美奈川護のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
望まぬ配属先であるプラネタリウムの解説員になった新卒のお話
離島で育った渡久地昴は地元に後ろめたい想いがあり、高校卒業後は一度も実家に帰ることもなく就職した
新卒研修を終えて発表された配属先は渋谷のプラネタリウム施設
望んでもいない初めての仕事をする昴は、「人は何のために星を見るのか?」という問いを通じて自らの過去と向き合う事になる
プラネタリウムの職員のキャラが濃い……
面接で昴の出身地に目をつけ、プラネタリウムに引き込んだ、星柄のネクタイをしている館長の賀陽
普段から感情に乏しい様子で、解説のときは能面のような表情で溌剌と流暢に話す、星の魔女と陰で言われている望月彗子
プログラマで厨二病ロッカーの土崎
「漆黒のフォーマルハウト」「隻翼のベテルギウス」というネーミングはとても痛々しいけどビジュアル系ド真ん中なんだろうか?
赤門の大学を退学した宇宙バカでギャルな金原ひかり
他の主な登場人物としては
プラネタリウムに一人で何度も来ている小学生の翔
特定の夏の星座にこだわる音楽プロデューサーの浅海イチタカ
肉眼では見えない十等星をプラネタリウムで見れないかという相談をしてきた看護師の柏木明美
昴が子供の頃にお互いに約束をした速水天音
夏と秋の話でちょっとうるっときた
まずは、春のエピソード
星座の数が88個というのは知らなかった
というか、有名なのが88個であって、もっとマイナなのが他にもあると思ってた
あと、日本で見られない星座が4個しかないというのも驚き
逆に、南半球では見られない星座の数はどうなんだろ?
星座なんて、昔のヨーロッパあたりが起源なので、北半球の高緯度の中天あたりの星は見えないのが多そうな気がする
銀河鉄道の夜が、実際の夏の星座の通りというのは知っていた
アンタレスの話も
それらを組み合わせて、自己犠牲と人の幸せというテーマにしたのはズルい
こんなん泣けちゃうに決まってるじゃん
魚座の傍の旦那さんの名前がついた十等星の意味
柏木さんはネガティブな理由と言っていたけど、確かにネガティブな要素はあるものの、結局はポジティブな要素と受け取れる
母子の傍に寄り添う、ねぇ……
冬は自分の過去との決着
まぁ、プロローグの前振りと途中の展開からこうなるのは予定調和ですかね
冒頭の言葉
星が生まれる場所を知っているか――それは星の魔女の指先からだ
というのが、配属されたプラネタリウムのことだけではないような意味で示唆されているファンタジー要素は好き
本当に、この宇宙も高位の次元のシミュレーションである可能性は否定できないですしね
「人は何のために星を見るのか?」という問いの答えは人それぞれの理由があって面白かった
個人的には、最初に自分で考えた答えが天音の理由と同じだったので、オチとしては弱く思った
何を当たり前の事をと言った感じ
ってか、夜空って自然と見上げるものじゃないんですかね?
私は仕事帰りに、今日は満月かな?とか、月がものすごい細いなぁとか思いながら空を見上げて、ついでに他の星も見ますけどね
世間一般の人はそんなに夜空を見ないものなのか?
あと、おばあちゃんの言葉も、最初に知ったときにも昴が感じたような意味で言ったんじゃないと思った
昴は自分の地元が寂れていくことの意味をわかっていない
自然が残ったところで、人がいなくなれば故郷はなくなるんだよね
星降村のモデルは福岡の星野村でしょうか
標高が高くて、人口も少ないので光害の影響が少なく、それでいてアクセスもしやすいんだっけか?
あと、コズミックホール渋谷のモデルは五島プラネタリウムかな
もう閉館してしまったけどね
ちょっと調べたら、今も渋谷にコスモプラネタリウム渋谷というプラネタリウムがあるみたい
だけど、カール・ツァイスⅣ型投影機という共通点から推測するに、やはりモデルは五島プラネタリウムでしょう
カール・ツァイスⅣ型投影機は名古屋市科学館でも使われていたものだし、見たことがあるので若干の親近感
今はこの作中と同じように、光学式のカール・ツァイスⅨ型とデジタル方式の併用になり
カール・ツァイスⅣ型は常設展示されていた気がする
プラネタリウムや星空をテーマにした作品といえば
小説なら、瀬名秀明「虹の天象儀」
マンガなら、小池田マヤ「すぎなレボリューション」
アニメなら、「恋する小惑星」(これも原作は4コママンガだけど、アニメの方が有名か?)
を思い浮かべる
「虹の天象儀」は舞台が五島プラネタリウムだし、カール・ツァイスⅣ型投影機も登場するし
今作では天象儀をタイムマシンのように表現していたけど、実際にタイムスリップする物語だったりする
あと、未来の天象儀も登場してて、今のデジタル方式っぽい事も表現してたなぁ
今作でも流星群についての言及があったけど、プログラムにないだけであって、その辺のプログラムを作れば再現ではないだろうけど擬似的な現象は表現できるんじゃないですかね?
