山田和子のレビュー一覧

  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    いま自分がいるところは、本当に自分の居場所なのだろうか。
    このような不安を微かに(しかし確実に)感じながら生きている男の物語。

    上記の不安は、作者が以後の作品で反映させていく不安群――たとえば、自分が記憶していることは、本当に自分の記憶なのだろうかという不安――の一つと考えてよいでしょう。

    戦後アメリカが舞台ということで、共産圏に対する不安や敵意なども描かれていて、SFという要素以外でも知れるところがあります。

    0
    2019年02月02日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    SFとかミステリーとか全ジャンルを含めて考えても、P.K.ディックは私のなかで特異で特別な作家。

    彼の場合は、小説という創作物の「出来が良くない」方が、時として「読者としての満足感が得られる」事が多いという、グラフでイメージすれば反比例の曲線を持つ、珍しい作家。

    起承転結がうまくいっている作品とか、終盤の締めが鮮やかな作品は、実は、この作家に期待する「禍々しさ」「絶無のカオス感」に乏しかったりする。失敗作でも(むしろ失敗作こそ)価値を生んでしまう、失敗作の至芸とでも云うべきか。

    本作は、うまくいっちゃってるサイドの傑作。普段の生活空間が異世界に傾いていく過程が鮮やかで、P.K.=粗雑で上

    0
    2019年01月02日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    他の作品と文体が違うので戸惑うが、読み進めればいつものディック小説。映画「トゥルーマン・ショー」がインスパイアされた物語。

    0
    2018年12月20日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    「SF好きならどう?」と同僚に勧められたのが
    この人の「エンダーのゲーム」という作品。
    長編と短編があるようですが、
    バトル物SFに興味があまり向かなかったので
    短編版のこちらを選択しました。
    で…
    エンダーのゲームに関しては
    ガンダムみたいなロボット系のSF好きなら
    長編版のほうが楽しめるかもしれません。

    その他、短編もなかなか面白い作品が多かったです。
    単に「面白い」というより
    数年後「あれ…なんか、こんな話どこかで読まなかったっけ…」って
    忘れた頃にウズウズしてしまうような、
    何か知らないうちに妙な種を植え付けられるような内容が揃っています。

    個人的には
    ・王の食肉
    ・深呼吸
    ・四階

    0
    2018年12月02日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    怖い、恐い、コワイ。広くいろんな意味で。
    「エンダーのゲーム」の背景に対するクールで静かな恐さ、「王の食肉」のタイトルそのままの生々しさ、「タイムリッド」の軽く乾いた感じ、などさまざまなコワさの11編。
    残酷で、時に人の心の罪悪感を突く。
    思うようにならなさ、無力感が漂う。
    どれもが怖くて、虚しいような悲しさもあった。
    当初、多少の苦手意識を抱えながら読んでいたけれど、今はいい意味でもう一度読みたいという気になっている。

    0
    2020年05月23日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    ハードカバーを見て、表紙のかっこよさで読んでみたいと思った本。
    洋物なのに大変読みやすく、内容もすごく面白かった。30年前の本だというのが驚きです。
    ただ、後半の急展開になかなか付いていけなかった。終わり方もここで終わり!?て感じで、もう少し先を読みたかった。

    0
    2016年11月25日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読んでて、エンタメってこういうものだったって思い出した。とくに「エンダーのゲーム(短編版)」。11才の少年が他の誰にも思いつかない戦術でめくるめく大活躍… って、そう、最近忘れてたけど、そういうのがエンタメだった。リアリティとかどうでもよくて、とにかく面白ければいいんだよ。

    「ブルーな遺伝子を身につけて」は、正統派SFっぽい顛末に加えて、宇宙服らしき「モンキースーツ」の語感がツボ。猿のスーツなんて不格好なはずなのに、何故かスタイリッシュ。

    「アグネスとヘクトルたちの物語」…ステンドグラスの絵の裏表をひっくり返して見ているような話。どっちも表だしどっちも裏。民族弾圧による死の運命から義両親に

    0
    2016年11月12日
  • 幻影の都市

    Posted by ブクログ

    これは栗本薫グインサーガーの原作ではないか・・・
    表紙   6点まつざき あけみ
    展開   7点1967年著作
    文章   6点
    内容 725点
    合計 744点

    0
    2016年07月21日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    映画ブレードランナーの原作SF作家として有名なヒィリップKディックの作品。初ディック。
    新聞の懸賞クイズに2年間勝ち続けている男が、日常の存在感に違和感を感じるところから物語が始まる。最初は古いアメリカンファミリーの日常描写かなと思っていたら、段々とSFになっていくあたりの展開がうまいと思った。映画にもしやすいような展開だ。ソ連やら核戦争のことを起こる可能性が高い前提で書かれているところが時代を感じる。ただし古臭い感じはあまりなく、すっきり読めた。
    ブレードランナー原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も読んでみようと思う。

    0
    2016年02月14日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    SF短篇集。
    SFといってイメージするのはスターウォーズのように超越したテクノロジーを使った戦闘などでしたが、この本の短編はいかにもSFな物語というよりは作者の人生観をSFというジャンルで表現しているような印象を受けました。
    宇宙人やタイムマシンが当たり前に出てきますが、それらの登場人物や道具を使って人生の考え方や人の生き方を話に落としこんで、1つ1つの話が教訓や寓話のように生き方の指標を示すような物語になっていると感じました。
    11の短編の中では、タイトルになっている無伴奏ソナタとアグネスとヘクトルの物語が気に入りました。人の幸せや向き不向きについて考えさせられる話が少し寂しげで綺麗な話だと

    0
    2015年03月04日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久しぶりのディック.今は亡きサンリオ文庫から出ていたものらしい.
    ディックお得意の「模造記憶」「泥沼化した戦争」「並行世界(ちょっと違うか?)」がキーワードだが,比較的前期の作品であるために,作者自身がパラノイア化したともいえる後期作品とは異なり,短編の延長のようで読みやすい.
    「なぜ彼らの側についたんだ?彼らは女性や子どもを殺しているんだ−」
    「それは彼らの方が正しいからだ.」
    今の世の中でこんな台詞を読むとゾッとしないでもないが,何が「正しい」かは読んでからのお楽しみ.

