、何の話かよく分からなかった。なかなか個性の強い考え方が散見されるが個人的には好き。
    ブロックチェーンやビットコインの話は不勉強でほとんど知識がなく、非常に参考になった。改竄防止の方法として大規模なものと小規模なものがあるイメージ。ビットコインについてはマイナーなる、ブロックを作ってコインを報酬として得る人物・組織がいるとは・・ネットの世界に金(ゴールド)を作る発想は、結局は金本位制と同様の、必要な時に飛躍的な供給ができずに行き詰まるという弱点があるとの解説。

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    2022年09月24日
  • 現代経済学の直観的方法

    Posted by ブクログ

    ❶資本主義はなぜ止まれないのか

    ①資本主義は常に成長をしなければいけない、何なら成長は加速させなければいけない、ということを宿命づけられてる。なぜ、そんなことになるのか。鍵は『金利』にある。

    ②ここ30年くらいの平均経済成長率は3%程だが、これは24年で2倍になるというとんでもないスピードである。同じペースで仮に100年続くと16倍。
    例えば、石油が使われ始めたのが1850年代からだが、統計によると、1865年に1日7000バレルの石油使用量は1945年時に710万バレルに、そして現在9700万バレルの利用まで増えている。ここから経済が拡大するにつれ、同じペースでエネルギー使用が増やせるかといえば難しいだろう。
    石油使用を抑えた経済成長をするには、今の使い捨て経済を止めないといけないが果たしてそれが出来るだろうか?

    ③経済と軍事は極めて密接である。現在でも経済力で勝つ国が軍事でも覇権を握る構図である。特に、鉄道が出来てからは兵站が劇的に変わってしまったため、人、モノ、カネの総力戦の時代になってしまった。日米戦争でも分かる様に経済力に勝るものが戦争に勝つ時代に入ってしまった。『戦争=カネ』である。

    ④経済世界の鉄道網というべきものが金融機関である。儲かるマーケットがあれば、そこに大規模に迅速に資金を供給して資本の投入量で勝負を決める。

    ⑤中世ではカトリックにせよ、イスラムにせよ利息、というより貯蓄そのものを望ましいものだと考えていなかったと思われる。カトリックは教会に寄進させ、イスラムは貧しい者に施しをさせるように仕向けた。

    ⑥貯蓄というものは皆がやると貧しくなる。誰かが持ってる以上に使ってこそ、パイが増えるのだ。

    ⑦現在の日本は個人消費と政府支出でおおよそ8割。住宅投資3%と設備投資14%、公共投資5 %が変動要因として景気を動かしている。
    米国は民間最終消費1555兆円(68%)、政府最終支出322兆円(14%)、民間設備投資307兆円(13.4 %)、住宅投資85兆円(3.7%)、公的固定資本形成78.5兆円(3.4%)、純輸出-67.4兆円(-2.9%)である。
    中国は日米と比べて歪。1次産業7.3%、2次産業39.4 %、3次産業51.3%となっている。
    具体的には、農林水産8%、製造26 %、建設7.2%、商業・飲食・宿泊11%、運輸・倉庫・通信7.8%、不動産7%となっている。中国は他国と比べて固定資産投資がドライバーとなっており、ここが崩れると成長率が低下しやすい。
    一般的な国では、この『製造のための製造』の2割が景気変動要因のキーなのである。

    ⑧資本主義というものは本質的にカンフル剤の連続投与によって維持されているようなものだ。
    所得=消費+投資(貯蓄)と考えるのであれば貧血でジリ貧になるか超高圧状態になるかのいずれかである。この投資と貯蓄が一致しないと経済は一気にバランスを崩す。

    ⑨西洋の資本主義に影響を与えた人物としてマックスウェーバーがいる。彼は、金儲けに正当性を与えたことが大きい。金儲けは卑しいものというものが宗教的に強かった中で、利潤追求を是としたこの転換は非常に大きい。
    また、合理的に生産するために複式簿記が導入され、資本蓄積も進んだ。現代の資本蓄積の礎となった。

    ❷農業経済はなぜ敗退するのか

    ①農業経済の泣き所は大きく伸びない需要と、伸ばせる供給量というギャップである。供給過剰に陥りやすく、値崩れしやすい。
    商工業は需給が大きくゴムの伸縮みたいに動く。そして、歴史的に過剰生産と新たな需要を起こすイノベーションによって成り立ってきた。

