長沼伸一郎のレビュー一覧

  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

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    物理学に縁がない人生なので、まったく知らない分野に関する部分はチンプンカンプンだったが大学時代に勉強した記憶がうっすらある分野に関してはなるほどと感じるだけの理解はできた。
    文系(寄りの)読者にとっては後記が珠玉の一章。後の著作に一貫して通ずる天才的直観が凝縮されている。

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    2024年12月17日
  • 経済数学の直観的方法 確率・統計編

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    ブラックショールズ方程式の"気持ち"を噛み砕いて説明してくれる。著者のイメージは独創的で新たな考え方を与えてくれる。

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    2024年07月25日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    この人の本が面白い。
    文章がわかりやすい。

    理系武士団がまた登場するけどから、また!?って感じる人もいるかもだけど、本を超えた一貫性が感じられて、私は好きかな。

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    2024年03月20日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

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    今読んでもそんなの習ったなーぐらいだけど、大学の頃に読んでいれば絶対に理解が深まる。。なぜ本書を知らなかったのかが悔やまれる。。。。

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    2023年12月03日
  • 現代経済学の直観的方法

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    評判どおりとてもわかりやすかった。経済学というより経済的側面からみた社会の成り立ちみたいな話なので、残念ながら資格試験の勉強には使えなさそう。

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    2023年10月15日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    短期的な欲望がディストピアを産むこと、見えない皇帝、トクヴィルのアメリカ民主主義の考察は面白かったです。

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    2023年10月11日
  • 経済数学の直観的方法 マクロ経済学編

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    上級は流石に学部卒経済学科なのに苦手だった自分にとってはキツい内容だった。
    全体としてストーリー理解させるために枝葉を捨てまくって記載されていて、理解の片鱗を掴んだ気にさせてくれる良書。
    ただし批判は多そうだなとは思った。

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    2023年09月01日
  • 現代経済学の直観的方法

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    とにかく話が上手というか、メタファー使って引き込むのが上手い。
    当然直観的理解に全振りのため、正確性少し不安を感じる部分もあるが、その枝葉を捨ててもなお得るもののほうが大きいのではないか。

    気になったのは、伝統的社会は縮退に対応できているのではなく、縮退にたまたま対応できていた社会が残っていただけなのではないかということと、これまでの伝統社会と現代社会というスケールとOSが全く異なるシロモノを同じ土壌で見比べるのが適切なのか?ということ

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    2023年08月24日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    物理数学、経済学に対して「直観的方法」のシリーズ
    今回はなんと世界史

    一応お伝えしますと、長沼氏は物理学者である
    さらに補足しますと、世界史における構造的な理解なので歴史書ではない

    相変わらずの考察力の凄さに舌を巻いてしまうのであるが、面白ネタが尽きないので
    うまくまとめられそうもない

    興味深かったもののみ

    ■凄かった日本(理数系武士団について)

    幕末や戦国時代の日本の国難において「理数系武士団」というべき集団がまとまって
    出現し、大きな力を与えた
    これこそが日本最大の武器
    狭い理系の専門分野から脱し、国が進むべき戦略などに関して、これまでの文系的な
    一般常識を超えた独創的なビジョンを生み出すことで、国を先導する役割を果たした
    例)大村益次郎…蘭学者で医者 かつ長州藩の参謀
    (そしてこういう方々は国のお抱えではないところがポイント)

    日本の近代の数学・物理教育のルーツは長崎の海軍伝習所にある


    ■形のない皇帝

    始皇帝の中国統一は歴史の特異点であり、巨大なマイナス効果という
    管理社会のなかの沈滞した精神が国全体を覆っている
    これか現代のグローバリゼーションと似ているとのこと
    今の経済、メディア、抽象的・無形的なグローバル化が中国の専制体制に似てきてい
    る(世界全体で価値観や社会制度、生活習慣などが同じものになっていく)
    政府の権力が及ばない巨大企業(GAFA)、経済、メディアなど形のない力が世界を動
    かす主力となっている(これぞ形のない皇帝)
    さらに資本主義は短期的願望(目先の欲)がこれに拍車をかけ、抑制が効かない(確かに止められない)

    もはや恐れられるべき権力は独裁者などではなく、「資本主義」が富を生み出すメカ
    ニズムと不可欠に結びついたパワーが主力となっている


    ■イスラムの影響力

    メッカは世界の通商路であり、巨大な富が流れてくる
    経済メカニズムの点から軍隊維持は難しく社会の退廃を食い止めるのに(おそらく抑制という意味で)イスラム教が効果的であったという

    ~ここからは脱線して気になる微積分との関わり~
    イスラム法学者は「ウラマー」という国に属さない知識人たちがいた
    ウラマーの存在意義を称えながらも、彼らの中で微積分が発達しなかったため世界か
    ら出遅れたと指摘している