うーん、時代は移り変わり、技術は進歩してるんだなぁと思う -
Posted by ブクログ
評価:☆5
上司を殴って一流商社を辞めた元OL陶子が再就職したところはバイク便運営会社。そこで陶子は長距離の荷物を手持ちで運ぶ「ハンドキャリー便」担当として働き始めるという話。
交通機関も使うが基本的には走りまくりで、1分1秒でも早くお客様に届けるというのがまず面白いw
というか陶子の性格が面白いwwまんまと社長に乗せられてるしw他のキャラも個性的でしたね。
そしてネタかと思いきや割としっかりと仕事してるのはポイント高し。
そして陶子が作中で身につける能力「その荷物が本当にあるべきところに一瞬で届ける」というもの。
がっつりファンタジー要素を入れるのは思い切ったなぁと思いましたが、"荷物に込められた想い"がきっちりとシナリオ展開に生かされてて面白かったですね。
社長と会社にまつわる話が徐々に明かされていくものだから、どんどん引き込まれていった。この辺の人間ドラマの作り方は流石。
お仕事系要素と突っ走る爽やかさと事件のほろ苦さ・温かさが混じった不思議な味わいの一冊でした。
読後感が凄く良かったが故に続編がどうなるのかちょっと心配w
「……だって私は、ライダーだから」
「荷物を届けただけです。誰かが待っている、荷物を」 -
Posted by ブクログ
音楽の話か、面白そう!と思って買ったはいいものの、一年ぐらい放置してしまっていた作品。
読み終わって、思わず「はぁ!」と感嘆の息をもらしてしまいました。後味がとても良い!文章も読みやすいですし、最後の章は本当に、オーケストラの演奏を聴いているようでした。
そして、オーケストラのメンバーが商店街の人たちなので、クラシック特有の堅苦しさやこ洒落た感じが一切ない。音の表現もわかりやすく親しみを感じることが出来ました。
うん、やっぱ商店街っていいですね。この商店街に住む人たちと家族になりたいという響介の気持ちがよくわかります。
続編も読みたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆5
音大を出たけれど音楽で食べる当てのないヴァイオリニストの青年・響介。叔父の伝手で行き着いた先は竜が破壊の限りを尽くした―と思える程に何もない町、竜ヶ坂の商店街の有志で構成されたアマチュアオーケストラだった。個性的な面子で構成されたそのアマオケを仕切るボスは、車椅子に乗った男勝りの若い女性、七緒。彼女はオケが抱えている無理難題を、半ば強引に響介へ押し付けてきて―!?竜ヶ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』を舞台に贈る、音楽とそれを愛する人々の物語。 (転載)
商店街の人達がみな温かく、やりとりが微笑ましい。
オーケストラのメンバーが抱えている問題を音楽と絡めて解決するシーンはどれも胸が温かくなった。
物語が進んでいくにつれて七緒についての謎が明かされていくのでどんどん読み進めたくなってしまう。
七緒やゆかりたちのドラマもかなり良く出来ていて入り込んでしまったし、どれだけの障害があっても音楽をやりたいんだという七緒の情熱には胸が熱くなってしまった。
そして何と言っても演奏シーンの描写ですね!
読んでると本当に音が聞こえてくる。
ラストの演奏はこっちまで手に汗握って、興奮して、感動した。
ド派手なキャラや展開があるわけではない。でも音楽への愛と人の温かさを確かに感じるとても良い小説でした。
「……俺も、なれるでしょうか」
「皆さんの家族に、なれるでしょうか」 -
Posted by ブクログ
「お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない」
そう父から言われ、コンマスを務める主人公の竜ケ坂オーケストラ(通称ドラフィル)はかき乱れる。
そんな中指揮者である七緒のもとにあるものが送られてきて…。
商店街の個性的な音楽好きが奏でる物語の第2弾。
正直、1巻で完結したと思っていたんで続編がでて本当にうれしいです!
美奈川さんの作品は描写がとても綺麗で物語の中にどんどん引きこまれていきます。
最後の演奏のシーンなんて音がホントに鳴り響いているよう。
音楽好きならより楽しめる内容ですが、そうでなくても十分楽しめます。
できることならば書の中で奏でられる「マイスタージンガー」や「ラ・カンパネラ」を聞いてから読むともっと楽しめただろうなぁ。
各章も音楽というものを題材にいろいろな人たちの人間模様をしっかり描いていて読んでいて心地よいです。
あえて苦言をいうならMW文庫なので絵が表紙しかなく、キャラ達の顔がでてこないところか。 -
Posted by ブクログ
一流企業を退職したOL陶子は後輩の伝手で新たにハンドキャリー便として働くことになるのだが……
メディアワークス文庫らしいライトな読み口なのですが、内容はしっかり爽やかです!
主人公陶子の元気の良さ、威勢の良さはもちろんのこと、その他のキャラのたちっぷりもしっかりしています。キャラの掛け合いも小気味よくてその場面は読んでいて楽しいです。
内容は各章で一つの荷物をめぐる物語が展開されていくので、切れ目も分かりやすく読み切りしやすいのもまた一つの特徴かなと思います。
ラストもしっかりしていて不覚にも少しだけ涙腺が刺激されてしまいました。最初はいきなりSF要素が入ってくるので少し戸惑ったのですが、その要素もがっつりと取り込んで陶子の成長、荷物をめぐる人々の思い、そして陶子の勤める運送会社の物語、それぞれをしっかりと紡ぎあげてくれた本でした。