    ②歴史的には石炭文明→石油文明→半導体文明といっところか。今の半導体文明の難しいところは技術の陳腐化が異常に早いことである。

    ❸デフレとインフレのメカニズム

    ①インフレというものは次々に飛び火していく性質を持っている。1ヶ所で値上げが起これば、それがサプライチェーンに沿って値上げが連鎖され、賃金まで波及すれば、そのサイクルは繰り返し起こることも珍しくない。これを学問的に、失業率とインフレ率の関係で見たものが『フィリップス曲線』というやつである。

    ②インフレのメカニズムを整理すると主に3つである。

    ⅰ)紙幣の増刷
    これは第一次世界大戦後のドイツが典型

    ⅱ)供給不足
    これは、コロナ禍のモノの供給不足がわかりやすい。

    ⅲ)好景気に伴う供給のボトルネック発生から波及するもの

    これが好景気のインフレの典型。現在のインフレはⅱとⅲの複合型ともいえる。

    ③インフレで得をするのは誰か。『機動性の高い』人が得をして『動きの鈍い』人は損をする。わかりやすくいうと『金を借りる側』は得をして『金を貸す側』は損をする。

    ④インフレになった時の対処法としては、金利を上げ、金の需要を遮ることで、金の流れにブレーキをかける。

    ⑤デフレはインフレより恐ろしい。モノの値段が下がっていくデフレ下では買い控えが起きやすくなる。企業も売上が減るので賃金を上げられず、賃金が上がらないのでさらに買い控えが起きるという悪循環に陥るのがデフレである。

    ❹貿易はなぜ拡大するのか

    ①貿易のメカニズムは『価格差』である。

    ②自由貿易の怖いところは一者総取りであり、産業競争力でトップの者が利益を攫っていく。歴史的にこのような例は沢山ある。

    ③貿易で繁栄した国といえばオランダがあげられる。17世紀後半に英蘭戦争で英国に負けるまでオランダは世界の覇権国にいたが、オランダの稼ぎは東インド会社ではなくバルト海の穀物貿易がメインであった。当時の欧州は人口増加に穀物の供給が追いついていなかった。また、穀倉地帯だったウクライナのあたりがオスマン帝国の勢力圏にあったため、オランダが支配していたバルト海のルートからの穀物供給が使われた。

    ④米国の南北戦争の戦争の要因として、工業経済であった北部は英国と比べて競争力が低かったので、保護貿易的な政策を採りたかったのに対し、農業経済であった南部は原料輸出がメインであったため、自由貿易的な政策を採りたかったのがぶつかったことが要因。結果は北部が勝つことによって南部がいわばモノカルチャー国のような立場に変わったことで劇的な発展を遂げることになった。同じようなことは、鄧小平時代からの中国にもいえる。農村から安い労働力を大量に動員して発展した。

    ⑤戦後の1980年代、日本は工業国として世界で最も高い競争力を誇っていたが、戦争で負けた経験からか、保護主義的な政策にこだわった。一方で、米国は逆にナンバーワンから転げ落ちたにも関わらず、自由貿易を掲げ、日本の貿易黒字を数値目標として管理するという客観的には保護主義的政策を採った。

    ⑥19世紀から20世紀にかけて自由貿易が浸透していったが、その一方で格差の拡大も大きくなった。南北問題である。これを壊しにいっているのがインターネットの存在だ。情報の格差がなくなったこと、経済の形が情報経済になるにつれて、南側諸国にも勝ち目が出てきている。

    ⑦仕事を南側諸国に奪われた北側諸国の人間が増えるにつれて、貧困も北側諸国に戻ってくる。これが政治のポピュリズム化を促してしまっているところがある。トランプ政権の政策を考えるとわかりやすい。米国の製造業はコスト面などで競争力を無くしているため、大きな部分を中国等に持って行かれた。トランプ政権はブルーカラーの票取りのために保護主義的政策をとり選挙に勝った。

    ❺ケインズ経済学とは何だったのか

    ①ケインズ経済学を理解するにあたって重要なのが『乗数理論』であり、政府の財政出動が投入規模の何倍にもなって経済に影響を与えることを級数を使って説いた理論である。

    ②有効需要の不足を考えるにあたっては2つ考える。1つは使う意志があってもカネがない、もう1つはカネはあっても使う意志がない、である。日本は貯蓄率の高さから考えても後者が強いのかもしれない。

    ③不況になると、すぐに『財政出動』という言葉が出てくるが、これはまさしくケインズ経済学が浸透しているということを意味する。

    ④社会全体で富の重心が低所得者側にあると、貯蓄をする余裕がないので消費性向が高くなり、有効需要は減りにくい。一方で富の重心が高所得者層にあると、貯蓄が多くなり、消費性向は低くなりがちである。