    この辺りの真実は誰がどう判断するのかによるのでは?と思いつつも興味深いものが
    ある


    ■今後について

    資本主義や民主主義がどれほどの問題を抱えていようともこれにとって代わる制度は
    ない
    メディアとマーケットのなかに発生して短期的願望を世界に広める「仮想的な巨大権
    力」が皇帝のように君臨する一種の帝政にある
    宗教や政治的圧力、科学など短期的な処方では変えられない

    フランスの政治家トクヴィル(渡米し、民主主義の本質を見抜いた)
    「表面的なお題目よりも手法や習慣の面で長期的な世界に属するものに囲まれてい
    く」ことが必要
    それによって人間が次第に「不滅性」ということに価値を置くようになって、最終的
    に一種の宗教のように自然に引き込まれていく…
    これが理想とする(抽象的なのでわかるようなわからないような…)

    著者の意見は「歴史に参加する」とのこと
    時に巨万の富の誘惑を凌ぐことができる
    ただし恒常的に頼ることはできない

    いずれにしても大きな課題であり、今後向き合い続けるべき問題だ
    このままいくとどうなるか
    世界は骨抜きにされ、極端な格差社会になるだろう
    恐ろしいなぁ



    環境問題だけで滅びた文明はない
    快楽カプセル ディストピアの例…
    あげればキリがない独創的な解釈があり、面白い

    中には疑問を感じる部分もあるが、とにかくとことん考え抜かれているところが気持
    ち良い!
    頭の良い方の着目点や構想、歴史から何をどう学ぶか…
    この角度を知るだけでも読む価値が十分ある

    地政学、宗教学、物理、天体、地理、歴史、哲学、古典…
    あらゆる知識をふんだんにしみこませた本書

    クセになるなぁ

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    2023年08月22日
  • 現代経済学の直観的方法

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    経済学と聞くだけでとっつきにくい印象を受けるが、うまく噛み砕いて具体例もつかって説明してくれているのでわりと抵抗なく(多少詰まる事もありましたが)スルッと入ってきます。とってもありがたいです。
    ……この本を読む事で確実に経済学に対する苦手意識は減りました。

    何回でも読み返したい一冊です。

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    2023年07月30日
  • 現代経済学の直観的方法

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    ゆる言語学ラジオで絶賛されていたこちら。最近読んだ「東大生が日本を100人の島に例えたら…」で、経済オンチを自認したので即ポチした。

    「東大生が日本を…」を読んだ時も思ったんだけど、余剰の富を蓄積したり、売買や物流を便利にするための手段として機能していたお金が、経済の拡大とともに目的化していく構造が、この本を読んでいてもよくわかる。
    一章ごとにそれこそハッとする学びがあり、とてもわかりやすい身近な物理で経済の流れ、構造を例えてくれるので、本当に直観的に理解が進んだ。
    それにしてもはしがきからこの点のわかりやすさについて、自らめちゃくちゃハードル上げるなぁ…と、思ってたけど、
    著者のまとめとしての考えである9章以外は経済オンチ、物理オンチの私でもそのハードルを難なくクリアできる高解像な内容だったのが凄い。
    前評判どおり、ブロックチェーンについてもアレルギーなくするする読めて(わかったとは言ってない)新しい知見も難なく得られたので、前評判の絶賛を信じて本当に良かった。

    9章はわたしにとっては他の章に比べるとかなり抽象度が上がったな、という印象で、縮退の話は面白かったけれど正直ピンとこないところもあった。
    読みながら「暇と退屈の倫理学」に通じるのかなと思ったり、何度か行き来して読み返すとより理解が深まりそう。

    それにしても頭のいい人の文章は凄いなぁ…。
    そのうち「物理数学の直観的方法」にも挑戦してみようかな。

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    2023年04月30日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    著者は表現が独特で分かりにくいものも多かった。以下まとめ。

    ❶日本の歴史の節目や国難に現れていた理系武士集団

    ①コロナ問題は今まで潜在的に社会の底にくすぶっていた問題を表面化させた。例えば、実店舗で買い物せずECで済ますなどの動きは今後も進み、逆の動きに戻ることはないだろう。

    ②戦略の原則では、一般的に組織の力を『戦闘力×戦略力』で表す。戦闘力は個々の練度やポテンシャル、戦略力は優れた戦略力で優位なポジションを取るなどの知力である。過去の日本は頭数で優位に立てなかったことで、戦略力を磨いてきた。

    ③日本に必要なのは独創的なビジョン。先般の話でいうと『突出した戦略力』である。

    ❷『世界統合』vs『勢力均衡』の構造で見た世界史

    ①歴史は同じ形こそないが似たようなパターンで現れる。ここではナポレオン戦争と第二次世界大戦のパターンを検討したい。

    ②まずはナポレオンとヒトラーという個性強烈な独裁者を中心にした戦争であったこと、英国から見た立場で『海vs陸』という構図を持っていたこと、そして対ロシアで大敗したことが挙げられる。

    ③『世界統合と勢力均衡』は『世界を根本的にどういうシステムで運営していくか』の選択の問題として存在していた。
    ナポレオン戦争時は、ナポレオンは『世界統合』のビジョンで動いていたし、英国は大陸内部に覇権国が生まれることを阻止して、複数の国家がバランスをとりながら並行する『勢力統合』の世界を志向していた。

