吉本佳生のレビュー一覧
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2007年、当時の新鋭エコノミストによる市場経済における価格決定のノウハウ本。当時はその斬新でインパクトのあるタイトルでかなりのブームを巻き起こしていたことを覚えている。そのムーブメントに乗った読者の一人として、再読。
なぜ、スタバでショート(Sサイズ)ではなく、グランデ(Lサイズ)を選ぶべきなのか。量は倍だが、価格差はそれほどではない。そして、店側の材料費、労力負担はどちらのサイズもほぼ同じ。社会全体の経済利益を考えれば、客も店もグランデを選ぶことが幸せだ。という結論。
これって、最近のダダ下がりする日本のGDPを回復させる一つのアイデアでは。日本人はスタバでショートしか飲まなくなってしまった。
本書はさらに、コンビニとスーパーでの飲料格差、百均の低価格ノウハウ、子供の医療費無料化などなど、モノやサービスの価格がどのように決まり、消費者はどのように動くのかをわかりやすく解説。ベテラン企業人であれば、知っておくべき常識であり、これから経済を学ぼうとする学生には、よい教科書。
また、バブル崩壊後、iPhone上陸前、日本の元気がなくなりはじめた頃の市場を振り返ることができる「昔はヨカッタ本」。 -
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ビットコイン=仮想通貨と聞いて反応はいくつかに分かれるだろう。
①損した!二度とかかわりたくない。
②興味はあるけどなかなか手が出せない。
③単語は聞いたことがあるけど、ちんぷんかんぷん。
本書は、②③の方が読むと非常に参考になるのではないかと思う。
ビットコインとは、元々中本哲史と名乗る人物が論文を書き、生まれた仕組みだ。中本論文を読んだ技術者達が作り出したのが現在のシステムとなっている。
特に2014年マウントゴックスという取引所の破綻によって、一気に知名度が上がったが、実は、ビットコインの詳細を知るものはあまりいないというのが、今も続いている実態ではないだろうか。
この本は、二人の共作だが、吉本氏は銀行実務にも明るく、西田氏はITに関するエキスパート。つまり二人の専門家が手を組みビットコインについて語っているのが本作である。
ビットコインの是非については、最終的には個々人が判断すべき問題だと思うが、なぜ生まれ、どのように進化していくのかについては、知っておくべきであると、読後に思いを新たにした。
世界の国々が仮想通貨の規制に走っている昨今であるが、その国々の通貨がそもそも信頼に値するのか、そのあたりの分析もされているので、「現代貨幣論」といってよい1冊である。
話は少し飛躍するが、アメリカ人は資産を株で保有することが多い国民らしい。
日本人もそろそろ銀行に全幅の信頼を寄せることを見直したほうが良いのではないか?
低中流層にとっては、銀行は既に「コインロッカー」化していると感じる。
ビットコイン(仮想通貨)について理解を深めていくことは、今後の資産運用をどうしていくのか、資産形成をどうしていくのかを考える上で、重要なヒントを与えてくれるに違いない。
その後方支援をしてくれる1冊である。 -
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201402/
これから10年とか20年とかで、確実に急成長する消費市場があります。「高齢女性の消費市場」です。/
日本全体では人口が急激に減る、これから20年間で、逆にどんどん人口が増えるのは、80歳以上の高齢者-しかも80歳以上の”高齢女性”です。もちろん、高齢男性も増えるのですが、ここでは増加率よりも増加人数が大切です。日本経済全体での消費市場の牽引役を探しているからです。/
高齢者は消費にかなり積極的で、そのいちばんの理由は負債残高が少ないことでした。それでも、高齢者は消費にあまりおカネを使っていないと思い込んでいる人がたくさんいます。明らかにまちがっているのですが、ついまちがってしまう理由はなんでしょうか。ひとつには、しっかりデータで確認していないからです。(中略)もうひとつの理由は、趣味や娯楽の種類がかぎられやすいことにあると、筆者は想像します。/
高齢女性の消費は、非正規雇用で働く若い女性の賃金を高めるような消費増加につながりやすいと考えます。若い女性はサービス業で働いていることが多く、高齢女性はサービスの消費を増やしやすいからです。/