    ⑤経済が縮小均衡に陥りそうな時、ケインズ経済学(突き詰めて財政出動)は常に有効かといえばそうではない。当然、副作用もあり、それは財政赤字とインフレの温床になりやすいということである。

    ⑥財政赤字は富裕層に増税すれば良いという議論になるが、これをやるとうまくいかない。経済全体が縮小均衡に陥っているときは富裕層がイノベーターとしての消費主導になることも多いからである。
    日本が多額の財政出動をしたにもかかわらず、縮小均衡から抜け出せなかったのは、財政出動というアクセルを踏む一方で富裕層や中間層の可処分所得を削ったことも大きい。
    財政出動=国債発行であり、これは一種の通貨膨張でありインフレを招く要因となる。

    ⑦ケインズ経済学の1番のリスクであるインフレは1970年代に爆発した。遠因として、1960年代の公民権運動(キング牧師が有名)を躱すため、少しでも失業者がいればすぐに財政出動をしたのと、ベトナム戦争の財政赤字が大きいだろう。また、ブレトンウッズ体制も1971年に破綻。1973年までスミソニアン協定で頑張ったが変動相場制に移行。ドルの信任が破壊されている状態で1973年のオイルショックが起きてインフレが止まらなくなった。

    ⑧ケインズ経済学が敬遠されていく中で急激に支持を得たのが自由放任主義を唱えるミルトンフリードマン率いるシカゴ学派のマネタリスト達である。
    自然失業率仮説(経済社会においては健全な状態でも一定の失業者がいる)を唱え、過度な救済に疑義を唱えた。

    ⑨1980年代のレーガン政権には本格的にケインズ経済学が駆逐され、『小さな政府』を主張するマネタリスト達が席巻した。これはリーマンショックまで続くことになる。

    ⑩歴史的に、投資家層、消費者層(労働者層)、企業家層(生産者層)は組み合わせを替えて2対1の対立を繰り返している。19世紀の資本主義の時代は企業家層と投資家層が同じようなものであり、労働者層と対立をした。企業家層が支持したのは自由放任主義を唱えるアダムスミスから進化した古典派経済学であった。
    労働者層に手を差し伸べたのがマルクスであり、ここに、資本主義対社会主義という我々がよく知る対立が生まれた。
    ケインズ経済学は、企業家層と労働者層が手を組んで、投資家層に対抗した。大恐慌時代に象徴される大失業時代に要求された組み合わせであった。

    1980年代からの新自由主義は、投資家層と消費者層が手を組んで、生産者層に対抗をする。投資家は世界で最も有利な場所に投資をし、消費者は世界で最も安いところでモノを買うことにより、国内の生産者層を駆逐していった。

    11)余談ではあるが、今の中国は投資家層を力で圧殺して、生産者層と労働者層を強制的にくっつけている状況でないか。

    ❻貨幣はなぜ増殖するのか

    ①貨幣の『自己増殖』という観点から見ると、貴金属から紙切れに変化したときが最も大きい質的変化となった。貴金属のような人間の手で勝手に増やせないものから、その気になればいくらでも増やせるものへの変化、ここをまず押さえたい。

    ②中央銀行が発券した現代の紙幣はイングランド銀行が発祥と言われているが我々の想像とは違う形で出来た。つまり、国家権力の信用において流通させたという性質ではない。当時は名誉革命時で、カトリックとプロテスタントの争いも絶えず、治安が悪い時代であり、市民は金や貴金属を金細工に預けていた。その預かり証を中央銀行がまとめる形で紙幣が発行されたのだ。

    ③貨幣は放っておくと級数的な広がりで増えていく。その中心的役割を担っているのが銀行である。銀行が預金者からの預金を又貸しで回転させるため、市中で観測されるお金の量が増えていくのである。これをセーブするために、中央銀行は準備預金という形で強制的に積ませる仕組みを導入している。

    ④世の中の人間が誰も借金をせずに手元にあるお金しか使わない人たちだけで構成されている場合、その世界では経済の拡大はあり得ない。
    誰かが今ある資金以上のお金を使って、そのお金が実際に市中に回ることにより、拡大という概念が生まれるのだ。

    ⑤金本位制の1番のメリットはインフレを抑えるということである。金の裏付けなく紙幣の発行ができないため、財政難に陥った政府当局が輪転機を勝手に回してインフレになることを防ぐ効果がある。蛇足だが、中央銀行が政府と独立しているのは政治的理由で金融政策をさせないためである。