    ④現代のグローバリゼーションという現象を『世界統合vs勢力均衡』というテーマに沿って考えてみたい。これは、世界統合型の中国と勢力均衡型の西欧と読み換えることもできる。
    まず、世界統合型は帝国の支配を受け入れるとともに自由と独立を放棄する。その分、安定と平和を享受することになる。
    勢力均衡型は自由と独立を持ち続ける分、その権利を守るために戦い続けなければいけない。

    ⑤現在進行のグローバリゼーションは明らかに一種の世界統合を志向している。ヒトラーやナポレオンのような独裁者こそいないが、巨大メディアやマーケットといった複合体が人間の欲望を最大公約数的に掬い上げて、その実現手段を大量に供給して定着させる、一種の巨大権力として君臨している。

    ❸帝国化の宿命を負った中国の地形

    ①歴史的に平原では帝国しか生まれないと言われている。それは平原においては少し退いた場所で体制を立て直すというような軍事的オプションを取れないからである。

    ②中国においては山で囲まれた自然の要塞であった函谷関が最も重要な要所である。この場所を起点として中華統一を成し遂げたのが始皇帝である。

    ③欧州の勢力均衡の歴史の中で、大きな役割を果たしていたのがローマ教皇庁である。政治力を背景に自らの威厳を維持すべくバランスをとる戦略をとっていた。
    しかし、大航海時代に入ると、弱体化したローマ教皇庁に代わって、イギリスが海軍力を背景として、欧州の勢力均衡を司るバランサーとしての役割を果たすことになった。

    ④米国にとっての地政学はイギリスのそれとは意味が異なる。違いは米国の強みが空軍力であるということである。米国にとっては地形の話などはどうでとよく、空軍基地をどこに確保できるかが問題であった。

    ⑤現代に入ってくると軍事力より経済力が相対的に重要になってきた。また、無形な形の『地形の平坦化』がもたらす影響も考えるべきである。
    これは例えば、日本語が障壁になって英語のコンテンツが独占できないことなどを考えると良い。

    ⑥現代は情報量が多過ぎて、必要な知識の修得に昔の1.5倍はかかると思った方が良い。

    ❹資本主義を誤らせた天体力学の幻惑

    ①現在では軍事力に代わって、経済やメディアなど形のない力が世界を動かす原動力となっている。そして、これらの力は民主主義という枠組みの中で、一種の専制帝国のような振る舞いをすると思われる。

    ②ここで大事な概念として、『一般意志』と『全体意志』という概念を考えたい。『一般意志』は『長期的展望に基づいてこうありたいと願う理想目標』と定義する。一方、『全体意志』は『人々の短期的欲望を単純に寄せ集めた物』と定義する。
    通常、人間は欲望に弱いので全体意志が一般意志に優先されてしまう傾向が強い。

    ③国の政体には6つの政体がある。良い政体が『君主制』・『貴族制』・『民主制』である。悪い政体が『独裁制』・『寡頭制』・『衆愚政』である。
    良い政体は一般意志が全体意志を抑え込んでいる状態である。

    ④この6つの政体はよく出来ており、『君主制』→『独裁制』→『貴族制』→『寡頭制』→『民主制』→『衆愚政』→『君主制』というサイクルで動いている。これは政体循環論と呼ばれている。

    ⑤従来は一般意志が全体意志に優先されていれば、どの政体でも良いものと考えられていた。
    しかし、米国の価値観は違う。『民主制』こそ絶対的に正しい政体であり、それが君主制に戻るなどあってはならないと考えていることである。

    ⑥資本主義は短期的欲望を増幅する。『金が得られるということは社会的需要がある』という話をよく聞くが、まさにこれを象徴している。米国流の考えの『短期的欲望を多く集めれば長期的欲望につながる』が裏付けとなっている。

    ⑦人間社会の構成は複雑に出来ており決してシンメトリーな綺麗な形で出来ていない。それを単純なモデルで解こうとする試みがよく行われているが往々にしてうまくいかない。天体の軌道も3つ以上になると『三体問題』として解けなくなるが、これと同じである。

    ❺現代世界の『形のない皇帝』

    ①現代のグローバリゼーションは何ものの『意志』によって推進されているのか、古典と物理の両面から分析してみる。

    ②古典においてはフランスの政治学者トクヴィルの『アメリカの民主政治』(1835・1840)が参考になる。この本では『あまりにも自由で平等な社会では真の意味での多様性は消失するであろう』という予言をしている。
    彼の主張のポイントは、自由な民主社会においては、ファッションのような泡沫的な部分(短期的部分)においては、種々雑多な多様性が生まれるが、基本的な価値観や制度のような根本的なメカニズム部分(長期的部分)は逆に画一化してきて、両者は反比例する傾向にあると指摘する。

    ③現代に照らし合わせると、米国が世界通貨のドル、英語、軍事力を背景に世界の経済を席巻している。そして、各地で米国資本の大企業がシェアを奪っていき『縮退』させることで経済を拡大させている。

