矢沢聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレずっと手にしようとしていたものが、寒々しくて無価値なものであったと理解し始めた瞬間。そこにゾッとする。ある瞬間をきっかけに、少しずつ自分の中の歪んだ欲望が大きくなっていく過程は、誰にでも起こりうるのではないかと思うと、それも怖い。エリーとの穏やかな日々を自分の手で壊さずにはいられなかったのは、「終わりなき夜に生まれついた人間」の性なのでしょうか。
読み返していると、マイクは無意識に、エリーのことをかなり愛していたと感じた。グレタという存在と計画実行のための歪んだ欲に覆われて、穏やかな幸せに自ら蓋をした。全て終わってから、その構図をマイク自ら理解した。後悔というよりも、冷静な理解に近いのかな。マイクがまだそんなに深く面食らってない感じが逆に怖い。
エリーは最初から気づいていたのか、途中から気づいたのか。どちらにしても。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルがとても美しい。
原題のEndless Nightを直訳するのではなく
元の、詩“Some are born to sweet delight,Some are born to Endless night.”から取った意味を
尊重して訳されているのが素敵だと思う。
違和感がずっとあって、普通こんなケチがついたら
どんなに気に入ってもその場所に住みたくないだろうに
固執してしまうところまで含めて『呪い』なのかな
と思いながら読んでいたが
怖いのはそこではなかった。
オチが想像できたというレビューも見かけた。
現代でこそ珍しくないカラクリかもしれないが
これを1967年に執筆したというのは凄いのでは。
丘などの場所設定も妖しく美しく破滅的だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公が一人称ですべてを語るとき、
読者は感情移入がしやすく、
自然と主人公側に立って物語を俯瞰し、
一緒に物語の旅をすることになる。
でも、それがクリスティーの手にかかると、
この一人称も読者を欺く手段となる。
普通に考えれば、あり得ない。
転職を重ね、これと言った取り柄もない貧乏人の青年マイクと、
アメリカの大富豪の娘エリー。
このあまりにも育ちが違う二人が一緒になり、
ロマンスとして描かれる。
まるで「ローマの休日」のように。
途中、暴力や殺人、それにつながる憎しみ等の描写は描かれないが、
ラストになって押し寄せる欲望、殺人はこれまでのロマンスとして
描かれたものを一気に破壊し、マイクの人格も破壊していく。
終わりなき夜に生まれついた人間の悲劇。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家ミック・フィンレーの長篇ミステリ作品『探偵アローウッド 路地裏の依頼人(原題:Arrowood)』を読みました。
イギリスの作家の作品が続いています。
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「ホームズ1人が探偵じゃない」1895年ロンドン。
脚光を浴びるシャーロック・ホームズの陰に、ある中年探偵がいた──。
時は1895年。
世間が名探偵シャーロック・ホームズの活躍に沸く中、苦虫を噛み潰す男がいた──彼の名はアローウッド。
ホームズと同じ私立探偵だが、残念ながら回ってくるのはホームズには頼めないような曰わくつきの依頼ばかり。
助手のバーネットも機嫌の悪いボスにやきもきする日々だったが、ある日美しきフランス人女性が「兄が失踪した」と助けを求めてくる。
それは最悪な殺人事件の始まりで──。
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2017年(平成29年)に発表された探偵アローウッドシリーズの第1作にあたる作品です。
1895年のロンドン、私立探偵ウィリアム・アローウッドは美しいフランス人女性カロリーヌ・クチュールから失踪した兄ティエリーの捜索を依頼される… ティエリーは<牛樽亭>の従業員であったが、その経営者はサウス・ロンドンで最も危険な男スタンリー・クリーム、、、
アローウッドらは過去にクリームから手痛い暴力を受けており、顔を会わせれば命の保障がないことは重々承知しているが、依頼を引き受け、助手のノーマン・バーネットやマフィン売りの少年ネディ等とともに秘かに<牛樽亭>の従業員に接触を図る… 名探偵シャーロック・ホームズと同時代、ホームズの影に隠れ地味に活躍した探偵たちの冒険譚……。
ホームズへの対抗意識をむき出しにする探偵アローウッドのダメキャラ振りや、助手バーネットの堅実な活躍、ベイカー・ストリート遊撃隊のような活躍をするネディ等のキャラクタや19世紀末のロンドンの不衛生で無秩序な街の描写が印象的な作品でしたね… 謎解き要素は少なく、アイルランド独立運動を巡るスリラーとして愉しんだ感じかな、、、
イギリスでは続篇が刊行されているようなんですねー ぜひ翻訳してほしいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ実はマイケルはグレタと手を組んでエリーを殺害した犯人。莫大な遺産を受け継ぐのが狙いだった。果てなき欲望がもたらした殺人。けれどもエリーとの日々が一番幸せな時間だったと気づく。グレタも殺し、ただ自分は「終わりなき夜」にいる…と発狂したように囁き、この文章を供述書のかわりに書いた、という設定。
マイケルの独白という体なのに叙述トリックなのはどうなんだ? マイケルが読者を想定してわざわざエリー殺害の意図を隠していたのか、それともエリーとの幸せな日々を振り返るのに殺人の計画を思い出したくなかったからなのか。
全編マイケルの口を借りたせいか空想のような不安定で地に足ついていない語り口である。アガサ・クリスティ全作品に似たような傾向はある。
やけにマイケルがナルシストなのは、自分(=作者が)が死んでも相手の中で一生心に残る最後の人間になりたかった、というような願望からマイケルを魅力ある人間として書いてる気がする。私は読んでていけ好かない人物だと感じたが。