    0
    2014年08月24日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    まず、この文庫本の最初に『はじめに---作者への公開書簡---』が置かれています。この文章が書かれた時代のアメリカにおけるSF作品への状況が透けて見えてきます。
    その上でこの短篇集を読むと、なかなかドロッとキテるな、というのが第一印象。『はじめに…』にも書かれている「”本格”SF以外に目を向けようとしない狭い範囲の読者のためだけの作家ではないのだ。」がよくよく分かってきます。
    作者のあとがきにはこう書かれています。
    ---これらの短編すべてで繰り返されているモチーフがある---残酷なまでの苦痛と、グロテスクなまでの醜悪さだ。繰り返しあらわれる主題もある---死の愛好、喜びに対する支払いきれない

    0
    2014年06月22日
  • 時は乱れて

    Posted by ブクログ

    初期の作品ではあるがディックのパラノイアの予兆のようなものを感じる。
    得意の現実崩壊系の作品で、プロットが面白く・破綻も無くしっかりしていて珍しく綺麗にまとまっている。
    良く言えばまとも、悪く言えばディックの良さが足りないかなと言ったところ。

    でもこういう話はすごく好きですw

    0
    2014年02月06日
  • こうしてあなたたちは時間戦争に負ける

    Posted by ブクログ

    書かれた物語を「読む」のではなく、「眺めている」ような、初めての体験だった。読んでいる全てはわからず、言葉と(想像して頭の中で再生できた)映像のコラージュ?スクラップブック?を見ているような……。不思議な作品だった。

    0
    2026年04月18日
  • こうしてあなたたちは時間戦争に負ける

    Posted by ブクログ

    不思議な読書体験だった。
    解説にあったように英語で読む方が良い本らしいのか、日本語では微妙に読みにくかった。

    意外な発見
    PSの次がPPSでその次がPPPS

    0
    2026年03月05日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

    Posted by ブクログ

    ゲド戦記別冊。
    ゲド戦記の作者アーシュラ・K.ル=グウィンの作品解説、エッセイ、講演などが5編、短編が2編、ゲド戦記の翻訳者である清水真砂子さんと作家中島京子さんの解説が2編という構成の短編集。
    岩波少年文庫から出ているのがちょっと驚き。一応ターゲットは少年少女なのか・・・?
    ゲド戦記は昔読んで難しくてよくわからなかったというボーとした記憶がある。
    (たぶん)未読の「アースシーの風」、「ドラゴンフライ アースシーの五つの物語」を読んでみようかな。

    p137
    「第一歩はまず振り返って自分の影についていくこと」

    p139
    「自分自身の影をうまく扱うことを学びさえすれば、この世界のために、なにか

    0
    2025年11月13日
  • 無限病院

    Posted by ブクログ

    とてもテーマと題材が好きでした。
    病院・医療・ディストピア・宇宙など心躍るテーマが盛りだくさんです。

    冒頭の一気に引き込まれる設定に心を掴まれたが、中盤から最後にかけては少し置いてけぼりにされてしまった感覚があります。

    私自身の読解力が欠けていることもありますが、なかなかに難しい内容ではないかと思います。

    0
    2025年11月11日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

    Posted by ブクログ

    短編2編と、講演の内容。
    講演の部分を読んで、ゲド戦記全体の傾向に納得。勇者の物語~ジェンダー、普通のおじさんおばさんになることを選んだゲドとテナー等々。この問題はなかなかスッキリいかない、根が深い。今は大分マシになったとは思うけれど。

    0
    2025年06月24日
  • こうしてあなたたちは時間戦争に負ける

    Posted by ブクログ

    文通百合タイムトラベルSF。うつくしい。仕掛けが凝っている

    主要なSF賞を総なめにしたということで、もうちょっといかにもSFっぽいやつ(ハードSF的な?)かと漠然と思っていたがイメージと違った。でもヒューゴー賞やネビュラ賞ってこういうのが多いような気もする

    0
    2024年07月13日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    さすが古典SF作家の短編集と思わせる一冊!
    作品の多彩さもそうなのですが、最近のSFの傑作たちに通じるアイディアも随所に見られ、普遍的なSFの血脈を感じました。

    もっとも印象的だった短編は表題作の「無伴奏ソナタ」
    音楽を愛した天才が、国家から音楽をはじめ多くのものを奪われていく姿を描いた短編。

    国に逆らうと分かっていながらも音楽を創ろうとする主人公の静かな熱意と過酷な人生に思いをはせるとともに、ラストシーンの素晴らしさが強く印象に残ります。文章が主人公から距離をとった冷静な語り口なのですが、その分深く静かな感動がゆっくりと押し寄せてきました。

    SF作品でありながらもホラーの雰囲気を感じる

    0
    2022年10月18日