    ④この『縮退』を物理学的なイメージでは、エネルギー保存の法則を考えると良い。大企業が参入する以前の状態から大企業がシェアを奪う過程で、熱エネルギーが生まれるように『富が引き出される』のである。そして、元の状態には戻ることはない。

    ⑤縮退した社会では全体意志が一般意志を駆逐する。トクヴィルの予想する縮退した社会の結末は、『単一の制度・風習に固執して動かなくなる。社会の全てが目の前の安楽を求めることだけに使われて、そこから長期的に抜け出すための力が失われる。社会自体は絶えず動きながらも全く前進しなくなる』ことである。まさに、現在の日本そのものである。

    ⑥今後、ひたすら個を極大化させる勢力と、それをやめて縮退を止めようとする勢力の戦いが想定される。これは米中の対立の一段上の重要性があるものである。

    ⑦現代においては軍事力より経済力が圧倒的に重要になっている。なぜ、そうなったかは核兵器の存在が大きい。
    現在の戦争は経済面が中心となっており、歴史を踏まえると通常兵器の戦争の10倍時間がかかっている。

    ❻環境問題を包括する最重要問題

    ①現在の『多様化』は本来使われる意味の多様化ばかりではなく、短期的欲望を無制限に解放しただけのものも数多く混ざっている。
    過去には、ルネサンス末期に同じようなことが起こったため、この歴史を学ぶことは参考になる。

    ②ルネサンス末期は社会全体が商業的退廃に蝕まれていた時期で、誰もが『自分ひとりの個性』を叫んで、豪華な美術品が数多く生み出された時代である。

    ③過去の歴史上、環境問題で滅んだ国はない。過去何度も資源が取り尽くされる事態になると、すぐに代替物を見つけて社会全体がそちらに引っ越している。

    ❼コラプサー化を防いだイスラム文明とその『微積分学』での敗北

    ①西洋文明は過去2回、コラプサー化の危機から脱却した。どちらもイスラム文明との戦いの中で起こったことである。
    1回目はローマ帝国末期で732年の『ツール・ポアチェの戦い』だろう。ここで、フランス王国のカール大帝がイスラム勢の攻撃を食い止めたことがその後の西洋の歴史を変えた。
    2回目は前述のルネサンス末期である。
    現代を眺めると、今が3回目の危機ではないかと思わずにいられない。

    ②イスラム社会において、立法権は人間の手にはない。法の解釈権という立法権に準ずるものが存在し、それを持つのが『ウラマー』と呼ばれるイスラム法学者である。ウラマーは単なる法律家という立場ではなく、様々な学問を修めた人物である。イランなどを考えると分かりやすいが、宗教と法律の解釈権を背景として、大統領より強い権力を有している。

    ③西洋文明とイスラム文明で差がついてしまった要因として大きかったのが『微積分学』の活用であると考える。

    ❽歴史の中の『世界交通網』が生んだ日本の特殊性

    ①ここで唐突であるが、エルサレムになぜ聖地が集中したかについて考えたい。まず、地理的条件を見ると、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、アラビア半島の3つの結節点となる場所にある。要するに、砂漠の中の交通の要衝であった。
    ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がいずれも都会から生まれ、その性質は、資本主義が抱えた矛盾に対しての1つの解答を示した類のものであった。(いずれも教義に違いはあれど、弱者救済を掲げている。)
    また、農業ではなく、商業の町であったため、民衆を軍事力という形で押さえ込むことはできず、宗教という形になったと考えられる。

    ②面白い視点であるが、このエルサレムを中心として、同心円上に世界を見ていくと日本が最も遠い文明国と見ることができる。これは、日本が鎖国を維持できた理由と合わせて考えると分かりやすい。日本は電車の駅でいう『終着駅』であり、コスパ上、日本まで行くメリットがなかったため、鎖国が可能だったのである。

    ③日本の開国は米によって行われたが、これも米国から船で西進し、中継地として中国や東南アジアに寄港できる価値があったからと考えると納得である。

    ❾世界の出口はどうすれば見出せるのか

    ①人間は『何ものにも囚われずに』生きることが可能か。マーク・トゥエイン仮説では個人の精神力だけではコラプサー化を止めることは難しいとされる。これは、米国が推し進める『自由の推進』とは逆の考え方である。

    ②政治の主導権の握り方の理想とし次のようなの 考え方がある。洋の東西を問わず、『君主』、『上級貴族』、『下級貴族』、『民衆』と4つのカテゴリーの中で、『下級貴族』が力を持っている時、最も社会が活力に満ちるという。
    その理由として、この階層が最も短期的欲望に侵される割合が低いからとされる。

    ③世界のあらゆる場所で短期的欲望が繁殖していることの根源は、人間の欲望にあって、人間誰しも現世で少しでも良い生活をしたい、安楽・怠惰に過ごしたいと願うものであり、これは誰にも止められるものではない。このストッパー役を果たしていたのが宗教である。『現世』ではなく『来世』の未来を見せることで短期的欲望が行き過ぎないようにしていたのである。