2012年から20年後を考えると、いまの50~54歳の学歴-短大・高専以上が45%、大学卒以上が14%-が、20年後の70~74歳の学歴になります。この20年のあいだで、どちらの学歴比率も4倍超の上昇が置きます。10年間で2倍超のペースでの変化が20年間続くということです。/
日本の高齢女性は、ものすごいスピードで高学歴化します。そして、女性の高学歴化が、幅広いスポーツや、幅広い趣味・娯楽などの消費行動を大幅に増やす効果を考えると、”高齢女性の消費力”は急ピッチで高まると予想されます。/
高齢女性の消費にこそ期待すべき理由/
1.日本では高齢女性の人口が増える(他方で、日本全体の人口は減る)
2.高齢者は女性のほうが多く、55歳ぐらいを境に女性比率はどんどん高まる
3.海外の先進国でも発展途上国でも、高齢化は進む(先進国のほうが先に高齢化)
4.高齢女性は急速に高学歴化し、多趣味になって、消費が伸びやすくなる
5.年金生活者は時間に余裕があり、ひとつの趣味の消費量を中年より増やしやすい
6.女性のほうが、友人とネットワークを広げながら消費をおこなうのが上手
7.高齢者は大きな負債残高を抱える人が少ないため、消費性向を高くしやすい
8.家計貯蓄残高の大部分は高齢者が保有しており、使わずに死亡することも多い
9.高齢者の消費市場が急速に拡大すれば、高齢女性の雇用も増えやすい
10.高齢所勤労者世帯は、もともと平均消費性向がかなり濃い
11.イノベーションの浸透がゆっくりになりやすい/ -
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給与所得者でこのタイトルに反対する人は・・・まあいないよねw。
橘玲氏ブログからリファレンス。
タイトルは一旦置いて、では誰の賃金を上げるのか。本書では「女・小・非正規・短」がキーワードとなる賃金所得者をターゲットとしている。こうしたターゲットがマーケットとなる労働需給の充実こそ、賃金格差・少子化・高齢層の消費を同時に実現するとしている。
いまの日本では「年2%のインフレ率」という政策が、好むと好まざるに関わらず教育関係費を押し上げ、結果的に「子供なんて産むな、育てるな」という効果をもたらすという点、政策評価に対する新たな指標を得られました。 -
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■世界金融
A.借金大国の中でも、アメリカ・イギリス・フランスの対外的な借金があまり心配されないのには、共通の理由がある。
3カ国とも、対外純資産残高のマイナスが金利負担につながってい。
海外に支払う金利や配当より、海外から受け取る金利や配当のほうが多い。
B.ストックの借金残高だけをみて論じると、まちがったイメージをもってしまいやすく、複眼思考で、フローの金利の受取・支払もあわせてみるべきです。
C.貸借をみれば、日本は世界一の対外純資産高を誇っている。
D.世界の経営収支を全て足せば、ゼロになる。だか大国は自国の収支だけをみてはいけない。 -
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・超良書。
・資期間が長くなる程、リスクは増える。つまり、短期投資より長期投資の方がリスクは高い。という長期投資にとっては耳が痛い話。
→山崎元氏の主張と同じだけれど、こちらの本の方が、更に細かく説明しているので、納得感はより高いと思う。
・短期投資はリスクが低いから(当然)リターンも低い。その低いリターンを補う為に、高レバレッジの取引をする人が多い。
→つまり、短期投資の方が長期投資より危険度が高く見えるのは、レバレッジを掛けて取引をしているから。もし同じ商品(個別株、インデックス、FX)なら、短期間保有する方が、長期間保有するよりも資産価格の変動幅は少ない。(これは感覚的にも納得できると思う)
・リターンを投資期間で割って年率表示すると、長期ほどリスクが減るように見えるが、これは年率表示というトリックが引き起こした錯覚。
例えば「100年をかけて元本を全て失っても、-100%という損失率を100年で割れば、年率1%の損失でしか無いから、ほとんどリスクが無い(だけど何故か、全額を失っている)」という無意味な主張が出来てしまう。
【複利効果】
・上昇が続くと増加幅がどんどん大きくなる
例)40%ずつの上昇
100→140(+40)→196(+56)→274(+78)
・下落が続くとマイナス幅がどんどん小さくなる
例)40%ずつの下落
100→60→36→22
→株価がマイナスになることはない。下落が続くときには、複利効果がクッションのような機能を果
たす。
