山田和子のレビュー一覧

  • 時は乱れて

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    SFマガジンのPKD特集に再度刺激され、ディック祭り継続中。
    57年の「虚空の目」と62年の「高い城の男」の間に位置する作品。何かが違っているように見えるのは自分が狂い始めているのか世界が本物なのか?普通小説にしか見えない出だしから、徐々に不安感が高まって・・・100ページ以内でどちらがおかしいのかがわかってしまうのですが、それは何のため?という謎がじわじわと深まっていくサスペンスは強烈。一気読みです。

    PGMにリゲティを流したところ、すがすがしい秋晴れの中で読んでも不安感MAX。実にディックな日となりました。やっぱりディックすげー。

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    2014年10月19日
  • 幻影の都市

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    詳細はもう覚えていないのですが、もう二度と逢えないと解っていて、ほんの一時しか一緒にいられないと解っていて契りを交わしたその証の結婚指輪を失ったその描写に、泣いた記憶があります。

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    2009年10月04日
  • 太陽の帝国

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    伊藤計劃の「虐殺器官」にて、ジョン・ポールの愛読書としてタイトルが出ていたことから気になって購入。
    ジムが両親とはぐれて、日本軍に投降しようと上海の街を駆け回るあたりから急激に物語がクリアになった感じがして、読み進める手が止まらなくなった。
    序盤の読みにくさは、主人公目線で見る共同租界の奇妙さ+アイデンティティの希薄さによるものかなぁと思っている。

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    2026年06月12日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    ゲド戦記の別冊…どういう内容なのか?
    ゲド戦記の大ファンとして興味しんしんで読み始める。まさに別冊であって、前6冊の後日談的なものではない。大部分を占めるル=グウィンのエッセイに、ゲド戦記全体に対しての作者の思いがよく伝わってきた。最初の3冊を読んだときの感動と、長い時間を経て出版された「帰還」の衝撃。
    別物だ、と感じたのは正しかったのだと思う。
    未発表だった「オドレンの娘」は、ル=グウィンらしさを感じられる作品で、好きだ。

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    2025年07月10日
  • 無限病院

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    嫌いじゃないけど、結局何だって??
    という読後感。
    前半部分のディストピアな感じは、カフカっぽいなぁと思いながら楽しく読んだ。
    地獄の迷路から抜け出たと思った先はまた地獄だった。みたいな終わり方。三部作らしいので、全部読んだら分かるんでしょうか。
    文章は読みやすいし、何より人名に毎回ルビがふってあるのが天才だと思った。

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    2025年05月03日
  • シミュラクラ〔新訳版〕

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    ディックらしい虚実を取り混ぜたストーリー展開や、面白くて笑える場面も多々あって、とても楽しめました。

    しかしながら、ストーリーにいろんな要素を詰め込み過ぎなため、読み終えた後に、その後が気になる人が何人かいて少しモヤモヤした気分が残りましたけどね。

    あらすじ:
    21世紀も半ば過ぎ、世界は二極化されていた。その一方であるヨーロッパ・アメリカ合衆国(USEA)では、ファースト・レディの地位が大統領より高い母権制をとっており、彼女(ニコル・ティポドー)は絶大な権力を持っていた。ある日、マクファーソン法が施行され、一人の精神分析医を除いて診断が禁止され、精神疾患はすべて薬剤治療とするように決まって

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    2025年05月01日
  • 時は乱れて

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    読んでいて『トゥルーマン・ショー』を彷彿とさせるような面白い作品だなと感じた。ありふれた日常の些細な変化や違和感から「何かが変だ!」と勘繰るのが大好きな人にとってはワクワクするという意味でたまらない作品だと思う。

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    2025年03月11日
  • リスボン大地震:世界を変えた巨大災害