    ④ちなみに、宗教の世界を本格的に否定した後で、豊かになりたいという願望をシステム化したものが『資本主義』であり、現在は年間3%程度の成長を半ば義務付けられているシステムである。

    ➓日本の歴史はどう拓かれるか

    ①経済戦争において重要なのは『知的制海権』を制することである。日本は与えられた条件のもと、合理化を中心に競争しており、そもそも『不利になればルールを変える』という発想がない時点で負けているのである。米国は自分に有利な条件を他国に押し付けることにより知的制海権を行使している。

    ②

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    2023年03月13日
  • 現代経済学の直観的方法

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    経済学専攻でない人向けに書いた本。
    第1章が秀逸。イメージがわかりやすい。
    但し最終章はよくわからなかった。

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    2023年01月28日
  • 経済数学の直観的方法 確率・統計編

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    面白かった。頭でイメージを描きながら読むといいかもしれない。以下、要約。

    ❶初級編

    ①確率統計論が本格的に進化したのが19世紀である。ガウスの貢献が大きい。ニュートン力学が17世紀に始まったことを考えると発展は遅れている。

    ②ガウスの思考を辿ることが確率統計論を本質的に理解するのに必要と考える。ガウスは確率論を真正面から考えていたのではなく『誤差』を基準に考えていた。そして、この誤差を考えて導き出したのが『正規分布曲線』である。

    ③誤差というものは2つに分類できる。1つは『一定方向に出る誤差』、もうひとつは『+方向と-方向に同じだけ出る誤差』である。前者は逆方向に修正かければ良いので問題にならない。ガウスが扱ったのはランダムに動く後者である。
    これを株価の考えに落とし込むと、前者が『トレンド』といわれるものである。後者が『ボラティリティ』である。
    そして、ブラックショールズは『ボラティリティ』を中心に扱うオプション価格の算式であり、ボラティリティが時間と共に拡大することを利用して利益を上げることを考えるのである。

    ④標準偏差を考えるにあたり重要なのが2つ。1つは平均がどこか、もう1つがバラツキ具合(平均からの距離)である。

    ⑤正規分布において、σは中心線から変曲点までの長さで表現する。

    ⑥e*-x^2が正規分布を表す基本形であり、釣鐘型の曲線となる。

    ❷中級編

    ①確率論を学ぶのに重要な概念は3つ。1つめは最小2乗法、2つめは中心極限定理、3つめは確率過程とランダムウォークである。

    ②最小2乗法とは、得られたデータが誤差でばらついて本当の値がわからない時、その真の値を割り出して、誤差を最小にするための手法である。
    ざっくりいうと、中心がどこにあるのか測るために使う。
    ばらつきが正規分布に基づくのであればその中心(平均)からの距離の2乗は最小になる。2乗する理由は精度が上がるからである。感覚的にも、中心に近いデータは数が多いが誤差が小さくなる一方、中心から遠いデータは数が少なく誤差が大きい。そのため、中心からの差を2乗することでデータのばらつきを測る精度を上げるのである。

    ③様々な確率分布はたくさん集めて重ね合わせると、結局、正規分布に行きつく。ポアソン分布、ベキ分布、二項分布などは正規分布をベースに特殊化を行ったり、バイアスをかけた形で成り立っている。もっとも、二項分布は正規分布とはニワトリと卵のような関係で、試行回数が少ないと二項分布になるし、試行回数を無限回に近づけると正規分布になるからである。

    ④経済予測する立場としては中心極限定理は極めて有用である。マーケットなどは多種多様な要因が重なり合って数字が形成されていくが、この定理に基づけば様々な確率分布は結局、正規分布に集約していくと考えることができる。
    例えると、様々な光が集約すると、白色になるように全てを合成すると正規分布になり、人間が扱いやすいものになるのである。

    ⑤金融市場では正規分布に基づくモデルは古く使い物にならないという話もよく聞く。ただ、プログラム売買の弱みは、なまじマーケットにフィットするプログラムを使っていると、皆が同じものを使い始めて結局一方向にマーケットが振れやすくなってしまうのである。他者を出し抜こうという動きが出れば出るほど、この呪縛からは逃れることができない。
    あらゆる分布の始祖は正規分布であり、様々なプログラムを作っても、数多く集めれば結局は正規分布から外れることはないのである。

    ⑥時間的な拡散の幅は√t倍で拡散していく。これは2次元でも3次元でも同じである。標準偏差がσの確率分布をn個集めてそれらを足し合わせるとそれらを合計した確率分布は√n・σとなる。
    この時間の平方根と標準偏差σを掛け合わせたものが確率過程を考える上でポイントとなる。
    °
    ⑦オプションを考えるにあたって時間的価値は非常に重要な概念だが、それは確率過程を考えるにあたって利益は時間tに比例する形で拡大すると考えているからである。