    ⑥一方でデメリットもあり、経済が拡大する時は紙幣がうまく回らず経済活動を阻害してしまうのだ。

    ❼ドルはなぜ国際経済に君臨したのか

    ①ブレトンウッズ後の米ドルは金の裏付けのある通貨であった。それがニクソンショック後は『世界最強の軍事力』を背景とした通貨に変わった。前ページの話で言えば、イギリス型の金の裏付けがある形ではなく、モンゴル型の軍事力を背景とした裏付けになる。

    ②米ドルを世界通貨として使っている現状には大きなジレンマがある。それは、各国に十分な量の米ドルを供給するために、米国が貿易赤字を垂れ流さないといけないということである。

    ③第二次世界大戦後の歴史を見ていくと、1950年代までは米国が貿易黒字であったこともあり、ドル不足であった。これは日本の当時の経済情勢を見ても一目瞭然であった。これが1960年代に入ると、米国が世界にふんだんにドルをばら撒き、今度はばら撒き過ぎてドルの信用不安が出てくる。これが、一気に表面化したのがニクソンショックであり、そこからドル安が止まらなくなった。(そして、高インフレの時代に突入した)

    ④そもそも米ドルの供給量は、米国の国内の経済情勢によって決められるべきものである。これを国際貿易に必要な量はいくらかという基準によってドル供給を行おうとするから無理が出てしまうことになる。

    ⑤現代社会において、人類は貨幣の量に対して『ある場合には絶対増やせないが、別の局面では自由に増やせる』という二律背反の要求をしている。現在、この要求に最も応えられているのが米ドルであり、日本円も仮想通貨もその要求には応えられていない。

    ⑥米ドルが基軸通貨で居続けられた一番の背景はやはり軍事力である。ロジックはモンゴル帝国のロジックと同じである。

    ⑦金本位制を採用する理由は、2国間で価格差が発生した場合にはアダムスミス的な神の手で修正されるというロジックが根底にあった。

    ⑧このロジックには落とし穴がある。例えば、貿易赤字になり国内価格が下落、輸出で稼ごうという際、海外から原料を輸入しようという場合、そもそも外貨がなければ何もできない。国内もデフレになってしまうので、経済運営が難しくなる。

    ❽仮想通貨とブロックチェーン

    ①仮想通貨の仕組みで最も押さえておきたいポイントは『すぐには増やせないが、ゆっくりなら増やすことができる』という、これはまさに金が持っている性質である。

    ②ビットコインやその他の仮想通貨がドルなどの法定通貨に取り変わる確率は低いだろう。ただし、ブロックチェーンの技術は法定通貨の補助、例えば地域通貨や企業のポイントなどの形で、うまく使われる展開を想定している。

    ③ブロックチェーンの直感的な理解としては、ハッシュ関数のハッシュ値が次々書き込まれ、改竄できないように並べた仕組みである。

    ④ビットコインの場合、10分に1個のブロックが作られており、改竄は難しい。

    ⑤ビットコインはデジタルゴールドを目指して設計された。リブラはドルもの交換を保証した商品券の拡大版として設計された。ステーブルコインみたいなものである。構造的には、ビットコインは不特定多数に管理させる超大型機タイプ、リブラはフェイスブックが中心となり団体レベルで管理可能な中小型機タイプと分類することが可能だろう。

    ❾資本主義の将来はどこへ向かうのか?

    ①1970年代には経済成長と石油使用料がパラレルに動いていたため、化石燃料の枯渇が強く懸念されていたが、現在、そのような懸念は起きていない。これは経済成長の形態が大きく変わったからだと考える。そして、それを考えるにあたって『縮退』という概念を考えたい。

    ②縮退は『寡占』と言い換えることも出来るだろう。あらゆる業界は札束での殴り合いで上位数社に集約していく。現在の経済は、この寡占に至るまでの過程で誕生した巨大企業がその他の利益を奪う形で富を形成してるように感じる。

    ③たまにスマホやEVのようなゼロから巨大市場が誕生することもある。ただし、莫大な富が生まれるのはそれが量産されて大衆化と陳腐化が始まりかけた頃である。(今のEVがまさにそのような感じ)そして、これが社会の縮退(競争の激化)と組み合わさった時、巨万の富が生まれる。

    ④多様化を進めようとすればするほど一強による画一化を招く。政治では、それを回避するシステムが2大政党制であり、例えば天体においても二体問題が安定的でそれ以上になると、軌道の計算が全くできなくなってしまう。