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    1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガル首都リスボンを襲った大地震がこの街を一瞬にして壊滅させた。この危機に素早く対応した大臣カルヴァ−リョ、被災者の救援、食糧配布、遺体の処理、治安維持に着手し、新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した歴史ノンフィクション。カトリック教徒世界、オランダのカルヴァン派の説教師たちは、この災厄は、腐敗堕落と罪を流し去って邪なる者たちに改悛の神の裁き。自らの改悟の念で食い尽くされる街は滅び去る運命とし、ファナティズムに火を付ける。

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    2025年02月20日
  • リスボン大地震:世界を変えた巨大災害

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    とても面白かった。日本人としては多大なシンパシーを禁じ得ない、大地震と後続する火災、津波という巨大災害。カトリック教会の影響力が強く合理的精神が根付いていなかった当時のポルトガルで、宰相がどのように復興を指導したのか。またそこに至るまでのポルトガル史や、大航海時代を経てグローバル化の進んだヨーロッパ情勢も含め、とてもわかりやすくまとめられていた。
    災害後、呆然とした国王の「何をどうすればいいのか」という嘆きに、「死者を埋葬し、生者に食糧を配ることです」と宰相が答えたという逸話は、非常に印象的。仕事もこのような明快さ、的確さとリーダーシップで捌いていきたいものだ。

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    2024年12月11日
  • 無限病院

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    読み終わるのに一ヶ月以上かかってしまった…
    「マジックリアリズム医療SF」や三体の劉慈欣のキャッチコピーで手を取ったものの、プロローグでワクワクしたのも束の間、本編に入るとひたすらに迷路のような話を永遠と読まされ(?)、なかなか思うように読み進められなかった…。途中で安部公房の『密会』を読んでしまって、あれこれが答えでは?みたいな気持ちになったのもある。三体は、誰にでも問答無用に勧めていたけれど、こちらは誰にでも勧められる本ではないし、これ第一作か、まだ二作あるのか読めるかなという気持ちも強い笑。

    最後の最後でプロローグに繋がっていくような展開が始まった時からあとはようやくまた読めるようにな

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    2024年12月02日
  • 旱魃世界

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    旱魃世界

    人類の愚かな振舞いにより、海からの水の恵みが途絶えた世界。
    湖は干からび川は流れを止め、生き物は死に向かい、陸地は砂漠化していく。
    人は海水を蒸留して得るわずかな水と引き換えに、愚かにも、更に塩で海を浸食していく。

    連想されるのはマッカーシー「ザ・ロード」でありマルセル・セロー「極北」であり、映画「マッドマックス」や「風の谷のナウシカ」だろうけど、水を求めて南へ向かう姿は、なぜかスタインベック「怒りの葡萄」をイメージしてしまう。

    主人公が「意識の中に携えてきた内なる景観(イナーランドスケープ)の周辺領域を越える旅」とは、なんだったのか……最後まで読んでも捉えることは難しい。

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    2024年02月14日
  • リスボン大地震:世界を変えた巨大災害

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    リスボン地震は18世紀の中頃に発生している。当然ながら、地震そのものはそれまでにも、そのあとにも起こるのだが、リスボン地震は当時のヨーロッパに与えた文明史的な意味において、大きな衝撃を与えている。

    リスボンはポルトガルの首都であり、18世紀に繁栄していたわけだが、地震直前のリスボンにおいては崩壊の兆しがあったという。莫大な富はあるものの、王室が独占し民衆は貧困のなかにあった。そんななかでリスボン地震は起こる。

    リスボン地震の前後のポルトガルを描きながら、当時の宗教観や哲学、地震学の兆し、復興にも触れる。リスボン地震を総括する本としては、とてもよくまとまっていると思う。

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    2024年01月14日
  • 無伴奏ソナタ〔新訳版〕

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    「エンダーのゲーム」が気になって読み始めたが、宇宙を舞台としていないわりと現実に則した短編も多く、読んでいてダレることがなかった。友人や家族との何気ない会話や出来事をきっかけに、これほど多様な物語にまで膨らませて作品に仕上げる作者の力量に驚かされる。「エンダーのゲーム」の長編も読んでみたいと思えた。