    ⑧経済全体を『トレンド』と『ボラティリティ』に基づいて考えてみる。例えば、名目成長3%程度の経済成長を世界経済は『トレンド』として想定している。これは指数関数的な動きを想定しているので、物質的な動きが連動するとは現実的には考えにくい。そのギャップをインフレという形が埋めるしかない。そもそも、現代金融が金利の計算を複利計算を前提としており、経済全体の前提を指数関数的に捉えざるを得ない状況になっている。
    『ボラティリティ』で大きな役割を果たすのが金融だろう。特に、リーマンショック以降は先進国は量的緩和を行い、資産高にすることで資産効果が成長率底上げにつながった部分はあると思われる。

    ❸上級編

    ①確率微分方程式の中核をなす理論は伊藤のレンマである。

    ②今までやってきたことはdx=Adt+Bdwで表すことができる。つまり、Adtは『トレンド』にあたる部分、Bdwは『ボラティリティ』にあたる部分である。

    ここで欲しい答えはxという独立変数があって、その影響で動くy、つまりy=F(x)があって、これが時間tの影響でどう動くかが知りたいのである。つまり
    dy=○dtのようなものが欲しい。

    ③天体力学を扱う視点からは上記のAdtの部分の答えが欲しいのである。Bdwはノイズであり、何とかこれを除きたい。それを可能にしたのが伊藤のレンマである。

    ④これを解くのに必要なツールが『テーラー展開』である。いわゆる、近似値をとるためにF(x)を微分していくものである。例えばdx=0.1の場合、dx^2=0.01、dx^3=0.001であり、使うのは最初の2つか3つであり、あとは無視できるのである。
    上記のAdtの『トレンド』だけ抽出するツールとしてはうってつけである。

    ⑤ケインズ経済学では最も役に立つツールが等比級数の和とテーラー展開の2つといわれている。

    ⑥テイラー展開をしていく中で極小の値は切り捨て、拡散半径が時間的にどれだけ拡大するかの式、dw=√dtを使って書き換えを行うことにより、dtとdwに分かれた式の抽出を行うことができる。
    Bdwは『ボラティリティ』を表す式で、この中には+と-が混在しているはずである。そこでBtw^2の2乗というものがポイントになり、絶対値として評価すると正規分布を表す式として活用できるのである。

    ⑦この伊藤のレンマはx→y→zのように多段式になっている場合も活用できる。通常は先に進むと式が汚くなって前進不能になるが、伊藤のレンマで単純化することにより、前に進めるようになるのである。

    ⑧最終的なブラックショールズの式に至るのに、重要なツールとしてフーリエ級数というものがある。これは、いろいろな三角関数の動きを使って目的となる関数を描こうとする試みである。

    ❹測度とルベーグ積分

    ①経済などは本質的にはデジタル(=買う、買わないの2択)などで表現されるものであり、いわば不連続なものである。
    この不連続なデジタルをアナログに変換するためのツールが測度とルベーグ積分である。

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    2023年01月29日
  • 経済数学の直観的方法 マクロ経済学編

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    経済分析のロジックがどのように裏付けられているか勉強になった。以下まとめ。

    ❶序文

    ①そもそも経済数学というものは、物理や天体力学で経済分析に使えそうなものを流用したものが多い。いろいろつまんで使用している分、体系的な理解がしにくい。

    ②経済数学で難しい理論は2つ。1つは『動的マクロ均衡理論』。2つ目は『ブラックショールズ理論』である。

    ❷初級編

    ①経済理論の始めといえば、アダムスミスであるが、その著書の理論的裏付けになったのが、天体力学と微積分である。例えば、価格が需要と供給のバランスによって動くという理論は、惑星や彗星が太陽の周囲でバランスをとって近づいたり、遠かったりを一定周期で繰り返しながら安定した軌道を保つとう事実からインスピレーションを受けたことがわかる。(惑星が太陽に近付き過ぎるとスピードが増して遠心力が強く働く。一方で遠ざかり過ぎた時は遠心力が弱まり、再び太陽に向けて引力が強くなる)

    ②モノの需給のみならず、基本、労働市場や金利などもおおまかには同じような市場の自動均衡メカニズムの理論が成り立つと仮定している。

    ③微積分がなぜ理論的に重大な役割を果たすようになったか。それは微積分により、我々は『物事の未来の位置』を知ることができるようになったからだ。

    ④ケインズ経済学には古典派のような『ミクロ的な均衡原理をもとに、あらゆる時代、局面で使える経済の統一理論を作り上げよう』という思想が最初からない。ケインズは、経済学にはモデルから考えるサイエンスの部分と、経済状態に合致したモデルを探すアートの部分があると考えている。
    使えるツールがたくさんあったため、理論全体がケインズ経済学という形で残った。

    ⑤大陸側の自由放任主義の経済思想としてミクロの積み上げにより、マクロの記述ができると考えていたが、ケインズは天体力学の3体問題のように、ミクロの積み上げで記述はできないと考えていた。そして、その違いがミクロ経済学とマクロ経済学の分離に繋がった。

