矢沢聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クリスティのデビュー作ということである程度の粗削りな部分は覚悟していたが、読み始めてみると驚いたことに全くそれがない。
クリスティ作品らしいなあという要素は既に完成された状態で組み込まれているのがすごい。
主人公のヘイスティングズは美人がいるとすぐ惚れたり、その美人に相手がいると分かると途端に機嫌が悪くなったり、ポアロとのやり取りの中でもすぐ調子に乗ったり機嫌が悪くなったり、要するにいい人過ぎない等身大の人物なのが面白い。
クリスティはなんでこんなに男性の気持ちを理解し表現できるのか。
ポアロはポアロで嫌われてもおかしくないような言動をさせつつ、謎が解けた喜びで庭を走り回るようなかわいい側面を -
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Posted by ブクログ
章が切り替わるごとに新たな謎が見つかり、ひとつ解決したと思いきや、それが間違っていたことが後々判明したりと、どんどん事件が深まり、謎が増えていくので読み始めると止まらなくなりました。
ポアロの真相解明のシーンでは、どんでん返しを2回3回くらったような気持ちでした。
ヘイスティングスから見たポアロの人物像が、確かな才能があり尊敬する偉大な人物として認めているものの、変わり者で自信過剰な部分には、明らかに嫌悪感を持っている様子というのがはっきりと描かれていて、それがまたポアロと、ひいてはヘイスティングスへの親しみやすさを強めている感じがして、より愛着を感じました。 -
Posted by ブクログ
「信頼できない語り手」のタイプの小説。読みはじめてすぐに、これは自分が好きな小説だと分かった。
クリスティの小説のおすすめとしてよくタイトルを見かけていたが、期待以上だった。
まだクリスティの小説を読んだことがないというひとはぜひ読んでみて。
ところどころで、「ん?」と違和感がでてくるのだけど、すぐにもとの話の調子にもどってしまう。なんか変だぞと怪しみながらも、なにを意味しているのかよく分からないといったバランスになっている。
読みおわったあと、全ての事実を知った状態で、もういちど最初のページから読みなおしたくなった。
作中で事件や殺人も起こるので、犯人は誰なのか考えながら読んだ。最後に事 -
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Posted by ブクログ
【ノンシリーズ】
攻略本でベスト3位、クリスティー自身が選ぶベスト10の中にも入っている作品。
これはもう読むしかない。
ポアロは出てこない「ノンシリーズ長編」
◆あらすじ
呪われた「ジプシーが丘」。
貧しい青年は大富豪の娘と結婚し、呪いの噂のある屋敷で結婚生活をはじめるが…。
なかなか事件が起きないので、何のジャンルなのかさえわからないまま進む。
もしかしてこれは『春にして君を離れ』みたいな感じかな?と思ったら急展開。
そこからはすごいミステリーだった。面白い!
まさに「クリスティの総決算」だった。
読んだ後にもう一度最初の方から確かめたくなる。今までで1番怖かった。 -
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Posted by ブクログ
恐れ入った。最後までジャンル未分類のまま作品が進む。何を読んでいるのかよくわからない。ただし先が気になる、面白い。
私のごくごく個人的な心情として「推理小説・ミステリー・サスペンスは読まない」というのがある。何故ならそういった類のものは「物語が始まる前から人が死ぬことが知らされてるようなもん」だから。展開上人が死ぬのは良い(よくない)としても、死が織り込み済みだと面白くないと思ってしまうから。だから、今回は前情報なしにクリスティの二冊目に手を出した。『春にして君を離れ』の感覚で。
感情が揺さぶられるということは無かったが、冷静な感動があった。初めての感覚。 -
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Posted by ブクログ
沈黙こそ生産的議論が必要とするプロセスなのだという点、よく腹に落としてくれた一冊。
後半ではドラッガーの思想に触れ「あなたは、どういう人物として記憶されたいですか」という問い、即ち「ミッション」を探るためにこそ質問が必要であるとしている展開は白眉。
七つの習慣で、コヴィー博士が引用している「黙りなさい、さもないとあなたの舌が耳を塞ぐ」というネイティブアメリカンの格言をより具体的に理解させ、良い質問は、沈黙を生みミッションの輪郭を相手に示させる。そして、本質的なコミュニケーションの基礎を築くということを明らかにしてくれた一冊だと感じました。 -
Posted by ブクログ
・それから訊いてみた。「この買収はどういう点でライフ・ヘルスのミッション・ステートメントを実現する事になるのですか?基本理念に関してはいかがです?」
「それは」リックは口を開いたが、あとが続かなかった。
「私はただ」彼はまた言った。「攻めに出るいいチャンスだと思っただけなんだ。思い立ったら突き進むタイプだから」
私ははっとした。「ただ…だけだ」と聞くと、反射的に頭の中でアラートが鳴るのだ(「自分の中だけで完結している人間は器が小さい」というハリー・エマソン・フォスディックの名言を思い出した)。
「どうですか、リック、ミッション・ステートメントのどこに聖フランシス病院の心臓外科を乗っ取るのが基本