・40%ずつの上昇と下落を交互に繰り返すと、140、84、118、……で、明らかに下落傾向をもちながら価格が上下する。
「前の価格×(1+40%)」と「前の価格×(1−40%)」を繰り返しているから、40%のところを「a(1 > a > 0)」として、上昇・下落の1セットの変化を一般化すると、
当初価格×(1 + a)×(1 - a) = 当初価格×(1 - a^2)
「a^2」は必ずプラス、したがって「(1 - a^2)」は必ず1より小さくなる。同じ%ずつの上昇と下落を単純に繰り返すと、どんどん価格が下がっていく。また、ボラティリティが高いほど「a^2」は大きくなるから、この効果は強くなる。
→俗にいう「ボラティリティはリターンを蝕む」という話。
【VaRによるリスク管理】
・VaRによるリスク管理では、確率分布の形が重要だが、ずっと以前から「正規分布に比べて、両端付近の確率がずっと高い形をしている」と言われていた。いわゆるファットテール。これについては、正規分布ではなく、べき乗分布を使えば解決できる、という人もいる。
→タレブが指摘する前から同じ事をいう人がいたんだねー
・統計学の話としてはそれでも良いが、VaRを無視するような巨大損失(大暴落)がときどき生じる理由は、確率分布の形状とは別の所にも理由がある。
想定最大損失をきちんと計算し、その範囲内で損失を抑えようとしても、実際に損失をそこまでで抑えるには、資産を売却しで損切り”をしなければならない。しかし、想定最大損失に近づいたところで、みんなが資産を投げ売りすると、資産価格の暴落が加速される。
→結局、リスク管理の徹底が、想定最大損失を超える損失を生じやすくするという皮肉な構造に。(単に確率分布の形を工夫すれば良いという単純な話ではない)
【モンテカルロ法】
・モンテカルロ法では、使用するボラティリティによってシミュレーション結果が大きく変わる。つまり恣意的に結果を変えられる。
→ボラティリティをどんな計算で求めているかがポイントになる。
金融機関は、極めて短期間のボラティリティを使用する傾向がある。(自分達に都合の良い結果を出すため?)
→いくら途中の計算方法が緻密でも、入り口のデータが歪んでいたら、結果が歪むのは当然。(ゴミをインプットしたら、ゴミがアウトプットされる)
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価格が決められる背景が詳細に書かれている。
購入する際の手間など、目に見えない取引コストを加味することで、価格が高くても購入してしまう、消費者の非合理的な消費行動が理解できる。
生産にかかるコストは、原材料よりも労働(人件費)にかかるものが大きい。スタバでも、SサイズとGサイズの価格差がわずか100円であるのも、コーヒー豆など原料コストが占める割合は小さいことを意味する。むしろ、待機しているスタッフの人件費が大きいため、カフェでは何とかして客単価をあげようとする。単価の高いGサイズは店にとっても利益幅が大きく、また客にとっても量が多い利点がある。Gサイズは、店、客双方にとって旨みがある。
携帯の複雑な料金体系は、消費者が内容を理解できるか試されていると考えるべき。消費者自らが自分に最適な料金プランを考え変更していかなければ、携帯会社による価格差別の餌食となる。
こども医療費無償化は、働いている母親には実は見えない負担となる。時間に余裕のなる専業主婦と比べた際、目に見えないコストの差別が生まれるため。上辺のメリットに躍らされてはいけない。 -
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クリス・アンダーソンの『フリー』を、日本国内の状況に落とし込んだ新書。身近な例から、現在花盛りの「無料ビジネス」がどのような戦略で行われているのかを概説している。
基本的に無料ビジネスは「損して得取れ」か、「あるものを売ることで、別のものを提供する」かのどちらかだと思うけれども、それを的確に分類してあてはめていくところは面白く読めた。この本の良いところは、「無料ビジネス」としての戦略が上手くいっているところと、上手くいっていないところを論じている点にあると思う。
結論から言うと、「無料ビジネス」という概念は最近名付けられたけれども、そこで行われていることは昔から脈々と続いているということ。でも、なんの疑問もなくしていることを、理論的に研究することで定量的な効果を推し量ることができるのだと思う。
私が思うに、今の企業ビジネスは「一円でも損が出来ないビジネス」が主流なので、無料ビジネスの考え方が周知されれば柔軟なビジネス環境ができるのではないだろうか?