森泉岳土のレビュー一覧
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少女終末旅行+AIの遺電子。≪けれども、建立すべき大聖堂を心の内に宿している人は、すでに勝利者なのだ。≫ ≪私たちは不連続な存在であって、理解しがたい出来事のなかで孤独に死んでゆく個体なのだ。≫ ≪十三、四になると、教養への憧れから夏目漱石を手にしたのだが、読んでみたところ驚いてひっくり返ってしまった。オチがなかったからだ。…文学の目的のひとつは、そんなやり場のない感情を日常に持ち帰り携えていくところにある。≫ ≪わたしたちの求めるのは真の答えではない。われわれの探す迷子の羊は真の問いだ。羊の体のあとにしっぽがついてくるように、真の問いには答えがついてくる。≫
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本編を読んでいないのだけど、そういう意味では導入になりそうな気も。
読みかけの本をあれこれ読みおえたらチャレンジしてみようかなという気にさせられた。
SFセミナー(2025/5/4)の講演で、森泉さん、ハヤカワの編集の人に「うちのラインナップで何かコミカライズしたい作品はありませんか」と聞かれて「ソラリスやりたいです」と答えたら「ええっ?!」とのけぞられたという話をしてた(笑)。たしかにすごいチャレンジだけど、作画にとりかかるまえに物語全体をまとめて視覚的なメモをつくったときの作業を画像で紹介してくれていて、それを終えた段階で7割ぐらいは描きあがったも同然、というのがまたすごかった。 -
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下巻では、引き続き酉島伝法タッチのキャラクターが随所に出現する。3人の乗組員はそれぞれ秘密を隠しながら照射実験の打ち合わせを続ける。一方、形成物であるハリーは、人間と紛うことなき心を持つようになり絶望感で液体酸素自殺未遂まで起こすことで自分の正体を知ることになる。そしてスナウトによりハリーは消え去ってしまう。コミックスのラストシーンは少し中途半端。何かのメッセージを以って締め括って欲しかった。原作に忠実という意図は理解できるが、少しぐらい自由度を上げても良いのではなかろうか。p149~p153の空白、要りますか?
今回あらためて、1961年に書かれた「ソラリスの陽のもとに」、1972年に映画 -
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SFマガジンに本作品の第1話(冒頭部分?)が掲載された時に、このコミックスが今後連載されるのかと思ったが、そうはならなかった。少々残念な気持ちのままその時は諦めたが、今回単行本2冊という形態をとって出版された。最初はネットでしか見られないという先入観もあったので、この快挙に(大げさかな)年甲斐もなく興奮してしまった。書店でも結構な冊数が出ていたので、販売元もかなり気合が入っているのではないだろうか。
ソラリスというと真っ先に思い浮かぶのは映画「惑星ソラリス」。タルコフスキー監督によるこの作品は今までに何回も観てきた。ストーリーが解っていても何回観ても飽きない。未来の交通網「首都高」、驚きのラ -
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ネタバレタイトルが「佐々々奈々の究明」とあるにもかかわらず、妹である流々が動いて事件の情報を集めるところに若干違和感があったが、読んでいくうちに『安楽椅子探偵』という言葉がシックリと来る作品であった。
トリックに関しては他作品で使い込まれている内容で派手さに欠けるのと、事件を説明するあまり、遊びのコマが少ない印象があるが、事件関係者(主人公姉妹含む)の人間関係の歪さとやり取りが見所。
事件をきっかけに奈々と流々が普通の姉妹に戻っていこうとする様子や一部の事件関係者達が和解していく終わり方に光が見えた。
機会があったらこの姉妹の活躍をまた読みたい。 -