    ⑤1970年代と経済成長が大きく変わっていないのであれば、以前のような石油消費に依存する量的拡大から何が変わったか、カギを握るのは『金融市場の拡大』であろう。

    ⑥本来ならば世界のマネーは実体経済にくまなく行き渡るようにすべきものだが、非常に狭い金融市場の中で投機のために回るようになっている。

    ⑦なぜ、短期の欲望が長期の理想を駆逐するような状態に陥ってしまったのか。資本主義世界、特に米国では『大勢の短期的欲望を集めていけば、それは長期的欲望(全体)に一致する』と思っているフシがある。
    物理学の考えで言えば、二体問題であれば、部分の要素を集めていけば全体の動きが分かるが、三体問題以上になると、部分を集めても全体の動きは分からない。

    ⑧共和制ローマから帝政への移行にかけての出来事は現在我々が抱えている課題に示唆を与える。

    共和制の時代、社会は基本的には自作農中心の自由農民で成り立っており、戦時には自由農民が戦力の中心となった。共和制の末期になると、ローマの属領が増えて、そこから安い農作物がローマに流入し、自作農は没落。自作農が手放した土地を金持ちが手に入れ、さらに格差拡大という流れに。同時に、自作農中心の戦力も、雇用、もしくは金持ちの私兵で構成され、歯止めが効かない状態に陥った。
    この行き着く先が帝政への移行であった。つまり、カエサルへの権力集中であった。
    あるデータによれば、ローマの人口120万人のうち約半数が生活保護者であり、奴隷を除くと自活していたのは1割しかいなかったというデータがある。

    ⑨われわれの経済は力学として捉えると、その根本原理は『欲望を満足させて、利益を極大化させようとするただ1つの力で動いている』ということである。

    ⑩われわれが物質的に恵まれているにも関わらず、幸せを感じられない理由は『想像力』を奪われているからであろう。欲望は次から次へと叶えられ、望むものがなくなった結果、幸福を感じることができなくなった。

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    2022年11月18日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

    Posted by ブクログ

    面白いと評判の長沼伸一郎さんによる世界史の構造分析と日本の取り組むべき道への示唆。

    まずは勢力均衡型と世界統合型世界観の対立。いまのグローバル経済は世界統合型で一つの価値観の中にすべてを押し込もうとする働き。中国やローマ帝国が典型。一方でギリシアや英国型統治のように様々な勢力がバランスすることで世界を形成する価値観もある。こちらのシステムの方が新しいことに取り組もうとする機運が生まれやすい。
    そして短期的願望と長期的願望。当然ながら現代は短期的願望で埋め尽くされていて長期的願望は隅に追いやられている。ただこれは現代支配的地位にあるアメリカにおいて短期的願望の集約が長期的願望を成就させるという思想に支えられている面が大きい。ただ現代のアメリカの状況をみてもそうではないのではないか。
    伝統的には古代エルサレムのように商業化により退廃が進むと世界宗教が登場し、超越的な価値を提示することで、現世の短期的価値を超え長期的な価値を実現するようなメカニズムが働いていた。階級制度もその一つ。ただ現在において宗教や階級制度にその役割を果たすことを期待することはできない。
    現代においてその役割を期待できるのは科学であり、科学的アプローチを理解推進する理数系集団にこそその役割が期待される。
    一方で理数系集団は世の中の些事には関心がなくそのような仕事からは基本的に逃げたがる。そんな時に求められるのが坂本龍馬や西郷隆盛のような文系的伝道者であり、彼らが理数系集団の意志を世の中に説得してまわる必要がある。現代においてその役割を担うのは「女性」かもしれない。
    番外編では、昔の人々の実年齢を1.5倍にすると現代人の年齢感覚にフィットする。そうすると坂本龍馬が勝海舟にあったのは30代後半であり、その時勝海舟は50代後半。
    また、現代は準第四次世界大戦の中にいる。ただ経済戦争のため軍事的戦争の基準にあわせると10分の1に時間を縮める必要がある。そうすると現代を湾岸戦争を起点として第二世界大戦に沿って考えてみると、いまはスターリングラード攻防戦が終わってウラヌス作戦が展開されたタイミングとみることができる。あと3年で終戦。

    長沼さんがどのような方なのが、世の中的にどのように評価されているのかはわからないのだけれど、そしてアカデミアの世界で評価されるのは難しいとは思うけれど、非常に示唆に富んだ著作だった。このように世界のメカニズムを分析した本が他にあっただろうか、ということと、何となく感じていた違和感を論理的に解き明かしてくれたという印象。自分なりに構造を見極めるとはこういう手つきのことを言うんだなと、方法論の観点でも学びが多い本だった。