    ⑥古典派の失敗は大恐慌の処方箋失敗という形が1番の典型で現れる。均衡論を裏付けに放置しても、よりデフレがひどくなり、ケインズの乗数理論でようやく乗り切ることが出来るようになった。

    ⑦乗数理論は公共投資の効果の裏付け、また銀行の信用創造の計算の裏付けとなっている。

    ⑧ケインズ経済学では前述の乗数理論と『IS-LM曲線』の理論の2本柱である。IS曲線のIは『Investment』でSは『Saving』である。Lは『Liquidity preference』、Mは『Money supply』である。
    IS曲線は、縦に利子率、横に国民所得をとり、金利が低ければ乗数理論により国民所得が増えるので右肩下がりの曲線になる。
    一方で、LM曲線は金利が低いと流動性確保のために、プールしておく資金が増えて国民所得は減る。一方で金利が高いと国民所得か増えるので右肩上がりの曲線になる。
    このIS-LM曲線の交わりが最適な利子率と言われている。

    ⑨動的均衡理論はマクロとミクロのギャップを埋めるべく考案された。物理の解析力学を数学的裏付けとしている。IS-LM曲線もミクロ的原理から演繹的に作り上げ、研究の中心であったシカゴ大ではマクロ経済学という看板すら無くなったほどである。
    使い方としては例えば、景気が循環変動する状況下で、投資を時間的にどういう曲線に従えば全期間での投資効率を最大化できるかという問題を扱える。
    解析力学の体系として、変化率を重要なファクターとして捉える。それは例えば『インフレ期待』などの概念も扱えるようになり、中央銀行の政策理論の裏付けとして絶対的価値を持つようになった。

    ❸中級編

    ①動的均衡理論の裏付けとなっている解析力学を考えるにあたって押さえておきたい考えが『フェルマーの光に関する原理』である。すなわち、光はその通過時間が最小になるような経路を選んで通るということである。これはレンズ内や水中においての光の屈折を考えるとわかりやすい。レンズや水中は光の速度がわずかに遅くなるため、屈折ということが起きるのである。

    ②動的均衡理論の先駆けはラムゼイモデルである。その後、ノーベル経済学賞となったRBCモデル(リアル経済循環モデル)につながる。『消費』と『投資・貯蓄』の均衡点を探るものである。

    ③現在のマクロ経済学が何をやっているのかを知るためには、ラグランジュアン関数とルーカス批判を学ぶ必要がある。

    ④その前にサイクロイド曲線(滑り台を最も早く滑り終える曲線を考えると分かりやすい)がどういうものであるか押さえたい。これは、円が転がった時にできる軌道である。最速降下線(滑り台)を考えるにあたって、1)最短距離 2)最速スピードの均衡点を考える必要があるが、これを満たすのがサイクロイド曲線である。サイクロイド曲線上にあるボールはどこの位置にあっても同じタイミングでゴールする。
    身近な例では歯車などに使用されている。ゴルフのスイング軌道もエネルギー効率が最も高い軌道がサイクロイド曲線といわれている。解法として、オイラーラグランジュ方程式を使う。

    ⑤ケインズ経済学は70年代の失敗まで、『好景気=インフレ』であり、好景気の時は経済は大体インフレであり、むしろ積極的に軽いインフレに持っていくと景気が上向くというのが常識であった。今の黒田日銀率いるリフレ派の考え方も同様である。

    ⑥70年代の失敗は『変化率』を見落としていたことにある。例えば、皆が3%のインフレ率を予想している中で物価が3%上がっても景気浮揚の効果は生まれない。大事なのは『変化率』である。インフレ率が3%の中、2%で資金が借りれるなら実質金利は-1%であり、資金需要が生まれ景気は浮揚しうる。

    ⑥ルーカス批判は経済社会が『期待』で動かされる部分を強く持っている。インフレ以外の経済政策の問題も『期待』や『変化率』で動かされる部分を持っているはずだというビジョンを打ち出した。
    そして、このルーカス批判のフィルターを通して解釈すると、問題の中に常に2つの変数のペア(ある変数と、その変化率で表現される変数)が重要な変数となり、これを解くためのツールがラグランジュアン関数なのである。

    ⑦上記の思想とツールによって理論を作り、ガブリレーション(校正)を行うことにより、現実に合わせて理論を調整することができるようになった。

    ⑧理系の観点からは、かつて解析力学は既に解決していた問題を綺麗に解くことはできたがそこまでに過ぎなかった。20世紀に入って脚光を浴びたのは量子力学の存在である。点として扱うことができないこの物質に解析力学は大いに役立ったのである。

    ⑨この動的均衡理論の最も大事な使用例は『インフレターゲット論』など、インフレ期待が重要なファクターになっている問題である。

    ⑩ぶっちゃけ、これが一般の製造現場で役に立つかと聞かれれば疑問である。しかし、世界経済という大きな枠組みにおいては、自国に有利な経済ルールを制定した上で、資本や情報の流れを自国に有利に持っていくということが重要なミッションであり、その武器としては極めて有効なツールとなっている。