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    2023年03月10日
  • 太陽の帝国

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    救われた少年兵の中には新しい生活に馴染めず戦闘に戻っていく子がそれなりにいると聞くけど、その心理ってこういうことなのかもと思ってしまった。ジムは兵士ではなかったけれど親と離れて捕虜として収容されて、戦争の中でできることをなんでもやって生き延びた。幼さも賢さも全部使って適応して本当に想像を絶する。戦勝国の被害者の経験を読む機会は多くないけど戦争ってほんとに誰にとっても平等にひどいものだと思う。いまもあちこちでこんな暴力と残虐性に晒されてる人たちがいることも、私たちに迫ってくるかもしれないことも、本当に辛い。

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    2022年10月23日
  • こうしてあなたたちは時間戦争に負ける

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    レッドとブルーの文通のバリエーションが規格外で面白かった。英語の韻の踏み方や引用の面白さはわからなかった。

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    2021年09月10日
  • こうしてあなたたちは時間戦争に負ける

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    書簡ものは良い。交互にやり取りする手紙に表れる感情の変化が面白いからだ。原文を読めたり引用に関する知識があればより楽しめると思うが、それでなくても十分楽しめた。タイトルの意味が最後にわかって良かった。

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    2021年07月22日
  • シミュラクラ〔新訳版〕

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    タイムトラベルとパラレルワールドをはじめとして、模造人間(シミュラクラ)、小型宇宙船、火星移住、架空歴史、管理社会、ミュータント、超能力、未来戦争、などなど、SFガジェットてんこ盛りの長編。数十人の登場人物に、主人公級の人物が何人もいて、それぞれに絡み合いながらプロットが駆動していく。要素が多すぎて目が回る上に、物語がどこに向かっているのか戸惑ってしまうが、その中でもディック作品共通のテーマ性は感じられ、キャラクターに魅力もありテンポも良いので、面白く一気に読み進めることができた。終盤のたたみかけるような展開にもワクワクしたものの、まとまらずに突き放されるので読後感はややモヤモヤ。ここから想像

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    2021年03月16日
  • シミュラクラ〔新訳版〕

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    ネタバレ

    フィリップ・K・ディック作品!
    ジャケ買いではなく、シミュラクラという響きを聞いたことあったからのタイトル買い。

    途中じゃん!?って感じで終わった。

    登場人物が多すぎて全然把握できない。
    そもそもストーリーも把握しにくい。それがディック流っぽくはあるが。
    半分くらい読み進めてようやくなんとかわかってきた、気がしてくるという感じだった。

    ある意味地味なブレードランナーって感じかもしれない。
    そもそも、シミュラクラそのものが全然出てこない。
    映像で見てもたぶん理解できないと思う。

    が、おもしろくなくはなかった。不思議。

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    2020年12月21日
  • 遠隔機動歩兵 -ティン・メン-

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    #日本SF読者クラブ 現在の世界情勢を反映した近未来(?)が舞台で、遠隔操作型ロボット兵器が登場する。映画的な面白さがあるが、映像化は無理だろう。「宇宙の戦士」を映画化した時は、登場人物にパワードスーツを着せなかった。皆同じ姿形になって、見た目で区別できないから。スターウォーズのストームトルーパーを思い浮かべれば、理解できるだろう。ティン・メン(遠隔機動歩兵)の姿だからこそ、物語として成り立つ。話としては、少々暗いかな。
     自律型ドローン兵器が登場してきても、やはり引き金を引くのは人間じゃないとだめという考えが根底にある。確かに、ターミネーターができたら怖い。

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    2019年11月30日
  • シミュラクラ〔新訳版〕

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    評価4にしたけど、これ傑作じゃないかな?念動力、時間移動、ガジェット、火星、異星生物…登場人物が多いのでメモを取ったほうがいいかも。

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    2019年02月28日