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    2022年08月28日
  • 現代経済学の直観的方法

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    縮退によって富が引き出されている
    多様化は縮退に繋がるので、二大政党制の方が良い
    多様化は短期的な願望を満たすため縮退を満たす

    ドラックとVRによって「幸せ」を感じることができ、社会はそちらに向かっている
    ドーパミンコントロールが重要

    現代は欲望を満たすという幸せは完全に満たされ尽くしている
    可能性への想像力が幸せの終着点

    本質を見抜く力が理系的思考、文系の特に経済系は短期的な利益を求める
    つい思考を二つに分解して考えてしまうが、三つや四つでも良い

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    2023年12月26日
  • 経済数学の直観的方法 確率・統計編

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     近著「世界史の構造的理解」が面白かったので、既刊本を著者買いした。結論としては買って正解だった。
     当方(文系)の能力不足により、上級編は「科学読み物」になってしまったが、確率・統計の基本を書名通り直観的に解説した初級編・中級編が非常に有益だった。
     正規分布、標準偏差等の概念が真の意味で理解できるようになったし、トレンドとボラティリティの違いも使える知識として記憶に残った。文系でも「実用書」として読む価値あり。

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    2022年08月06日
  • 現代経済学の直観的方法

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    理系文系問わず、まず読んでほしい。現代の経済の状況を「お金持ちの話」と遠くからみていた自分としてはかなりわかりやす。なぜ、今の状況になったのかが歴史的な事実を踏まえて解説されており、アナロジーの巧みさがすごい。

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    2022年07月21日
  • 現代経済学の直観的方法

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    感想はあとで
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    戦争のパラダイムシフトのキーファクター=鉄道
    経済においては銀行がお金という資金を融通するいわば鉄道

    宗教は資本主義ブレーキ装置
    金利の禁止
    寄付(キリスト教)、喜捨(イスラム教)の教え
    →貧富の差が巧妙につかない仕組み

    プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
    ピューリタンの予定説が資本主義促進のエネルギー
    「天国に行ける自分は現世で報われるから稼げるはずだ」

    資本主義が必要な理由:
    ・軍事力の基盤 
    ・人々が夢を持つ
    ・他の資本主義から身を守る
    →資本主義の代わりを訴えるならこれに対する答えが必要

    徳川政権の珍しさ
    米が金銀に優先される
    商業を抑え込んで農業の地位を押し上げる

    なぜ農業は工業 商業より儲からない?
    →所得が倍になっても食費は倍にならない
    →工業、商はスケールしやすい

    一次産業の中でも石油だけ別。
    商工業のスケールに対応できる製品であるから。

    ケインズ経済学vs古典は経済学
    ニューディール政策による景気回復の本当の理由は第二次世界大戦

    古典派→ケインズ経済学(大きな政府→新古典派(小さな政府)
    ケインズの弱点は国家の赤字、インフレ

    基軸通貨:
    米国が米国民のためだけに刷ったお金を国際取引で使われることがでファクトスタンダード化した状態にすぎない.


    米国ドルの権威=軍事力
    純金の権威=物理的希少性
    →「これは価値がある」というメッセージを人為的に作るか,不変的事実として作るか.

    この貨幣は今日も使えるから明日も使える
    →慣性的共同幻想

    ブロックチェーン、ビットコインの説明が超優しい

    短期的願望・長期的願望

    人間を死に至らしめるのは苦難ではなく絶望


    愛国心、地域主義→価値判断の拠り所 宗教、神、崇拝

    縮退を防ぐ、短期的願望を抑える文化や慣習はそれ自身が資源。

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    2022年07月16日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    本書には「思想の古典」と「物理の視点」で読み解いた世界史、近未来の予想図が示されている。アプローチは斬新だが、導き出された内容には「漠然と感じていたことが見事に言語化されている」と唸らされた。イスラムに関する考察なども目から鱗であった。
    著者は在野の研究者のようだが、間違いなく天才だ。次の著作を楽しみに待ちたい。

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    2022年07月16日
  • 現代経済学の直観的方法

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    骨太の経済学の根源解説本です。
    理系畑(物理ご専門)の著者が経済に疎い理系読者を念頭に原理原則をつまびらかにしてくれている、そんな印象です。