    ❹上級編

    ①動的均衡理論は3つのモデルチェンジを経て、現在4つ目で最新モデルであるDSGEモデルが各国の中央銀行や国際機関などで採用されている。

    ②DSGEモデルは、インフレターゲットの金融政策で使われている。これは、まず『最小化したい量』を書き出し、人々のインフレ下での『期待感』を考慮して、タイムラグを挟む形で何らかの制約条件を想定する。そして、それらがあればラグランジュアン乗数を使ってそれらを合計した形でラグランジュアンを設定することができる。

    ❺経済学部で知っておくべき微分方程式の基本

    ①微分方程式には解の公式のような統一的なメソッドがあるわけではなく、実際にはごく限定されたいくつかの例外的に性質の良い特殊なパターンの問題にだけ、それぞれに特化した形の解法があって、それぞれが個別に存在している。
    全般的な話としては、当てずっぽうでそこらへんにある関数を片っ端から微分してみて与えられた関係式を満たすかどうか探っていくというのが実情。
    それでも解けないのは近似で乗り切る。その場合、テイラー展開などが重宝される。

    ❻固有値の意味

    ①数学の歴史は『簡略化』の歴史とも言っていい。複雑な部分をどんどん簡略化して成立したのが現在の数学である。

    ②固有値を学習する理由は統計学において主成分分析に用いられる。これは変数が3つ以上ある高次元のデータに対して、より低い次元でデータのばらつきを説明するために用いられる。

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    2023年01月03日
  • 物理数学の直観的方法 〈普及版〉 理工系で学ぶ数学 「難所突破」の特効薬

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    文系読者で数式ハテナだが直観化の雰囲気は伝わった。意味や背景をおさえておくのと、単純化しすぎない程度にグラフ化などで分かりやすくする、これは数学以外にも共通。最後の章でまさかの展開を入れてくるのは通例となっている模様。

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    2022年11月24日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    ネタバレ

    長沼節が心地よい、日本に対する警句と進言といったところでしょうか。

    「現代経済学の直観的方法」では、経済の根本的な理解を明瞭かつある意味突飛な思考的発展によって助長してくれる名著であったので、世界史に対する同じテイストかなと思ったけれど、こちらはどちらかというと著者の意見を世界史からくみ取って提示するといった様相。

    理数系武士団や安楽カプセル(本書の正確な表現じゃないかも)といった急進的な表現を使用しながらも、短期的願望と長期的願望の論理はさすがといった納得感。コラプラー化という短期的欲望がはびこっている社会での閉塞感というか、これじゃないんだなー感は各個人うすうす感じてるんだろうけど、宗教に頼るでもなく格差階級を復興するでもない第三の道を模索していく必要があるんだなー。ど文系の私ですが、理数系のお力と協力ができる度量の広い人間になりたい、そう思う。

    途中のなぜ欧米が知的制海権をもっているかの論理は非常に納得のいくしある程度回答が出ているかと思うが、さて日本が今後具体的にどのようにしていけばいいのか、理数系武士団の登場を待ち望むしかないのかといったところが曖昧かなと感じる。これは著者ほどの論者でも間違いないといった回答がひねり出せないほどの難題なのだなと理解する。主張は、理数系の人たち表舞台に出てこいというメッセージはくみ取れたけども。

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    2022年09月09日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    いろいろ面白いのだが、ちょっとトンデモ感がぬぐい切れない… 戦国時代に「文系」「理系」とか無理ないか?! イスラムは女性に支持されて、のくだりも、ではなぜ現在ああなってるのかわからない。ただ、昔の人の年齢の1.5倍掛けとか、理由はわからないけど確かに実感にあうものもあったりするので、あんまり生真面目にとらえずに自由な発想の例みたいにして参考にするのがいいと思います。面白いのは面白かった。

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    2022年09月05日
  • 経済数学の直観的方法 マクロ経済学編

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     難しくて手に余った、というのが正直な感想。姉妹編の「確率・統計編」相当部分を数学書として読めたのだが、本書は大半が「科学読み物」であった。
     とは言うものの、それなりに収穫もあり「主流派経済学がなぜ現実を説明できないか」が本書を読むことで腑に落ちるようになった。
     要は「神の手による唯一無二の物理法則」に憧れて、「人間の営みである経済を唯一無二の理論で説明しようとする」のが間違いなのだ。

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    2022年08月21日
  • 世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

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    「短期的欲望」は「長期的欲望」に勝ってしまうので、社会制度として、金利を禁止(イスラム教)したり、商人の位を低くするのは、人間の知恵ではなかったか。という点がとても心に響いた。他に、エルサレムを中心としての日本の外縁位置、中国大陸の地形にみる統一王朝の歴史(キングダム見るときに参考になる)などなど、形而下的・物理的な事柄で歴史を解きほぐすコンセプトがとても面白い。細かな歴史でなく、文明、1000年単位などの大きな枠組みで歴史・未来を捉えようとする心意気がとてもいいです。

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    2022年08月07日