    第1章:資本主義はなぜ止まれないのか
    所得=消費+投資(銀行などの貯蓄が設備投資などへ流用)の公式が鉄道のメタファーで視覚的に想像することができた。
    利息(貯蓄)の正当性は、カルヴィニズム、予定説による徹底的な禁欲生活、つまりは稼いだ分を消費に回さず貯蓄する、その貯蓄額こそが天国へ行けるという証なのだという論理が発端となっている。

    第2章:農業経済はなぜ敗退するのか
    まとめると、農業経済は機動性が不足している。一定した需要と漸増する供給の最悪の組み合わせにより、農産物は価格低下の一途をたどり、成長性が見込めない。

    第3章:インフレとデフレのメカニズム
    ここでは、資産家階層・企業家階層・消費者階層の3層構造でインフレ・デフレの利害関係をまとめているのが新しい知見。インフレは、資産家・昇久階層は損する一方、企業家階層が得している現象という認識でひとまず良いのでは。
    どうも最近の暴力的なインフレは、消費者たる私は苦境に直面しております。

    第4章:貿易はなぜ拡大するのか
    自由貿易体制は関税を撤廃することで先進国の安価で質の良い商品が流入し、発展途上国の自国産業の発展を阻害する危険がある。「先に二階へ上がったものがはしごを引き上げてしまう」制度である。
    インターネットの登場で最近では国対国の貿易ではなく、より部分的なつながりで利益を共有する方法というものある。

    軽く飛ばして、
    第8章:仮想通貨とブロックチェーン
    ブロックチェーンの台帳にタグ付け、ハッシュ関数の利用、ナンスの活用という説明で、大方理解が深まった。
    マイナーは何してるんだろ?にたいしても、新しいブロックチェーンの創造と報酬としての仮想通貨の入手でだいたいイメージつかめた気がする。

    最終章の経済界の縮退に対する危機感は、理論ぽくなってきて理解が難しい。しかし、現在の自由主義経済の中における飽和であるがゆえの虚無感、一般意思(理想)ではなく全体意思(欲望)を追い求めているが故の束縛感というのはまさに自分が感じていることだし、現代人の根本的な課題なのだろうと思もう。徹底的な個人主義ではなく、他社との関係性により吸気口を共有し息詰まりな状態を打破するいった方向性は、非常に共感します。しかし、個々人としてどういった生活を営めばよいか、生きるとは、悩ましいところですし、今話題のポスト資本主義というテーマが注目される現代、一つの転換点なのかもしれません。

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    2022年05月07日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

    Posted by ブクログ

    大学で数学のテストで困ったときに読むべき本である。しかし、高校までの数学とは異なるので、あくまでも大学の理工系で教科書を学習した後で復習として読むのが望ましいと思われる。

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    2022年01月30日
  • 【無料お試し版】現代経済学の直観的方法

    購入済み

    全編読みたくなりました。

    無料お試し版ということで、極一部、インフレーションの概念を理解する部分を読みました。図もあり、大変わかりやすく、これから経済学を学ぼうとする方や、勉強したけどちょっとよくわからない、と言う人には向いていると思います。全編を読めば自分の知らない/自分が不得手な経済学分野も理解が深まるだろうと予想され、購入を検討しています。

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    2021年12月26日
  • 【無料お試し版】現代経済学の直観的方法

    購入済み

    役に立つ

    この本は特に資本主義について詳しく説明しており、しかも他にある様々な経済的な現象も用いつつ例を示しており、初心者にもイメージしやすくする工夫がなされていると思いました。

    #タメになる

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    2021年12月05日
  • 経済数学の直観的方法 確率・統計編

    Posted by ブクログ

    すごく良かった。ブラックショールズ理論の概略の理解を目的地にして、確率論の勘どころみたいなものを読み物として教えてくれる。これまで確率論にほとんど興味を持てなかったのだけれど、興味を惹かれるようになった。
    学生時代に読んでおけば数学の学び方になったかもしれない。
    190404

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    2019年04月04日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

    Posted by ブクログ

    これは理系の人の必読書だと思った。

    抽象的な数学的概念の取っ付きにくさを払拭してくれる。ただし簡単ではないので、繰り返し読む必要はあるけれども。

    まさに,「オッカムの剃刀」。

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    2018年08月30日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

    Posted by ブクログ

    こんな書籍になぜもっと早く気づかなかったのかというレベルの内容。
    私的には、"ベクトルのrotと電磁気学"の話がたいへん役に立ちました。
    理系学生を対象にしている様ですが、あえて文系学生や社会人が読むと面白いかも知れません。

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    2017年05月07日
  • 経済数学の直観的方法 マクロ経済学編

    Posted by ブクログ

    学生時代に500番台の修士レベルのマクロ経済学のクラス取って苦しんでたあの頃にこの本を読んでいたらなぁ…ってめっちゃ思う。経済学で使ってる数学の背景に何があるってのを物理学を知ってる人の視点で教えてくれてて、全体通してそうだったのかと唸らされる。
    帰納的なケインズ経済学に対し、アメリカの思想としてミクロの集合がマクロにならないことが許せなかったために、ミクロでマクロを制圧しようとして行き着いたのが動的モデルといった説明など、理論や方法の背景にあるものも解説してる。
    光の反射とフェルマーの原理が異時点間の均衡に繋がったとか、1つ1つの項目も本当に面白い。
    ただ確かにいい本なんだけど、自賛が多くてそこは少し気になる。

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    2016年12月28日
  • 経済数学の直観的方法 確率・統計編

    Posted by ブクログ

    先行の「マクロ経済学編」に続く今作のテーマは「正規分布」。前著同様、自然科学に対する西洋科学のスタンスが、経済という人文系分野の現象を理解するメソッドにも適用されているという含意が底流にある。本著では、天体等の自然現象を観察して得られたデータのバラツキを、データそのもの持つ「バイアス」と、ノイジーな「ランダムネス」に分解して理解することがが可能であることが示され、その思想が金融工学で扱われる「ブラック・ショールズの公式」に目に見える形で(数式を見ればそうなっている、ということがわかる形で)取り入れられていることが紹介されている。他の方のレビューにもある通り、本著の方が論点がシンプルで理解しやすい。

    数式をほとんど使わない初・中級編、やや数式が頻発する上級編という構成も前著を踏襲。基本的に上級編まで読んだ方がより理解が深まるとは思うが、ブラックショールズを論じる上で必須と思われる「テイラー展開」がほぼ端折られているので、結局上級編を飛ばしても直感的理解にはさほど影響しないかも(テイラー展開をまともに扱われたら私などの手にはとても負えなくなるが)。それでも、相対的なオーダーの大小を大胆に利用してバイアスとランダムネスを切り分ける「伊藤のレンマ」の解説は一読の価値あり。一般に精緻だと思われている数学が、現実世界に適用される場合には意外なほどの寛容さを見せることの驚きを経験できる。

    他には、例えば様々な現象の分布状況を足し合わせると、それぞれの分布のバイアス部分が相殺されて純粋な正規分布が残されるという「中心極限定理」が、人間の顔写真を無数に重ね焼きしていくと徐々に平準化され最後には美女・美男子が現れるという話が想起され面白かった。この辺り、前作の「ミクロの集積→マクロ」とも繋がっている気がしなくもない。また「神」が定めて人間が変えられない部分と、人間が扱える部分を峻別するスタイルが、如何にもキリスト教的「西欧」だなあと思った。

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    2016年12月18日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

    むしろ高校生が読むべき本

    この本はむしろ高校生が読むべき本だと思います。

    私は大学は物理専攻の学部に進みましたが、もともと公式丸暗記のやり方で進んでいく高校の物理の授業には、当時(15年くらい前)全くついていけず、高校物理の授業は大嫌いでした。意味が分からなかった。

    しかし、大学受験に際して東進の例の怪しいサングラスのS先生の授業が非常にわかりやすく、むしろ得点出来る教科になりました。
    彼の授業のスタイルは、微積計算の知識とニュートンの運動方程式など少数の数式をベースにして、各公式の導出方法から理解してしまおうというものです。
    この勉強法だと、公式を暗記しなくても試験中にパッと自分で導き出せるようになるだけでなく、自在に応用が利くため、試験の成績を高レベルに安定させることができます。
    そして、大学の(本来の)物理の学び方は俄然こちらの方が近いため、大学授業の先取りをした形になり、学部初学年の成績も高くキープすることができました。

    この本の物理の取り上げ方は、その勉強法に非常に近いと思いました。
    東進で授業を受けるには何万もお金が必要ですが、この本なら1000円強で済みます。
    当時から15年も経過しており、さすがに高校の授業の方も当時から色々変わった部分があるのかもしれないとも思うのですが、もしそうではない場合、当時の私と同様に、高校で新しく物理が始まって早くも挫折してしまいそう、という高校生は非常に多いのでは無いかと思います。そういう学生にこそ手に取ってほしいと思います。

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    2016年12月06日